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今日は、「原状回復にかかる判例の動向」についてです。

ガイドラインによると、原状回復時のトラブルに関する裁判において争点となるのは、主に以下の場合だそうです。

1.退去後に賃貸人が行った修繕の対象となった損耗が、貸借物の通常の使用により生ずる損耗を超えるものか否か?

2.損耗が通常の使用によって生ずる程度を超えない場合であっても、特約により賃借人が修繕義務・原状回復義務を負うか否か?


まず、1の場合における判例の態度は、
立証事実をもとに損耗が通常の使用による損耗か否かを判断しているが、「入居者が入れ替わらなければ取り替える必要がない程度の状態である。」、「10年近く入居していたことを考慮すると、時間の経過にともなって生じた自然の損耗と言える。」などとして、賃借人が破損等を自ら認めたもの以外は、通常の使用によるものとするのが大半の判断。

だそうです。
この「賃借人が自ら認めた破損等」という部分が非常に曖昧な気がしますが、まあ、裁判になればある程度、提出された証拠から判断できるということなのでしょう。

次に、2の場合における判例の態度は、
①一定範囲の小修繕を賃借人負担とする修繕特約については、賃貸人の修繕義務を免除するにとどまるとして制限的に解釈するものが多い。
②賃貸借開始時の状態に復するような原状回復特約は、居住用建物の賃貸借においては、賃貸物件の通常の使用による損耗、汚損はその家賃によってカバーされるべきであって、その修繕費等を賃借人の負担とすることは、賃借人に対し、目的物の善管注意義務等の法律上、社会通念上等当然に発生する義務とは趣を異にする新たな義務を負担させるというべきである。
特約条項が形式上あるにしても、契約の際その趣旨の説明がなされ、賃借人がこれを承諾したときでなければ、義務をおうもんではないとするのが、大半の判断。

だそうです。
ガイドラインによると、特約の成立そのものが認められないことが圧倒的に多いそうです。

「敷金トラブル」に関する説明は今日でおしまいです。



さて、昨日までにご説明してきた「原状回復にかかるガイドライン」ですが、基本的な目的は、「原状回復にかかるトラブルの未然防止」です。

つまり、原状回復にかかるトラブルは、単に契約終了時だけの問題ではなく、契約当初の問題として捉えることが肝要であるとしています。

そのような考えの下、ガイドラインでは契約締結時の注意点として以下の事項を挙げています。

1.物件の確認の徹底

2.原状回復に関する契約条件等の開示


それぞれの中身を見てみると、

著しく短期の賃貸借でない限り、入居時において退去の際のことまで想定することは困難ではあるが、長期にわたることが一般的な居住用建物の賃貸借契約においては、当事者間の記憶だけでは曖昧となってしまい、損耗の箇所や発生の時期などの事実関係の有無をめぐってトラブルになりやすい。
そのトラブルを回避するため、入居時・退去時の物件状況確認リストを作成することが望ましい。


つまり、天井や壁紙の状況、備え付けられている備品、その他細部に至るまで入居時の物件の状況をチェックリストを作成して保存しておき、退去時に当該チェックリストに記載されている各項目の状況についてチェックすれば入居時と退去時の違いが確認できるということです。

退去後にトラブルとなった際に、双方共に証拠として使用することもできるので、紛争の迅速な解決の為には役立つというわけです。


①賃貸借契約書の内容については、賃貸人・賃借人双方の十分な認識のもとで合意したものでなければならない。
したがって、賃貸人は、賃借人に対して、明け渡しの際の原状回復の内容等を契約前に提示し、賃借人の十分な認識を得る必要がある。

②宅地建物取引業者が媒介・代理をするときは、当該事業者は、重要事項説明における「解約時の敷金等の精算に関する事項」には、原状回復にかかる事項が含まれるものであることを認識しておく必要がある。


契約締結時における原状回復に関する契約条件等の開示については、特に法的な規制はないにもかかわらず、本ガイドラインで上記のような注意を提示していることが肝であるといえるでしょう。


次回は、「原状回復にかかる判例」についてご説明いたします。
敷金トラブル第3回目の今日は、「賃借人の負担対象範囲」についてです。

さて、前回までに、賃借人の故意・過失・善管注意義務違反による毀損については、賃借人が修繕費を負うというお話をいたしました。

このような賃借人が修繕費を負担すべき場合の例としてよくあるのが、”壁のクロスの張替え”ですね。
一口に”クロスの張替え”と言っていますが、この”クロスの張替え”において最も問題となるのが、クロス等の場合、毀損箇所が一部であっても他の面との色合いや模様あわせを実施しないと商品価値を維持できない場合があることから、毀損部分だけでなく部屋全体の張替えを行う場合ですね。

ガイドラインが示す”原状回復”というのは、
賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失・善管注意義務違反による損耗・毀損を復旧すること

でしたね。

この、”毀損部分(賃借人が毀損した部分)”と”補修箇所(毀損部分だけでなく部屋全体のクロスを張り替えること)”におけるギャップに対してガイドラインでは次のように示しています。

部屋全体のクロスの色や模様が一致していないからといって、賃貸借の目的物となりえないというものではなく、部屋全体のクロスの色や模様を一致させることは、賃貸物件としての商品価値の維持・増大という側面が大きいというべきであり、部屋全体のクロスを張り替えることはグレードアップに相当する部分が含まれていると考えることができる。
したがって、部屋全体のクロスの張替えを賃借人の義務とすると、原状回復以上の利益を賃貸人が得ることとなり、妥当ではない。


つまり、賃借人が負担すべきはあくまでも毀損部分についての修繕費のみであり、仮に部屋全体のクロスを張り替えたからといって、賃借人が負担すべき修繕費が増大するわけではない。
という意味ですね。

しかし、仮に賃借人が毀損した部分だけのクロス張替えをしたとしたらいかがでしょう?
いかにも継ぎ接ぎという感じで、これで原状回復したとは断言しにくいと思いませんか?

これを解決する方法として、ガイドラインでは、クロス張替えの場合、毀損箇所を含む一面分の張替え費用を、毀損等を発生させた賃借人の負担とすることが妥当だとし、
賃借人に原状回復義務がある場合の費用負担について、補修工事が最低限可能な施行単位に基づく補修費用相当分を賃借人の負担対象範囲の基本とする

としています。

次回は、「原状回復にかかるトラブルの未然防止」について、ガイドラインに沿ってご説明したいと思います。


今日は、昨日の続き「賃借人の負担対象事象」についてです。

ガイドラインでは、”建物価値の減少として捉えるもの”として、以下の3つのパターンを挙げています。

1.賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの

2.賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とはいえないもの)

3.基本的には1であるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えられるもの


そして、上記の1から3の区分による建物価値の減少に対する補修等の費用の負担は、次の通りに示されています。

1.賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるものは、経年変化か、通常損耗であり、これらは賃貸借契約の性質上、賃貸借契約期間中の賃料でカバーされてきたはずのものであり、賃借人はこれらを修繕する義務を負わない。

2.賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるものは、故意・過失・善管注意義務違反等を含むものであり、もはや通常の使用による損耗とはいえないので、賃借人に原状回復義務があると考えられる。

3.賃借人の管理が悪いのであるから、当然賃借人に原状回復義務が発生するものと考えられる。


尚、ガイドラインでは、2や3の場合であっても、建物や設備等の経過年数を考慮する必要があるとしています。
例えば、壁紙の一部を賃借人の過失により傷つけてしまったとしましょう。
これは、上記の場合分けに寄れば、当然賃借人が修繕費を負担すべきものですが、この壁紙を退去後、張り替えるとすると、賃借人の責任ではない部分(経年変化の分)まで、賃借人の負担となってしまう可能性があります。

これでは、不公平だということで、経過年数による価値の減少分を壁紙の張替え代金の全体から差し引いた金額を賃借人が負担すべきものと考えましょう、ということです。
したがって、経過年数が多いほど、賃借人が負担する金額は小さくなることになります。

また、この経過年数は、新築で入居しない限り、入居年数ではないことに注意してください。

つまり、設備等に関してはそれを設置した時から経過年数を算出するということです。
だって、あなたが入居する10年も前から設置されている設備を、あなたが1年で退去しても、経過年数1年で計算するのはおかしいでしょ。

さて、明日は、「具体的な賃貸人の負担対象範囲」についてお話いたします。




先日、アパートの賃貸借契約の終了に伴う退去費用に関するご相談をお受けしました。

今回のご相談内容は、「退去において追い金の支払を請求された」というものでした。
要するに、「入れてある敷金だけじゃクリーニング費や修繕費用に足りないから、退去費用として、○○○○○○円下さい。」ってことです。

これは、大抵仲介者である不動産屋さんから請求されると思われますが、基本的には貸主(大家さん)に支払うべきものです。
では、何故、不動産屋さんから請求されるかというと、宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が賃貸借の代理や媒介を行う場合、重要事項説明項目として、解約時の敷金等の精算に関する事項の説明が義務付けられていることに由来していると思われます。
したがって、「原状回復」に関する事項は、契約時に不動産屋さんが借主に対して、十分な説明をする必要があります。


この”敷金返還に関するトラブル”は、住居等の賃貸借契約においては、つきものみたいなものですから、ここで、当ブログにおいても数回に分けてご説明していきたいと思います。

というわけで、第1回の今日は、国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルに関するガイドライン」について、ご説明します。

ちなみに、これからご説明する”ガイドライン”は、平成10年に取りまとめられ、その平成16年に裁判例などを追加して改訂されたものです。

ちなみにこのガイドラインは絶対的なものであはありませんが、昨今の判例等を見てみても、ほぼこのガイドラインと同じ見解を示すものがほとんどです。

ですから、敷金の返還や原状回復について納得のできない方は、このガイドラインや判例に沿って交渉するのが最善の方法だと考えられます。

まずは、最も重要な「原状回復」の定義です。
原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失・善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担。

これが、ガイドラインにおける”原状回復”の定義です。

つまり、原状回復とは、「賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない」ということを明確化しています。

要するに、通常の使用をしていれば、畳や障子や壁のクロスなどの張替えを請求されても、借主がこれを修繕する必要はないわけです。

やはり、この話は長くなりそうなので、今日はこのぐらいにしておきます。

明日は、ガイドラインが示す「賃借人の負担対象事象」について見てみましょう。





今日は、昨日の予告通り、「時効完成後であっても時効の援用ができない場合」に関する判例をご紹介したいと思います。

債務者が自己の負担する債務について消滅時効が完成した後に、債権者に対し当該債務を承認した場合、債務者はその後、当該債務の消滅時効を援用できない。


これは、どういう意味かと言うと、債務者が自己の負担すべき債務を承認するということは、債権者からすれば、当然支払ってもらえるものと理解しますよねえ。
ですから、その後に債務者が消滅時効の援用をするなんて債権者は考えるわけがないですから、いったん承認すれば援用することは駄目よ。という意味です。

ちなみに「債務を承認する」というのは、例えば、債権者からの請求に対して支払を約束する(口頭もありですが、基本的には書面で)とか、債務の一部を支払うことを意味します。

先日、消滅時効に関するご相談をお受けしました。

そう言えば、我々は普段の生活の中で”時効”という言葉を耳にする機会が結構あるような気がします。

そこで、今日は”消滅時効”について簡単にご説明したいと思います。

ところで、重大な犯罪事件に関するニュースでしばしば耳にする「時効まであとわずか」というような時の、”時効”ですが、これは、”消滅時効”ではありません。

これは、所謂”公訴時効”というものです。
この公訴時効とは、皆様がご存知の通り、犯罪者が無罪放免となってしまうものです。
ちょっと専門家っぽく言うと、「犯罪が終わった時から一定期間を経過すると公訴提起(起訴)できなくなる」もの、ということになります。
ちなみに、死刑に当たる罪に関する公訴時効は、25年です。つまり、人を殺しても25年間逃げれば無罪放免ということです。(こんなこと許されませんが・・・)

さて、本題。

今日のテーマ”消滅時効”についてお話します。

消滅時効については、民法に詳しく記されています。
それによると、消滅時効というのは、「一定の期間、その権利を行使しないと、その権利が消滅してしまう」というものです。

例を挙げると、「金銭消費貸借契約に基づく債権を有しているにもかかわらず、法定の期間内に債務者に請求等をしなかったら、その債権は消滅してしまう。」ということです。

この場合(金銭消費貸借契約)における債務者は、「時効の利益を受ける者」と言われます。
つまり、「債権が時効により消滅したら得をする者」ということです。
そりゃ、得しますよねえ。借りた金返さなくてよくなるのですから。

ただし、この法定のある一定期間が経過しただけでは、その債権(権利)は時効により消滅することはありません。
ですから、時効期間が経過していても、債権者は債務者に対して支払請求できます。

時効期間の経過による債権(権利)の消滅を、債務者が債権者に対して主張するためには、「時効の援用」が必要になります。

この”時効の援用”とは、分かりやすく言うと、「時効の利益を受ける者(金銭消費貸借契約であれば債務者)が、時効の利益を受ける旨の意思表示をする」ということです。
つまり、「あなたの私に対する債権は、消滅時効の時効期間を経過したから消滅してます。だから、払いません。」と意思表示することです。

時効の援用をする際に注意が必要なのは、「時効が中断していないかどうか」ということです。

「時効の中断」とは、それまで進行してきた時効の期間が振出しに戻ることです。
時効が中断する理由には、差押、仮差押、仮処分、債務者の承認、訴訟の提起、支払督促などがあります。
また、口頭や書面による債権者からの請求があった場合は、その請求から6ヶ月以内に債権者が差押等をすれば、6ヶ月間だけ時効期間を先延ばしにすることができます。

主な時効期間は次の通りです。

消費者金融からの借り入れ・・・5年(一部例外あり)
判決で確定した債権・・・10年
個人間での金銭消費貸借・・・10年
ビデオやCDのレンタル料・・・1年
売掛金・・・2年
不法行為による損害賠償債権・・・3年


尚、債務者からの時効援用の意思表示や、債権者からの請求は後々のことを考えて内容証明によることをおススメします。

ところで、「時効完成後に時効の援用ができない場合」に関する重要な判例がありますので、これについて明日ご説明したいと思います。



「三六協定」って聞いたことあります?

簡単に言うと、
労働基準法における労働時間や休日に関する適用を受けない為に労使間で締結する協定

ですかねえ。

つまり、使用者側が、従業員に時間外労働や休日労働をしてもらうために必要となる協定ですね。

これについて定めてあるのが労働基準法36条であるため、「三六協定」と呼ばれています。

先日、私の知人と彼の会社についてこんな話をしました。

友人「うちの会社で残業時間や休日出勤についての労使協定を結ぶってことになって、それをするのに従業員側の代表者を選出することになったんだ。」

私「じゃあ、君の会社には労働組合が無いんだ。」

友人「そうなんだよ。社長が、”うちの会社には労働組合が無いから、従業員の過半数の代表者を選出する必要がある”って言ってた。」

私「その通りだね。時間外労働や休日出勤に関する労使協定(三六協定のこと)を結ぶには、労働者の過半数で組織する労働組合、労働組合が無い場合には労働者の過半数を代表する者と書面による協定をしなくてはならないっていう規定があるんだよ。」

友人「そうなんだ。じゃあ、うちの会社は法律をきちんと守ってるってことだね。」

私「多分、ちゃんとした社労士の先生が付いてるんだと思うよ。」

友人「ああ、そう言えば社長もそんなようなこと言ってた。うちの会社には顧問の社労士の先生がいるって。」

私「代表者に選出された人はどんな人?」

友人「それがさあ、うちの会社で一番長く働いてるババアなんだけどさあ、俺そいつのこと大嫌いだから俺はサインしなかったんだよ。」

私「サイン?代表者の選出どうやったの?」

友人「社長が、”残業や休日出勤についての労使協定結ぶことになったから、会社としては一番長く働いてもらっている○○さんに従業員代表をお願いしたいから、○○さんでいいかどうかを皆さんで決めてください。ついては、○○さんでOKという方は、ここにある用紙に氏名及びサインを記入してください。”って言って用紙を用意して、皆がそこに記入したんだよ。」

それを聞いた私は、私の持っている三六協定についての知識をフル稼働させ考えました。

「その選出方法はOKか?」

締結された三六協定が無効とされた例として、「労働者を代表する者を会社側が一方的に指名した場合」というのがあります。

では、今回の友人の会社の場合、「従業員代表を会社側が指名した。」と言えるでしょうか?

社長さんの言葉からすると、「従業員代表候補を会社側が指名した。」というのが正確な解釈になるのではないでしょうか?
「従業員代表の候補者」ということは、当然従業員全員の選挙等によって、その方を代表者としないことも可能なわけです。
すると、そこには従業員の自由な意思が反映されたことになる?
つまり、会社側から指名された方を従業員代表とするか否かについての従業員の選択権は侵されていないと言えなくも無い。

極めて黒に近いグレーか?

う~ん、私はやはり「黒」だと判断します。

その理由はこうです。

「そもそも、この三六協定を締結する際における従業員代表者の選出について会社側が介入することは一切禁じられている。
会社側から指名された方はあくまでも”代表者の候補”なだけであると解釈したとしても、通常の解釈として、今回の会社側の提示の仕方は、他の選択の余地を残したとはいえないのではないか。
つまり、従業員が会社側の指名した代表候補者以外の方を選択しにくい状況にあると言える。
”Aさんorそれ以外?”(そもそもある特定の方の名前を会社側が挙げることに問題があるような気がするけど)というような提示の仕方であれば、”Bさんがいい”というような考えも浮かぶかもしれないが、”Aさんでいいですか?”という問いかけだと、”Aさんでいい”という選択をする可能性が高いのではないか?
総合的に判断して、従業員代表の選出に際して、会社側が望む方が代表者に選出されやすい状況を会社側が創り出したと言えるのではないでしょうか?誰を代表者にするのかについての誘導があったと言える。
したがって、代表者の選出について会社側の介入があったことになる。」

これを友人に話すと、

友人「そうかあ、じゃあ、俺はあのババアが代表者になるのは気に入らないから会社に今お前から聞いた話をして代表者の選出のやり直しをしてもらうよ。」

私「おいおい、今のはあくまでも俺自身の個人的な見解だから、俺の判断通りの結果になるとは限らないから、早まったことするなよ。それに、そのおばさんが代表者になることを嫌がってるのがお前だけなら、それについて騒げばお前の会社内での立場も悪くなるかもしれないじゃないか。(もちろん、そんなことで不利益な扱いを受ければ、それはそれで違法なことではあるが、一応ね。)」

友人「俺以外にもサインしなかった奴いたんだけど、社長がそいつのところに用紙持ってきて、”まだサインしてないみたいだけど、ここにサインしてくれればいいからね。”って言ったら、そいつサインしちゃったんだよねえ。」

「おいおい!」

「ここにサインしてくれればいいからね。」って!

それは完全に「代表者選出に対する会社側の直接介入だよ」

さきほどの、”極めて黒に近いグレー”と判断した部分を、仮に””だと判断するなら、この部分はせめて「サインしてないけど、彼女では駄目だと判断したってこと?」という質問の仕方にしないと。

これが今の世間の実情なのでしょうか?
私からすると、「なんて杜撰な!なんともいい加減な!」って感じです。

ちなみに、さきほどの「サインしてくれればいいからね。」
私の友人に対しては会社側は何も言ってこなかったそうです。

友人曰く、「まあ、会社も俺に言ってもサインしないだろうと思ったんだろ。」

「おいおい!それはそれで大きな問題だぞ!従業員の扱いが不平等なんだから。」

多分、会社としては過半数揃ったから彼には聞かなかったんでしょうけど。

ついでに言うと、どうやら今回の代表者選出について会社側は事前にそのおばさんに代表者への就任を依頼していたようです。

はいはい、もう思いっきり”黒”ね。

それにしても問題の多そうな会社ですね。

皆さんの会社は大丈夫ですか?
昨夜何気なくついているテレビを見ていました。

放送されていたのは「あいのり」。
あのピンク色の車で男女が世界中を旅しながら、「あ~でもない」「こ~でもない」と恋愛に一喜一憂するあの番組です。

番組の本筋自体はどうでもいいのですが、彼らが立ち寄ったドイツにおける現地の方との話は興味深かったですねえ。

「ドイツ人の知っている日本語と言えば?」の答えが、「過労死」。

ドイツの方々にとっては、「過労」で「死ぬ」ということが考えられないことだということのようです。

まあ、我々日本人だって「過労死」を肯定的に捉える方はいないでしょう。

ドイツの方によると、「日本人は働きすぎ」だそうです。
(日本のことどれだけ知っているのか甚だ疑問ではあえいますが・・・)

ドイツ人の考え方は、こうです。

「働いてばかりいたら人生を楽しめない。」

ドイツには、「労働時間法」という法律があって、「1日8時間以上働いてはいけない」「日曜日や祝日に働いてはいけない」「残業は1日2時間まで」と決められているそうです。

仮にこのルールを経営者が守らないと、「180万円の罰金及び逮捕」だそうです。

日本の「労働基準法」だって、原則としては「1日8時間労働」ですし、残業時間だって、大雑把に言えば「1日2時間」のルールがあります。(所謂36協定で別段の取り決めをする必要がありますが)

だから、ルール上は日本とドイツはさほど違いは無いのです。
なのに、ドイツ人から見ると日本人は働きすぎ。
これって、どういうことなんでしょうねえ?

多分、「ON」と「OFF」の切り替えの違いではないでしょうか?
つまり、「仕事は仕事、遊びは遊び」という区別をしっかりしているのがドイツ人。その区別が曖昧になっているのが日本人。

そして、もう一つ。
これは番組内で語られていたのですが、「日本人は仕事の中に喜びを見つける」というもの。
もちろん、これが日本人独特の習性であるのかは不明です。

たまに耳にしませんか?
「仕事が趣味みたいなものだから」って言葉。

これは本心でしょうか?どちらかというと、”諦め”にも似た感情から出ている言葉なのではないでしょうか?

これと似た言葉に、「趣味を仕事にしているから」というのものありますね。

ただ、両者はかなり違う意味ですが・・・。

結局、ドイツ人は「仕事をするというのは、あくまでも人生を楽しむ為に必要な金銭を手に入れる手段である」と考え、日本人は、「仕事は人生の一部である」と考えているということなのではないでしょうか?

ちなみに私は、「働かずに遊べるなら、それが最高に決まってる。だけど、私が仕事をしたことで喜んでもらえたら、それも最高に嬉しい。」ですかね。







埼玉県熊谷市の日本マクドナルド直営店の店長である男性が、
権限の無い店長を管理職扱いし、残業代を支払わないのは不当
だとして、未払い分の残業代等合計で1350万円の支払を
求めた訴訟の判決で、東京地裁は男性の職務内容を詳細に検討
した結果、男性の職務権限は店舗内の事項に限られ、経営者と
一体化していると言える重要なものではないとして、会社側に
約755万円の支払を命じた。


昨日からニュースで何度も取り上げられている事件なだけにご存知の方も多いと思いますが、これは画期的な判決でしょうね。

さて、会社側が管理職である社員に残業代を支払わなくてもよいと解釈している根拠は?

<労働基準法41条>
 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者については、労働基準法における労働時間、休憩、休日に関する規定の適用から除外する。

これですね。

問題となるのは、”管理職(監督若しくは管理の地位)”の範囲ですよね。

これについては、昭和63年、労働基準局長通達により一定の解釈が示されています。

管理若しくは管理の地位にある者とは、一般的には部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意味であるが、名称にとらわれず、その職務の職責、勤務態様、待遇などに即して判断すべきである。


微妙な内容ですねえ。
でも、今回の判決はある意味この通達を尊重した形になっているとも言えますね。

ちなみに過去の判例を見てみると・・・。

・銀行の支店長代理は管理監督者ではない。
・課長は管理職ではない。

また、今日の信毎の記事よると・・・。

・課長以上が管理職。(製薬会社)
・店長は管理職ではない。(吉野家)

結局、”管理職”=”グレーゾーン役職”って感じですね。

要するに、出世しても喜べないかもしれないってことです。
出世したがためにアルバイトよりも給料が少ないってことになってしまうかもしれないのです。

人件費を極力抑えたい企業とすれば、どんどん、管理職の地位を与えればいいことになってしまう。
だからこそ、「管理職とはこれこれこういう地位の者」と明確な定義ができないでいるのでしょう。

今後、今回のような事件が増えることは間違いないでしょうねえ。特に外食産業や小売業で起こってくるのではないでしょうか?

「あなたの会社の管理職には、どんな権限が与えられていますか?」

ここを見つめてみると会社が社員をどういう存在として考えているのかが見えてくるかもしれませんね。





昨年から騒がれ始めた”労働ビッグバン”。

この”労働ビッグバン”の肝は、昨年成立した労働契約法(昨年12月5日公布。施行は遅くとも今年の3月4日)の第1条にあると思われます。

<労働契約法第1条>
この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。


つまり、”労働ビッグバン”の肝は、「労働者の保護」と、「雇用の安定」ということになると思います。

昨年成立したこの労働契約法が、”労働ビッグバン”のメインであることは間違いないのですが、これに併せて様々な労働関係の法律が改正されています。

最低賃金法・・・昨年12月5日に公布。公布より1年以内に施行することになっているので、
         最低でも年内には施行することになります。
         最低賃金が大幅にアップする可能性が出てきました。

パート労働法・・・今年の4月1日より施行されます。
         「同一労働同一賃金」の考え方が導入されました。
         つまり、同一内容の労働をすれば、正社員とパート労働者で差別しては
         いけないということです。

雇用保険法・・・昨年10月1日より施行されています。
         正社員とパートの区別が無くなったなど、かなり詳細な部分に至るまで
         改正されています。

雇用対策法・・・これも昨年10月1日より施行されています。
         求人広告を出す際の年齢制限などが原則禁止になりました。

尚、労働基準法も改正に向けて動いていますが、未だ改正案がまとまらずに、審議中となっています。

経営者側からすれば、「なんだよ、従業員の権利ばっかり守るなよ。」と思われるかもしれませんが、しっかりとした人材を手に入れるチャンスだと思って、これらの法令順守に努めていただきたいと思います。

また、実際にある話として、経営者の方が、こうした労働法関連のルールを全く把握しておらず、専門家に全面的に任せておいたところ、法に違反する部分があったなんてことが稀ではありますが存在します。

我々専門家には、こうしたミスは絶対に許されません。しかし、その会社の実体を把握せずに、巷にあふれる専門書に記載されている雛形通りに就業規則を作ったために、後でトラブルとなってしまう例などがあるのです。

ですから、経営者の方々にも少しでも多くの知識を身に付けていただきたいという思いもこめて、当ブログにおいて労働法関連についての情報を記載していこうと考えております。

私は、「労使関係が良好でない会社は、いつか倒れる。」と考えています。

労使関係が良好であることがその会社の繁栄に結び付くと信じております。

特に中小の会社においては、労使が腹を割って話し合えるような環境が必要なのではないかと考えています。(難しいことだとは思いますが)
そうすることによって、逆に”単なるわがままな社員”を排除できるのではないかと考えるからです。