カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
この日のお目当ては、箱根ではなく小田原です。
箱根から小田原へは道がすいていれば30分ちょっと。箱根湯本を抜けるまでは、正月のTVで視るあの箱根駅伝の山登りと山下りのコースなので、カーブが連続する山道が車で混んでいると、特に道幅が狭い宮ノ下や湯本の温泉街や商店街でもし道端に停車している車などがいたりする場合は、箱根は観光にも重宝する路線バスの本数が非常に多いことも手伝って、すれ違いが出来ずに所々で渋滞が発生して余計時間が掛かってしまうのですが、それでも小一時間足らずで小田原漁港へ行くことが出来した。

相模湾は水深1500mで、アジやシラス、そして伊豆半島の東側の下田や稲取に代表されるキンメダイが有名ですが、このキンメダイは水深200mから800mという深い所に棲むれっきとした深海魚です。
因みに三大深湾の他二つは、伊豆半島を挟んだ反対側の駿河湾と日本海側の富山湾ですが、水深は駿河湾が2500mと一番深いこともあって、沼津や西伊豆では深海に生息するタカアシガニや色々な深海魚が名物というのも納得です。そして“天然のいけす”と呼ばれ、氷見ブリや白エビ、ホタルイカで知られる富山湾は水深1200mとのこと。三大深湾のどの湾も、それぞれに魚の宝庫です。


そのため止む無く他店を探すことにしたのですが、同じビル「小田原水産会館」の一角にある鰺専門店「大原」(アジフライの評判店の由)は大行列で、一時間待ちとのことで諦め。すると同じビルの奥に在った「港のごはんやさん」という食堂(第1726話)が運良く席が空いていたので入店。こちらは朝から営業されていて、早朝のセリが終わった漁港関係者の方々に人気のお店とか。ですので、必ずしも観光客相手ではない食堂の様でした(皆さん海鮮ではなく、カレーとかトンカツとか“普通”の定食を食べていました)が、そこはさすがに漁港の店で、我々が頼んだシラス丼とアジフライのセットも本当に美味しかったのですが、一昨年は二年越しでしたので念願の「やまや」の海鮮どど丼を頂きました。

そこで今回は早めにホテルを出発し、「やまや」に到着したのが11時の営業開始30分前の10:30でした。
店頭に置かれた順番表に名前を記入すると、ナント3番目。先客はお一人様のお客さんだったので我々が3人目と4人目ということで、この日が平日だったということもあるかもしれませんが、これなら有難いことにL字型のカウンターは10席ちょっとですが(全12席だったか?)一巡目で食べることが出来ます。
11時の開店時間になって暖簾が掛けられるとリスト記載順に名前が呼ばれ、右側のカウンター席から順に詰めて着席し、その順番通りにオーダーもしていきます。

最初のお二人は常連さんなのか、煮魚定食やブリ丼を注文されていたので、この日の「どど丼」は我々が最初の注文で、最初の方々の注文の調理が終わってから我々のどど丼用の刺身をそれぞれの柵から一切れずつ切っていくので、提供されるまでにはそれなりに時間が掛かります。でもカウンターなので、一人で刺身を切る大将(まだ若いお嬢さんです)やフライや小鉢汁物を担当する他のスタッフのきびきびした仕事ぶりが眺められるので、待つのも“然程”飽きません(と言うのも、お隣のグループは、待っている間に昼間からビールやサワーを何杯も注文されていて、帰りに奥さまが箱根の山道を運転するのは絶対にイヤだというので、飲めない私メは何とも羨ましくて、「早く“どど丼”来ないかなぁ・・・」)。

どの地魚も新鮮でプリプリで、夫婦共々大好きなヒラメを始めどのネタも本当に新鮮で美味しいのですが、中でも何種類もあった鯛の中の“〇〇ダイ”(“石鯛”だったか“花鯛”だったか・・・聞いても毎度覚えられず)と地物のアジは、それこそプッリプリでコッリコリと本当に新鮮で身が締まっていてまさに絶品!でした。こんなアジが食べられただけで本当に満足です。
それにしても、さすがは“日本三大深海”相模湾の地魚です。その十数種類の地魚の中の奥さまの苦手な光り物はいつも通りに私が頂戴するのですが、この日のアジは実際に臭みも全く無くて本当に美味しかったので、「騙されたと思って食べてみたら!?」と家内にススメると、光り物が苦手な奥さまも、
「あっ、美味しい!これなら食べられる・・・」
と、生まれて初めて美味しく感じたそうです(これまでで、家内が苦手というネタを食べられたのは、今回のアジと以前南紀白浜で食べたモチガツオだけではないでしょうか)。

“海鮮どど丼”のご飯は酢飯で、普通盛りか小盛か事前に聞いてくれるので、この日は二人共普通盛りにしたのですが、さすがに家内は残さず食べるのに必死で、「もう今日は夕ご飯は要らない!」と言う程に満腹になった由。
今回も本当に満足満腹の、念願だった「めし家やまや」の“海鮮どど丼”とアジフライでした。

余談ですが、この発泡スチロールの箱は、帰る前に次女の家様に購入した「相原精肉店」のローストビーフとミートローフを入れて(松本までは、お土産に購入した場合の干物や蒲鉾用にちゃんと大きな保冷バッグを持参して来ています)、松本からクール便で送るのにちょうど良い大きさで役立ちました。


この「ミナカ小田原」は、旧小田原宿をイメージしたという「小田原新城下町」からなる商業施設だそうですが、木曽の奈良井宿や妻籠宿の様な文化的価値は全く無いとしても、箱型の近代的なビルを建てるよりも、城下町としての再生化にはむしろ似つかわしくて、観光客の集客効果もある商業施設だと思います。
ですので、現在松本はパルコ撤退や地場のデパートの閉館などに伴い駅周辺の空洞化対策が叫ばれていますが、同じ城下町であるこの小田原の「ミナカ小田原」や3年前に行った彦根で、同様に江戸時代の城下町をイメージしたという白壁と黒格子の町屋風に統一された街並「キャッスルロード」などを見倣って、単純に商業施設を誘致するのではなく、またお金をそれ程掛けずとも、縄手通りの様な江戸時代の長屋風でも良いので、松本城を活かす取り組み、城下町らしさを持った活性化に拠って、松本駅から松本城までの回遊が楽しめる様な“お城を中心とする城下町づくり”の方が好ましいのでないかと感じた次第です。
昨年は残念ながら、店舗ビル改装のための長期休業中で購入出来なかった、箱根の別荘族に人気の「相原精肉店」。
今回の箱根行では既に改装なって営業されていたので、行きと帰りと二度買いに行きました。


奥さまに依ると、ローストビーフは種類が以前よりも増えて三種類になっていて、今回は脂の刺しが一杯に入ったモノと赤身のモノとの中間を購入したとのこと(それでも軽くグラム1000円越えです)。そして、「焼き」と「煮込み」の二種類あるミートローフは今回は煮込みを買ってみた由。


先ずはローストビーフ。機械切りで極薄ですが、柔らかくて美味!でも、出来ればもう少し厚い方が、もっと食べた時の満足感がUpする気がします。
そして煮込みミートローフ。記憶にある前回(焼きだったのか?)よりも味が濃くて旨!イヤ、これは美味しい、なかなかの逸品です!
箱根の別荘族だけでなく、遠方からも買いに来られるというのが良く分かります。
因みに、後日ホットプレートで焼いた足柄牛のミニステーキや焼き肉用の牛肉も、臭みも無く柔らかくて美味しかったこと!しかもグラムがナント400円台だった由。

因みに、前回の機械切りが薄かったので「もう少し厚く」と家内がお願いしたら、機械ではなく手切りで厚めに切って頂いたとのこと。グラムの価格は手切りでも変わらないので、その分手間を掛けさせてしまったと奥さまは恐縮しておりました。申し訳ありませんでしたが、おかげさまで次女一家にも大変好評だったことを申し添えます。ありがとうございました。
箱根湿生花園周辺にはペットOKのレストランが無い(仙石原でテラス席がワンコOKのレストランでは、以前レストランでの飲食だけでも入場出来た星の王子様美術館は閉館、インド料理のアズール・ムーンは、味はともかく非常に不愉快な対応をされた経験あり)ことから、ワンコと一緒にランチを食べるために芦ノ湖へ下りました。
観光地である箱根もご多分に漏れず、ワンコOKというレストランは多くありません。
因みに、何度も繰り返しますが、飽くまで我々がこれまで経験した中ではありますが(長女や奥さまに依ると、米国はNYもLAもどこへ行ってもDog Friendlyで素晴らしいとのことですが)、この国では残念ながら軽井沢以外には“ Dog Friendly ”だと感じた観光地は今のところありません。

ワンコとは芦ノ湖を一望できる開放的なテラス席で食事を楽しめます。しかし、この日は平日ですがインバウンドの観光客でどこも混んでいて、陽気も良いことからレストランのテラス席も30分待ちとのことだったので、一応名前を書いてから他の店も当たってみることにしました。
次の、こちらも湖のほとりにある「ベーカリー&テーブル」も行列が出来る人気店で、1階は自家製のパンが並ぶベーカリーとテイクアウトのドリンクなどが販売されているパーラー、2階がカフェ、3階がレストランになっているのだそうで、ペットを同伴できるのは1階のテラス席なのですが、こちらも満席。
そこで、家内を待たせて、昨年もコユキも連れて入った国道1号線沿いの「箱根唐揚げKARATTO(カラット)」へ席があるかどうか見に行ってみると、まだ空席があって大丈夫そうでしたので、家内を呼びに行って結局今年もこちらで食べることにしました。

この日の店内は外国人観光客ばかりでしたが、カート毎入店して入口近くのテーブルに座ることが出来ました(その後、何組か来てすぐに満席、順番待ちになりましたので、我々はラッキーでした)。
店内にはワンコ専用の水のボールもありますので、コユキとクルミにおやつを上げてから、水も飲んでカートの中で休憩。隣のテーブルに座ったフランス人と思しき母娘(?)のから尋ねられて喜んで承諾すると、お母さんがコユキとクルミの写真を撮っていました。

この店の唐揚げは、ハーブと白ワインに漬け込んだというチキンの下味が独特で、またフィッシュフライも箱根らしくアジを使っているのか(?未確認ですが、通常の白身のタラとは違ったような)フワフワで、チキンは添えられてくる白ワイン漬けというクリームチーズを載せて、またフィッシュ用には自家製タルタルソースを付けて頂くのですが、どちらもとても美味しかったです。

初めて訪ねたのが7年前の秋。そして昨年の春に二度目の見学をしたポーラ美術館。この日は一日雨予報だったので、ヒメシャラの森の1㎞にも及ぶ木道の遊歩道散策は無理ですが、館内でじっくり名画を見て、その後でゆったりと雨に煙る外の森を眺めながら喫茶室でノンビリするのも良いだろうと、この日三度目の訪問になりました。
これまで訪ねた美術館の中では、個人的にはこのポーラ美術館と山種美術館が一番のお気に入りなのですが、例えば広尾の山種美術館などは月曜日が定休日で、以前知らずに訪ねて休館だったことがあった(事前にちゃんとチェックしなかったこちらが悪い)のですが、ポーラ美術館は企画展の開催期間中は無休とのこと。
ポーラ美術館は箱根という観光地に在るので、都会の美術館と違い、箱根には観光で来て滞在日程が限られる観光客にとって(企画展の期間中)無休というのは本当に有難い限りです。その代わり、その企画展が終わると、次の企画展への展示作品の入れ替え作業のために10日間程休館するのだそうです。

しかし、この美術館の魅力はその収蔵作品だけではなく、箱根の国立公園の立地を生かして、ヒメシャラやブナなどの広葉樹林の中に全長約1kmにも及ぶ木道の遊歩道が設置されていて、林間に置かれた彫刻などのオブジェとその見事な大木のヒメシャラの林の中を、風の音と小鳥のさえずりを聴きながら、四季折々、例えばこの時期なら山桜や馬酔木の花と木々の芽吹きを愛でながら散策出来ることです。
ビル街の中に在る都会の美術館では決して味わえない、箱根の仙石原の森に在るからこその贅沢な癒しの時間であり、ここでは絵画鑑賞だけではなく素敵な森林浴をも楽しむことが出来ます。まさに“自然との共生”が実現されているのです。

『近代から現代までの美術家たちが獲得してきた「色彩」とその表現に注目し、色彩論や色を表現する素材との関係にふれながら、色彩の役割についてあらためて考察するものです。チューブ入りの油絵具を巧みに扱い、さまざまな色彩によって視覚世界を再構築した19 世紀の印象派や新印象派をはじめ、20世紀のフォーヴィスムの絵画や抽象絵画、そして色彩の影響力によって観る者の身体感覚をゆさぶる現代アートにいたる近現代の色彩の歴史を、おもに絵画や彫刻、インスタレーションによって読み直します。』
とのこと。


“色”については、19世紀になってフランスで誕生した色彩論の発展等もありますが、ピカソの「青の時代」の「青」やレオナール・フジタの「白」に関する現代科学に依る分析結果も大変興味深かったです。



そして、スポットライトと組み合わされた「ステンドグラス」の背後の壁に映し出された色彩の不思議な幻影・・・。
「絵を描くことは、終わりのない課題を解き続けること」という坂本夏子女史。何だか“描く哲学者”と言ったら見当違いでしょうか・・・??




坂本夏子、グオリャン・タン始め、展示されている色彩のマジックの様な作品を見ていると、何だか不思議な色彩感覚に包まれるようでした。


また企画展とは別に、今回のコレクション展として、ポーラ美術館が新たに収蔵したというピカソの版画芸術の最高傑作とされる『ヴォラール連作』全100点などが展示されていてこ、ちらも見応えがありましたました。


コロナ禍の影響もあったようですが、クラシックコンサートでも同様に(最近のコンサートでは、カーテンコール時のみ撮影OKという演奏会が都会では増えています)、SNS等で写真を掲載して貰うことで拡散して集客に繋げようとの狙いだそうですが、本当に良いことだと思います。
コンサートホールも美術館も上品ぶって“お高く”留まることなく、(モナリザさえも撮影OKのルーブルを始めとする海外の美術館同様に)お客目線に立って如何に喜んで足を運んでもらうか、更に子供たちも含めて今後のファン層拡大に如何に繋げるか・・・の方が、経営面においても遥かに重要だと思います。
この箱根には「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)」をはき違えた様な、二度と行く気にもならない成金趣味の“これ見よがし”の美術館もありましたが(どうやら有名作品を所蔵していること自体に意義≒自慢に感じておられているのか収集の中心軸がハッキリせず、また展示内容でも例えば重要美術品だという銅鐸や埴輪に考古学的に重要な情報である出土地が記載されていないなど、学術的な作品紹介や時代背景等の解説が不親切だったり、展示品リストの通し番号が展示作品自体には書かれていなかったりとお粗末の一言)、そことこのポーラ美術館とではその精神に雲泥の差を感じます。

地下2階の常設展の展示を見終わり、地下1階の「CAFE TUNE」へ。斜面を活かして、自然光も取り入れられた地下1階とは思えぬ開放的な空間で、天井までのガラス窓が開放的で、その向こうにはヒメシャラの森が拡がるオシャレで素敵なカフェです。

箱根二日目。この日は快晴で、朝ワンコたちと散歩に出掛けながら、
「あぁ、今日金時山に登れば富士山がキレイに見えるだろうなぁ・・・」
と少々恨めし気。奥さまからは、
「だったら、独りで登れば!?」
とつれないお言葉・・・。
そこで今日は、ワンコもOKな箱根の観光スポットに行くことにしました。
キャリーやクレートに入れて顔を出させなければ、箱根登山鉄道もロープウェイもJRや他の私鉄同様に乗車可能なのですが、ホテルから乗るまでの移動が大変なのでパスして、車移動です。
まだナナが元気だった5年前には強羅公園へも行きましたが、公園からの景色や園内のバラなどの植生は見事だったのですが、ワンコ連れには階段が多くてカートだと大変でした。そして、箱根園は駒ヶ岳へのロープウェイも乗ってコユキと2年前に行きましたし、その後箱根神社にも一緒に参拝しています。また仙石原に在る箱根湿生花園には、ナナとコユキで4年前に行き、ドッグカートに入って園内を回りました。
ですので、ワンコOKの箱根のスポットはある程度行っているのですが、今回選んだのは二度目となる箱根湿生花園です。
この箱根湿生花園は箱根町の町立で、日本で初めての湿生植物園だそうです。場所は同じ仙石原の平地に在り、3万㎡の広さの園内の湿原や草原に、約1700種種の植物が四季折々の花を咲かせていて、広い園内には木道などがあって、抱っこするかカートに入れればワンコも入園OKです。こちらは平坦な湿地帯に拡がる植物園で整備された木道もあり、「強羅公園」の様な急坂の傾斜地を活かした公園ではないので、ここならコユキとクルミもドッグカートに入って一緒に散策することも出来ます。





