2010/06/09 17:35

乳幼児の髄膜炎予防 ヒブワクチン不足深刻
医師「定期接種に」
(2010年6月9日 読売新聞 兵庫)

 乳幼児の細菌性髄膜炎を引き起こす「インフルエンザ菌b型【クリップ】」(Hib=ヒブ)ワクチンの任意接種で、ワクチン不足が生じている。「生後2、3か月でワクチンを打つのが理想」とされるが、供給不足と予約殺到で、1歳を過ぎてからしか打てない人もいる。年内にはワクチンが増産される見込みだが、しばらくは、「順番待ち」の状態が続きそうだ。(諏訪智史)

   ■接種待ち1万人超

 ヒブ髄膜炎を発症する患者は、国内で年間約600人と推計され、5%が死亡、3割弱に聴覚や脳機能障害が残るとされる。0歳児の発症が全体の5割を占め、最もリスクが高い。

 ワクチンは生後2~6か月で3回、その1年後に1回、打つのが通例(1歳~5歳未満は1回)で、国内では製薬大手の「第一三共」(東京都)がフランスから輸入。毎月10万本を全国の病院に納めている。

 しかし、現在の需要は月平均12万本で、全国で約25万人(昨年末現在)、県内で約1万6000人(3月現在)が順番待ちの状態。同社は10月頃までに月27万本体制にする予定で、「年内には不足が解消される」とみている。

   ■予約15分でいっぱい

 ワクチンは病院ごとに配布されるため、患者の多い病院ではすぐに予約でいっぱいになる。神戸市中央区の病院は、毎月1日に乳児10人分(30本)の予約を専用電話で受け付けるが、わずか15分で埋まる。

 保護者の中には予約の少ない病院を探す人も多く、同市長田区の別の病院には、大阪市内の母親からも予約があったという。

 4月28日に長男を出産した神戸市北区の母親(29)は、長女(1)の時に1歳を過ぎてからしか打てず、「知人の子どもが髄膜炎になったこともあり、長男にはできれば0歳で接種させたい」と話す。

   ■1回8000円

 ワクチン接種は保険適用されない任意のため、1回8000円前後と高額だ。三木市など県内17市町はすでに、接種料の助成制度を設け、7月には神戸市など16市町でも助成が始まる。

 県も今年度から全国に先駆けて、補助を始めた。助成制度を設けた市町に対し、自治体負担分の半額を補助する。夏には国に定期接種とするよう要望するという。

 神戸市小児科医会の公文康会長は「任意接種のままでは、患者の負担が消えない。定期の予防接種として、公費負担をするべきだ」と話している。

 【クリップ】インフルエンザ菌b型 インフルエンザウイルスとは別物。19世紀のインフルエンザ流行時に原因菌とされたため、名付けられた。5歳を超えると抗体ができ、ほとんど発症しない。ワクチンは100か国以上で使用されており、定期接種に指定している国も多い。日本で接種が始まったのは2008年12月からで他国に比べ遅かった。

(2010年6月9日 読売新聞)


コメント:
 安曇野市 穂高ハートクリニックでは、ヒブワクチン予防接種の予約を受け付けております。
 予防接種の価格は、ヒブワクチン1回6480円です。
 上述の如く、全国規模での出荷調整がさなれていますので、少しお待ちいただくことがあります。年末にワクチン供給不足が解消されるといいですね。