2015/10/19 15:02

ワクチン不足・・・不安増幅
2015/10/19 中日新聞

 インフルエンザワクチン製造大手の一つ「化学及(および)血清療法研究所」(化血研、熊本市)のワクチン出荷が遅れている問題で、医療現場や市民生活への影響が広がっている。今季はインフルエンザの流行が早いとの見方が強く、早期の接種を希望する人も多いが、一部の医療機関では予約を先延ばしにせざるを得ないなどの混乱が出始めた。厚生労働省は21日に有識者を交えた会議で対応を検討するが、現場からは「後手に回った」との批判も上がっている。
 名古屋市熱田区の内科、小児科「森本医院」。毎年この時季には約1000人分のインフルワクチンがそろうが、今季は化血研からの600人分が届いていない。「卸売会社に無理を言って、他メーカー製を取り寄せてもらったが、それもわずか40人分。全体の半分も確保できていない」と森本雅伸院長。すでに接種希望の問い合わせが相次いでいるが、「未入荷が長引けば、接種を子どもと高齢者、受験生くらいにしぼらざるを得ない」と気をもむ。
 化血研は今季、全国4メーカーで計3000万本の製造分のうち、850万本(1700万人分)を担う予定だった。出荷の遅れは、6月に化血研製の血液製剤が国が承認したのとは別の方法で作られていた問題が発覚し、厚労省がインフルワクチンの製造についても確認を続けていることが原因だ。
 愛知県は化血研製を大量に扱う卸売会社から購入する医療機関が多く、県内シェアは4割にも上る。岐阜、三重県では3割弱、長野、福井、滋賀県でも一定量は化血研製だという。
 愛知県あま市の主婦(35)は、地元の病院でワクチン接種の予約を申し込んだところ、出荷遅れの影響で「11月上旬以降まで待ってほしい」と言われた。
 今月7日には名古屋市西区の小学校で昨季より3週間以上早く学級閉鎖が起こるなど、「今季はインフルの流行が早まりそうだ」と同市医師会。接種による免疫ができるまでは通常2~3週間かかるため、子どもの保護者らを中心に「10月中に済ませたかった」との声も上がっている。
 インフルワクチンに関しては、今季から厚労省の決定でワクチンに含まれる抗原が3種類から4種類に増えたため、接種料も昨季より上昇傾向となっている。そこに降って湧いた出荷遅れに、接種希望者の戸惑いは大きい。
 こうした事態を受け、21日に厚労省が開く有識者会議では、化血研製ワクチンの出荷を認めるかどうかを検討する。
 ただ、迅速に出荷が認められた場合でも、化血研から卸売会社などを経て、医療現場にワクチンが届くのは来月にずれ込む可能性がある。ある医療関係者は「出荷遅れは9月ごろから分かっていた。厚労省や化血研はもっと早くから対応策や現場への周知を進めるべきだった」と話した。
(2015年10月19日)

=====コメント=====
 穂高ハートクリニックでは、インフルエンザワクチン予防接種を行っています。報道の通り、化血研のワクチンは当院でも入荷のめどが立っておりません。当院では、阪大ビケン、デンカ等、他社のワクチンも取り扱っておりますので、現時点ではまだ予約可能です。
 インフルエンザワクチン接種希望者は、お早めにご連絡くださるよう、お願い申し上げます。