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長野県松本市の行政書士の岩城です。

今巷を賑わしている大相撲の八百長問題。
今回は物的証拠と本人の自白がある以上、完全に黒のようですね。

そして、話の焦点は「日本相撲協会の存続」。
連日ニュースでは、「日本相撲協会の公益認可取消(正確には解散命令)問題が大きくクローズアップされることとなりました。

ただ、一部報道においては、「公益認定の取消!(ちなみに日本相撲協会が公益認定の取消を受けることは100%ありません)」などと説明しているところがあるなど、一部で公益法人制度に関する情報が混乱しているような気がします。
その要因は、「公益認可取消」(正確には解散命令)と「公益認定取消」に関する混同だと思いますので、せっかくですから、その辺のことについて少々お話いたします。

平成20年12月1日より新公益法人制度はスタートいたしました。
それまでの民法による公益法人制度から、「法人法」「認定法」「整備法」の3法による制度へと大きく様変わりし、それまでの公益法人は、「特例民法法人」となり、平成25年11月30日までに、新制度に適合した「公益法人」又は「一般法人」に移行しなければならなくなりました。
そして、期限までに移行の手続が完了しなった法人は全て解散となるのです。

してがって、まず、現在の日本相撲協会は「特例民法法人」という位置づけになります。

さて、先述したとおり、ここ数日のニュースで騒がれている日本相撲協会の公益取消については、「公益認可取消(正確には解散命令)」と「公益認定取消」が混同して使われているのが現状です。
まずは、この二つの違いをご説明。

「公益認可取消(正確には解散命令)」の根拠法令は、整備法95,96条で、簡単に言うと、旧主務官庁による特例民法法人に対する解散命令のことで、移行期間満了日までに行われるもののことで、文字通り法人が消滅することになります。
整備法 第95条
特例民法法人の業務の監督(設立の許可の取消し及び解散の命令に係るものを除き、定款の変更の認可、解散した特例民法法人の財産の処分の許可、解散及び清算人に係る届出並びに清算結了の届出に係るものを含む。)については、なお従前の例による。
 
第96条
前条の規定によりなお従前の例により特例民法法人の業務の監督を行う行政機関(以下この節において「旧主務官庁」という。)は、特例民法法人がその目的以外の事業をし、若しくは設立の許可若しくは旧民法施行法第十九条第二項の認可を受けた条件若しくは旧主務官庁の監督上の命令に違反し、その他公益を害すべき行為をした場合又は特例民法法人が移行期間の満了の日までに第百九条第一項の規定により第四十四条の認定を取り消された場合若しくは第百三十一条第一項の規定若しくは同条第二項において読み替えて準用する第百九条第一項の規定により第四十五条の認可を取り消された場合において、必要があると認めるときは、当該特例民法法人に対して、期限を定めて、必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
2 旧主務官庁は、特例民法法人が前項の規定による命令に違反した場合又は当該命令をしてもその改善を期待することができないことが明らかな場合であって、他の方法により監督の目的を達することができないときは、当該特例民法法人の解散を命ずることができる。特例民法法人が正当な理由がないのに引き続き三年(施行日前の期間を含む。)以上その事業を休止したときも、同様とする。
3 前項の規定による命令を行おうとする場合において理事が欠けているとき又はその所在が知れないときは、旧主務官庁は、当該命令の通知に代えてその要旨を官報に掲載することができる。
4 前項の場合においては、当該命令は、官報に掲載した日から二十日を経過した日にその効力を生ずる。


「公益認定取消」の根拠法令は、認定法29条で、行政庁による公益法人の認定取消のことで、取消されると一般法人となります。
認定法 第29条
行政庁は、公益法人が次のいずれかに該当するときは、その公益認定を取り消さなければならない。
一 第六条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
二 偽りその他不正の手段により公益認定、第十一条第一項の変更の認定又は第二十五条第一項の認可を受けたとき。
三 正当な理由がなく、前条第三項の規定による命令に従わないとき。
四 公益法人から公益認定の取消しの申請があったとき。
2 行政庁は、公益法人が次のいずれかに該当するときは、その公益認定を取り消すことができる。
一 第五条各号に掲げる基準のいずれかに適合しなくなったとき。
二 前節の規定を遵守していないとき。
三 前二号のほか、法令又は法令に基づく行政機関の処分に違反したとき。
3 前条第五項の規定は、前二項の規定による公益認定の取消しをしようとする場合について準用する。
4 行政庁は、第一項又は第二項の規定により公益認定を取り消したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
5 第一項又は第二項の規定による公益認定の取消しの処分を受けた公益法人は、その名称中の公益社団法人又は公益財団法人という文字をそれぞれ一般社団法人又は一般財団法人と変更する定款の変更をしたものとみなす。
6 行政庁は、第一項又は第二項の規定による公益認定の取消しをしたときは、遅滞なく、当該公益法人の主たる事務所及び従たる事務所の所在地を管轄する登記所に当該公益法人の名称の変更の登記を嘱託しなければならない。
7 前項の規定による名称の変更の登記の嘱託書には、当該登記の原因となる事由に係る処分を行ったことを証する書面を添付しなければならない。


以上から、日本相撲協会は「公益認定取消」を受けることはないということがお分かりいただけると思います。受けるとすれば「公益認可取消」。そして取消されれば解散となるわけです。

さて、問題は「本当に解散を命ぜられるか?」ということです。
私の判断では「解散されないようにすることはできる」です。

整備法96条2項によると、「特例民法法人が96条1項の規定による命令に違反した場合又はその改善を期待することができないことが明らかな場合であって、他の方法により監督の目的を達することができないとき」は、解散命令をするとなっています。
 つまり、現状では、「改善を期待することができないことが明らかな場合」とまでは言えない上に「他の方法により監督の目的を達することができない」とも言えない情況にあると思われます。
 また、整備法96条1項では、旧主務官庁は、解散命令をする前段階として、「旧主務官庁は、期限を定めて必要な措置をとるべきことを命ずることができる」としています。
 つまり、今回の八百長問題について、文科省は、日本相撲協会に対し、「徹底的に調査せよ」と公式に命令しています。これは、「徹底的に調査し、厳正な処分をし、文科省が納得できる再発防止策を提示すれば解散命令しない」という意味だと解釈できるのではないでしょうか?
 整備法96条に基いて判断すれば、「徹底的な調査をしなさい」と命令し、その結果「改善を期待することができない」と明らかにならない限り公益認可取消処分はしないだろうと言うことです。

 私見ではありますが、理事を刷新(できれば過半数を外部理事)した上で先述のことができれば解散はあり得ないと思います。      
実際、蓮舫大臣も「今のままでは”公益認定”できない」「”公益認可の取消”(解散命令)にはハードルが高い」と言っていますからねえ。

仮に「解散処分」になった場合の対処方法や、「公益認定」を受ける方法については、無いわけではないですが、ここでお話するのはやめておきましょう。


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