カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 人生60年、今まで生で歌舞伎というモノを観たことはありません。松本でも、10年程前から平成中村座のコクーン歌舞伎が2年に一度「まつもと大歌舞伎」としても演じられるようになり大変な人気ですが、我々は一度も行ったことはありませんでした。
 今回、たまたま歌舞伎座での観劇のお誘いがあり、奥さまが「一度歌舞伎を見てみたい」とのことから参加することにしました。松本から往復観光バスで歌舞伎座横付け。チケットも昼食も全て用意されているので、初心者も安心です。
今回の「二月大歌舞伎」は、世間でも話題となっている「高麗屋親子孫三代襲名披露公演」です。但し松本からの日帰りのため、三代襲名披露口上などが行われる「夜の部」は無理な事から、11時開演の「昼の部」を観賞。
6時半に松本を出発し、途中SAで休憩し、10時半頃歌舞伎座に到着、観劇終了後の4時頃歌舞伎座を出発し、夜7時半頃松本到着というスケジュールで、参加者は20名程でした。

 「二月大歌舞伎」の「昼の部」の演目は、次の四幕。
一、春駒祝高麗 
二、一條大蔵譚
三、歌舞伎十八番の内 暫
四、井伊大老
 人生“初”観劇故、歌舞伎には疎く全く説明出来ませんので、歌舞伎座の「あらすじ」をそのまま引用させていただくと、
『一、春駒祝高麗(はるこまいわいのこうらい)
 初春を迎えた工藤祐経の館に乗り込んだ曽我十郎と五郎の兄弟。春駒売りに身を窶(やつ)し賑やかに踊ってみせる。そして、親の仇である工藤と対面するが…。
 襲名の幕開きを祝うに相応しい華やかな舞踏が舞台を彩ります。
工藤祐経を中村梅玉、曽我五郎と十郎の兄弟を中村芝翫、中村錦之助。

二、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
 平家全盛の世、夫源義朝を亡くした常盤御前を妻に迎えた一條大蔵卿は、その阿呆ぶりが世間でも広く知られる。大蔵卿の館に潜り込んでいた源氏方の吉岡鬼次郎は、源氏再興の思いをなくした様子で楊弓に興じてばかりいる常盤を打ち据える。しかし、常盤の振る舞いには訳があり、そこへ大蔵卿が勇ましい姿で現れると…。
 義太夫狂言の大役を、新幸四郎が襲名披露狂言にて勤めます。

三、歌舞伎十八番の内 暫(しばらく)
 早春の鶴ヶ岡八幡宮、威厳を誇る清原武衡に対して、加茂次郎義綱が不遜な振る舞いを非難すると、武衡は義綱の首を刎ねるよう命じた。そのとき、「しばらく」と大音声がかかると鎌倉権五郎が颯爽と登場し…
 権五郎が見せる元禄見得や幕切れの豪快な六方は大きな見どころです。歌舞伎十八番らしい荒事をお楽しみいただきます。
成田屋の十八番に相応しく権五郎に市川海老蔵が扮します。

四、井伊大老(いいたいろう)
 時は幕末。開国を決断し、暗殺の危機に晒される大老井伊直弼。雛祭りを控えたある日、直弼の側室お静の方のもとに旧知の仲である仙英禅師が訪れ、直弼に危機が迫っていることを伝える。自らの死すべき運命を覚った直弼は…。
 桜田門外の変までの井伊直弼とお静の方との情愛を、繊細な心理描写で描く名作をご堪能いただきます。 直弼は中村吉右衛門。』
とのこと。
 当日は、初心者にも分かり易い様に「イヤホンガイド」も用意していただいていました。恐らく事前に録音されていると思うのですが、まるでLIVEのようにドンピシャのタイミングで解説が入ります。また歌舞伎独特の化粧である隈取りで役者の素顔が分かりませんので、登場し初台詞の際に役者名と屋号も紹介してくれます。また見所、例えば海老蔵扮する権五郎のツラネと呼ばれる長台詞(襲名披露のお祝いも交えながら客席を沸かせます)や荒事と呼ばれる見得や花道を退場する際の六方など、邪魔にならぬよう解説が入るので、全く知識が無くても目の前の演目を十分楽しむことが出来ました。
また悪人、善人の衣装の区別など細かい部分まで知ることが出来ました。
草間弥生による襲名披露のお祝い幕も華やかでした(松本で3月から開催される展覧会でこの原画も展示されるそうです)。ただ新作歌舞伎の演目という「井伊大老」で、人間国宝中村吉右衛門が私メにはどうしても鬼平に見えてしまうのは我ながら情けない。

 また二幕と三幕の間に3階のレストラン「花篭」に移動して、これぞ正真正銘の幕の内弁当をいただきました。ただ幕間が30分しかないので味わう程の余裕はありません。従って、観劇には銀座のデパ地下などで老舗の料亭のお弁当を買って来るか、或いは一階の桟敷席だけが予約可能なお茶と一緒に用意される幕の内弁当をゆっくり頂くのがここでは一番贅沢だと納得した次第。
 初めての歌舞伎。着物で来られるご婦人方も多く、華やいだ雰囲気。お開きになり、賑やかなロビーでは夜の部のご贔屓筋や招待客を出迎えるカウンターで松たか子嬢のお母上でもある松本白鸚夫人が何やら忙しく準備をされていて、大昔まだ染五郎の頃、ご夫婦二人でマンズワインの 確か“♪夫婦でワイン、なんてね~”という CMに出られていたのを突然思い出しました。
 最近興味を持っている古典落語にも「淀五郎」や「中村仲蔵」など歌舞伎の人気演目である「仮名手本忠臣蔵」を題材にした演目もありますし、代表的な落語の人情噺の「文七元結」や「芝浜」は歌舞伎の演目になっており、「駱駝」も新作歌舞伎の演目として演じられたこともあるのだとか。落語同様に、江戸庶民の楽しみだった歌舞伎。人情劇や勧善懲悪など、ストーリーそのものは至ってシンプルですが、長唄や義太夫といった歌舞伎音楽、見得や独特の台詞回しなどと相俟って、総合芸能とでも言えそうな歌舞伎舞台。古典芸能観賞もたまには良いモノだと納得した次第。大いに楽しむことが出来ました。

 最終日はゆっくりとホテルを出発。迎えに来てくれたバスのガイドさん曰く(彼等は洞爺湖畔のホテルに宿泊)、
 「昨夕のホテルからの帰り道でキタキツネに会いましたので、もしかすると今朝も見られるかもしれませんヨ」
湖畔に降りる「ザ・ウィンザーホテル洞爺」のアクセス路では、残念ながらこの日はキタキツネを見掛けることは出来ませんでした。

 洞爺湖畔からICに入り、高速道路で室蘭、苫小牧を経て千歳に向かいます。途中、ハクチョウなどの渡り鳥の集団飛来地という「ウトナイ湖」(ラムサール条約登録湿地)の道の駅に立ち寄り(道の駅の直売所で売られていた地場の野菜類が、大きくて安くて見事だったこと。さすが北海道)、ツアー最後の観光目的地である「ノーザンホースパーク」へ。

サラブレッドと云えば日高地方が有名ですが、この苫小牧の牧場もG1レースの優勝馬を数々輩出した名門牧場(競馬に興味が無いので知りませんが、有名な社台グループの経営する牧場とか)だそうです。こちらではポニーショー見学の後、現地にて昼食タイム。我々は最後に千歳空港で食べることにしていたので、家内は朝ホテルで購入した「ブーランジュリー・トウヤ」のパンで小腹を満たします。
ツアーコンダクターさん曰く、
「ポニーショーの馬たちが(派手さは無いけど)地味で可愛いのヨ!。騙されたと思って見てごらんなさい、分かるから」
との言葉に中高齢者中心のツアーメンバー全員ポニーショーの会場へ。
二匹のポニー、キンちゃんとスーちゃん。これが芸達者で笑いも取るなど、ご褒美のニンジンねだりとはいえ良く躾けられていて、ホント“地味に”可愛かったです。ちっちゃい子は喜ぶだろうなぁ・・・。
 パドックや厩舎では馬が遊んでいたりして、餌(ポニー専用クッキー200円)をあげたりと彼等と触れあうことも出来ます。良く言われますが、大きくてクリクリとした馬の目の可愛いこと。真っ白な雪の牧場も素敵でしたが、やはり緑に覆われた夏の牧場はもっと素敵でしょうね。
因みに他のツアー会社のコースでは殆ど同じコース内容ですが、最終日は牧場ではなく昭和新山が入っていました。登別よりも規模は小さいのでしょうがクマ牧場もあるそうです。果たしてどちらが良いのでしょうか?せっかくなので洞爺湖周辺も見てみたい気もしますが、雪に覆われた冬のツアーですのでどうなのかなぁ?
 牧場を出ると空港はすぐ近く。知りませんでしたが、2機の政府専用機は通常新千歳空港に駐機しているのだそうです。この日機体を見ることは出来ませんでしたが(第2次安倍政権になってから出払うことが多いので)、時々格納庫から出ていることもあるのだとか。
政府専用機の乗員は自衛隊の皆さんが担当していますが、新千歳空港は現在では航空自衛隊が使う旧来の千歳空港に併設されています。
 搭乗手続きを済ませ、ここでツアーは解散。皆さん思い思いに自由行動です。我々はお土産はもう購入済みなので、少し遅めの昼食へ。北海道らしい地元の味に限っても、ラーメンや豚丼、寿司や海鮮丼にスープカレーなどなど・・・。巨大空港故に様々なレストランがありますが、お互い好みが分かれるので、フードコートへ行って私メは最後に「松ジン」のジンギスカン丼とサッポロクラシックの生ビ-ル、奥さまは何故か韓国料理店のビビンバの由。そう云えば、探しには行きませんでしたが、このフードコートのどこかには千歳空港を舞台にした“♪愛が飛び立つ~北空港”の歌詞碑があるそうです。北海道を舞台にした歌は多く、また北海道出身の松山千春、安全地帯、中島みゆき、ふきのとう・・・etcと、北海道出身のニューミュージックやフォークソングのミュージシャンも数多いのに、何となくイメージは演歌でしょうか(そう云えば、「宗谷岬」も船村徹作曲でした)。
 「憧れのザ・ウィンザーホテル洞爺と札幌・小樽 優雅な休日3日間」
オフシーズンのツアーで無ければ泊まれない高級リゾートで、フレンチの夕食もミシュランの「ミシェル・ブラス」ではなく、ツアー専用に用意された内容と食材ではあります。しかし、オンシーズンであればツアー料金全てがホテル代に消えそうな値段で、東京からのエアと札幌のホテル代も含まれているのですから。まぁ、確かに自由行動が多く、団体行動での観光はノーザンホ-スパーク以外は無料ですが、もし個人で行こうと思ったら、交通費を含めてこの値段では到底不可能でしょう。リピーター参加の多い人気コースというのも納得でした。また、札幌の雪まつりも是非一度は見てみたいと思います。

 “でっかいどぉ 北海道!” (また来ま~す!!)

 北海道の魅力は何と言ってもグルメです。そこで、今回は二泊三日と日数が限られてはいましたが、ジャンル毎に今回食べることが出来た内容についてご紹介したいと思います。

 先ずは「回転寿司」。
会社員時代に、事業所の在った札幌や千歳に何度も出張しましたが、赴任者曰く「(北海道では)回転寿司で十分!」とのことで、実際連れて行ってもらい、その本場の新鮮なネタに唸らされたものでした。今回、東京の銀座と丸の内にも出店して大人気という「根室花まる」が、駅ビル(JRタワーのステラプレイス)内にもあるというので、千歳空港から札幌到着後そちらで遅めの昼食をとることにしました。さすがに人気店らしく、地元の方や海外からも含めて我々の様な観光客で、平日でも当然ながらの長蛇の列でした。
ホタテやサーモン、ボタン海老や銀かれいといった北海道ならではの新鮮なネタもありましたが、光物で好きな鯵やイワシは例えば長崎産。北海道まで来て九州のネタを食べることもあるまいと注文は断念しました。ホンマグロのトロは旨かった。ボタン海老やホタテも新鮮だったそうです。因みに、大振りのボタン海老には軍艦も付いて来て、頭の部分の味噌を自分で出して載せて食べる仕組み。新鮮だからこそなのでしょう。カニも含め味噌は好まれぬ奥さまですので、私メが頂戴しました。
 また、小樽では猛吹雪の中、予定した有名な「寿司屋通り」に行けず、お土産を購入していたかまぼこ屋さんの隣接していた回転寿司「和楽」へ飛び込みました。こちらでは「根室花まる」よりも「ヒラメ」はエンガワ含めて旨かった。カウンターの中の職人さんや店員さんも皆さん若くて元気で、店全体に活気があって良かったです。
しかし、我々の嗜好がウニやイクラ、更にホッキ貝などの活貝類には向かないので、新鮮な地元ネタを余り注文していないという嫌いはありますが、且つ特に光物が好きという私メの個人的嗜好も手伝って、東京の「美登利寿司 活」の方が全体的にはむしろ好みでした(と後で言うと奥さまも「同感!」とのことでした。しかし松本に帰って来てからある人から教えてもらって知ったのは、北海道でしか食べられない?「タコの子の寿司」が絶品なのだとか。今度来たら是非試してみたいと思います)。
ところで、小樽へ向かう途中、札幌郊外の市街地で全国チェーンの回転寿司店を見掛けましたが、「根室花まる」や「トリトン」など、東京に進出するほど地場の回転寿司が隆盛の中で、いくら一皿100円とか低価格を謳っても果たして対抗出来るのだろうかと疑問を持ちました。

 続いて、グルメ的には札幌の夜は、何と言っても“生ビールとジンギスカン!”でしょうか。
当初は観光も兼ねて「サッポロビール園」へ行こうと思っていたのですが、当日早朝からの信州からの移動と半日の札幌観光で些か歩き疲れたこともあり、郊外のビール園へ行くのは断念して、街中の南3条のすすき野にある「キリンビール園の新館アーバン店」へ行くことにしました。
予約をせずに行ったのですが、幸い平日だったこともあり即入店可。昔からバイキングや食べ放題では“元の取れない”(注:飲み放題は除く)我が家ですが、結局“二大ジンギスカンと道産山ワサビの三枚肉食べ放題”と飲み放題(勿論、私メのみ)を選択。
これは生ラムと付けダレの二種類のジンギスカン、豚の三枚肉(豚バラ)とソーセージ、焼き野菜の食べ放題。
因みに北海道で“山わさび”と呼ばれるのは、普通ローストビーフに薬味として添えられるホースラディッシュのこと。所謂“本わさび”と呼ばれる山葵は育たないのか、こちらではこの“山ワサビ”が栽培されていて「ワサビ」として一般的な様です。
また飲み放題は、キリンの工場直送の生ビールを始め、(キリン以外の)ワインや日本酒も含めた飲み放題でした(迷っていたら、「ビール3杯で元が取れますヨ!」というアドバイスに躊躇なく決定した次第)。
“松ジン”に代表される本場の付けダレに期待していたのですが、食べてみた結果は・・・最近の流行同様に我々も生ラムの方が全く臭みも無く柔らかくて好評。結局生ラム中心のオーダーとなりました(ソーセージも美味しかったです)。工場から直送されるキリンのプレミアムビール「ブラウマイスター」の生も最高でした。いくら“食べホー”とはいえ、頼んだモノを残すのはマナーに反するので、最後は無理して完食。
 「イヤぁ、食べたー!気持ちワリぃ~」
奥さまも、デザートは不要との珍しきお言葉。
幸い、機内で配布された北海道観光の情報誌に「キリンビール園」の10%OFFクーポンがあったので、有難く使わせていただきました。
 「ごちそうさまでした!」
腹ごなしも兼ねて、また歩いて帰ることにしました。
 次にホテルでの食事について。
先ず札幌で泊まった「札幌ニューオータニイン」。こちらのホテルは札幌駅から近く、元々は「ニューオータニ」として開業し25年とか。7年ほど前に「ニューオータニイン」としてリニューアルオープン。ビジネスホテルよりは部屋も広く快適で、シティホテルより値段もリーズナブルとして人気の由。数年前に友人と北海道旅行した次女も、札幌でこちらに泊まったのだとか。50種類にも及ぶメニューの朝食バイキングが評判とのこと。
その朝食バイキングで用意されていた中でも、取り分け地元産の牛乳の美味しかったこと。何杯もお替りしました。
またウィンザーホテル洞爺の朝食で、和食と洋食が選択可能で、我々は人気というブーランジュリーのパンが食べ放題の洋食(アメリカンスタイル)をチョイスしたのですが、そのパンは勿論ですが、個人的にはトマトジュースが美味しくて、こちらも何杯もお替りをしてしまいました。
 ウィンザーでのハイライトであろう夕食には、洋食/和食/寿司/中華と用意された各コースから、ツアー参加者各自がお好みで事前に選択予約するシステム。洋食以外は、メインダイニングのフレンチレストタン「ミッシェル・ブラス・トーヤ・ジャポン」同様にミシュラン(北海道版)2つ星の「あらし山吉兆」などのホテル内のレストランで、選択者が多い(であろう)洋食はホテルの宴会場使用とのこと。
せっかくのサミット会場となったホテルですので、ここは迷うことなくフレンチのフルコースを選択しました。食事会場の地階の宴会場は、サミットに使われた会場だそうです。
「北海道の海の幸と洞爺湖畔の畑の恵」と題され、ホテルの総料理長監修のコースは、メインダイニングのミシュラン「ミッシェル・ブラス」の通常コースとは恐らく異なり、ツアー用に素材を工夫して用意されたコースだと勝手に理解しましたが、調理と盛り付けはそれなりに手の込んだ内容で、一応それなりに満足出来ました。

 それこそ、海の幸も農産物にも恵まれた“グルメ王国”北海道。
四季折々の旬の食材もあり、僅か数日、且つスポット的(今回は道央だけの)滞在で全てを食することなど到底出来ません。その意味で、ラーメンも厚岸の牡蠣も、またトウモロコシも十勝の豚丼や札幌のスープカレーも今回は味わうことは出来ませんでしたが、限られた日数/コースの中でそれなりに満足(次また来た時のために、その楽しみは取って置くという意味も込めて)出来ました。

 さて今回のツアーの中で、私メがグルメ的に本当に美味しくて感動した「ベスト3」は・・・、
1位“ニッカウヰスキーのシングルモルト余市”
2位“ニューオータニイン札幌の朝食バイキングでのフレッシュミルク”
3位“ウィンザー洞爺「ギリガンズアイランド」の朝食のトマトジュース”
・・・でありました。
「いやぁ、本当に美味かった。ごちそうさまでした!」

 翌朝、6時営業開始の温泉へ。正式名称が「リゾート&スパ」と名付けられている通り、洞爺湖温泉のみならずスパや室内プール等も備えていて、これらもホテルの“顔”なのでしょう。
「山泉」と名付けられた温泉は、露天ぶろ付きの檜風呂と石風呂の大浴場が男女日替わりとのこと。泊まった翌日の男湯が朝から露天ぶろ付きの檜風呂だったので、家内は前夜食事の後に行きましたが、私メは翌朝湯浴みへ。
2階のスパに行く時のみ室外着用可というバスローブとスリッパ。前日奥さまが私服で行ったら全員がバスローブだったので、わざわざバスローブ着替えに来たので、私メは最初からバスローブで。2階の端にある温泉までは長いアプローチ。6時過ぎに行ったのですが、既に混んでいて、その殆どは中国系のお客さん。しかも露天風呂は全員チャイニーズで、中国語だけが飛び交っていました。日中友好でも良いのですが、浴槽に入る時に「掛け湯」もせずに入浴するのには閉口。浴室のロビーにはちゃんと中国人スタッフもおり、公衆浴場に馴染の無い中国系のゲストに入浴の仕方を説明しているようでしたが・・・?。これではせっかくの高級リゾートの品格が下がります。因みに、その後散歩する時に玄関に─付けされていた観光バスンプレートには「華南ナントカ証券会社」の文字がありましたので、中国バブル経済の株投資の顧客か、はたまたインセンティブの社員旅行の団体だったのでしょう。どうやって稼ごうが、経済力を反映して変換された貨幣価値は等価ですから。高級リゾートの露天風呂を占領する中国語に、正に中国市場の経済力をまざまざと感じさせられた次第。
4年前に経営主体が変ったことも手伝ってか、我々もそうですがツアー客を集めて客室を埋めないと、特にオフシーズンの稼働率を上げるのは難しいのかもしれませんね。しかも殆どはアジア系中心の外国人観光客でした。

 止む無く早々に部屋に戻り、出発は10時とゆっくりですので、せっかくなのでウォーキングがてらホテルの外へ出てみることにしました。
何しろ前日とは打って変わっての快晴で、洞爺湖を眼下に望む部屋からも朝日と湖と、そしてシンボル“蝦夷富士”羊蹄山の見事な景色が望めましたので。
ロビーでホテルのマネージャーらしき方にコースをお聞きすると、ホテルの見取り図をくださり、雪が無ければ一周出来るそうですが、恐らく除雪されていない部分があるとのことで、行けるところまで歩いてみることにして「雪に気をつけて」の声に見送られてホテルの外へ。
かなりの積雪でホテルの周囲は真っ白。しかし、重機でキレイに除雪されていました。しかし、この寒さですので道路は圧雪もしくは凍結路。注意を払って小股で歩きます。従業員の方の駐車場(宿泊客は屋内駐車場)からの羊蹄山の見事な事。麓の標高も低いのかもしれませんが、“蝦夷富士”の名に相応しい円錐形(今では使われないそうですが、我々の中学時代はコニーデ型と学習しました)の見事な火山です。その雄大な山容からは、(周囲のチョット小高い山がすぐに2000m級という我々信州人にとっては)羊蹄山の標高が1898mしかないというのが信じられないほどに堂々とした姿。“信濃富士”(因みに中信地方では、火山ではありませんが、その山容から安曇野の有明山2268m。北信だと2053mの黒姫山がそう呼ばれるそうで、こちらは複式火山)が些か恥ずかしくなるほどの威容に暫し見とれていました。これが本来のホテルからの絶景に納得でした。
また、周囲の木々が樹氷でキラキラと輝いていました。最初霧氷かと思いましたが、気温の低い北海道ではパウダースノーで湿っていないことから、有名な“モンスター”蔵王の樹氷の様に木々が雪で覆われる様な樹氷にはならないのだそうです。
洞爺湖の反対側、太平洋の内浦湾を望む斜面がホテルのプライベートスキー場になっていて、なだらかなパウダースノーの斜面と白い樹氷の木々に向こうに青い海。ずっと眺めていたい様な景観が拡がっていました。
下からジョギングで上がって来た女性の方に、
 「お早うございます。朝のジョギングですか?キレイな風景ですね!」
と、朝の挨拶をすると、ナント出勤するホテルのスタッフの方。
出勤途中で時間を気にされていたでしょうに、
 「はい、こんな美しい場所で働けて本当に幸せです!」
と、内浦湾などの周囲の景観と先程の樹氷の件を教えてくれました。
 「出勤途中で引きとめて申し訳ありませんでした。どうぞ行って下さい。」
 「では失礼します。是非楽しんで行ってください!」
と、爽やかに雪の中を走って行かれました。

 ホテルの品格は景観や施設だけではなく、スタッフの質でも創られている・・・実感でした。
 戻り、朝食会場へ。用意されていたのは和食と洋食の選択ですが、我々は迷わずフレンチダイニング「ギリガンズアイランド」へ。洞爺湖を眺められる窓側の席で、ゆっくりと朝食を楽しむことが出来ました。
ただ残念だったのは、人手不足か或いは経費削減か、レストランのスタッフが少なく、二度も催促しないとコーヒーがサーブされなかったこと。せっかくスタッフの方の質の良さを実感した後でしたので、余計残念でした。
 10時の出発故、早朝ウォーキングの後ゆっくりと食事をし、ウォーキングで雪のために来られなかったホテル外の洞爺湖側に出て写真撮影。館内に戻って、ウィンザー名物というブーランジェリーでこの日の昼食用のパンやホテルショップでホテルグッズの中からお土産品を(奥さまが)購入しました。それから部屋に戻り、支度をして早めにチェックアウトを済ませ、暫しロビーでホテルスタッフの方々共早朝のウォーキングや山のことなど談笑し、スタッフの方々に見送られて、名残惜しい「ザ・ウィンザーホテル洞爺」を後にしました。また来ま~す!

 余市を出て、今回のツアーのハイライトでもある「ザ・ウィンザーホテル洞爺」へ向かいます。

 ガイドさん曰く、日本海に面した小樽から洞爺に至るエリアは北海道でも有数の豪雪地帯とか。余市からは2時間ほどの行程の途中、横切る川の殆どが堤防も無く自然のまま。人工的ではなく自然に大きく蛇行する様は、如何にも“でっかいどう!北海道”といった感じで、釣り吉三平ではありませんが幻のイトウが潜んでいそうな雰囲気でした。
洞爺湖に至る手前で、大型のスキー場やゴルフ場も備えた日本最大級というルスツリゾートを通ります。羊蹄山の麓を通るので、晴れていれば目の前に“蝦夷富士“が大きく聳える絶景が拡がる・・・そうですが、猛烈な降雪で羊蹄山は雲の中で全く見えず、近くに“存在する雰囲気”すら感じられません。

 冬でも凍らないという洞爺湖。その湖畔の小高い丘(標高620mのポロモイ山)の上に聳える、まるで大型客船の様な「ザ・ウィンザーホテル洞爺」。日本で開催された2008年のサミット会場となり、一躍その名を広めました。
元々は “バブルの象徴”と云われた1993年開業の会員制リゾート「エイペックス洞爺」であり、そのバブル崩壊のキッカケともなった拓銀破たんの原因でもある乱脈融資の舞台。その後2000年に投資額の1/10の値段でセコムが取得。新たに「ザ・ウィンザーホテル洞爺」として、“伝説のホテルマン”窪山哲雄氏(2013年退職)のマネジメントに由り、見事復活再生。その復活劇は色んなビジネス誌で取り上げられました(2014年にセコムは海運会社に売却。従業員はそのまま継続雇用)。当時サミット会場に選ばれたのは、山の上の“一軒宿”故の警備のし易さも確かにあるでしょう(2016年の伊勢志摩サミットも英虞湾に浮かぶ賢島が選定)が、有力経済人として当時のホテルオーナーでもあったセコムの影響も大きかったと謂われています。そこに至るまでのミシュランのレストランを誘致するなどの経営努力は勿論ですが、結果としてサミット会場となったことで、内外に向けてホテルのネームバリューを押し上げたことは否めません。
冬のオフシーズンということもあるでしょうが、クラブツーリズムのツアーでも(冬の時期は格安となる)人気のコースです。

 湖畔の国道から外れ、山頂のホテルにアプローチして行く道も、結構な距離でしたが既に私道扱い。この丘(ポロモイ山)全体が敷地なのでしょうか。ホテルには、プライベートのスキーコースもゴルフコースも併設されているとか。積もった雪も完璧に除雪されている道を上り、洞爺湖を眼下に望みながらホテルに到着。大きな屋根に遮られたエントランスにバスも横付け。案内説明の後、カードキーを受け取りロビーへ。フルートとピアノの生演奏が流れる中、ウェルカムドリンク(キーウィがメインのジュースとか)をロビーラウンジで(ニッカウヰスキーで私メが全部頂いたお返しで、ここでは奥さまが二杯)頂きます(美味しい!と感激のご様子に、イカッタ、イカッタ)。
部屋は40㎡というスーペリアルーム。山の上のこのホテルからは、洞爺湖と共に噴火湾と云われる内浦湾双方を望むことが出来るのですが、我々には(オーシャンビューより部屋代は高いそうです)レイクビューの部屋が用意されていました。通常だと部屋代だけでツアー料金を占めるほどの高級リゾートです。オフシーズンとはいえ、こうしたツアーでないと個人ではなかなか泊まれません。明朝の出発までゆったりと18時間滞在がツアーの売りです。
 夕食には、洋食/和食/寿司/中華と用意された各コースから、ツアー参加者各自がお好みで事前に選択予約するシステム。せっかくのサミット会場となったホテルですので、ここは迷うことなくフレンチのフルコースを我々は選択しました。円卓での食事で、我々よりも年配のご夫婦と相席です。ツアーコンダクターの方から、
 「参加者の方が女性が多いので、ご夫婦同士のテーブルにしました。」
とのことで、会社員時代は転勤族で、何でも昔札幌に赴任されていたことがあるのだとか。天気が良ければ羊蹄山が素晴らしいとのこと。1年前に申し込んでいたのが、やはりお父様が危篤状態で断念された由。
 「漸く一年経ったので、今回供養も兼ねて参加しました。」
偶然とはいえ、お互い全く同じ境遇に驚きながら、道内の他のスポットも教えていただきながら旅先での会話に花が咲きました。
 食後館内をブラブラし、外に出てみると猛吹雪・・・。
「明日天気になぁ~れ!」明日は羊蹄山の雄姿を拝めるよう祈りつつ・・・。

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