松本市の岩城行政書士事務所 身近な法律問題はお気軽にご相談ください

岩城行政書士事務所

長野県松本市南原1丁目8番3号 D棟
TEL/FAX:0263-88-3588
E-mail:iwaki-07@nifty.com
ペットトラブル・相続・遺言・成年後見・内容証明
農地法関連許可申請・建設業許可・風俗営業許可
在留資格関連申請・公益法人設立・公益移行認定
会社設立・農業生産法人設立・助成金補助金申請
  

行政書士の岩城が、法律のこと、日々の業務のこと、気になるニュースのことについて綴っております。
もちろん、業務に関するお問い合わせもお受けいたしておりますので、お気軽にお問い合わせください。メールによる相談はこちらからお気軽にお問い合わせください。

法務サポート行っております
会計記帳業務行っております
内容証明に関しては全国対応いたします。

▼免責事項
当ブログに掲載されている情報につきましては、万全を期していますが、法改正等による事情の変更により有効な情報でなくなる場合もございます。
当ブログの情報を利用し損害を被られた場合でも、当方は一切責任を負うものではありません。あらかじめご了承いただけるようお願い致します。




  公式ホームページ

  ペットトラブルnet.





遅くなりました。特上カバチの第3話に出てきた馴染みのない法律用語のお話をしましょう。
先日の放送の主題は、パワハラに関する労働者と雇用者のトラブルでしたが、その中には、解説したほうがよさそうな言葉は出てきませんでした。

そこで、今回は番組の冒頭に出てきた”不法原因給付”について少しお話します。

田村が住むアパートの隣人夫婦のご主人が、麻雀の負け分の請求をチンピラ風情の男から受けた時に、「博打の負け分は支払う必要ない」と田村が説明した後、そのチンピラ風情の男が、「じゃあ、俺がこの前支払った負け分を返せ!」と迫った時に、田村が「それは不法原因給付だから返す必要なし!」と言った、あれです。

不法原因給付については、民法708条に記載されています。
<民法708条>
不法の原因の為め給付を為したる者は其給付したるものの返還を請求することを得ず。但し、不法の原因が受益者に付てのみ存したるときは此限に在らず。

つまり、不法な原因のために給付がなされた場合は、その原因自体が公序良俗に反するので無効である。しかも、その給付した物について返還請求することはできない。ということです。(但し書き以降は、ここでは説明を省きます)

「公序良俗」とは、社会の秩序と善良の風俗のことで、要するに社会道徳観というような意味合いの言葉です。
そして、民法90条は、この公序良俗に反する行為を無効であるとしています。(つまり、社会道徳に照らし合わせて、それに反することだと判断できるようなことは無効だってことです)

つまり、あのドラマにおけるチンピラ風情の男は、賭け麻雀の負け分を支払っていますが、賭け麻雀自体が違法行為ですから、そのような行為を原因とする支払だから、返還請求をすることができない。というわけです。

ここで、ひとつだけ疑問が・・・。

不法な原因で給付したのだから返還請求できないということは理解できるけど、じゃあ、不法な原因で受け取った者が、それを返還しなくていいのは何故?

これは一応の解釈論として、その返還請求を認めてしまうと、自ら不法な原因で給付をした者が、後々、その不法性を根拠として裁判所に救済を求めることができることになってしまいます。
すると、「違法行為をした者を裁判所が助ける」という微妙な話になってしまいます。
ですから、「給付を受けた者は返さなくていい」というのは、「給付をした者が返還請求することだけは許さない」という理念の裏返しというわけです。