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敷金トラブル第3回目の今日は、「賃借人の負担対象範囲」についてです。

さて、前回までに、賃借人の故意・過失・善管注意義務違反による毀損については、賃借人が修繕費を負うというお話をいたしました。

このような賃借人が修繕費を負担すべき場合の例としてよくあるのが、”壁のクロスの張替え”ですね。
一口に”クロスの張替え”と言っていますが、この”クロスの張替え”において最も問題となるのが、クロス等の場合、毀損箇所が一部であっても他の面との色合いや模様あわせを実施しないと商品価値を維持できない場合があることから、毀損部分だけでなく部屋全体の張替えを行う場合ですね。

ガイドラインが示す”原状回復”というのは、
賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失・善管注意義務違反による損耗・毀損を復旧すること

でしたね。

この、”毀損部分(賃借人が毀損した部分)”と”補修箇所(毀損部分だけでなく部屋全体のクロスを張り替えること)”におけるギャップに対してガイドラインでは次のように示しています。

部屋全体のクロスの色や模様が一致していないからといって、賃貸借の目的物となりえないというものではなく、部屋全体のクロスの色や模様を一致させることは、賃貸物件としての商品価値の維持・増大という側面が大きいというべきであり、部屋全体のクロスを張り替えることはグレードアップに相当する部分が含まれていると考えることができる。
したがって、部屋全体のクロスの張替えを賃借人の義務とすると、原状回復以上の利益を賃貸人が得ることとなり、妥当ではない。


つまり、賃借人が負担すべきはあくまでも毀損部分についての修繕費のみであり、仮に部屋全体のクロスを張り替えたからといって、賃借人が負担すべき修繕費が増大するわけではない。
という意味ですね。

しかし、仮に賃借人が毀損した部分だけのクロス張替えをしたとしたらいかがでしょう?
いかにも継ぎ接ぎという感じで、これで原状回復したとは断言しにくいと思いませんか?

これを解決する方法として、ガイドラインでは、クロス張替えの場合、毀損箇所を含む一面分の張替え費用を、毀損等を発生させた賃借人の負担とすることが妥当だとし、
賃借人に原状回復義務がある場合の費用負担について、補修工事が最低限可能な施行単位に基づく補修費用相当分を賃借人の負担対象範囲の基本とする

としています。

次回は、「原状回復にかかるトラブルの未然防止」について、ガイドラインに沿ってご説明したいと思います。