皆さん、今日もお元気ですか?
憲法問題委員会に出向している井上です。

さて、“憲法の松本”シリーズ、今日も楽しく憲法第9条についてです。

しつこいまでの9条ネタですが、5月3日の憲法記念日付近でちょびっと憲法を意識する程度では真の理解へは程遠く、継続して憲法問題について考えることが、日本国民としての教養を養う上で大変重要であると考えます。

世間では、憲法第9条を以て「日本国憲法が徹底した平和主義憲法である」と捉える傾向が少なからずあると思われます。実際どのくらいの人がそのような印象を持っているかわかりませんが、平和主義は何も我が国だけのものではないことを私たちは認識する必要があります。

民間憲法臨調運営委員長の西修氏によれば、世界の現行憲法典187のうち、平和主義条項をもつ憲法は、156カ国に及びます。

世界の現行憲法と平和主義条項(西修氏)

全体の83%を越える国が、平和を望み、それを憲法に明記しているわけです。

平和主義は何も日本の特権ではないのですが、一方では、平和を維持するため民主的統制のもとに軍備を保持する、というのも世界の常識です。

1990年以降に制定された各国憲法には、国家が非常事態に陥った際の対処についての条項は、全ての国の憲法の中に明記されています(非常事態対処条項93カ国中100%)。

「軍隊のない国」として紹介されることの多いコスタリカの1949年に制定された憲法第12条に「コスタリカは常備軍を持たない」と確かに明記されていますが、国家防衛のためには軍隊を組織できること、その場合には軍隊が文民統制に服すべきことが明記されています。これは、いざとなれば軍隊の設置も集団的自衛権の行使も、憲法上、可能である、ということです。

必要なら憲法を変えることなく軍隊を組織することのできるコスタリカ。

憲法で戦力不保持をうたいながら武力組織である自衛隊を持っている日本。

両国の、平和主義をめぐる理念と現実を如実に物語っています。

“我が国における平和”について語る際、日本はすでに自国の平和についてのみ考えていればよいわけはなく、国際社会に於いて責任ある立場にあることは、日本がGDPでも世界のトップクラスに入る経済大国となっていることからも容易に理解していただけると思います。

世界の平和に寄与するということは「行動」でしか評価されない。

このことを湾岸戦争の際、我が国が非軍事国家であることを理由に金銭的な支援のみでしか対応しなかった結果、国際社会からどのような評価を受けたか痛いほどわかっているのです。

我が国の前文を借りれば、「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」のであって「主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務である」為に、平和主義を国際社会で「積極的に実践」するための憲法改正が急務と考えます。

これは、けっして平和主義を捨てるということではありません。

私たちは、学生時代に憲法9条のある日本国憲法は世界に稀にみる平和主義憲法である、と教えられてきたように思います。「軍備をもたない」ことを謳った憲法は確かに珍しいですが、「平和主義」についての認識は随分かわったのではないでしょうか?

それでは皆さん、チャオ―

 

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