カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 古いターンテーブルが復活し、最近久し振りに聴いた懐かしいLPレコード。
その中でも、特にチューリップのある意味第1期とも言える、デビューしてから5年間の全シングルレ12枚の曲を全て収めた2枚組のLP「チューリップ・ガーデン」(1977年)を、その後も暫く毎日の様に聴いていました。

 高校1年生の時に素人ながら、FMで聴いて衝撃を受けた彼らの実質的なデビュー曲の1972年のシングル「魔法の黄色い靴」。そして、3枚目にしてチューリップの初めてのヒット曲となった1973年「心の旅」のB面に収録されていた、大好きだった「夢中さ君に」。この2曲は、特に何度も何度も繰り返して・・・。
また、このアルバムを聴いていて、初期のシングル曲の中で異色な感じがするのは「娘が嫁ぐ朝」です。これは76年発売のシングルなのですが、どう考えても財津さんはそんな年齢ではないので、実体験ではない・・・筈。
仮に心象風景だとしても、どうしてこんな詩が書けたのだろうか?。自分も娘二人が既に結婚した経験を持った今だからこそ、それも年老いた今になってから再び聞いたからこそ、余計自身の琴線に響いているのかもしれませんが・・・。でも、結果論であり自分勝手な見方かもしれませんが、チューリップの初期77年までのシングル12枚全24曲の中に収められたこの曲だけが何だか異色であり、その後のソロシンガーや作曲家として楽曲を提供する“メロディーメーカー財津和夫”の萌芽が見て取れると云ったら穿ち過ぎでしょうか。
 チューリップは、“昭和歌謡”にも繋がるような日本的でシンプルなメロディアスな歌と、ビートルズ風なアコースティックなサウンド展開が本当に衝撃的だったバンドでした。
今改めて聴いてみると、メロディーメーカーとしての財津さんの曲も勿論なのですが、リードギターとドラムスが当時衝撃を受ける程新鮮に感じられたチューリップサウンドの核だった様に思います。しかし、エレキギターを掻き鳴らすガチャガチャした感じのGSとも違う、音楽的にも洗練されたオシャレなイントロなどの編曲や親しみやすいメロディーラインなどは、それまでの日本のポップス界には無かった感じがしたように思います。
 彼等が「すべて君たちのせいさ」と心酔し、その結果として“日本のリバプール”と形容する程だった街、福岡が生んだバンド、チューリップ。
しかし、なぜ福岡にはチューリップだけでなく、他にも数多くのバンドが生まれたのか。
京都や大阪が東京に対抗して、中央に対抗する“反権力的”な音楽を生み出したことは或る意味必然でもあり、“関西フォーク”全盛期の後だったとはいえ、まだそんな雰囲気が残っていた京都で多感な学生時代を実際に過ごした人間としては、些かの感傷も交えてふり返えさせて貰えるのならば、それは十二分に理解出来るのですが、片やどうして福岡にそうしたマグマの様なエネルギー溜まりがあったのか・・・。

 それにしても、当時の福岡は本当に凄かったんですね・・・。

 7月11日。久しぶりに新宿末広亭に7月中席の高座を聴きに行ってきました。
田舎の松本でも、地方落語としては歴史のある「松本落語会」の月例会や若手二ツ目が演じる四半期毎の「まつぶん寄席」などで生落語を聴くことは出来るのですが、昔ながらの定席の寄席で聴くのは、作秋の初寄席だった末広亭に続きこれで漸く二度目になります。
今回聴きに行くにあたり、上野や浅草など四つある東京の定席で、各7月中席の昼席での落語の出演者をそれぞれ見比べながら選んだのが、今回も同じこの新宿末広亭の中席(毎月11日~20日までの10日間)でした。

 この日の東京は、生憎の36℃の猛暑。高座からは都度の演者が代わる代わるこの日の暑さをダシに、例えば、
「さっき、昼のニュースで今日の東京は36度の猛暑なので、不要不急の外出は避ける様にって云ってましたが・・・。お客さん方、寄席なんかに来るのは、どう考えてもその不要不急の最たるモノ・・・じゃないですかネ!?」とは、まさに仰る通りなのですが、しかし昔ながらの寄席の雰囲気を今に伝える定席唯一の古い木造二階建ての末広亭ですが、館内は涼むにちょうど良い程に冷房がしっかり効いていて、お陰で快適に寄席を楽しむことが出来ました。
 先に、末広通りで軽く昼食を済ませてから新宿末広亭へ。通常木戸銭3千円のところ、有難いことに65歳以上はシルバー割引でシニア料金2700円です。昼席は12時開始の16時過ぎの終演ですが、この日もそうでしたが夜席まで入れ替え無しで聴くことが出来る日の方が多いので、休憩を挟んで夜席終了の20時半まで“たったの”2700円で涼みながら過ごせるなら、こんなコスパの良いエンタメは他には無いのではないでしょうか!?(と思うのですが、平日のためか、それとも猛暑のせいか、この日の昼席は結構空きがありました・・・)
前回初めての寄席もこの末広亭で、せっかくの初寄席でしたので高座だけではなく寄席の雰囲気も楽しみたいと上手の畳の桟敷席で聴いたのですが、いくら座布団で胡坐をかいて座っていても、さすがに5時間近くも畳に座っているのは些か苦痛でしたので、今回はゆったりと椅子席で聴くことにしました。
昼の中席は12時開始ですが、既に開口一番の前座話も含め三組目が終わるところで、桂文雀師匠の出番から聴くことが出来ました。この日が初日となる中席昼の部の演目の中で、この日高座に掛けられた落語のネタのみを記します(クラシックコンサートで終演後にロビーに掲示されるアンコール曲の様に、寄席では掛けられたネタが後で発表されることはありませんので、もし違っていたらスイマセン)。

  桂文雀     「真田小僧」
  柳家三三    「お血脈」
  桃月庵白酒   「笊屋(米揚げ笊)」
  金原亭生駒   「替わり目」
  柳家喬之助   「お花半七(宮戸川の前半)」
  柳家権太楼   「無精床(不精床)」
  (仲入り)
  桃花楼桃花   「子ほめ」
  春風亭正朝   「狸の札」
  柳家小ゑん   *創作落語(天文愛好家らしく七夕の織姫  彦星のネタ)
  金原亭馬生   「尿瓶」
 定席の落語では、主任を務めると最後のトリとして本寸法ネタを30分演ずることが出来ますが、それ以外だと当日の流れにより多少前後するものの通常15分が持ち時間となりますので、大ネタを掛けるのは無理。従って、本当に好きな噺家をじっくりと聞きたいのであれば、定席での主任を務める席か、或いは独演会に行く必要があるのですが、なかなかそれだけのために上京するのは難しい(イヤ本当に好きな人は、それだけのためであっても通われるのでしょうが・・・)。
      (「新宿末広亭」紹介記事からお借りした高座写真)
今回の新宿末広亭の中席の昼の部に出演される噺家の中では、生で初めて聞く芸達者の柳家三三師匠、前回生で初めて聞いた人気の桃月庵白酒師匠、仲入り前に好きな噺家の一人である柳家権太楼師匠、そして人気の女性噺家桃花楼桃花師匠、ベテランの春風亭正朝師匠、そしてトリが十一代目金原亭馬生師匠という顔ぶれです。
この中席を選んだ決め手は、三三師匠、白酒師匠という脂の乗った実力派真打と、私の大好きな噺家である柳家さん喬師匠と一緒に松本落語へも来演されて生で何度か聴いている重鎮権太楼師匠が登場されるから。
柳家三三師匠は、私メが落語に嵌まるきっかけとなった噺家修行を描いたコミック、尾瀬あきら作「どうらく息子」の落語監修を担当された噺家さんです。人間国宝小三治師匠の弟子で、若手だった当時から正統派の古典落語を演ずる芸達者として評判も高く、ずっと生で聴きたいと思っていた噺家の一人でした。今回初めて生で聴いたのですが、しかも「お血脈」という善光寺も登場する初めて聴く泥棒ネタでしたが、イヤさすがに上手い。短めの枕から客席を沸かせます。そして、前回初めて聴いた桃月庵白酒師匠。今回のネタはこれまた初めて聴いた「笊屋(米揚げ笊)」。この噺家さんは声が大きくて張りがあって、それだけでも聴き応えがしますし実際に上手い。
仲入り前に柳家権太楼師匠の「無精床」。師匠が出て来られるだけで雰囲気があり、 “顔芸”ではありませんが、さすがは“爆笑王”と異名を取る権太楼師匠。顔を見ているだけで何だか笑ってしまいます。いつか同門のさん喬師匠と権太楼師匠お二人のそれぞれの滑稽噺と人情噺を二席ずつ、「二人会」で一度聴いてみたいものです。例えば、さん喬師匠の「棒鱈」と「文七元結」、笑い過ぎて、片やホロリとして、どっちも涙が出て来ます。
因みに、上野鈴本の8月下席での夜の部は、二人会ではありませんが、仲入り後に両師匠が交代でトリを務めるということで、そのネタも例えばお盆前の12日が権太楼師匠が「ちりとてちん」、さん喬師匠がトリで「文七元結」。そして18日も同じ順番で「短命」と「芝浜」と、10日間下席で掛けるネタが事前に特別に発表されています。イイなぁ!東京に居ればそうした機会に恵まれるのになぁ・・・(と、寄席に限りませんが、この時ばかりは地方との文化格差を否が応でも認識させられてしまいます)。
 さて、仲入り後の中では春風亭正朝師匠。
春風亭一門の柳朝門下で、一朝、小朝と兄弟弟子の正朝師匠ですが、なかなか味がありました。こういう落語、好きだなぁ。また、落語ではありませんが、ロケット団の漫才も毒舌でのスキャンダルなどの風刺ネタを盛り込んで、大いに客席を沸かせていたことを付け加えておきます。
この日のトリは初めて聴くネタ、「尿瓶(しびん)」という古典落語でした。11代目の馬生師匠を聴くのは初めてでしたが、師匠となる10代目金原亭馬生はご存じ志ん生の長男であり、弟が当代随一の売れっ子だった志ん朝。ともすれば地味と言われた10代目の馬生師匠を、弟子であったこの11代目がその大名跡を継いだ理由が素人ながら何となく分かった気がしました。
端正というか、地味ながらも品があって、例えが相応しいかどうかは分かりませんが、昔の“江戸っ子”に通ずるかの様にピンと一本“筋”が通っている感じがします。確かに同じ江戸っ子でも、それは志ん朝の気風の良さでは無く、師匠10代目馬生の粋に通ず。いずれにせよ、馬生という歴史ある名跡を継ぐに相応しい、江戸落語の継承者といった雰囲気でした。
落語は「“見立て”の芸」と云われますが、この「尿瓶」というネタの中で、江戸詰めを終えて肥後に帰る武士が、江戸の土産にと道具屋で直前に古い花器と勘違いして買い求めてしまった尿瓶を、家に帰り試しに花器としてそこに菊の花を生ける時に、花鋏に見立てた扇子を少し開いてから勢い良く閉じて、パチンと音を立ててハサミで菊の茎を切る場面を演じたのですが、それが実に粋でナルホド!という所作・・・お見事でした。
 「うーん、さすが!・・・伊達に11代目じゃないなぁ・・・。」
と(誠に失礼ながら・・・)、予定通り16時15分に閉幕。
前座さんたちの「ありがとうございましたぁー!」の声と共に追い出し太鼓が鳴り、幕が下りた後も暫し客席で独り唸っておりました。

 YouTubeに「落語協会」がアップした、寄席での鑑賞マナーを呼び掛ける動画。これ、ハッキリ言って傑作です!
定席の一つである池袋演芸場で撮影したのだそうですが、客席で寄席を鑑賞する際の迷惑行為の数々、例えば席に座るのは口演最中ではなく高座と高座の間だとか、口演中の無駄な私語、携帯電話、写真撮影や録音、口演中に食べる煎餅などの雑音、過度な飲酒(酔っ払い)などを実演して、そうした迷惑行為の禁止や防止を呼び掛ける内容で、客席に座っているお客さんが全員協会所属の噺家の皆さんなのです。しかも、その面子が凄い!

 先ず案内人として前振りが古今亭菊之丞(色気もある芸達者で先輩噺家のモノマネは絶品!)、そして迷惑行為の解説するのが柳家喬太郎(この人の「時そば」の枕での“コロッケそば”、そして“歌う”「井戸の茶わん」・・・天才です!でも古典もちゃんと師匠のさん喬譲り)、迷惑を被る隣席の客が春風亭一之輔(ご存知!でも笑点なんか出なくてもイイのになぁ・・・)、そして“主演”の迷惑客を演ずるのが落語協会の大看板柳家さん喬という各師匠の方々で、人気実力共に落語協会のオールスター級。そして脚本や演出など、制作や他の客を演じていたのが協会の若手二ツ目の皆さん。
俳優という意味では皆さん素人ですが、とりわけその迷惑客を演ずるさん喬師匠の演技の上手いことといったら、まさにアカデミー賞モノの演技なのです、これが!
しかも、さん喬師匠が喜んで?本当に楽しそうにやっているのが映像からも分かるんです。いや、笑えるワァ~。
これでもしサングラスを掛けてガラの悪いそうな迷惑客をさん喬師匠と一緒に、一見(いつもの高座の様にニコニコ笑わずに、もし睨みつければ・・・ですが、多分)プロレスラーの“組長” 藤原喜明に似ている(様な気がする)権太楼師匠が演じていたらきっと最高だったな、なんて・・・。

        (*「新宿末広亭」紹介記事からお借りした高座写真)
 考えてみれば、落語の世界では、ご隠居さんから与太郎の丁稚、そしておばあさんから若い町娘や花魁まで、全て一人芝居で演じ切っているのですから、噺家の皆さんが役者としても芸達者なのはむしろ当然なのかもしれません。
そしてこの動画には更にメイキング映像まであって、撮影している様子や制作側や出演もしている若手の噺家の皆さんの感想なども入っています。因みに、長野県大町市出身の二つ目桂花さんもおられます。

 落語好きの皆さん!YouTubeで「落語協会 寄席鑑賞マナー動画」と検索すれば見つかると思います。是非探して視てください。これ必見です!

 2021年のNHK新人落語大賞で女性初の大賞を、これまた史上初の満点で受賞した上方の噺家、桂二葉。或る演芸評論家をして、「圧倒的な勝負強さ、透明感、集中力」と言わしめた、今注目の女流落語家です。
キノコの様なキレイなオカッパ頭。その“マッシュルームカット”に、ニコニコと愛嬌のある(≒可愛らしい)顔、そして自身で「落語界の白木みのる、て言われますぅ」と紹介する甲高い声(白木みのるって、お笑い時代の藤田まことと一緒に「てなもんや三度笠」に確か出ていた筈ですが、上方でもお年寄り以外で知っている人は今ではもう少ないと思うのですが・・・)。
色っぽいというよりも(本人曰く、「色っぽさの微塵も無い」)、子供っぽく見えるためか、その甲高い声も手伝って、実際にもそういう定評なのですが、丁稚や小僧さん、アホな与太郎などを演じさせると絶品で、本当に上手い!

 個人的にはコミックスの「どうらく落語」で落語に嵌まったのをきっかけに、品のある圓生、これぞ江戸っ子という気風の志ん朝、そして現役では粋なさん喬師匠に爆笑落語の権太楼師匠と、好きな噺家は江戸落語ばかりなので、上方落語も枝雀米朝と決して嫌いでは無いのですが、どちらかというと何となく苦手で余り上方落語は聞いていないのですが、「どうらく落語」にも出て来るNHKの新人落語大賞は毎回注目していて、その中で当時はまだ二ツ目だった若手の実力派小痴楽師匠を知り、6年前の“500回突破記念”でのさん喬師匠と権太楼師匠始め、小痴楽師匠も二ツ目時代と真打ちになってからの二度来演された「松本落語会」で生落語を聴かせてもらいました。
NHKの新人落語大賞は二ツ目の若手落語家の登竜門でもあることから、そうした二ツ目の噺家が毎回登場する「まつぶん寄席」も興味を持って、スケジュールさえ合えば毎回の様に聴かせてもらっています(しかもありがたいことに、シルバー料金は500円というワンコインなんです!)。
 そのNHK新人落語大賞で二葉さんを聞いて、どちらかと云えば上方落語は苦手なのに、
 「あっ、この人ホンモノだ・・・面白い!」。
と個人的にも大いに感心したので、権太楼師匠を初めとする審査員全員の満点評価にはビックリしましたが、結果の大賞受賞は“我が意も得たり”で大いに納得出来ました。
そして後日、大賞受賞後の囲み取材で感想を聞かれ、今や“名言”でもある「ジジイども見たかぁ!!」と啖呵を切ったと知り、これまた大いに印象深く感じた次第です。イイじゃないですか、「その言やヨシ!」(*写真はオフィシャルサイトからお借りしました)。
しかも後で知ったのは、決して前年に審査員の権太楼師匠にボロクソ貶された(と本人は感じたらしいのですが)からではなく、前座からの修業時代に「女に落語は出来ないから座布団返しだけやっとけ!」とか「女に古典は無理や、新作だけやっとけばエエんや!」、と散々批判され続けて来たのが皆年寄りのオッサンばかりからで、云われる度に「今に見とれ!」という、そんな大阪の東住吉出身という“こてこて”の難波オンナの“ジジイども”への反骨芯から口に出た言葉だったとか。
彼女ばかりではありませんが、男社会だった落語家の世界でやって行くには、むしろそのくらいの気概が無いとやってはいけないでしょうから、大いに「その意気やヨシ!」ではないでしょうか。

 YouTubeで見ることが出来る、大賞受賞をきっかけに開催された、大阪朝日放送のABCラジオ主催の「桂二葉しごきの会」。この「しごきの会」は、若手が一度に3席ネタおろしするという、大変なもの。そして、しごき役として彼女の師匠である桂米二と同じ米朝一門の桂吉弥の両師匠で、ネタ出しは次の通りで、前座話でもある「味噌豆丁稚」、「幽霊の辻」、そして大ネタ「らくだ」。その本番の高座が始まって、
 「気ぃですよ!気ぃですけど、しごけるもんなら、しごいてみろ!」
と開口一番。そして、最初の一席目の「味噌豆」で、丁稚の定吉と旦那さんの演者のセリフを取り違えて途中を飛ばしてしまい、本人もすぐに気が付いて、少し間をおいて
 「あっ、・・・これ間違うてますネェ~。えらいこっちゃ!」。
そして戻した後で取り違えた本来の箇所に来て、ちゃんと喋ってから一言、
 「此処やがな!ホンマに・・・」
と、独り言のように呟いて、トチリさえ笑いに変えて大いに客席を沸かせます。ご本人もTwitterで書いていましたが、
 「一席目の途中で間違いに気ぃついた時は、ほんま心臓止まるかと思た!」
でも、それでちゃんと笑いを取る所が上方の噺家らしくて実にイイ!

 大賞受賞をきっかけに、関西のみならず東京のキー局でのレギュラー出演もしている今や超売れっ子ですが、YouTubeで幾つかその後?の高座を聞くと(限られたYouTubeでしか聞く機会がありませんので、聴くことが出来るネタは限られますし、以前に収録された高座が多いので、もしかすると取り越し苦労で実際は違うのかもしれませんが)、枕が毎回ほぼ同じ(近所の“悪ガキ”の男の子との無邪気なやりとり)なのが少々気になりました。
バラエティー番組のレギュラー出演も全国的な人気取りには大切なのかもしれませんが、“大きなお世話”ながら、むしろちゃんと落語の修業を積んで、権太楼師匠が言われた通りもっと持ちネタを増やして、“女流”という修飾語など一切関係無い上方落語の実力派の噺家になって欲しいと、他人事ながら心配し、また大いに「 期待してまーす!! 」
(そして願わくば、大阪はちょっと無理なので東京の定席で、いつか一度は生で聴いてみたいと思っています。)

 我が家のコーヒー。ずっとUCCのモカブレンドを粉で買っていたのですが、このところの値上げラッシュの中でのコーヒー豆の値上げ後、UCCのラインナップが変わりモカブレンドが無くなってしまいました(豆の配合が変わった≒モカの割合を減らしたためか、値上げした上で“リッチ・ブレンド”とかに変更・・・)。
そこで、少なくともこれ迄10年以上は購入してきた筈の(ポイントも軽く1000点を越えていたのですが、その点数では特に欲しいモノも無く)UCCを止む無く諦め、松本にも全国チェーンのジュピターコーヒーが松本駅の駅ビル内に店舗があるので、それ以降定期的にジュピターのモカブレンド(勿論UCCよりもかなり高くなりますが)を豆で買って、自分でカリタの手動のミルで挽いて、ドリップ式のメリタのコーヒーメーカーで淹れて毎日飲んでいます。
水は勿論、「源智の井戸」のミネラルウォーターです。もう何年も前ですが、ドリップ用の水を松本湧水群の中で唯一の硬水である「源智の井戸」に替えたら格段とコーヒーが美味しくなったので、以来隔週くらいで珈琲専用に湧水を汲みに行っています。
以前、引っ越す前まで(マンションでは活けた花を飾るスペースが無いので諦めた由)毎週来られていた家内の活け花の先生が、湧水に替えたら「コーヒー豆、変えた?」と味の変化に驚かれていましたが、それだけ水の違いが大きいのです。勿論、松本にも自家焙煎をしている喫茶店や全国的にもコーヒー好きに知られる三澤珈琲や丸山珈琲などの専門店もあって美味しい豆も買えるのですが、そうした高い豆ではなく年金生活者ですので普通の安い豆と松本の銘水でコーヒーを楽しんでいます。
唯一、家内が寝る前にもコーヒーを飲む時があり、その時用に三澤珈琲のデカフェのグァテマラを粗挽きで買って飲んでいますが、それが少し高いくらいでしょうか。長女は松本に来ると、自家焙煎の店のコーヒーや丸山珈琲を買っていますが、我々は安い豆で十分。ただ、酸味が強い方が個人的に好きなので、唯一モカには拘らせてもらっていますが、それとてモカ・マタリとかではなく、飽くまでモカブレンドです。
他の店のモカブレンドも実際は色々試したのですが、結果的にジュピターのそれが結構他よりも酸味があったので、安いからだけではなく嗜好的にも個人的に気に入っています。ジュピターコーヒーのモカも豆で買って飲んでみたのですが、飲み比べてみると個人的にはモカよりもむしろモカブレンドの方が酸味も含めて何故か美味しく感じたため、以来ジュピターコーヒーではモカブレンド一択としました。
 そんな我が家のコーヒー好きを知っているので、以前の東京滞在中の川越観光のお土産に娘たちに買った漬物が美味しかったからと、そのお返しで婿殿がコーヒー豆をお土産に買って来てくれました。
それが「 PANAMA ESMERALDA GEISHA 」のコーヒー豆。最近人気のスペシャリティコーヒーの一つ、“ゲイシャコーヒー”です。
スペシャリティコーヒーとは、曰く、定義された品質基準をクリアした「シングルオリジンまたはシングルエステートコーヒーを使用する、利用可能な最高級のコーヒー」とのこと(ですので、何だかまるで“エビで鯛を釣った”様で、ホントおかたじけ・・・です)。
そして、その中で最近人気なのが“ゲイシャコーヒー”なのですが、その解説に依れば、
『ゲイシャ種は、もともとエチオピアのゲシャという村に自生していたことからゲシャ種と呼ばれていましたが、やがてゲイシャ種として知られるようになりました。名前の由来には他にも、現地に出入りした日本人業者が「ゲイシャ」と聞き間違えたという説もあります。
ゲイシャ種は病気に弱く、樹高が4m近くもあって栽培の難しいコーヒー豆です。さらに収穫量が少ないこともあり、長い間、コーヒー農園からは生産には不向きと敬遠されてきました。
コーヒー豆の品種としての歴史は浅く、ゲイシャ種がエチオピアで発見されたのは1931年のこと。1950年代にはさび病対策に使われる目的で南米・コスタリカへと渡り、1960年代に中米・パナマへ伝わりました。
ゲイシャ種の栽培を続ける数少ないコーヒー農園の一つが、パナマにあるエスメラルダ農園。エスメラルダ農園は標高1,600mほどに位置する世界有数のコーヒー農園。豊かな自然と降雨量に恵まれる上、無農薬や手摘み収穫など、こだわりある生産姿勢に定評があります。
ゲイシャ種が再び脚光を浴びるキッカケとなったのが、2004年に開催されたコーヒーの国際品評会です。エスメラルダ農園がゲイシャ種を出品したところ、これまでにない高値で落札されて優勝。ゲイシャショックと呼ばれるこの出来事から、ゲイシャ種は1日にして世界一有名なコーヒー豆となったのです。
ゲイシャコーヒーは、オレンジやグレープフルーツを彷彿とさせるフレッシュな酸味、はちみつやチョコレートのような濃厚な甘みが特長。ワインのように繊細で複雑なフレーバーを楽しめます。』
とのこと。

 確かに、豆を挽きドリップで飲んでみると、素人故にオレンジなのかグレープフルーツなのかまではバリスタの様に識別は出来ませんが、確かにフルーツの様な爽やかな酸味と、同様に由来はともかく甘みも感じます。確かに“スペシャリティ”と称するだけあって、決して伊達ではありません。しかし、どんな有名(≒高価)な豆であっても、必ずしもそう感ずる訳ではありません。例えば、以前頂いた「コピ・ルアク」。その由来はともかくとして、こちらも世界で最も高いコーヒー豆の一つとして知られますが、家内は「スッゴク美味しい!」と感激していましたが、確かに爽やかさは感じたものの酸味が少なくあっさりとしていて、個人的な嗜好とは違いました。
しかし、このゲイシャは確かに美味しいと思います。例えば、日本酒では大吟醸よりも純米酒の方が個人的には好みです。辛口、甘口、酸味の強弱、水、日本酒にも様々な違いに依る個性がある中で、自分に合った日本酒は同じ銘柄でも高価な大吟醸ではなく、辛口の純米酒でした。そんな自分好みの一本を探すのが面白いのと同様に、ワインもきっと同じだと思いますが、コーヒーも豆の種類や焙煎、はたまた生産地、そして豆のブレンド割合の違いなどに依る自分好みの味を探す(作る?)のが醍醐味なのかもしれないと感じた次第です。
(奥が底無しに深そうなので、泥沼に嵌まらぬ様、シンプルにモカブレンド一本で良し・・・とします)

| 1 / 99 | 次へ≫