冬も本番。暖かいものが恋しい季節です。
日頃おなじみの暖かなグッズにも意外な危険が隠れています。

ホットカーペット、湯たんぽ、ファンヒーター、暖房便座、
カイロは上手に使えば快適ですが、ときに熱傷をおこすことがあります。熱さを感じないで皮膚に長時間触れるために、熱傷が皮膚の奥深くまで到達してしまいます。

また飲酒の後、ファンヒーターの前で寝てしまったり、便座の温度調節をしないまま(できないまま)長時間すわっていたり、といったことが原因になる事例もあります。
初め表面には変化がないので、手当てが遅れることもあります。皮膚の奥深くまで傷つけられるので痛みもひどく、治るのに時間がかかります。

暖かグッズは正しく使い、もし、やけどになってしまい、なかなか治らないときには早めに受診しましょう。

日焼け止め(サンスクリーン剤)をつける第一の目的は強いサンバーンを避けるためです。レジャーで海や山へ行く時には強いものが必要ですが、日常生活で光老化を避けるため位ならさほど強いものは必要ありません。日焼け止めにはSPFという数値があります。ヒトはなにもつけないで日光に当たると、20分で皮膚が赤くなりますが、たとえばSPF10の日焼け止めをつければ、20×10分=200分赤くなるまでの時間を延ばしてくれます。目安としては、商品にも表示がありますが日常生活では5、軽い屋外活動、ドライブなどでは10、晴天下のスポーツ、海水浴などでは20くらいのものがよいとされています。

気をつけなければいけないのは塗る量です。塗り方が少なければ効果が半減します。また水泳や、汗で流れたり、顔を触ることでとれてしまうことも多々あります。耐水性のものを3時間に1回くらい塗り替えるほうが確実です。それではSPF値が高いものであれば多少とれても効果がありそうですが、あまりに高い数値のものは皮膚に負担も多くなります。やはり状況に応じて適当な強さのものを、きちんと塗るほうが良いでしょう。

塗る場所として顔はもちろんですが、意外と忘れやすいのはうなじや、耳たぶ、胸、首、手の甲です。これらの部位にもきちんと塗りましょう。

なお、夜にはきちんと専用のクレンジグなどで洗い流すことが大切です。

日本人女性の臓器別がん罹患数ー1975年〜2005年の推移ー

上のグラフは日本人女性の臓器別がん罹患数を示しています。
乳がんは1998年から胃癌を抜いて日本人女性がかかる一番のがんになりました。そして2007年の統計ではその罹患数は56289人となり、日本人女性の約16人に一人は乳がんになる状態まで乳がんは増えています。

日米英の罹患率・死亡率の比較

次のグラフは日本、アメリカ、イギリスの乳がんに罹る割合・および死亡率を表したものです。左の罹患率を示したグラフではアメリカ、イギリスの罹患率がはるかに日本より高いことが分かります。しかしこの2カ国は1996年頃から罹患率の低下が見られ日本だけ増加の一途をたどっています。右の乳がん死亡率を示したグラフでも同じ傾向が認められ1990年をピークにアメリカ、イギリスの乳がんによる死亡率が低下しているにもかかわらず日本は増加しています。これはアメリカ、イギリスとも乳房検診の受診率が1980年代から上昇したことと深く関係しているとされています。


最後のグラフは乳がんに罹ってしまった女性の死亡数を示したグラフです。乳がんに罹る前に検診を受けず、罹った後にも再発防止の治療を受けなかった方が青い線で、検診のみ受けた方が緑の線で示されています。たとえ乳がんに罹ってしまった場合でも、検診を受けた人のほうが死亡率が低いのは検診により早期に発見されるがんが多いからと推測されます。このグラフからも乳癌検診の重要性がおわかりになると思います。

先ほどもお示しした様に、現在日本人の16人に一人は乳がんに罹ります。触っても分からない早期のがんを、超音波検査やマンモグラフィを用いて発見するのが乳房検診の目的です。是非、年に一度乳がん検診を受けて下さい。

1.妊娠中は甲状腺機能(甲状腺のホルモンの状態)を正常に保つことが重要です。

バセドウ病が妊娠に与える影響

治療していないバセドウ病で甲状腺ホルモンが多い状態(甲状腺機能亢進症)が持続すると、生理が少なくなったり、停止してしまうことがあります。さらに、甲状腺ホルモン過剰の状態で妊娠しても流産、早産、妊娠中毒症の危険性が増すといわれています。安全な妊娠・出産のためには治療によって甲状腺ホルモンの濃度を正常にしておくことが大切です。一方、母体の甲状腺機能亢進症によって胎児奇形の頻度が増すとの証拠はないようです。

2.バセドウ病の治療薬によって奇形児の頻度が増すとの証拠はありません

妊娠中、授乳中のバセドウ病治療薬

治療は抗甲状腺薬の服用が中心です。抗甲状腺剤(バセドウ病治療薬)にはチアマゾール(メルカゾール)、プロピルチオウラシル(チウラジール、プロパジール)の2種類がありますが、妊娠中、授乳中はプロピルチオウラシルの方が望ましいと考えられています。チアマゾール内服中の母体から頭皮欠損の新生児が生まれた報告がありますが、一般的には抗甲状腺剤によって奇形の頻度が増すとの証拠はありません。

治療しないでホルモンが多いままにしておくほうが害が大きいと考えられています。妊娠したことが判った途端に薬を止めてしまうことは誤りです。薬が必要な場合は妊娠中も続けなければいけません。母乳への薬の移行はプロピルチオウラシルの方が少なく常用量では児の甲状腺機能には影響しません。チアマゾールは母乳中に移行しますが少量の内服から8~12時間たてば授乳してよいとの意見もあります。薬に対するアレルギーがなければ、適切な薬物治療でバセドウ病をコントロールしながら、元気な赤ちゃんを育てることは可能です。

3.バセドウ病は妊娠中には軽くなり安定することが多い疾患です。定期的なホルモン測定によって薬の量を調節します。

妊娠がバセドウ病に与える影響

妊娠週数が進むとバセドウ病は次第に安定します。妊娠後半には薬の必要量が減り中止できることもよくあります。薬物治療中は胎児血中の甲状腺ホルモン(遊離T4)値は母体血中のそれより低めになりますから、母体血中の遊離T4が正常上限から軽度高値になるようにコントロールします。妊娠後半に母体血中のTSHレセプター抗体を測定して新生児甲状腺機能亢進症の可能性の有無を調べておきます。

また、出産直後は一時悪化する傾向があります。これは、妊娠中に病気が軽くなった反動とも言える現象です。妊娠中に減った薬の量を調節することが必要です。妊娠によってバセドウ病が治ったと勘違いして薬の服用をやめてしまったり、受診しないようなことはやめましょう。出産後退院して1ヶ月頃にはホルモンの検査に受診されることをお奨めします。

*ご質問や、不安な点がありましたら気兼ねなくご相談ください。

『自分の乳房は自分で守る』

5200人という数字、これは15年前の1990年のわが国における乳がん死亡者数で、10万人当たり8.5人の死亡率です。これが2004年には10500人、死亡率16.3人になり、この15年間で死亡数、死亡率ともに倍増しています。

増加の要因として遺伝やホルモン、閉経後の肥満が挙げられます。また、わが国では40歳代が好発年齢であり年齢階層別死亡率からも、30歳から59歳までの比較的若い世代で乳癌が全癌種の第1位となっています。働き盛りでかつ子供の教育時期の女性を蝕み、家庭を暗いものにし、やがて命を奪っていく若年者乳癌に接する毎に、私は心が痛み何とか出来ないものかと何時も考えてきました。

最近の40歳代の患者数の増加は、日本人女性のライフスタイルの変化、すなわち未婚、未産や高齢出産などと関連すると指摘されており、今後も増加が予想されています。このように乳がんは日本社会を脅かす勢いで増えています。女性がかかるがんのトップとなっている現状からも、「私は乳がんにならない」では済まされません。欧米などに比べ日本女性の乳がんに対する危機感は低いだけに、今後は成人式など若い女性が集まる場所で乳がんの話をすることが必要ではないかと思います。

厚生労働省の「がん検診に関する検討会」は、40歳以上の女性にマンモグラフィー(乳房X線撮影)による検診を導入するように報告書で提言しています。しかし、医療体制が追い付いていない現状では、自分の乳房は自分で守っていかなければなりません。

30歳を過ぎたら是非毎年1回は乳房健診を受けましょう。そして40歳になったら2年に一度はマンモグラフィーの検査を受けてください。もし、あなたが乳房に何か異常を感じたら、検診を受けるのではなく外科の乳腺外来を受診しましょう。検診はしこりなどの自覚症状のない人が受けるものです。

検診で異常のなかった人も、月1回は自己検診を行い自分でも「異常なし」と言われた時の乳房と変わっていないかどうかチェックを続けてみて下さい。

プロフィール
長野県塩尻市にある清水外科胃腸科医院のスタッフブログです。

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