2007/10/04 10:54

福祉という『仕事』……


 「福祉」と聞いて、皆さんはどんなことを思いますか?よくご家族の方とお話をする際に、「お兄さんは若いのに偉いね、こんな仕事に就いて」などと声をかけていただきます。でも、「私たちの仕事って本当に偉いの?」と疑問に感じてしまいます。
 数年前になります。私が某福祉大学に入学して大学1年生で初めて授業に臨んだ時、教壇に立った教授が学生に向かってこう言いました。

  「皆さんはこれから世の中で最も汚い仕事に就こうとしています。『汚い』という意味は、例えばオムツを交換するといったことに携わるという意味での『汚い』ではなく、最もお金に汚い仕事ということです。だってそうでしょ?人の弱みに付け込んでお金をもらって、最低の仕事ですよ。あなたたちはそれを忘れてはいけない。」

 正直、衝撃的でした。「困っている人のために何かをしたい」、また福祉に対してただ漠然と「やりたい仕事」という理由で入学し、大して深みまで考えずに薄っぺらい理想をもって入学した私たちは、福祉というものの厳しさや本当に考えなければならないことを痛感しました。
 福祉という仕事に就いて、介護保険による契約という時代になっても依然多くの方が以前の慈善的な意味合いで福祉を捉え、崇拝されるような感覚で見られることが多いと感じます。でも私たちの仕事はお金に汚い仕事です。お金がない高齢者、施設に入所されている高齢者の十数万にもなる入所費用を払っているご家族、頼りたくてもお金を払わないと頼れない現状を理解しなければなりません。私たちはそんな困っている人の困っていることに対して、サービスという都合のいい言葉を利用してお金を頂き、それを商売として生きているのです。私たちがサービスを提供することで利用者さんが生きているのではない。私たちが生きさせてもらっているのです。

 ご家族の方から「偉いね」と声をかけられる度に、この気持ちを忘れずに利用者の方に接していきたいと感じます。

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