2008/01/22 10:17
スタッフ日記
アールデコの館 ~旧朝香宮邸を訪ねて~
今回は、ちょっと遠出してみました。
ネットサーフをしていてふと目に飛び込んだ、「アール・デコの館」の文字。
アールデコ様式は、独特のクセがあって好きな様式のひとつなので、気になってクリックしてみたら…
東京は白金台の「東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)」が、期間限定で普段は見られない部分も開放し、さらに写真撮影もOKとのこと。
こりゃ、行くしかないでしょう!ってことで、見学してきました。
早めに行ってゆっくり楽しもうと思っていたのですが…
いろいろと用を足していたらいつの間にかお昼過ぎ。あわてて駅に向かい、スーパーあずさで出発。
昔よりはずいぶんと早くなったとは言え、3時間近くかかるのは厳しいですねえ。美術館に着いたら、もう薄暗くなっていました。
急いでチケットを買い、小走りに園内奥の宮邸へ。

夕暮れの中、街燈に照らされた建物は、余計な装飾の一切をそぎ落とした「機能美」が感じられました。
あくまで直線的、ところどころに配された曲線がアクセントとなり、軽やかだけど落ち着きもある外観です。
昭和8年の竣工とのことですが、当時はものすごくモダンな、未来を感じさせる建物として見られていたんじゃないでしょうか。
エントランスの正面には、大きなガラスレリーフドアがあります。解説によると、フランスのルネ・ラリックがこの宮邸のために製作し、日本に持ち込まれたものだそうです。
繊細なレリーフが、内部からの光をうけて厳粛に輝いていました。
しばらく眺めていたかったのですが、時間もないので後ろ髪をひかれながら館内へ。
受付を通り、大広間。奥にはイタリア産の大理石を使ったマントルピースと鏡。周りの壁はウォルナット材をふんだんに使っています。

さっきのレリーフドアに再会しました。
エントランスでは雰囲気に圧倒されて気づかなかったのですが、前に置かれたソファと比べても分かるように、たいへん大きなガラスです。

「よくも割れずにはるばるフランスから運ばれてきたなあ…」と、妙なところで感心してしまいました。いつも、仕事でステンドグラスを扱っているので、感じるポイントが他人とは違うのでしょうか?

天井には白熱灯を使った照明が40個。シェードを使わないシンプルなもので、アールデコの目指す「機能の美しさ」を表したデザインといえます。柔らかい光に包まれ、静かに空間を楽しむ人たち。

奥へ続く廊下。
途中に配されたアーチが、廊下の奥行きを演出しています。古い映画のワンシーンに出てきそう。
大客室。舞踏会やコンサートが開かれていたのでしょう。すごく広い、華やかな部屋です
この部屋からは、次室の噴水塔が見られます(奥のほう)。
アンリ・ラパンのデザインで、本体は白磁、上部の渦巻き状の飾りには照明が仕込まれています。塔の肩の部分から水が静かに流れ落ちるという、落ち着いたものです。
来客時にはこれに香水を入れていたそうです。なんとも贅沢なおもてなしですねえ。次室は大広間にも開口していますので、館内に香りがほんのりと立ち込め、優雅な雰囲気を醸していたのですね。のちに「香水塔」と呼ばれるもととなったエピソードです。

ドアがかっこいい。こういうのを見るとわくわくしちゃうんですよね。レイモン・シューブによる上部の鉄細工、マックス・アングランによるエッチドグラスのドアパネル。「コラボレーション」って、こういうのが正解ですね。軽すぎず、重すぎず、部屋の雰囲気を作り上げていました。
レリーフがアクセントの高い天井には、ルネ・ラリックのシャンデリア。すごく大きいのに、重さとか威圧感みたいなものは感じられません。キラキラと華やいだ光を注いでいました。

部屋の片隅には、温水式の暖房器具が置かれていました。しばらく眺めていたら、すごく懐かしいような気がしました。家に帰ってからも「どうしてだろう?」と考えてみたら、足踏みミシンの脚の雰囲気に近いんですね。ばあちゃんの家にあった足踏みミシンとか、お店にあるミシンの記憶が重なっていたようです。
時代的にも近いし、アールデコがそれ以降のデザインに影響を与えたのがわかります。
そういえば、大正から昭和初期にかけての日本の骨董品や民具、それに広告やポスターなどのデザインにも、なんとなくそれらしさが見られますね。
まだまだ多くの部屋があり、一度にご紹介するのは大変ですので、今回はここまで。
次回をお楽しみに。
ビクトリアンクラフト 上條
http://www.victoriancraft.com










