所長ブログ
2013/04/15

鎮魂のコンサート

4月12日、長野市のホクト文化ホールにおいて、指揮者「佐渡裕」、ピアニスト「辻井伸行」、BBCフィルハーモニーが共演するコンサートが開催された。

このメンバーによるコンサートは2度目となるが、前回は途中で中止となったのだ。前回は2011年3月4日から3月15日まで10会場でのコンサートが予定され、前半5回の公演が終了し、後半のスタートが2011年3月11日横浜みなとみらいホールであった。東日本大震災が発生した日である。この日、BBCのメンバーは会場である横浜みなとみらいホールに向うバスの中で大震災に遭遇した。メンバーの手記によると「横浜ベイブリッジに差しかかった時、異様な揺れでバスが止まり、しばらくバスは上下左右に激しく揺れていた。その時バスの中から反対車線を見るとトラックが横転している姿を見て、地震の発生とその大きさを知った。」とのことであった。

イギリス政府から即刻帰国するようにとの命令でツアーはそこで中止。その時「必ず再会しよう」と皆で誓い合い、その約束を実行すべく今回のツアーが再開されたのだ。佐渡裕は「同じオーケストラ、同じソリスト、同じプログラムで再びツアーが行えるなんて、奇跡だと思います」と言っていた。

2年前に実施された5会場の最後が松本市の松本文化会館での演奏であったとのことだが、2つあるプログラムの内、長野で演奏されたプログラムは松本会場と同じものであった。ただ今回は始まる前にエルガー作曲のエニグマ変奏曲より『ニムロッド』が演奏された。この曲はBBCのメンバーが「嘘偽りのない友情を表現し我々から日本の方々への誠実な友情を示したい」との希望から選曲したものだった。

様々な思いが込められたコンサートが始まる。あの時の情景を思い出しながら、そして被災された方々の幸せを祈りながら。

終了後、出口で佐渡裕さんが、被災者への募金を呼びかけていた。2時間の長丁場を終えた後なのに、必死に呼びかけている姿に頭が下がる思いであった。

4月12日のプログラム(Bプログラム)
・ブリテン 4つの海の間奏曲 作品33a
・チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調作品23
・ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」ホ短調作品95

2013/04/10

引頭麻美著 「JAL再生」

引頭麻美著 「JAL再生」 大和総研

2010年1月19日に経営破綻し、2月20日に上場廃止となり、約44万人の株主が持っていたい株券を紙くずとし、金融機関等に5215億円の債権放棄をさせたJALは、わずか2年8ヵ月後に東京証券取引所に再上場を果たした。過去50年間に会社更生法の適用を申請して上場廃止になった138社のうち、上場企業として復活できた会社は、わずか9社過ぎないという状況からすると、これだけ短期に再建できたのはまさに奇跡とも言われている。

JALは如何に再生したのか。本書は「破綻前のJALの常識」、再生の中での「稲盛会長による意識改革」、再生後の「JALフィロソフィ」を中心に奇跡の再生を分析している。

講談社現代新書「JAL再建の真実」町田徹著も会計上の問題も絡めて分りやすく分析している。併せて読まれるとより立体的に再生経過が理解できる。

「JAL再生」より
1.会社更生法前のJAL
(1)破綻前のJALの常識
  ①ナショナル・フラッグ・キャリアはつぶれない
  ②メンテナンス部品はすべて新品でなければならない
  ③コストの必要性を疑わない
  ④事業計画は自分たちがつくった計画ではない
  ⑤他部門は別会社
  ⑥顧客よりもマニュアル
  ⑦経営は経営、現場は現場
(2)JALが抱えていた6つの課題
  ①経営基盤の課題
   ⅰ、価値観の共有ができていない
   ⅱ、現場の経営参画意識が乏しい
   ⅲ、経営と現場に距離感がある
  ②現場の課題
   ⅰ、顧客視点に立っていない
   ⅱ、現場のリーダーシップの不在
   ⅲ、横のリーダーシップの不在

2.JALを再生させた5つのカギ
(1)衆目にさらされての再生
(2)稲盛氏のリーダーシップと社内の共感
(3)価値観を共有する仕組みや仕掛け
(4)社員が共有できる管理会計の仕組み
(5)新しい価値観に基づく社員ひとりひとりの行動

JALフィロソフィ

日本航空 植木義晴社長

「私たちは一人ひとりの意識を変えていくことが必要と考え、JALのサービスや商品に携わる全員が持つべき意識・価値観・考え方として、JALフィロソフィを策定しました。
これにより、私たちは同じ価値観をもち、判断および行動をしていくことで、全員が心をひとつにして一体感をもって、お客様に最高のサービスを提供し、企業価値を高めることで、社会の進歩発展に貢献していくよう全力を尽くしていきます。

第1部 すばらしい人生を送るために
第1章 成功方程式(人生・仕事の方程式)
 ・人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
第2章 正しい考えを持つ
 ・人間として何が正しいかで判断する
 ・美しい心をもつ
 ・常に謙虚に素直な心で
 ・常に明るく前向きに
 ・小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり
 ・土俵の真ん中で相撲をとる
 ・ものごとをシンプルにとらえる
 ・対極をあわせもつ
第2章 熱意をもって地味な努力を続ける
 ・真面目に一生懸命仕事に打ち込む
 ・地味な努力を積み重ねる
 ・有意注意で仕事にあたる
 ・自ら燃える
 ・パーフェクトを目指す
第4章 能力は必ず進歩する
 ・能力は必ず進歩する

第2部 すばらしいJALとなるために
第1章一人ひとりがJAL
 ・一人ひとりがJAL   
 ・本音でぶつかれ
 ・率先垂範する
 ・渦の中心になれ
 ・尊い命をお預かりする仕事
 ・感謝の気持ちをもつ
 ・お客さま視点を貫く
第2章 採算意識を高める
 ・売上を最大に、経費を最小に
 ・採算意識を高める
 ・公明正大に利益を追求する
 ・正しい数字をもとに経営を行う
第3章 心をひとつにする
 ・最高のバトンタッチ
 ・ベクトルを合わせる
 ・現場主義に徹する
 ・実力主義に徹する
第4章 燃える集団になる
 ・強い持続した願望をもつ
 ・成功するまであきらめない
 ・有言実行でことにあたる
 ・真の勇気をもつ
第5章 常に創造する
 ・昨日より今日、今日より明日
 ・楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する
 ・見えてくるまで考え抜く
 ・スピード感をもって決断し行動する
 ・果敢に挑戦する
 ・高い目標をもつ

2013/03/18

塚越寛著「いい会社をつくりましょう」

塚越寛著「いい会社をつくりましょう」文屋

著者は、1958年の会社設立以来、連続増収増益を続けている伊那食品工業の代表取締役会長です。
相場商品だった寒天の安定供給体制を確立し、医療・バイオ・介護食など新たな市場を開拓し、財務内容や理念・実績等が高く評価されている会社です。

●会社の社是
『いい会社をつくりましょう~たくましく そして やさしく~』

●「いい会社」とは、
『単に経営上の数字が良いというだけでなく、会社をとりまくすべての人々が、日常会話の中で「いい会社だね」と言って下さるような会社のことです。「いい会社」は自分たちを含め、すべての人々をハッピーにします。そこに、「いい会社」をつくる真の意味があるのです。』

●企業目的
『企業は本来、会社を構成する人々の幸せの増大のためにあるべきです。
私たちは、社員が精神的にも物質的にも、より一層の幸せを感じるような会社をつくると同時に、永続することにより環境整備・雇用・納税・メセナなど、様々な分野でも社会に貢献したいと思います。
したがって、売上や利益の大きさよりも、会社が常に輝きながら永続することにつとめます。』

●社是を実現するための会社としての心がけ
・遠くをはかり、進歩軸に沿う研究開発に基づく種蒔きを常に行います。
・永続するために、適正な成長は不可欠です。急成長をいましめ、環境と人との調和をはかりながら、末広がりの堅実な成長をめざします。
・収益性、財務、営業力、開発力、取引先、知名度、メセナ等について企業規模との好ましいバランスを常に考えて行動します。

●社是を実現するための社員としての心がけ
・ファミリーとしての意識をもち、公私にわたって常に助けあおう。
・創意、熱意、誠意の三意をもって、いい製品といいサービスを提供しよう
・すべてに人間性に富んだ気配りをしよう
・公徳心をもち社会にとって常に有益な人間であるように努めよう

2013/03/18

二宮尊徳「遠きをはかる者」「遺訓」

伊那食品工業の塚越寛代表取締役会長が座右の銘としているのが、江戸末期の篤農家「二宮尊徳」先生の目先の利益を追わず、常に長期的な視野に立って種蒔きをするという下記の言葉です。そして、人間は一生学ばなければならないと教えている遺訓です。
伊那食品工業は、1985年の創業以来、毎年増収増益を続けている会社です。

・二宮尊徳の言葉
  遠きをはかるものは富み
  近きをはかるものは貧す
  それ遠きをはかる者は百年のために
  杉苗を植う
  まして春まきて秋実る物においてをや
  故に富有り
  近くをはかる者は
  春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
  唯眼前の利に迷うてまかずして取り
  植えずして刈り取る事のみ眼につく
  故に貧窮す 

・二宮尊徳の遺訓
  人、生まれて学ばざれば、生まれざると同じ
  学んで道を知らざれば、学ばざると同じ
  知って行うこと能はざれば、知らざると同じ
  故に、人たるもの、必ず学ばざるべからず
  学をなすもの、必ず道を知らざるべからず
  道を知るもの、必ず行はざるべからず

2013/02/12

稲盛和夫著「生き方」

稲盛和夫著「生き方」サンマーク出版

平成16年の発売以来93万部を超えるロングセラー。
著者の稲盛和夫氏は2010年経営破綻したJALの会長に就任し、わずか2年8ヶ月で再上場を成し遂げた人物である。JALの「奇跡の再生」の礎となった実践哲学がこの本に書かれている。
稲盛会長が、JALを再生するに当り、真っ先に行ったことが、社員の意識改革であったと言われている。この著書に書かれている「生き方」の具体的な方法を、社長以下役員などの経営幹部を対象に研修し、その後、課長クラスまで対象を拡大して実施され、JALのV字回復の大きな原動力のひとつとなったとのことである。

著書のプロローグにはこう記載されている。

「私たちはいま、混迷を極め、先行きの見えない『不安の時代』を生きています。豊かなはずなのに心は満たされず、衣食足りているはずなのに礼節に乏しく、自由なはずなのにどこか閉塞感がある。やる気さえあれば、どんなものでも手に入り何でもできるのに、無気力で悲観的になり、なかには犯罪や不祥事に手を染めてしまう人もいます。
そのような閉塞的な状況が社会を覆いつくしているのはなぜでしょうか。それは、多くの人が生きる意味や価値を見いだせず、人生の指針を見失ってしまっているからではないでしょうか。今日の社会の混乱が、そうした人生観の欠如に起因しているように思えるのは、私だけではないと思います。」

そういう時代にもっとも必要なのは、『人間は何のために生きるのか』という根本的な問いではないかと思います。

私たち人間が生きている意味、人生の目的はどこにあるのでしょうか。最も根源的ともいえるその問いかけに、私はやはり真正面から、『それは心を高めること』、『魂を磨くこと』にあると答えたいのです。

『この世へ何をしにきたか』と問われたら、私は迷いもてらいもなく、生まれたときより少しでもましな人間になる、すなわちわずかなりとも美しく崇高な魂をもって死んでいくためだと答えます。俗世間に生き、さまざまな苦楽を味わい、幸不幸の波に洗われながらも、やがて息絶えるその日まで、倦まず弛まず一生懸命生きていく。そのプロセスそのものを磨き砂として、おのれの人間性を高め、精神を修養し、この世にやってきたときよりも高い次元の魂をもってこの世を去っていく。私はこのことより他に、人間が生きる目的はないと思うのです。・・・」

「現世とは心を高めるために与えられた期間であり、魂を磨くための修養の場である。人間の生きる意味や人生の価値は心を高め、魂を練磨することにある。まずは、そういうことがいえるのではないでしょうか。」

プロフィール
長野県松本市にある司法書士 古川綜合事務所の所長ブログです。
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