2015/10/28 17:43

 ワクチン製造大手の一つ「化学及(および)血清療法研究所」(化血研、熊本市)のワクチン出荷自粛で供給が不足している問題で、医療現場や市民生活への影響が広がりそうです。

 本日平成27年10月28日、4種混合ワクチンDPT-IPVの出荷の自粛があり、販売元であるアステラス製薬株式会社から在庫欠品のお知らせがありました。
 このため、現在の在庫が終了次第、予約を受けることはできなくなります。

 国・地方自治体で行っている定期予防接種事業にも、今後、大きな影響が出そうですね。厚労省、化血研、双方の対応に注目していきたいと思います。

=====参考=====
厚生労働省 第13回厚生科学審議会感染症部会資料 平成27年10月21日(水)
百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン(DPT-IPV)については、予防接種法において定期接種の対象としており、我が国において広く接種が行われている。現在、国内に流通している百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン(DPT-IPV)は、化血研を含む2社が供給しており、昨年は約 370 万本が出荷されている。このうち、化血研の「クアトロバック皮下注シリンジ」は約 64%を占めており、他社製品で代替することは非常に困難な状況である。

B 型肝炎は、感染症法において五類感染症に規定されており、発生・拡大を防止すべき感染症のひとつである。B 型肝炎ワクチンについては、母親が B 型肝炎の場合の垂直感染(母子感染)予防のため、出産直後に新生児に対して広く接種されている。現在、国内に流通している B 型肝炎ワクチンは、化血研を含む2社が供給しており、昨年は 0.25mL 規格で約 61 万本、0.5mL 規格で約150 万本が出荷されている。このうち、化血研の「ビームゲン注」は約 80%を占めており、他社製品で代替することは非常に困難な状況である。

日本脳炎ワクチンについては、予防接種法において定期接種の対象としており、我が国において広く接種が行われている。現在、国内に流通している日本脳炎ワクチンは、化血研を含む2社が供給しており、昨年は約 400 万本が出荷されている。このうち、化血研の「エンセバック皮下注用」は約 36%を占めており、他社製品で代替することは非常に困難な状況である。

A 型肝炎は、感染症法において四類感染症に規定されており、発生・拡大を防止すべき感染症のひとつである。上下水道の整備等により、日本での大規模な流行は近年発生していないが、発展途上国では蔓延のある疾病である。そのため、A 型肝炎ワクチンは主に長期海外渡航者及び帯同者を中心に接種されており、平成 25 年度は約 27 万人分が出荷されている。現在、国内に流通している A 型肝炎ワクチンは、化血研の「エイムゲン」のみであり、出荷が途絶えれば、供給の著しい不足が懸念される。

 以上4つの化血研が製造するワクチン製剤については、公衆衛生対策上の必要性が高いと考えられるが、他社製品での代替が困難であることから、今後、供給が著しく不足することが見込まれる。このため、「インフルエンザ HA ワクチン“化血研”」と同様、厚生労働省は、以上4つのワクチン製剤について、品質及び安全性等への重大な影響について、できる限り速やかに確認調査を行うべきと考えられる。また、その結果を踏まえた対応については、本部会において速やかに検討すべきである。