2010/12/15 16:45

マイコプラズマ肺炎患者が急増 報告は過去10年で最多 
2010.12.4 00:20 産経ニュース

 せきなどが1カ月近く続き、重症化することもある感染症「マイコプラズマ肺炎」の患者が急増し、過去10年で最多となっていることが3日、国立感染症研究所の調べで分かった。同肺炎は初期段階での診断が難しく、風邪と誤診されることも多い。感染研は「風邪薬を飲んでも治らない場合は、特に注意して」と警戒を呼びかけている。

 感染研などによると、マイコプラズマ肺炎は例年、晩秋から早春にかけて流行する。今年度も10月ごろから患者数が急増。11月21日までの1週間で、調査対象の全国約500の医療機関では、1医療機関当たり0・71人の患者が確認された。昨年同期と比べて約3倍で、過去10年で最も流行した平成18年度のピーク時(0・69人)を超えており、感染研も「例年に比べてかなり多い」と警戒している。

 地域別では青森県が最も多く2・5人。次いで多い順に宮城県(2・42人)▽群馬県(2・25人)▽愛媛県(2・17人)▽沖縄県(2・14人)▽佐賀県(2人)-と続く。

 以前は4年に1度、五輪開催の年に流行したため「オリンピック肺炎」などと呼ばれていたが、近年は流行に一定の周期はない。有効な抗生物質が複数あるが、症状が風邪に似ており、特に初期段階では診断が難しい。

 感染研感染症情報センターの谷口清州第1室長は「小さな子供や持病のある人は特に注意が必要。感染予防のためにも、手洗いやうがいなどの基本的な感染症対策が大切だ」と呼びかけている。

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 マイコプラズマ肺炎 肺炎マイコプラズマという細菌によって引き起こされる肺炎で、感染後2~3週間で発熱や全身倦(けん)怠(たい)、頭痛、せきなどの症状が出る。特にせきは熱が下がってからも3~4週間続く。せきやくしゃみなどで感染する。肺炎の中では比較的症状は軽いが、重症肺炎になり胸に水がたまるなど重症化することもある。