カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 東京での三日目、最終日。
ゆっくりとホテルをチェックアウトした後、早昼を食べてから帰ることにしました。
 「また活に行く?松本じゃ新鮮な光り物は食べられないんでしょ!」
 「う~ん、でもそれじゃあ余りに芸が無い・・・」
と、迷った末に選んだのは“蒲田中華”。ご存知、蒲田は“羽根つき餃子”発祥の地。ホテル近くの「歓迎」はこれまでに何度か食べているので、今回は別の店を試してみることにしました。
有名な“蒲田羽根つき餃子御三家”は、終戦後家族離れ離れになりながら1979年に大連から引き揚げて来られたという八木さんが始められた元祖「你好」と妹さんの「歓迎」、そして弟さんの経営する「金春」です。
その結果蒲田には他にも餃子屋さんが集まり、“餃子激戦区”になったのだとか。勿論、餃子以外の中華メニューも豊富です。「歓迎」で以前食べたニラレバや野菜炒めも絶品でした。

 そして今回選んだのは、以前TVで紹介されていた「春香園」。
JR蒲田駅東口の駅前ロータリーを渡った先の路地を歩いて3分程で、商店街の中にあります。入ってから知ったのは、このお店は「金春」の息子さんが営む、謂わば「金春」の姉妹店。こちらも競うように、来店した“石チャン”などの芸能人の色紙や来店時の記念写真が店内にたくさん飾られています。
「歓迎」よりは狭い店内ですが、歴史が新しい分だけ清潔そうな雰囲気。奥がガラス張りなので視覚上もっと広く感じますし、テーブルの間隔はギッシリで狭かった歓迎より広めにとってあります。また後で分かったのは二階席もあるようでした。また4人ほどいるコックさんの厨房がオープンキッチン風に見えるのも安心感がありますし、中国語が飛び交って現地風の活気も感じます。
常連と思しきお一人様や会社勤めの方が、この日6種類用意されていた日替わりのランチ定食を注文されると、もう炒めるばかりに材料を分けて事前に準備されているのでしょう、それこそあっという間に料理が運ばれて来ます。
 「早っ!」
我々は、メニューを見ながら、羽根つき餃子、エビ入り蒸し餃子、肉野菜炒め、ニラレバを注文(+ノンアルコール・ビールも)。
すると、ニコニコと愛想の良いオバサン(いや失礼!お姉さん)から、
 「蒸し餃子は、チョット時間掛かるヨ。イイ?」
 「はい、モーマンタイ(無問題)です」
 中華料理は大人数でないと色々なメニューを楽しむことが出来ません。本来は前菜に始まり、野菜、魚、肉、スープなどのジャンル毎にコース料理風に頼むのが王道ですが、二人ではこれが限界。
あぁ、シンガポールで良く食べた「蒸したガルーパ」(Grouper:日本で云うハタの一種)が懐かしい!・・・。淡白な白身は勿論美味しいのですが、最後に残った甘い醤油ベースの汁をご飯に掛けて食べる、所謂“ぶっかけ飯”が何より最高でした。
 最初に野菜炒めが運ばれて来ました。野菜がシャキシャキして、味付けも薄味で旨!続いて羽根つき餃子。大振りな餃子が5個で320円です。皮が厚めでモッチリとしています。「歓迎」の方が“羽根”がパリパリしていた様な気がします。こちらの餃子もやはりニンニク不使用なので、お勤めの方でも安心して食べられます。肉の臭みも無く、我々的には「春香園」の餃子の方が好みでした。エビ入り蒸し餃子は「歓迎」の方がプリプリだったかな。
ニラレバがなかなか来ないので聞くと、オバサン(お姉さん)が厨房に確認して「メイヨー(没有)!」と応える声が聞こえて来ました。
 「ゴメン、注文入って無かったヨ!」
そこで、改めてオーダーし、併せて「歓迎」での反省(ニラレバは少々味付けが濃い目だったので、ご飯と一緒に食べた方が美味)で小ライスも。
すぐに運ばれて来ました。旨!やはりライスに良く合います。レバーは歓迎の方が柔らかだった様に思いますが、野菜がシャキシャキして味付けはこちらも美味!残さず全部残らず平らげて、
 「ご馳走さまでした。美味しかったです!」
 お腹一杯になって、糀谷の次女のマンションで衣類を積みかえての帰路。
いつもの首都高の羽田ランプ入り口が3月までの工事中で閉鎖とのこと。そのため、ナビの案内で大井JTから高速へ。平日の午後一で空いていて、新宿からの合流もスムーズでした。しかし、田舎者は首都高から中央高速へ合流すると、なぜかホッとします。ふ~っと溜息一つ。
 「さて、ゆっくりと信州へ帰るとしますか・・・。」

 今回家族四人全員で夕食が食べられるチャンスは一回だけで、長女の仕事での打ち合わせの後。その打ち合わせの場所が五反田とのことで、渡米前に娘が住んでいた場所でしたので、今回選んだのも娘の推薦で「居酒屋ほうせいどう」というお店。奥さまは、一度娘に連れられて来たことがあるお店だとか。ご夫婦二人で切り盛りされているアットホームで美味しいお洒落な居酒屋とのこと。ランチもやっているそうです。

 事前に当方で予約し、彼女の打ち合わせがもし延びて遅れても良い様に我々が先に行って、会議終了の長女と現地で待ち合わせることにしました。
グーグルマップで経路検索し迷うことなく現地到着。娘が五反田に居た頃、何度か家事手伝いに来ていた家内は、お店が朝のウォーキングで歩いたという目黒川近くだったので懐かしがっていました。ご夫婦でやってらっしゃるお店なので店内はそれ程大きくはなく、カウンターを含め20席程度。我々は一番奥の4人掛けのテーブル席へ。
 「んもう、お腹ペッコペコ~!」
長女が来るのを待とうという私メに欠食児童の母娘が抗って、何品か先に注文。
メニューを見ると、創作料理風の手書きの品揃えがたくさん書かれています。
ドリンクメニューは今風で、芋や麦含めて本場九州の焼酎類が充実しています。日本酒は埼玉など首都圏中心の焼酎に比べるとやや少なめの品揃え。
先ずおつまみに、懐かしいクリームチーズの醤油漬け(昔次女が学生時代に住んでいた神楽坂で連れて行ってくれた焼鳥屋さんで食べて感動したクリームチーズの味噌漬け。その後自家製でも作って我が家の定番メニューになりました)。奥さまはポテトサラダとコロッケ。次女は大好きな牛タン焼。
その後長女も合流し、追加で刺身盛り合わせ(この日はサンマ、カンパチ、真鯛でしたが、カンパチが新鮮で驚くほどシコシコしていて実に美味!)、チヂミ、ピザ(生地から自家製なのだとか)。そして出汁巻きたまご(薄味ですが、ナントも上品!奥さま曰く、過去最高の逸品!)
決して高級食材を使っている訳ではなく、どのメニューも庶民的な値段設定ですが、新鮮な食材を使ってどれもこれも一工夫がされていて、料理人であるご主人の拘りが感じられます。お二人共テキパキとした仕事振り。我々の前にカウンター先客がいましたが、テーブル席は全て予約の様で満席になりました。平日でも事前に予約しないと無理そうです。
ただ、二人でやっておられるので、こちらにまでお二人の“緊迫感”が伝わって来る程に“テン張って”いるのが分かります。もう少しゆったりとした余裕を以ってやらないと、プツンと糸が切れてしまいそうで、「大丈夫だろうか?」と関係無い我々までもが心配になる程・・・でした。
長女曰く、
 「昔は全然混んでいなくて、食事に来ても、すっごくご夫婦がフレンドリーでお話ししたり、家庭的で居心地良かったんだヨ!」
コストばかりでなく人を雇うと管理など色々大変ですし、ご夫婦二人で出来るならそれが一番ですが、でももう少し料理に時間が掛かっても客的には全然許容範囲。
 「体が第一。そんなに無理する必要ありませんヨ!」
と何だか声を掛けたい程でした。
料理はどれも美味しくて、しかも(私メ以外はお酒を飲まないのが理由にせよ)4人で1万円ちょっとなのですから、この場所でこの値段ではコスパ良過ぎです。

 部外者の大いなるお節介ではありますが、出来れば(例え価格を多少上げてでも)もう少し余裕を以って運営して、出来るだけ長くお店を続けていけるようにと願っています。

 東京滞在中、唯一自由時間が取れた10月3日。
コンサート、落語と都内のイベントスケジュールを調べてみましたが、平日でしたので余り興味を惹かれるモノはなく、では美術展は・・・?
この夏トウハクに火焔土器や国宝土偶が全て集結して人気だった縄文展は既に終わっていますし、我が国での開催としては過去最大というフェルメール展は残念ながら5日の開幕。山種は名作揃いではありましたが、今回目玉の御舟「名樹散椿」は後半展示でしたし、既に同館で観賞済み。そこで今回唯一興味を持ったのは、サントリー美術館で開催中の「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙」展でした。

 大学受験で国立大学を落ちてから遅れて探した下宿が“洛中”には見つからず、結局大学一回生の時に住んだのが大学からも遠い山科でした。
秀吉晩年の「醍醐の花見」でも知られる醍醐寺は、住所は伏見区ですが京都の山科盆地の南側に位置し、その山科でも醍醐寺へは最寄の京阪と隣接するJRの山科駅から更にバスで30分程乗らねばならず、行くには結構不便でしたので京都の学生時代にも一度も拝観したことはありませんでした。

 今回のサントリー美術館は東京ミッドタウンにあるので、家内の用事のある表参道からも至近です。六本木の地下鉄大江戸線改札で待ち合わせてミッドタウンへ。
サントリー美術館へは数年前に「若冲・蕪村展」で来ています。3階の受付から入場。平日のせいもあるのか、或いは地味なのか然程混んではおらず、お陰でじっくりと閲覧観賞することが出来ました。
 京都醍醐寺は真言宗醍醐派の総本山。中国唐で修業し、真言密教をもたらした弘法大師空海の孫弟子にあたる聖宝が874年に開山。醍醐天皇の庇護を受けて拡大発展。応仁の乱の戦乱で荒廃しますが、秀吉等の帰依を受けて再興されて今日の姿になったそうです。
醍醐寺は真言密教の一大拠点として、その教えを守り続け、2016年に本家にあたる中国上海と西安で醍醐寺に伝わる寺宝の大規模な“里帰り”展を開催し、80万以上もの現地の方々が来場して大成功を収めたのだそうで、今回の特別展はそれを記念しての開催とのこと。
今回の特別展では、3mを越える薬師堂本尊の国宝薬師如来坐像をメインに、不動明王を始めとする国宝五大尊像、真言密教のポイントをメモ書きしたという空海直筆の国宝大日経開題など、国宝39点、重文58店を含む122件が展示されています。
特に4階の展示会場から3階の会場へ下る階段正面に安置展示されている薬師如来は展示のハイライトであり、薬師如来さまのその神々しいお姿に自然と合掌しながら拝観をしました。また空海直筆の国宝大日経開題は、びっしりと書かれた文字から、先進知識を貪欲に吸収し自国に持ち帰ろうとする“熱き意欲”がほとばしる様な、そんな熱気が感じられました。
遣唐使として、この国のために、進んだ技術や知識を“先進国”に学び持ち帰ろうと正に命を掛けて海を渡って行った青年たち。我が国のそうした若者のほとばしる様な意欲が熱く高揚したのは、遣唐使と敗戦後のフルブライト留学生の二つだけだったのでしょうか。
以前、アジアからの留学生向けの奨学生面接をしていた時に、将来の自身の夢や成功を熱く語る中国人を中心とした若者が多かった中で、例外無く誰もが「遅れている自分の国の発展のために」と留学の目的を必ず語っていたベトナムからの留学生達を思い出しました。

 我が国の密教文化に触れて、阿修羅や弥勒といった仏像の様な人気や華やかさとは無縁な、しかしその深い精神性を感じ、少しは密教文化の世界を理解出来た展覧会でした。

 二日目の午前中、表参道に用事のある奥さまとは渋谷駅で別れ、私メはそのまま新宿へ。
この前テナントビルが取り壊されていて行けなかったディスクユニオンのクラシック館が、迂闊にもすぐ隣の紀伊国屋ビルの8階に移転していたことを知り、今回の自由時間に行くことにしました。
幾つか欲しかったCDを探した中でスクリャービンの作品の一枚だけが見つかったので購入し、併せて階下の紀伊国屋でも文庫本と新書版を物色して、これまた読みたかった新書版を購入(こちらは勿論信州でも買えるのですが)。
 奥さまからのいつもの表参道の駅地下のフードコートでの一緒のランチのお誘いを断り、一人の時しか食べられぬインドカリー(個人的には、南ではなく北インド料理が好み)を今回選択。しかし些かCD探しに時間を要し過ぎて時間が無くなってしまったので、スマホで検索して、一番近そうだった新宿駅の西口から300mらしいインド料理店をチョイス。どうやら都内に何店舗か構えるチェーン店らしいのですが、新宿のガード交差点からすぐの「シディーク新宿店」というインド・ネパール料理店。
食べログ的に評価の高い別の店が東口すぐの所にあるのですが、以前行ったら実際はインド料理専門ではなくメインはタイ料理店でした。

 「シディーク新宿店」は雑居ビルの2階にあり、それ程広くはありませんでしたが、ちょうど昼時でしたので会社勤めの方々がランチを食べていて、結構混んでいました。女性お一人で食べられている方も何人か。
ランチメニューの中から、王道のチキンカレーとナンをチョイスしました。
プチサラダが付いて税抜き780円とのこと。
運ばれて来た大きなナンはあまりバター臭はせず、シンプルな感じ。ナンをちぎって、カレーに漬けて食べます。チキンカレーはスパイスが効いて懐かしのインド料理らしい味ですが、辛さは無くマイルド。ただ、モモ肉のチキンが固過ぎです。もう少し柔らかく煮込んだ方が良いのにと思いました。
 これまで色んな所でインド料理を食べました。しかし、例えば昔出張で行ったインドでも、チェンナイ、バンガロール、ムンバイでも昼晩昼晩毎食“様々な”(地元の人は「今日は、昨日とは違う○○料理!」と言って案内してくれるのですが、我々には北と南、或いは食材の違い以外の違いは、正直全く分かりませんでしたが・・・)文字通り“本場”のインド料理を食べた筈なのですが、帰任後の日本国内は勿論のこと、赴任中月一度は食べに行ったシンガポールの北インド料理店、今は無き「モティ・マハール」以上のインドカリーはやっぱり今回も食べられませんでした。

 翌日早朝。長女が時差ボケで早く起きたので、早朝ウォーキングに行こうとのお誘い。ホテルには無料のドリップ式のコーヒーサーバーがあるので、帰りにベーカリーで朝食用のパンでも買って来がてら、蒲田周辺にはウォーキングに適したコースは無いのですが、ウォーキングを兼ねて西口方面へ行ってみることにしました。

 蒲田と云えば、我々の年代にとってはJR蒲田駅の発車メロディーにも使われている「蒲田行進曲」の通り松竹の蒲田撮影所が浮かびますが(因みに京急蒲田駅では地元出身の鈴木雅之さんがカバーした「夢で逢えたら」が使われています。個人的には作曲者大瀧泳一さんと歌い手は最初のシリア・ポールさんのイメージなのですが・・・)、町工場の集まる下町の工場地帯。最近では「下町ロケット」のイメージでしょうか。
次女が羽田空港勤務でなければ、我々も蒲田に来る機会は多分無かったと思いますが、夜中の治安等は不確かながら、また決して清潔でもありませんが、アーケード街や西口のバーボンロードなどの飲み屋街など、そこかしこに下町らしさが残っているように思います。

 少々歩いてから駅ビル内のベーカリーでパンを買って帰ろうとしたら、娘が、
 「朝食・・・、パンじゃなくてもイイ?」
と宣うので、
 「久し振りの日本だから、お好きなモノをどうぞ!」
すると、選ばれたのが、アメリカでは絶対に食べられないからと、ナント「富士そば」。しかも「朝ラー」ならぬ、こうした蕎麦店も朝からやってるんですね、知りませんでした。
 松本駅のホームの駅そば(結構美味しいんです、これが。しかも駅前には、ホーム内の駅そば店舗を運営している「イイダヤ軒」の、カウンターで座って食べられる蕎麦店まであります)を含め、出張や電車での移動中の時間が無い時は駅の所謂“立ち食いそば”をこれまで何度か食べたことはありますが(一番美味しいと思ったのは、関西方面への出張の帰りには必ずと言ってイイ程食べた名古屋駅ホームのきしめんでしょうか)、“蕎麦処”信州在住の我々は「蕎麦を食べるために」こうした“立ち食い蕎麦”店に入ること先ずありません。少なくとも家内はこれまでの人生の中で食べたことなどないと思います。ましてや朝食で“立ち食い蕎麦”など・・・。
信州にはありませんが、「富士そば」や「小諸そば」など都内ではあちこちで良く見掛けます。

 今回初めて入って、所謂“立ち食い”ではなく、ちゃんとテーブル席やカウンター席もあって座って食べられることを入ってみて初めて知りました。
長女はとろろそば、家内がわかめそば、そして私メは朝食メニューから朝そば(320円)をチョイス。個人的に温蕎麦(温かい汁そば)ではきつねか月見が好みなのですが、この朝蕎麦には小さいお揚げとわかめに温玉がトッピングされていました。
蕎麦はともかく(ニハチかどうかなどと蕎麦粉割合の詮索は無意味)、つゆも出汁が効いてしっかりしています。例えば“朝マック”はセットで400~500円前後するわけですから、朝メニューで320円というのは非常にコスパが高いと言えます。娘のお陰で、初めての“朝蕎麦”でしたが、結構満足感がありました。
店内には出勤前と思しき方々が次々に入って来られて思い思いに蕎麦を食べておられましたが、やはり女性客は殆ど皆無でした。
ある意味、ハンバーガーやパンケーキなどとは対極的な日本的な朝食メニューなのかもしれません。個人的には、昔ながらの喫茶店のゆで卵と厚いトースト(出来れば+プチサラダ)のモーニングセットが好みなのですが、
 「ナルホド、これもありかなぁ・・・。」

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