カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 お盆休みの最終日。「一日くらいどこかに行こうか!?」ということで、奥さまのリクエストは戸隠神社。
10年ほど前に、長野市から上って宝光社と中社には行っている筈なので、今回は奥社へお参りしたいとのこと(何でも、金比羅さまのように、多少苦行してお参りする神社仏閣でないとご利益が無い気がするのだとか)。
吉永小百合さんのJR東日本「大人の休日倶楽部」のCMで取り上げられて以降、パワースポットとしても人気だそうですし、私メは信濃美術館で8月一杯開催中の黒田清輝展(切手にもなった重要文化財「湖畔」も展示されています)に興味があったので、戸隠参拝から長野市経由を前提に行ってみることにしました。

 私のイメージでは、松本から1時間半程度の行程。荷物搬入中に家内がナビをセットしたら、1時間10分とのこと。ルートは高速利用で、長野道から上信越道信濃町IC経由。
「信濃町ィ~!?長野市じゃないのぉ?」
別ルートの長野市経由だと30分余計に掛かるとの表示に、半信半疑ながら「じゃあ、ナビにお任せしましょう!」と相成りました(距離では、松本からだと白馬経由が最短ルートで、時間的には信濃町経由が最短との表示)。

 長野市を過ぎ、飯山を過ぎ・・・次第に県境が近付きます。
「まさか、新潟県に戸隠神社の“小宮”があったんじゃないよね・・・?」
「失礼な。ちゃんと奥社で設定しましたっ!」

 信濃町ICで高速を降りて、黒姫高原経由で、やがて戸隠の案内表示が出てきた時は正直ほっとしました。県内とはいえ北信濃の土地勘が無いので、戸隠(地籍は長野市です)は長野の奥とばかり思っていました。

 農家の直売所が並んだ黒姫の通称“もろこし街道”(多分)を通り、森の中の緑のトンネルを、エアコンを止めて窓全快にして高原の涼風を感じつつ、さながら“森林浴ドライブ”です。
戸隠キャンプ場を過ぎて奥社参道入口に到着。有料駐車場(一日500円)に停めて、早速参拝へ向かいます。
駐車場横の大鳥居から奥社までの中間地点にある随神門(山門)、その先に続く杉並木で有名な参道を通り社殿までは各1km、20分ずつで片道2km、40分の行程とのこと。

ゆっくりと歩を進めつつ、パワースポットとして最近人気というのも頷ける老若男女の人の波。
大鳥居から真っすぐに伸びる参道は森林浴の味わい。道端の可愛らしい山野草を愛でながら森の中を歩きます。随神門から先は、映像で見た樹齢400年という参道両側に聳える見事な杉並木に見とれ、最後に金比羅さまほどではありませんが石の階段(段差があるので結構キツイ)を上って漸く到着。二つの社殿が山肌を背に上下に隣接しています。
天照大神が隠れた天岩戸を開けて投げ飛ばした天手力雄命(アメノテジカラオノミコト)を奉る奥社と、元々の地主神である九頭龍大神を祭る九頭龍社双方にしっかりと参拝して帰路へ。思ったよりも小さかった社殿の背後には、天岩戸伝説(投げ飛ばされた岩戸が山になった)や修験道で知られる戸隠山が屏風のように牙を剥いて聳えていました。
帰り道で、75歳というご老人が息も絶え絶えに、
「奥社までは、あとどのくらいですか?」
「この石段を昇れば、もう直ぐですから頑張ってください!」
気持ちは良く分かります。来る時は気付きませんでしたが、奥社から随神門、そして大鳥居までと、ずっと坂で下っているのが見渡せますので、往路は結構な上り坂でした。
駐車場に戻ると、駐車場は既に満杯で道路に駐車待ちの車の列。そこで、少し遅めの昼食は、お蕎麦屋さんが立ち並ぶ中社へと、車はそのままに、フリーパス(一日500円)を購入しシャトルバスで向かいました(2.5kmで約5分)。
すると、前回はどうやら宝光社(祭神は中社祭神の子供である天表春命。アメノウワハルノミコト)だけで、智恵の神と云われる天八意思兼命(アメノヤゴコロオモイカネノミコト。天照を岩戸から誘い出すための策を考えた神様)をお祭りする中社にはお参りしていなかったようなので(二人とも景観に記憶無し)、今回しっかりと参拝しました。
中社周辺には宿坊(廃仏毀釈前は神仏混合で、戸隠全体で宿坊の数三千坊と謳われたとか)も含めて幾つものお蕎麦屋さんが立ち並んでいますが、一番有名な「うずら家」は長蛇の列で2時間待ちとか。諦めて、直ぐ横の宿坊「徳善院」へ。そこも行列でしたが、20分ほどで店内へ。
茅葺の風情ある宿坊(登録有形文化財)に隣接された店内でしたが、蕎麦屋というより観光客相手の食堂という感じで、お茶うけの蕎麦かりんとうや、そば豆腐の小鉢なども付いた、極細で一口ずつ小分けされた「戸隠そば」らしい盛り付けのざる蕎麦で、二八だと思われましたが腰が弱く味も普通。前回宝光社にお参りする途中で立ち寄った「そば打ち体験館」の方が、10年前の記憶ではシンプルですが腰もあって美味しかったそうです。
「う~ん、戸隠そばに期待して来たのにナ・・・」
「まぁ、(観光客相手なら)こんなもんでしょ・・・」
「やっぱり、うずら家じゃないとダメなのかも・・・。また来よ!」
「おいおい・・・」
 奥社への参道を歩き、しっかりと願掛けもして、パワースポットの杉並木で“気”もいただき、前回行っていなかった中社にもお参りすることができました。
本来戸隠神社は「五社巡り」と云われるように、もう一つ天岩戸の前で踊った天細女命(アメノウズメノミコト)をお祭りする火之御子社があるのですが、地元の方々の参拝が中心の小さな神社で、駐車場も少なく中社から歩くと30分くらい(バスルート無し)とのことで今回は断念しましたが、メインの三社(と九頭龍社を合わせて四社)には、これで全てお参り出来ました。
またシャトルバスで奥社に戻り、些か歩き疲れたので長野市に寄るのは諦めて、往路と同じルートで一路松本へ戻りました(途中、高速が事故渋滞で往路の倍以上の時間が掛かりましたが、これも戸隠参拝への苦行の一部と思えば、またご愛嬌・・・)。