カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 前回ご紹介させて頂いた様に、PCのオーディオ面強化として購入したPC用のアクティブスピーカー Creative Pebble V2。
僅か3000円足らずでの音質強化や、その使い勝手には非常に満足していますが、前回も記載した様に、唯一の個人的不満は「スピーカーグリルが無いこと」・・・でした。

 終活に向けて実家と家を処分して、僅か100㎡の4LDKの狭いマンションへ引っ越すにあたり、設置面積が広くスペース効率の悪い長岡式の傑作バックロードホーンスピーカー「D-101スワンa」は泣く泣く手放してしまったのですが、シンガポール赴任時に自作したこのD-101スワンは、オリジナルではスピーカーグリルが無く、生まれてすぐ帯同した次女がよちよち歩くようになった時に、きっと音の出る部分が不思議だったのでしょう、スプーンで叩いてスピーカーユニットのコーン紙が凹んでしまいました。そのため、その後帰国した折、秋葉原で交換用にオリジナルのFOSTEXの10㎝フルレンジスピーカーユニットFE106Σとそれに適合するスピーカーグリルを購入し、その後マンションへの引っ越し時に手放すまでの25年間、我が家のメインスピーカーとしてずっとリビングに鎮座していました。
また、自作ではなく購入したスピーカー、40年以上も経った現在でもメインのKENWOODの前身時代のTORIO LS-202や、サブシステムのKEFのトールボーイCoda‐9もそれぞれ木枠をサランネットで覆ったスピーカーグリルが付いています。
こうしたスピーカーグリルは、スピーカーを保護して音質を維持するために使用される部材。 スピーカーユニットの音が出る部分を覆うことで、埃などからスピーカーユニットを保護することが出来き、結果としてスピーカー寿命を延ばすことができます。
一方、スピーカーグリルを外すメリットは、一般的には音質(特に高音域)がクリアになる、見た目がスマートになると云われています。
スピーカーのネットを通さずに直接スピーカーの音が耳に届くため、スピーカーグリルを装着している時よりも音がクリアに聞こえると云いますが、これは見た目も含めて、人の好み次第で好き嫌いが分かれます。しかも果たしてそれ程鋭敏な耳を持っているのかどうか・・・。少なくとも私自身は長女の様な絶対音感も持ち合わせていませんので、個人的にはスピーカーグリルがあった方が良いと思っており、先述の自分で取り付けた自作のスワンを始め、市販のスピーカーもスピーカーグリルを装着したまま音楽を聴いてきました。
むしろ私が一番気になるのは埃。長年外したままだと、特にスピーカーユニットのコーン紙などの振動板にハウスダストが溜まって経年劣化が進んでしまい、やがて音質面にも影響が出てしまいます。

 そこで、このCreative Pebble V2にもスピーカーグリルを装着しようと思うのですが、アクセサリーの中に純正のモノはありません。
スピーカーユニットの大きさに合わせてスピーカーグリルが色々市販されているのですが、これらは皆D-101スワンの時に秋葉原で購入したモノと同様に、自作するスピーカーの部材はシナ合板や集積材などの木製ですので、スピーカーグリルの丸い金属のフレーム枠に穴が開いていて、自作スピーカーの板材に木ねじで留めるタイプ。従って木製ではないCreative Pebbleには使えません。
色々探してみると、我が家のスピーカーもそうですが、純正の木枠のスピーカーグリルが経年劣化で穴が開いたり破れたりした場合などの修理用に、メッシュ状のサランネットも売られています。修理用にこれを購入して、スピーカーグリルの木枠に合わせてカットして自分で張り替えるのですが、云わばサッシの網戸修理と同じです。
ただスピーカーグリル用のサランネットはサイズが汎用で大きいので、
スピーカーユニットのドライバーが僅か2インチのCreative Pebbleには大き過ぎて無駄です。そこで代わりになるモノを探していたら・・・ありました!
それこそ、網戸修理用の補修シールです。これならDIY用のホームセンターだけでなく、100均ショップにも売っています。
Creative Pebbleの2インチのユニットのコーン(振動板)部分をカバーするには最低でも直径6㎝の円形サイズが必要なので、中に90×90サイズの3枚組の補修シールがあり、これを購入することにしました。
また調べて行く中で、ネット情報の中に同じく100均ショップで売られているメッシュケースを切ってスピーカーグリルとして代用したという記事があり、併せてこれも探して、白黒、大小色んな種類やサイズがあった中で、一番網目の細かかった黒のA4サイズを購入し、どちらか合う方で自作してみることにしました。
 


網戸補修シールは色がグレー、メッシュケースは黒。Creative Pebble V2はブラックを購入したので、色的には黒いメッシュケースの方が合いそうです。
そこで先ずメッシュケースをバラシて、円形の型紙に合わせてハサミで丸く裁断します。
ロゴやボリュームのツマミが隠れてしまわぬ様に楕円形に切り取り、裏面に両面テープ(後で外す場合もふまえ、ポスターなどに使う剝がせるタイプを使用)を出来るだけ細く切って、メッシュシート楕円の形に添って外周に貼り付けて、シールを剥がしてスピーカーに貼り付けて完成です。
因みに、面積上はA4サイズなら12枚取れそうですが、取り敢えず交換用の予備も含めて今回は半分の6枚分を切り取りました。
自宅に工具が揃っている訳では無く、ハサミ(子供たちが学校の家庭科で使った?手芸用バサミ)一つでの素人の手作業ですので(器用/不器用の個人差はありますが)、その出来栄えは決してキレイとは言えませんし、見栄えもあまり良くないかもしれませんが、少なくともスピーカーグリルとしての目的は一応果たせそうです。それに、経費は100均での購入価格が僅か220円で済みましたし、また誰に見せる訳でもありません・・・。
ですので、見た目はともかく目的は飽くまで実用性ということで、「まっ、イイかぁ!?」と自分自身にExcuseしておくことにします。

 物置に使っている部屋の空きスペースを、ミニ書斎的に“男の隠れ家”として使っていることは既にご紹介した通りです。
そこでは、メインシステムであるリビングルームのマランツのネットワークレシーバーM-CR612に対し、ミニコンポのKENWOODのK-521 のオールインワンのレシーバーをサブシステムとしてKEFの3WayトールボーイCoda-9に接続しているのですが、K-521は10年ほど前に購入した古いモデルでネットワークオーディオではないので、例えばYouTube音源はPCからK-521へアナログ接続で聴いています。ただ、YouTubeの音楽配信ではなく、例えばグルメや観光地情報などを映像をPCで見る時には、わざわざスピーカーから聞くのも大袈裟なのでPCの内蔵スピーカーかイヤホンで聞いています。しかしそれだと、PCの内蔵スピーカーの音は“しょぼい”し、イヤホンだと音自体はそれよりはイイのですが、個人的に耳を塞がれるのは生理的にあまり好きではありません。

 そこで、無駄遣いと云われればそれまでですが、PCからの音をもう少し改善することにしました。ツールはアクティブスピーカーです。
アクティブスピーカーとは、スピーカー内部にアンプを搭載している製品です。最近人気のBluetoothスピーカーや、イヤホン端子に挿して使えるPCスピーカーの大半は、このアクティブスピーカーです。
片や、K-521に繋げて聴いているKEFのCoda-9などの“通常の”スピーカーは、パッシブスピーカーです。このパッシブスピーカーとはアンプを搭載していないスピーカーなので、アンプと接続してアンプ側で音を増幅し音量を調整する様に作られています。従って、パッシブスピーカーを使用する場合には、必ずアンプに接続して使用する必要があります。
これに対し、アクティブスピーカーはスピーカーに小さなアンプを内蔵しているため、PCに繋げば直ぐに音を聞くことが出来ます。但し、アンプが小型のため、音質や音量に制約があり性能面では劣りますが、簡単に接続が出来、小型のスピーカーが多いので省スペースでスペース効率が良く、そして何より価格が安いモデルが多いのがメリットです(勿論高価なハイエンドモデルもあります)。
特にコロナ禍での在宅勤務やゲーミングPCで、テレワーク時のWeb会議での音声やゲームでの効果音など、PC内蔵のスピーカーでは聞き取りにくかったり音質が低かったりするのを改善するために、お手軽なアクティブスピーカーを使うケースが増えて来たのだそうです。(下の写真2枚はH/Pからお借りしました)

 今回の購入にあたり、口コミ評価やレビュー記事を参考に幾つか検討した中で、コスパ第一で選んだのは最近日本でも人気のCreative Pebble シリーズの中のPebble V2というUSB電源スピーカーです。
このクリエイティブテクノロジー (Creative Technology, Ltd.) という会社は、シンガポールに本社を置く多国籍のマルチメディア機器製造企業で、スピーカーやヘッドフォンなどの音響機器を手がけていて、日本法人はアイ・オー・データとの合弁会社だそうです。因みに、創業者はシンガポールのニーヤン・ポリテク(日本で云う高専)出身とのことですが、シンガポール赴任中に技術スタッフの採用面接で良く聞いた懐かしい名前だったのも選んだ理由かもしれません。
 クリエイティブのH/Pに依れば、Creative Pebble V2は
『人気のUSB電源スピーカー Creative PebbleがUSB Type-C電源に対応しパワーアップ!総合8W RMS/ピーク出力 16Wのパワフルサウンドをお楽しみ頂けます。
リスナーへサウンドがダイレクトに伝わるよう、スピーカードライバーを45°の上向きに配置し、パーソナルリスニングに適したサウンドステージを実現。また、スピーカー背面にパッシブラジエーターを備え、重低音の効いた奥行きのあるサウンドを再生します。』とのこと。
オンラインでは3000円程ですが、近くの松本のK’sデンキにもちゃんと「PCスピーカー」コーナーがあって(エディオンには殆ど無し)、このCreative Pebbleを含め20機種程各社のモデルが並んでいたので、オンラインよりも価格は少し高かったのですが、せっかくなので地元で購入することにしました。店頭価格は税込み3300円でしたが、K’sデンキの“安心パスポート”があるので5%Offの3135円で購入出来ました。
因みに、他に検討したPCスピーカーの候補モデルは、実際にK’sデンキにも実物があった、日米の老舗のオーディオ専門メーカーである、先ずオーディオテクニカのPCスピーカーの中で同額クラスのAT-SP95(3000円弱)とJBLのPebbles(7000円程度)でした。
オーディオテクニカのモデルは所謂箱型で高さ20㎝程の小型スピーカーなので、ちょっと“かさ張る”一方で音量が2wしかなく、またJBLのPebblesは同じタイヤの様な形状で(Pebbleとは英語で「小石」或いは「小さな玉石」という意味だとか)、この中では一回り大きくて音量も25wでDAC内蔵の、高音質な“JBLサウンド”モデルで且つBluetoothスピーカーでもあるのですが、“ミニ書斎”での音楽専用スピーカーはKEFがあるので、そこまで音に拘らなくても良いかと思い、またレビュー上、JBLのそれはスピーカー側の初期設定の音量が“爆音”で設定上難があるとの評価も、書斎でのPCとは別のKEFも繋げているので都度の音量設定が気に掛かり、結局コスパでクリエイティブを選びました(Creative Pebbleシリーズの中にも、上位モデルにはBluetoothスピーカーやDAC内蔵モデル、更にサブウーファー付きモデルもあります)。
 さて、家に戻って早速PCと接続します。
電源はUSB接続でPCから取れるので、コンセントに差す必要もなく、机上がスッキリします。またUSBからの電源供給はPCの電源On / Offと連動しているのが何よりも便利です。
Creative Pebbleの形状は直径11㎝程の球体を斜めにスパッと切った様な形で、とてもコンパクト。この斜めというのが、PCの左右の机上に置いて作業者の耳に向けた45°で聴くことを前提にしています。
スピーカーの背後のパッシブラジエーターで低音を強化していて、PC内蔵スピーカーに比べればちゃんと締まった低音が出ていることは分かりますが、“重低音”というには些かオーバー過ぎて無理があります。でも僅か2インチのフルレンジのスピーカーユニットで、このサイズとこの出力なら価格的には十分高音質だと云えるでしょうし、もっと高音質で聞きたい時はアンプ経由でKEFのスピーカーで聴けば良い・・・。惜しむらくは、スピーカーグリルがあれば良かったのに・・・。
 コスパ的に考えれば、小遣い程度のたった3000円でこの状況が作れるのですから、大いに満足!・・・でした。

 6月30日。この日の早朝、家内がまた横浜の次女の所へサポートに出掛けて行きました。
暫くはまたコユキと私メだけの生活です。いつもは家内にべったりのコユキも、この二人しかいない状況を理解すると彼女なりの諦めもつくのか、コユキなりのツンデレ気味ではあるのですが、ゴロニャンならぬゴロワンとすり寄ってきます。但し、大好きな家内が戻って来ると、それまでの恩義(何宿何飯かの義理・・・)など即忘れてしっかり元に戻るのですが・・・。
さて、そんなコユキに独りでお留守番を頼んで、この日の午後私メは一人でお出掛けです。
 この日マチネでの松本室内合奏団の第63回定期演奏会を聴きに、ザ・ハーモニーホール(松本市音楽文化ホール、略して音文)に行って来ました。
松本室内合奏団(英語表記も室内管弦楽団のChamber orchestraではなく Matsumoto Chamber Ensemble)は2管編成の地元のアマオケですが、8年前に一度同じく音文での定演を(その時はプログラムのエルガーのチェロ協奏曲を生で聴きたくて)聴きに来て、その時のチェロ独奏には正直些かがっかりしたのですが、いくら“楽都”松本がスズキメソードの本部とはいえ(夏休みになると、小さなバイオリンのケースを提げた世界各国の子供たちが駅前通りを歩いています)、その後のメインの“ブライチ”でのアマチュア離れしたオケの巧さに正直驚いていました(第1108話)。
そして昨年も、演奏会で取り上げられることの少ない同じくブラームスのハイドン・バリエーションを生で聴きたくて、チケットを購入していたのですが、その時はまだ東京に居た長女の所に行く用事が急に出来てしまい、チケットは妹にあげて自分は残念ながら聴けませんでした。
今回は、SKFにも参加している京都市交響楽団(京響)主席の山本裕康氏が指揮振りで、ハイドンのチェロ協奏曲と彼の指揮でのメインがシューベルトの「グレイト」というプログラム。2月のN響の松本公演以来の久しぶりのコンサートですが、両曲とも楽しみにしていました。
 1曲目のハイドンのチェロ協奏曲第2番ニ長調。生で聴くのは初めてです。ハイドンらしい優雅な旋律。今回のチェロ独奏は京響のチェロ主席を務める山本裕康氏。SKFにも参加されており、松本でもお馴染みです。前回がっかりしたエルガーの時とは違い、さすがでした。なお、今回は指揮がメインなのか、独奏者のアンコール曲の演奏はありませんでした。

 休憩を挟んで、後半にメインのシューベルトの交響曲「ザ・グレイト」。昔は9番もしくは発表順で7番とされてきましたが、今回は8番となっています。
これは、シューベルトは生涯に計6曲の交響曲を発表したのですが、シューベルトが死去して10年後の1838年、作曲家のシューマンがシューベルトの「新しい」ハ長調の楽譜を初めて発見し、彼の依頼を受けたメンデルスゾーンが手兵のゲヴァントハウス管で初演しました。そして、この曲はシューベルトの第7番の交響曲と呼ばれるようになり、後年になって楽譜出版社により先に発表されていた規模の小さい第6番の同じハ短調の交響曲と区別するために、「大」ハ長調という意味で「グレイト(The Great))」と名付けられました。
しかしその後、1865年になってシューベルトのもう一つの2つの楽章だけが完成された交響曲が見つかり、「未完成」と名付けられます。書かれた順番からすると、ハ長調の交響曲より先だったのですが、既に「第7番」はあったため、「第8番」の交響曲「未完成」と呼ばれるようになりました。従って、昔小学校の頃?だったか、音楽の授業での習った「未完成」は、個人的にはどうしても8番というイメージが拭えないのですが・・・。
しかし、作曲順で云えば「未完成」の方が早いことから、グレイトの方は7番とする場合も注釈付きで9番と併記されたり、或いは「未完成」の飽くまで後ということを強調する場合は敢えて9番とも呼ばれたりしていました。
しかし最近では本来の完成順で呼ぶ方が主流となっており、有名な「未完成」が7番、この「グレイト」を8番とする方が多い様で、今回のプログラムもそれに倣い8番と表記されていました。

 指揮者として登場の山本裕康さん。いつものチェロ奏者の時は椅子に座っているのが、指揮台に立つと思いの外小柄。
第一楽章、冒頭のホルンのパートソロから始まります。管楽器の中で一番難しいとされるホルンですが、なかなかお見事。
そして、第二楽章冒頭で主旋律をソロで奏でるオーボエ。ハイドンのコンチェルトの時から感じていたのですが、オーボエが活躍するこのグレイトでは柔らかで滑らかな音色のオーボエの旨さが際立っていました。パンフレットのメンバー表では、プロの助っ人であろう賛助会員は今回1stVn、Cl、Tbにそれぞれ1名ずつでしたので、ホルンもオーボエも皆さんオリジナルメンバーでアマチュアなのでしょうけれど、練習の成果とはいえ本当に素晴らしい演奏でした。
松本が“楽都”と呼ばれるのはSKOが松本に来る前からであり、むしろスズキメソードの本拠地であることが本来はその理由ですが、メンバーの中にはメソードの先生方も弦楽パートにおられる様で、生徒さんと思しきお子さん方がたくさんお母さん方と一緒に聞きに来られていました。ですので、弦が玄人はだしなのは当然としても、管楽器群の演奏にも拍手でした。
このシューベルトの「グレイト」は、ベーム指揮SKドレスデン盤のCDを持っているのですが、以前生で一度聴きたくて選んだのが、信州からではマチネでしか日帰りが無理なので、8年前のインバル指揮都響の東京芸術劇場の大ホールで週末に行われているマチネシリーズでした。その時の都響は倍管でしたが、今回は楽譜通りでオリジナルの2管編成。ですので、作曲された当時は室内管での演奏が本来であり、音響の良いこの700席というどこで聴いてもまるでS席の贅沢な音文ホールには相応しい演目なのかもしれません。

 昔、懇意にさせていただいたマエストロ曰く、
『演奏会に向けた練習時間が長く取れ、全員が真摯に集中した時のアマオケの演奏は、ややもするとビジネスライクで無味乾燥的になりかねないプロオケの演奏をも時として凌ぐ。』
昔、マエストロに対して「えっ、アマオケを振られるんですか?」と怪訝/不遜な態度で失礼な質問をした私に、尊敬するマエストロから諭すように穏やかに言われて自分の無知を猛省したことがあるのですが、この日の演奏を聴きながら今回もその言葉を思い出していました。
勿論、それを引き出すのはオーケストラビルダーとしての指揮者の力量だとしても、この日の山本裕康指揮松本室内合奏団の演奏にも大拍手です。
この日はカーテンコールだけでアンコール演奏はありませんでしたが、例え地方都市でも“楽都・松本”の実力に十分納得し、大いに満足出来た演奏会でした。ブラァボ!

 以前もご紹介したのですが、マンションに引っ越してきて以降、鉄筋コンクリート構造故かマンションのFM受信状態が劣悪で、4LDKの中で北の通路側しか受信出来ないため、アンテナを張る場所的に通路側に近い壁側のコーナーに設置している机の上のどこかにオーディオ本体も置かざるを得ず、そのためこの一体型のポータブルコンポが、物置部屋兼“男の隠れ家”的ミニ書斎での唯一のFM受信可能ツールです。

北側のマンションの通路側に面したこの一室は、その北側にしか窓が無く日当たりも悪いため、本来は和ダンスや仏壇を置くための物置にした部屋です。
その部屋の中の空いたスペースを私メの“ミニ書斎”的に“勝手に”使っても良いということなので、その結果限られたスペースと空間の有効且つ効率的活用のため、購入した机上ラックの下にノートPCを置き、その上部に出来た二段の棚の上に一番小さなオールインワンタイプのポータブルココンポを乗せています(これも後述するK-251 同様KENWOODの製品なのですが、カタログ上は“コンパクトハイファイコンポーネントシステム”との表記。昔でいうラジカセの様に、レシ―バー本体とCDプレーヤー、スピーカーが一体で、USBと昔のiPodも視聴可能)。
その結果、一応受信は出来るのですが何とか聴けるというレベルで、受信時のサーノイズなどの雑音も殆ど気にならなかった沢村の一戸建ての時と比べると、マンションの受信状態は雲泥の差です。
 同じく“男の隠れ家”的ミニ書斎で、KEFのトールボーイ3wayスピーカーと繋げて主にCDやPCと接続してYouTubeを聴いている、同じくKENWOODのミニコンポKシリーズのCDレシーバーまでは、どうしてもレイアウト上北側の窓からは距離があるのでFMアンテナが届きません。
一戸建ての時にはFM放送を快適に視聴していた、このKENWOODのレシーバーなのですが、当時記載したブログから抜粋すると、
『K-521のレシーバーは、多分チューナー部分にかけるコスト的余裕がなかったのでしょう(それに加えて、付属の安物の簡易アンテナのせいもあるのか)。ネットでのレビュー記事では、「元々チューナーからスタートした音響メーカーにあるまじき受信状態の悪さ」との酷評もあり、購入時に然程期待していなかったFM放送でしたが、我が家の場所の電波状態が良いのか、階下のポータブルオーディオよりも遥かに鮮明に受信出来て、これまた満足でした(さすがに、スピーカーに近付くとサーノイズが聞こえますが、リスニングポジションで離れて聴く分には全く気になりません)。また、アダプター(iPod Dockが第5世代までの対応のため)を下のポータブルオーディオとの兼用でiPodを聴いてみると、ポータブルと比べては失礼ですが、左右独立のデジタルアンプと変更したKEFのCoda-9の威力か、低音を含めさすがに良い音がします。このデジタルアンプなら、レシーバーとして別スピーカーでも十分にドライブできそうです(実際に、後継のK-531は、直販のみですが単体レシーバーとしても販売されています)。』(第737話)
ですので、FMの受信状態は受信機器の性能よりも、むしろその構造体と受信場所(FM放送送信アンテナからの位置)に大いに影響を受けるのでしょうか。
以前住んでいた高台の沢村の一戸建ての木造2階の建物と、現在の市街地の鉄筋コンクリート6階建てのマンションを比べた時に、以前は良好だったそのKNWOODのレシーバーも、また建物の南東に位置する4LDKのリビングに置いてある現在のメインシステムであるマランツのネットワークCDレシーバー M‐CR612でも(10年前に購入したK-521のレシーバーに比べて遥かにスペックは上ですが)、どちらも全くFMが受信出来ないのです。
昔は市販されていた室内専用FMアンテナも、今では需要も無いのか、ネットで探しても(家電量販は言わずもがなで)見つからず、結局FMチューナーやチューナー内蔵のプリメインアンプに附属の簡易型のFMループアンテナを使うしかありません。
八木アンテナなど、屋外に設置する専用のFMアンテナも無いではありませんが、そこまでコストを掛ける必要が果たしてあるのかどうか・・・?
というのも、FMと言っても私が聞きたいのはクラシック番組なのですが、半世紀近く前の昔の学生時代から若手の社会人時代頃に2週間の番組表が載ったFM雑誌を片手に、当時はたくさんあったクラシック番組の放送予定から指揮者やオーケストラ、録音年など内容をしっかり事前に調べては、今や死語となった“エアチェック”で、レコ芸で特選となった新録音のLPや海外音楽祭のライブ録音などを、平日の昼間であればオーディオタイマーを使ってカセットテープに留守録音までしていた頃と比べると、現在のFM放送はクラシック番組が極端に少なくなってしまいました(公共放送なんだから、クラシック、JazzやPopsといったジャンル別の専門チャンネルがあっても良いと思うのですが・・・)。
 一方、我が家の現在のメインシステムであるマランツM- CR612 は現行モデルの最新のネットワークオーディオであり、そのマランツとデノンのネットワークオーディオ対応製品に採用されているネットワークオーディオのプラットフォームであるHEOS(ヒオス)が搭載されており、これを使うと各種ストリーミングサービスが高音質で楽しめるので、以前ご紹介した様にインターネットラジオで世界の無料のクラシック番組や米国の Smooth Jazz の番組局を探してHEOSに登録して聴いているのですが、ディスプレイに表示されるので今聴いている曲は分かっても、番組表が無いのでこれから先にどんな曲が掛かるのかは分かりません。
従ってBGM的に視聴することになり、聴きたい曲を探して聴くことは出来ません(勿論有料のクラシックのインターネットラジオ局やサブスクもありますので、そうしたクラシック専門チャンネルと契約すれば好きな曲を検索して聴けるかもしれません)。例えばドイツのインターネットラジオ局『 Klassik Radio Mozart 』は、24時間モーツァルトばかりを流しているので(但し楽章単位での細切れですが)BGMには最適です。
しかし、M- CR612に搭載されているインターネットラジオの検索エンジンTuneInでは、検索しても残念ながらNHKのインターネットラジオの「らじるらじる」を見つけることは出来ませんでした。
 そこで、NHKのFM放送を聴く時は、事前にチェックをして聴きたい曲や演奏が見つかると、Bluetooth機能を活かしてスマホでNHKのインターネットラジオ「らじるらじる」検索し、Bluetooth機能を活かしてM- CR612に接続してNHK-FMを聴いています。
勿論、「らじるらじる」では実際のFM放送とほぼ同時にインターネット上でも聴くことが出来ますが、便利なのはオンデマンド放送です。但し、聞き逃し配信が可能なのは一部の番組のみで、例えば「N響演奏会」はNHKホールからの定期演奏会(Aプロ)のライブ配信のみであり、全番組がその対象ではありません。従って、もし聞き逃し配信が無い番組は本放送と同時で聴くしかありませんが・・・。
でも、もし聞き逃し配信可能な中に気に入った番組があれば、過去に放送された番組をある一定期間聴くことが出来るので、その内容を事前に確認して、自分の聴きたい曲や聴きたい演奏者の録音を、いつでも好きな時に掲載中は何度でも聴くことが出来るのでとても便利です。
因みに書斎のKENWOODのレシーバーは10年前の製品なので、ネットワークオーディオではありません。従って「らじるらじる」でFM放送を聴くことが出来るのはリビングのメインシステムのみです。
家内がリビングにいる時はオーディオは聴けない(奥さまは興味関心が無い)ので、聴くことが出来るのは(有難い時もあれば不便な時もあるという意味で、幸か不幸か)彼女のいない時だけですが・・・。
因みに、私が「らじるらじる」で専ら聞いているのは、以前の「クラシックカフェ」から改編された「クラシックの庭」という番組。本放送は月~木の14時からで、再放送が同じく一週間遅れ位で朝の7:25から。因みに以前は毎週聴いていた「きらクラ」は、改編後「かけクラ」となってMCも交代になった結果、興味を失して全く聴かなくなりました。
もちろん「らじるらじる」はNHK‐FMだけではなく、ラジオ第1や第2放送も視聴可能です(好きな方は、例えば「ラジオ深夜便」などもネットで聞くことが出来ます)。
 私はクラシックとJazz以外は日常的には洋もJもポップスは余り聴かないので、最新ヒット曲やアルバムなど曲目を指定してのサブスクは必要ありませんが、TuneIn以外にも検索エンジンは幾つかありますので、そうしたジャンルに強い検索エンジンや日本のチャンネルもあるかと思います。
またCMが入りますがJ-Popsに強い無料のサブスク(有料だとCM無し)もありますし、また昭和のJポップスも歌謡曲もありますので、若者だけではなく、我々シルバー世代も(特に年金生活者は)絶対にネットワークオーディオを使わなくては勿体無い!・・・と感じています。

 2024年2月22日。世間ではニャンニャンニャンで“猫の日”とか・・・。
(ん?犬の日っていつだ?1月11日にはそんなニュースは無かったけど・・・)
そんな猫の日とは全く関係無く、この日はN響の松本公演がキッセイ文化ホール(以下県文)で行われ、勇んで聴きに行ってきました。

 クラシック音楽に興味を持った子供時代、生のオーケストラを聴くことなど地方では有り得なかった時代。それらに触れるのは、専らNHKで放送されるN響の演奏位だったでしょうか。ですので、何も根拠の無い勝手な個人的解釈ですが、地方のクラシック好き程“N響”への親近感や憧れは強いと思うのです。
そのN響が、何十年ぶりか分かりませんが、この松本で演奏をすると知り、勇んでチケットを購入した次第です。個人的にN響を生で聴くのは、2015年、パーヴォ・ヤルヴィが首席指揮者正式就任前に“マライチ”を振った熱狂的な定演でした。

 N響にとって今回のこの公演がどういう位置付けかは分かりませんが、団員の皆さんは、例えば名曲コンサートのスーツにネクタイとは違って、定期演奏会同様の燕尾服に蝶ネクタイの正装でした。そして、この日のプログラムは、

  ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第1番 ハ長調 作品46-1
  ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
  シューマン:交響曲第1番 変ロ長調 作品38「春」
   指揮:沼尻竜典
   チェロ:カミーユ・トマ
 N響のH/Pから分かったのは、このプログラムは、松本公演の前日、2月21日に東京都の「都民芸術フェスティバル」の中で、N響が登場して演奏した演目とか。そして、全く同じ顔触れで松本で演奏し、更にその二日後に新潟公演でも披露されるとのこと。
松本は、その数日前は春の様な陽気になったのですが、また冬に逆戻り。そして当日の松本は雪予報でしたが冷たい雨が降り、しかも珍しい「雨氷」で木々や架線に降った雨が凍り付くという現象が見られ、架線凍結等で上高地線や大糸線などが運転中止になるなど寒い一日でした。
ですので、プログラムのトリにシューマンの「春」が取り上げられていて、正に雪国信州や豪雪の越後にN響が一足早く“春”を運んで来てくれるような、そんなワクワク感で、期待して会場に向かいました。
しかも2月上旬に小澤征爾氏死去が報じられ、松本では“巨星落つ”後のSKFからOMFとなった音楽祭の今後を危ぶむ中で、SKOではありませんが、国内オケのトップN響の生音に触れて安堵したい気持ちも松本市民にはあるのではないかと、勝手にそんな想像もしていました。

 余談ではありますが、マエストロオザワに関して言えば、米国Big 5 のBSOの音楽監督を30有余年も務めたということは、例えるならば、MLBの、しかもヤンキースやレッドソックスなど名門球団の監督を、メジャーでの選手経験も無い3Aの若手コーチだった日本人がいきなり抜擢されて長年務めた様な、ある意味有り得ない偉業(しかも東海岸で)であって、偉大で勿論日本人として非常に誇らしく感じます。但しその演奏に関していて云えば、個人的には必ずしもそんなに好きな指揮者ではなく(一番好きだったのは、オトマール・スイトナーでした)、学生時代には小澤征爾指揮のレコードは一枚も持っていませんでした。おびただしいBSOを中心とする音源の中で、NHK- FMで聴いても正直感動した演奏はありませんでした。彼の真骨頂は、そうした録音のレコード音源ではなく、むしろ空気感を含めたライブにこそ(しかも出来れば、同じ場所で聴覚視覚で共有することに)あるのだろうと思っていました。
また、松本市民ながら、これまでサイトウキネンばかりを有難がるミーハー的風潮が嫌いで、生来の捻くれ者としては「だったら、もっと日本のオケを聴きに行きなよ!」と、松本に来演してくれる国内オケはスケジュールが合えばこれまで殆どと言って良い程聴きに行っても、片やSKOは自分で買ってまで聞きに行ったことはこれまで一度もありませんでした(縁あってリハーサルなどのチケットを頂ければ勿論有難く聴かせていただきましたが・・・唯一自分でお金を出して買ったのは、大好きな十束さんが振ったSKF20周年特別演奏会と、どうしても聴きたかったミシェル・ベロフのオール・ドビュッシーでのピアノリサイタルだけでした)。

 奇しくもN響松本公演の2月22日のこの日、今年度のOMFのプログラムが発表されました。マエストロ亡き後、音楽祭をもし終わりにせずに引き継いでいけるとすれば、一音楽ファンとして思うに、SKO設立当時の趣旨からすると本来は秋山和慶さんであるべきだろうと思うのですが、これまでの経緯からは無理でしょうし、だとすると“斎藤秀雄の桐朋”からは離れるとしても、日本のクラシック音楽界の今後を考えれば、(以下、恐縮ですが敬称略で)同じブザンソンの佐渡裕は無理だろうから、今まで客演でSKOを振った中では世界の“ヤマカズ”か沖澤のどかしかいないと勝手に思っていました
すると、生前にマエストロからOMFの行く末をふまえ、指名があったようで、初めての“首席客演指揮者”という肩書が付けられて沖澤のどか女史が就任するとのこと。彼女もブザンソンコンクールの覇者でもありますので、OMFの後継者としても相応しいとも言えますし、また今回だけかどうか分かりませんが、マエストロオザワが30年近く率いたBSOの現音楽監督アンドリス・ネルソンス氏がメインの指揮をするのであれば、その縁で、これまで通り管楽器の世界の腕利きマイスター連も来てくれるかもしれません(・・・と、部外者乍ら少しほっとした次第)。

 閑話休題。
さて、この日のN響松本公演の“ドヴォコン”ソリストは、2017年に名門ドイツ・グラモフォンと専属契約を結んだというパリジェンヌの美人チェリスト、カミーユ・トマ嬢。
元々長身なのに、更にピンヒールのハイヒールを履き、しかも異様に長いピンのチェロ(日本財団から貸与されているというストラディバリウスとか)なので、何だかチェロが小さめに見えてしまう程です。
ドヴォコンはこれまで生で聴いたことはありませんが、名曲故CD(シンガポールで購入した、ノイマン指揮チェコフィルでチェロはウェーバー)も持っていますし、これまでもFM放送など色んな音源でも聴いていて耳慣れた曲です。
でも久し振り故、今回事前に予習のために聴いたのが、YouTubeに挙げられていたマエストロオザワとロストロポーヴィッチの“伝説のライブ”。
それは団員によるリハのボイコットを受け、N響とケンカ別れした若きマエストロが、実に30年振りにN響を振った1995年の演奏会の録画です。
これを聴いてしまったせいか、巨匠ロストロポーヴィッチが“盟友セイジのために”と駆け付けた、白熱のライブでの骨太の男性的な“ドヴォコン”が頭から離れず(今は亡きN響のチェロ首席だった徳永兼一朗氏が一音たりとも見逃すまい、聴き逃すまいと、食い入る様にロストロポーヴィッチのソロを見つめていたのが印象的でした)、それと比較すると、どうしても音の線が細くひ弱に感じてしまいますし、炎の如き気迫で駆け抜けた同じ女性チェリストである、これまた伝説のデュプレとも異なります。
第1楽章冒頭、クラリネットがお馴染みの哀愁に満ちた第一主題を奏でます。チェロソロは、第一楽章のカデンツァ風超絶技巧のソロパートでは勇み足か、或いは私メの耳が悪いのか、高速でのパッセージで音が飛び、リズムが乱れた様に聞こえたのですが・・・?
一方、アダージョの第二楽章でのゆったりしたパッセージでは、感情豊かで何とも言えない柔らかな響きが美しく、情感に溢れ本当に素晴らしい。
ですので、出来ればもっと小さなホールで室内楽やソロで大好きなバッハの無伴奏とか聴いてみたい、彼女のチェロにはそんな印象を受けました。
 休憩後の後半は、シューマン作曲 交響曲第1番「春」。
シューマンと言えば、ピアノ曲や歌曲が有名で、同じロマン派のベートーヴェンや、シューベルト程、交響曲は有名ではないかもしれませんが、個人的には彼の交響曲も好きで、学生時代にサヴァリッシュ指揮シュターツカペレ・ドレスデンとクーベリック指揮BPOで全4曲を揃えました。その中では第3番「ライン」が一番有名でしょうか。新婚旅行で行ったドイツで見たラインの流れが蘇ります。
しかし、シューマンの交響曲はベートーヴェンやブラームスなどと比べると演奏機会は少ないので、これまで生で聴いたことはありませんでした。
しかし、今回、季節としては相応しくとも、地方公演で取り上げるメインのシンフォニーとしては珍しいこの「春」が、しかもN響で演奏されると知り、勇んでチケットを購入した次第です。
この日のコンマスは、ソロでも活躍している郷古健。松本出身で第2ヴァイオリン首席だった大林さんが定年でN響から引退されたのは残念ですが、同じ松本出身の降幡さんも第2ヴァイオリンの第1プルトに顔が見えます。
冒頭のトランペットのファンファーレで演奏が始まります。それにしても生で聴くN響の木管も金管も本当に上手い。とりわけ、神田さんのフルートには惚れ惚れしますし、ホルンも実に安定しています。
沼尻さんの指揮ぶりは、ゆったりしたテンポで極めてオーソドックスでした。N響の“音”の歴史の中では転機となったであろうデュトワ就任以前は、伝説のローゼンストックを始めドイツ系の世界的マエストロ達に鍛え上げられ、“ドイツのオケ以上にドイツらしい音がする”とまで評されたN響らしい、且つ充実の管楽器群もあっての極めて“安全運転”で安定したシューマンでした。
 この日、ドヴォコンでソロを務めたチェリスト、カミーユ・トマ嬢がカーテンコールだけで特にアンコールを弾かなかったためか、N響がシューマンの後、ドヴォルザークのスラヴ舞曲第10番ホ短調をアンコールで演奏してくれました。
嬉しかったのは、この日のコンサートではカーテンコール中のフラッシュ無しでの撮影が認められていたこと。一昨年の年末、娘が連れて行ってくれたサントリーホールでのティーレマン指揮シュターツカペレ・ベルリンのブラームス・チクルスでもそうでしたが、コロナ禍以降、聴衆に依るSNSなどでの情報発信で今後の集客に繋がればという理由で、都会でのコンサートではカーテンコールでの撮影を認めることが多くなったそうですが、地元での演奏会では初めての経験でした。とても良いことだと思いますので、地方の演奏会でも拡がると良いと思います。

 久しぶりにオーケストラの生音をN響で、しかもこの松本で聴くことが出来て、まだまだ冬の寒い日ではありましたが、聴いたばかりのシューマン「春」の第一楽章の主旋律を想い浮かべながら、ここ信州も“春遠からじ”という、ちょっぴり幸せな気分で県文を後にしました。

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