2011/11/12 19:57

セシウムの広がり、群馬県境まで 汚染マップ公表
2011年11月11日22時10分 朝日新聞社

 東京電力福島第一原発事故による放射能汚染の実態について、文部科学省は11日、航空機で測定した放射性セシウムの蓄積量を新たに6県分追加し、計18都県の汚染マップを公表した。これで東日本各地がほぼ出そろった。文科省は西側は群馬・長野県境、北側は岩手県南部で汚染の広がりはとどまったとみている。

 追加されたのは岩手、富山、山梨、長野、岐阜、静岡の各県。セシウム134と137の蓄積量でみると、1平方メートルあたり3万ベクレルを超えた地域は岩手県南部(奥州市、平泉町、一関市、藤沢町)、長野県東部(軽井沢町、御代田町、佐久市、佐久穂町)の一部。奥州市と一関市の境、佐久市と佐久穂町の境では6万ベクレルを超える地域があった。

 岩手県南部については、事故後に放射性プルーム(放射性雲)が流れ、そのとき宮城県北部にかけての範囲で雨が降っていたため、飛び地状に汚染地域ができた。長野県東部は群馬県から南下したプルームで汚染された可能性がある。

文部科学省による、岩手県、静岡県、長野県、山梨県、岐阜県、及び富山県の航空機モニタリングの測定結果、並びに天然核種の影響をより考慮した、これまでの航空機モニタリング結果の改訂について
平成23年11月11日


県内の放射線量 文科省が航空機モニタリング結果公表
11月12日(土) 信濃毎日新聞社

 文部科学省は11日、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質の拡散状況を調べるため県内全域を対象に行った航空機による放射線量のモニタリング調査の結果を公表した。佐久市や南佐久郡佐久穂町など佐久地方の群馬県境付近は周辺地域より比較的高い放射線量だったが、他地域は低かった。放射性物質の拡散状況について同省は、「群馬・長野県境に標高の高い山があるため、多くの放射性物質は(群馬側から)山を越えられなかった」とみている。

 同省原子力災害対策支援本部によると、地表高さ1メートルの空間放射線量率が高かった地点(各自治体の最大数値)は、佐久市で1時間当たり0・54マイクロシーベルト、佐久穂町で同0・46マイクロシーベルト、北佐久郡軽井沢町で同0・32マイクロシーベルトなどだった。これら佐久地方は原発事故の影響とみられる。

 一方、比較的高い数値は大北や木曽、飯田下伊那地方などに分布することも判明したが、こうした地域について同省は「花こう岩に含まれるカリウムなどに由来する放射線の影響と考えられる」と指摘している。佐久地方の空間放射線量率はこれら天然由来のレベルとほぼ同じ。

 同省は放射性セシウムの分布状況も公表。原発事故の影響がみられるとされる1万ベクレルを超えたのは、地図上は判明しづらいが、佐久市内で1平方メートル当たり最大14万ベクレル、佐久穂町の同11万6千ベクレル、軽井沢町の同7万5千ベクレル、北佐久郡御代田町の同7万1千ベクレル、上水内郡飯綱町の同2万ベクレル。飯綱町が比較的高く出たのは「離れた地域で高く出る場合もあり得るが、詳しい理由は分かっていない」(同支援本部)。それ以外の県内の市町村は1万ベクレル以下だった。

 モニタリング調査は、高感度の検出器を搭載した民間ヘリコプターで9月24日~10月7日に実施。得られたデータから数値を算出した。飛行困難な山岳地域は一部除外。局所的に放射線量が高い「ホットスポット」は把握できない。

 文科省は長野のほか岩手、静岡、山梨、岐阜、富山県の結果も公表した。