カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 1月18日の土曜日。
上田市塩田平の下之郷にある生島足島神社へお参りに行ってきました。
数年前に次女の良縁成就のご祈祷をしていただいており、些か時間は掛かりましたが、昨年の秋に無事そのお願いが成就しましたので、漸くお礼参りをすることになりました。
これまで、この生島足島さまだけではなく縁結びにご利益がある幾つかの神様にお願しております。その内、出雲大社はなかなか簡単に島根まで行けませんので、家内が上京した折に次女と二人で六本木にある出雲大社東京分祀へ既にお礼参りをしてありますし、地主神社や八坂神社、下賀茂神へは今月末に家内が京都に行ってお礼のお参りをする予定。そこで、今回残る上田の生島足島神社へお礼に伺った次第。
定年前の4年間毎日通った通勤路ですが、定年後は上田に行く要件も無いので生島足島さまへは3年振りでしょうか、久し振りの三才山峠です。
国道254号線の三才山峠。この有料トンネルも今年の9月に松本トンネルと併せて漸く無料化になるとのこと。因みに上田の平井寺は既に無料化されています。通勤の時に購入した普通車回数券がまだ手許に数枚残っていますので、この日は軽自動車ですが、この回数券を往復使用しました。
懐かしい通勤路。一般車両だけではなく、相変わらず大型トラックが多く通行しています。無料化されると、更に交通量が増えることでしょう。そのためか、上田市の平井付近で集落を迂回するバイパス工事が行われていました。

 古代から開けた塩田平の古社であり、武田信玄や真田一族の信仰も集めるなどした、式内社の生島足島神社。
そのため正月三ヶ日の初詣は付近が大渋滞になるので、この時期ならもう空いている筈と思ったのですが、駐車場はほぼ満車。境内も参拝客で結構な混雑です。しかもツアーの一環なのか、県外の大型観光バスも停まっていました。
この生島足島神社は、そのご神体が本殿(内社)の大地そのものとされる古社で、国家創建にも繋がるという生島大神(生みの神)と足島大神(足る=満たす神)の二神を祭神とし、諏訪大社の建御名方命(タケミナカタノミコト)が出雲から諏訪に下る際に立ち寄った折に、生島足島の二神に建御名方命が米粥を奉献したという言い伝えがあり、境内の摂社には諏訪明神も祀られていて、この生島足島神社でも7年に一度御柱祭が行われています。
今回、前回のお札をお納めしての次女の良縁祈願の御礼と、改めて次女たちの家内安全と長女の心願成就も含めて、しっかりとお参りをさせていただきました。
 今回久し振りに塩田平まで来たので、せっかくですので上田に通っていた頃ちょくちょく買っていた「御菓子司 喜八」に寄って、久し振りのどら焼き「鎌倉伝」を買って帰ることにしました。
人気が出過ぎたのか、今では基本的に週三日しか営業せず、しかも昔の様に電話での予約は受け付けず、営業時間中に直接来訪して買うしか無い様です。しかも(基本的には不定休ゆえ)急に休む日があるのに電話での営業日の問い合わせも受け付けないとのこと。実際、生島足島神社への初詣の際に久し振りに「喜八」のどら焼きを買いたかったので、年始に一月の営業日を問い合わせるべく何度か電話をしたのですが、呼び出し音を何度鳴らしても電話に出てくれませんでした。まだ若いご夫婦がやってらっしゃる和菓子店で、ご主人が職人気質で作ることに専念したいのかもしれませんが、しかしいくら電話受付などの対応が大変であったとしても、遠方から買いに来たいお客さんもいる筈であり、もし遠路はるばる買いに来て休みだったらガッカリですので、その意味では些か不親切。もしそうなら、せめてH/Pで案内すれば良いだけのこと。そこに然るべき知恵や工夫があっても良いのに・・・と思います。
今回も購入した看板商品の豆大福もどら焼きの「鎌倉伝」も、どちらも甘さ控えめでしっとりとした小豆餡で相変わらずの美味しさで、いずれも正に絶品。値段も豆大福が130円、どら焼きが162円と良心的。
しかし、太田和彦センセの云う良い居酒屋の条件「いい酒、いい人、いい肴」ではありませんが、品物が良いだけが“名店”の条件では決して無い筈。

 「御菓子司 喜八」。依然として商品が良いだけに、数年前と比べての“変化”が些か残念でなりませんでした。

 昨年は、国産レモン4個で作った我が家の常備調味料である塩レモン。
北アフリカのモロッコ伝統の万能調味料で、数年前から我が国でも人気となって、パスタに使ったり肉や魚のソテーに使ったりと、色々なレシピが紹介されています。
我が家での使途は、結局鍋用が殆ど。ポン酢の時だけでなく、醤油ベースの鍋つゆの時も活躍。塩レモンを使う時は、七味よりもブラックペッパーの方が相性が良い気がします。鍋以外の料理には殆ど使わず、結果レモン4個で二瓶に分けて作ったのですが、結局一年間で一瓶。従って、今回は国産レモン2個で作ることにしました。

 塩レモンのレシピを見ると、レモンの重量に対し、塩が10%~20%。マイルドか、或いは塩分を増やして長期間保存出来るように持ちを良くするかで濃度を選びます。レモンは皮毎使うので、無農薬の国産レモンを選びます。くし形でも、いちょう切りでも構わないそうですが、切ったレモンと塩を交互にまぶして瓶に詰めていきます。やがて塩が効いて熟成していくので、或る程度ギューギュー気味に詰めていっても大丈夫です。
昨年は15%作ったのですが、結果、一年経っても鮮度に全く問題はありませんので、今回も昨年と同じく15%で作りました。冷蔵庫ではなく、直射日光の当らない涼しい場所に置いて、毎日一回は(上下逆さまにする様に)振って発酵を促し、液にトロミが出てくれば完成とのこと。早ければ1週間、基本的には一ヶ月経てば十分に熟成が進みますので、冷蔵庫に入れて保存します。
 昨年作ったのが未だ一瓶ありますので、鍋だけではなく、例えばチキンソテーや鮭のホイル焼きかムニエルなど、今年は他の料理にも使ってみようかと思います。
【注記】
写真の左側が一年前に作った塩レモン。右が今年作って10日目の塩レモンです。既に少しトロミが出始めています。

 正月に帰省して来てくれた次女夫婦。
婿殿の勤務の関係で、正月3日に来て一泊し、翌4日には帰京するという慌ただしい帰省ではあったのですが、帰って来て元気な顔を見せてくれるだけで、親としては何よりの孝行です。

 そこで、親バカさながらに、一生懸命おもてなし料理を作ります。
昨年は、米国から来た長女たちのために、如何にも「日本らしく!」とかなり豪華なおせちを取り寄せたのですが、結局余ってしまい、残ったおせちを捨てる訳にもいかず(我々が)食べるのに結構苦労したので、今年はおせちは無し。
そこで、いつもの黒豆と、松本の年取り魚(注)である鰤(ブリ)を今年はちょっと奮発して大きめの切目を買って、煮付けて正月のお客様用にも。里芋はいつもの煮しめではなく、婿殿の好物の煮っころがしにして私メが調理。
そしてメイン料理は、和牛ブロックでのローストビーフと、信州らしく次女の好物でもある馬刺しも用意。
更に暖かい料理もと、評判の良い地元の富成五郎のお豆腐を湯豆腐にして、食卓に用意した鍋で煮ながら熱々で食べることにしました。

 家内が一生懸命準備した甲斐もあって、おせちではありませんが、今年の正月料理も好評で、殆ど完食。作った甲斐もあろうというくらいに、キレイに食べてくれました。イヤ、良かった、良かった!

 明けての4日。家に居ても(箱根駅伝も終わって)することも無いので、どこかドライブを兼ねて、午後の帰りの電車まで観光に行くことにしました。
しかし真冬の信州ですので、松本城は天守閣が(国宝故に)吹きっ晒しの板張りの床で、火の気の暖も全く無い(首里城の火災は他人ごとではありません)ことから(勿論スリッパもありません)、寒い冬ではなく、夏にでもまた行くことにして、
 「さて、どこに行こう?」
個人的には、昨年国宝指定となった旧開智学校よりも、「どくとるマンボウ青春記」の世界そのままの旧制松本高校校舎(重要文化財)の残る「あがたの森公園」がお薦めなのですが、皆さん全く興味無さ気・・・。
そこで、まだ彼等は初詣に行っていないとのことから、車で行けて、そのまま観光にも廻れそうな安曇野の穂高へ行ってみることになりました。
海人の安曇族の祖神とも云われる穂高神社(信濃国三之宮。因みに、信濃一之宮は諏訪大社、二之宮は小野神社)に参拝してから、近くの碌山館や大王ワサビ農場に観光で行くも良し・・・という前提です。
ところが、穂高神社は駐車場の大分手前から参拝客車両の渋滞で車が動かず。昔から、穂高神社は自動車に乗ったままでの交通安全のお祓いでも有名なのですが、こんなに混んでいた記憶は無く、そこで今回はお参りを諦め。穂高神社の近くには碌山館もあるのですが、皆さん興味無しとのこと。“日本のロダン”荻原碌山もカタナシです。大王のワサビ園も、
 「今行っても、寒いだけで花も咲いてないし・・・」
と却下。
 「じゃあ一体どうすんの!?」
と選ばれた先は、観光ではなく、お蕎麦を食べに行くこと・・・。
そこで、時間節約で穂高神社近くにある「手打ちそば 上條」へ行くことにしました。
安曇野の蕎麦屋さんは山麓線沿いの有明地区に多いのですが、こちらは穂高神社や碌山館に近い住宅街に在り、写真家でもあるご主人の作品などを展示するギャラリーを併設したお洒落なお蕎麦屋さんですが、娘によると、最近嵐のメンバーが出演した旅番組でも紹介されたのだとか。そのためか、行列こそありませんでしたが、観光客の皆さんか、ほぼ満席の混み様でした。

注文は、私メが二八のもりそばを大盛りで、娘ももりそばと季節メニューの牡蠣の天ぷら。家内と婿殿は、上條の独自メニューである鬼おろしそば(辛味大根使用。でも家内に拠ると余り辛くなかったとのこと)の牡蠣天ぷらとワカサギに似たチカ(北海道根室の汽水湖である風連湖で採れる小魚とのこと)の天ぷら添えをそれぞれ注文。
蕎麦は更科系で細切りの二八蕎麦。香りは余り無かったのですが、腰は強くてまずまずでした。また、家内からお裾分けでもらった牡蠣の天ぷらは美味しかったですし、家内は、
 「カキだって買えば高いのに、5個も載っていてコスパがイイ!」
と褒めていました。
こちらでは、どのメニューも、お店の方から、最初に湯飲みに入った安曇野の湧水に浸した蕎麦を先ず食べる様にとのインストラクションがあるのですが、その“拘り”の割に蕎麦の香りがしないのは却ってマイナス効果なのでは?・・・と皮肉屋の私メ的には思ってしまいます。他でも水蕎麦をウリにしている店も無いではありませんが、果たしてどうなのでしょうか。むしろ、蕎麦よりも安曇野の天然水の方が美味しい!(ポットに入っていて自由に飲むことが出来ます)。
お三方は、ここの別の名物でもあるというアップルパイを食後のデザートにご注文。ホールのパイにふじリンゴを丸毎1個使っていて、シナモンが良く効いていて美味しかったそうです。味見をしましたが、個人的にはもう少しリンゴに酸味を(レモン果汁を多目にして)効かせた方がより美味しく感じると思います。本来、酸味のある紅玉の方がアップルパイには向いているのですが、今では入手困難なので止むを得ないでしょうね。
 食後は、せっかく安曇野まで来たので(せめてどこか観光にと)、国内有数の飛来地という豊科に在る犀川ダム湖の“白鳥湖”に寄ってみることにしました。場所は豊科田沢地籍。安曇野インターから安曇野スイス村方面へ向かう道路の途中に案内板があり、犀川方面へ向かって1㎞足らず。
田んぼの中の狭い道を行きますが、最近では結構有名になり、観光バスの駐車場まで近くに用意されているとか。自家用車は犀川の土手横に広い駐車スペースが準備されていました。ただそこまではすれ違いもやっとの狭い道と舗装されていない砂利道を進みます。駐車場には正月最後の日曜日とはいえ結構な台数の車が停まっていて、観光客や野鳥愛好家、アマチュアカメラマンなどの皆さんが(遠方からも)来られているようです。
数年前の鳥インフル禍の時は立ち入りが禁止されていましたが、今では又自由に見ることが出来ます。但し、ワンコは入場禁止。
後でネットで調べると、“犀川白鳥湖”には1984年に初めて白鳥(コハクチョウ)の飛来が確認されて以来、34年目となる今シーズンは1月1日現在で198羽飛来との情報が掲載されていました。
H/Pに拠ると朝6:30と夕方4:00に地元有志の方々が見守りボランティアでエサをあげているようですが、着いた時間が1時過ぎでその中間だったためか、自分たちでエサでも探しに皆どこかに遠征中で飛んで行っているのか、ダム湖にはホンの数十羽しか残って居ませんでした。むしろ、近くの池におびただしい数のカモがいて、こちらの方が却って見応えがありました。
多い年は1000羽近い飛来があるそうですが、余りの白鳥の少なさに些か拍子抜けで、スゴスゴと、
 「じゃ、家に帰ろうか・・・」
この日は、常念を始め北アルプスの白き峰々も雲の中。雪雲に覆われていて、せっかくの雄姿も残念ながら拝むことは出来ませんでした。
 「ま、山は逃げないし、また来いってことだね、きっと!」
と、暗に娘たちの又の帰省を促して、電車の時間まで一旦自宅に戻ることにしました。
【注記】
富山の氷見湾の寒ブリが、飛騨高山から“鰤街道”とも呼ばれる野麦峠を越えて信州松本平に運ばれて来たことから、長野県の中部以南は年取りの魚はブリ。一方、長野県の北部は新潟の日本海から千曲川を鮭が遡って来たことから、長野や上田地方の年取り魚は鮭。姨捨から下った長野寄りの稲荷山付近がその境界と云われています。

 急拡大を続けてきた「いきなりステーキ」が昨年夏辺りから雲行きが怪しくなり、今年度更に悪化して二期連続の赤字見込みとのこと。昨年度の1億円ちょっとの赤字は、素人目にも無謀だと感じた本場NYへの出店に案の定失敗(11店舗中7店舗閉鎖)し、その閉店に伴う特損計上との説明だったのですが、今回は売上高自体が減少しており、明らかに全体の業績不振です。経済記事によれば、
『 いきなり!ステーキ」の運営元「ペッパーフードサービス」は11月14日、業績予想を発表し、2019年12 月期の連結業績予想を大幅に下方修正、株主への期末配当を無配にすることを明らかにした。
その発表によれば、売上高は約665億円と前回の予想からおおよそ100億減となっており、営業利益は約7億円の赤字に転落、純利益も15億の黒字予想から一転して約25億の赤字になる見込みとのこと。
「いきなり!ステーキ」は自社競合、店舗同士の客の“共食い”が起こっていることから、19年の出店計画を210店から115店へと縮小したものの、引き続き自社ブランド同士の競合などの影響が払拭できずに既存店の売上が落ち込んでいて、今後は同店の約10分の1となる44店舗を閉鎖することを決定したと併せて発表し、その特別損失を計上しての赤字である。 』
会社側の発表では、業績悪化の原因を「急激な成長に伴う店舗数の急拡大での自社競合」としていますが・・・。それって、違うと思います。

 松本でも一昨年の「イオンモール」開店に合わせて県内初出店し、即大行列店となり、その後長野、上田、諏訪にも相次いで出店しました。
そこで我々もモノは試しと、落ち着いたであろう一年後の昨年6月(しかも平日、早めの夕刻)にその評判に釣られて一度行ってみたのですが、食べた結果は、
 「もう、ここはイイよね!」・・・。
しかも、ブームに釣られて「肉マイレージ」カードまで手数料を払ってその場で作った(勿論何度も来るだろうという前提)にも拘らず・・・です。
(家内はお義母さんを茅野の公共温泉に毎週連れて行くのですが、当時諏訪の「いきなりステーキ」を結構年輩のオバサンお二人が絶賛していてビックリしたそうです)
その後、(イオンモールには何度も買い物に行って、時々はランチを食べることもあるのですが)「いきなりステーキ」に我々は二度と行くことはありません。
理由は・・・全然美味しくないから・・・です。
二人で5000円以上支払った対価として、肉のクオリティーやソースなどの味付け、更には店としてのサービスも、他では味わえないという程のレベルでは全く無かったから(詳細は第1339話を参照ください)・・・です。
例えば、昔テキサス州のエルパソに出張した時に、地元のメンバーが連れて行ってくれて、食べた大きなTボーンステーキ。シンプルに塩コショウだけ(ブラックペッパーの香りが実に効いていました)の味付けだったと思いますが、本当に美味しかった!!
もしあんなステーキだったら、多少高くても絶対に何度でもまた食べたいと思うのですが・・・。

 その後、「いきなりステーキ」に対抗して、ファミレスなど色んな店でも「いきなりステーキ」の真似をして、似たような価格のステーキをメニューに加える店舗が増えました。例えば、全国チェーンのハンバーグ店ではUSアンガス・ビーフがグラム当たり5.7円(450g時で)の表示で「いきなりステーキ」より安価です。
そういう店でも食べたことはありませんが、そうした他店と如何に差別化(「いきなりステーキ」の独自性としての、味と価格を提供)するのか、大変難しいだろうと思っていました。しかも、ステーキに一点特化しているのですから尚更です(その後、メニューにカキフライなども追加した様ですが、結果として全く効果無し)。
お客さんが外食する、その店、その料理を選ぶという理由には、家庭では或いは自分では作れないから。若しくは、自分で作っても美味しくないから(プロには敵わないから)。例え自分で作れるにしても、工程が大変過ぎる、時間が掛かり過ぎる。更には、自分で作るよりもその店なら遥かに安く食べられるから・・・というのが理由でしょうから、それらに合致して満足出来なければ選んではもらえない・・・ということになります。
そうした“選ばれるべき理由”が、果たして「いきなりステーキ」にはあるのか?・・・。

 経営側も恐らくその真因を分かってはいるのかもしれませんが、もし(真因の打開策がまだ見つからないからこその当座の弁解として)「自社競合」の“共食い”が原因だと本当に思っているのだとしたら(本当にそうであれば、共食い店を閉鎖すれば来期は完全にV字回復している筈)、このままでは再建回復は難しいだろうと思います。
「いきなりステーキ」の原価率は他よりも高い(平均60%)そうですが、一人3000円近く払うとして原価は2000円弱の300gのステーキです。
300gのステーキ用ビーフ(勿論輸入牛肉)をスーパーで買えば、高いモノでもグラム500円程度ですので、半値の1500円。ステーキソースも今では本格派まで色んな種類がスーパーの売り場に並んでいます。仮に全部で2000円掛かったとして、納得出来る1000円の差額を店で食べた時の満足感として “単品のステーキだけで”どうやって提供しうるのか?・・・。
 一時期そうした状況を打開するためだったのか、見る人によっては不遜と取られかねない様な、ただ経営者が登場して社名をアピールするだけの(初めての?)CMが盛んに流れていましたが、販促費の無駄か、経営不振の声と共に消えてしまいました。
この「いきなりステーキ」は、「俺のイタリアン」から始まった「俺の株式会社」が、「いきなりステーキ」の模範とするビジネスモデルなのだそうです。
以前、長女に連れて行ってもらった銀座「俺の割烹」。確かに、味と値段、そのコスパの良さに驚きました。評判になるのも大いに納得でした。客席のテーブル間の狭さと(音楽などの)店内の喧騒には(我々の様な年寄は)些か参りましたが、そこは一等地ゆえと我慢の範囲内でした(むしろ静かだと狭さゆえに隣席の他人の会話が聞こえて気になるので、多分、音楽などで煩くすることで客にそうした不満を言わせないための戦略ではないか、と思いました)。
もし本当に「俺の〇〇」を模範としているとしたら、その割にはコスパとしての満足感は「模範ビジネス」との大きな隔たり、「単品のステーキだけ」でのビジネスモデルとしての限界を感じます。
むしろ、一時期業績不振回復の切り札として、急成長を続けていた頃の「いきなりステーキ」と提携し、既存のラーメン店を「いきなりステーキ」のFC店に転換すると発表した「幸楽苑」。謂わば“他人のふんどしでの相撲”ですが、果たしてその効果がどうだったのかは知りませんが、少なくともその後の「幸楽苑」のTVCMでは期間限定メニューの投入など、(これまでの“安かろう”だけから、質の良い食材を使って単価もアップさせ)ラーメンそのものの美味しさの追及、提供という本質に回帰している印象を受けます。
「いきなりステーキ」も(単品ビジネスでは難しいですが)そうした本質回帰を考えないと、単なる一過性のブーム(ステーキを大衆化したという評価だけ)で終わり、或いはこのままじり貧でとなりかねないのではないかと感じていますが、果たして・・・?。

 今回はワンコ連れで、特にコユキにとっては初めての慣れない旅行だったので、彼等だけにしないように出来るだけ部屋食にして、結果として夕食での自炊も含めて昼も夜も部屋食で済ませました。
そこで、一点豪華に、伊豆最後の夜は唯一豪華な外食をすることにしました。旅行の一ヶ月前、色々調べて事前に予約して行ったのは、伊豆高原から車で10分ほどの別荘地の中に佇む「坐漁荘」。“座して魚を釣るが如く”というのが(のんびり過ごしていただくという)そのキャッチフレーズ。

 伊豆高原の別荘地の中に佇む「坐漁荘」は、創業50年の和風温泉旅館からスタートし、現在では6000坪という広大な敷地に宿泊棟やヴィラなどもあり、日本料理だけではなくフレンチや鉄板焼きのコースも選べ、まるで別荘の様な広いヴィラなどの客室は僅か32室という高級旅館なのだそうです。
もし泊まれば、一番お安いオフシーズンの平日で、最低でも一泊二食で一人4万円以上だとか。凄いなぁ・・・。2014年になって、台湾に本拠を置くABBAリゾーツ傘下になってリニューアル。
勿論、我々にはお値段が高過ぎて宿泊は出来ませんので、夕食でのコース料理のみ。せっかくの伊豆ですから、新鮮な海の幸に期待して和食での和会席コースをお願いしました。
予約は少し早めの夕刻5時半。伊豆高原から国道135号線を車で下田方面へ15分程度。八幡野の城ヶ崎海岸から続く段丘の別荘地の中に在って、グーグルマップでルートを確認しながら行ったのですが、別荘地内の道が分かりづらく、何度か迷いながらも無事到着しました。

 広大な庭園の中に配置された建物群。食事に拠って会場が異なり、和食は本館の和食処「さくら」。
車寄せに到着すると、スタッフが移動してくれるとのことで任せ、ゲストは玄関で着物の女性スタッフに出迎えられ、所々に中庭がしつらえられた純和風の建物内の回廊の様な廊下を進み、半個室の会食場へと案内してくれます。孟宗竹の竹林や光悦垣か格子の竹垣の中庭もそうですが、廊下の至る処に様々な美術工芸品が飾られていて、多少成金趣味的な趣きも無きにしも非ずではありますが、如何にも外国からの賓客が喜びそうな純和風の雰囲気です。当日も玄関先のロビーに大層賑やかな(≒騒々しい)中国人の団体客がおられましたが(親会社の在る台湾から?)、皆さん浴衣を着ていたのでどうやら宿泊客の様です。リッチだなぁ・・・。
事前に予約済みとはいえ、名入りの献立表がそれぞれの席に添えられていて、会席コースは食前酒の後、先付けに始まり、前菜、椀盛り、造り、焼き物、台の物、留鉢、食事・止椀・香の物、水菓子までの全9品。
 前菜の中の自家製というからすみ。そういえば城ヶ崎海岸には「ぼら納屋」がありましたが、江戸時代に春と秋に海を回遊するボラの大群を見つけるための見張り小屋もあって、昔神田川でボラの大群を見たことがあるのですが、そうした河口に集まるボラとは違って、季節に海を回遊して来るボラは江戸の将軍家に献上する程の美味な高級魚として、伊豆では盛んにボラ漁がおこなわれていたそうです。
コースの中で我々が一番美味しく感じたのは、椀盛りの「黒むつ真丈」。地場の黒むつは本当に柔らかで上品でした。塩味は抑えているのに何とも滋味豊かな味わいで、とりわけ出汁の旨さは出色。これ見よがしの押しつけがましさの無い、この絶品の椀物だけで、この日の料理は満足と云っても決して過言ではないくらいの感動モノでした。
お造りは、まだヒゲが動いている新鮮なイセエビと地魚の盛り合わせ。イセエビは甘く、地魚では特にイシモチがシコシコ、プリプリとした歯応え。
焼き物のノドグロもこれぞ、という程に脂が良く乗っていてとろけそうでした。
炊き立てのじゃこ山椒(京風に云えばちりめん山椒でしょうか)とシメジの釜めし。結構なボリュームでしたが、家内も「明日絶食すればイイかな・・・」と、最後はだし汁でお茶漬け風にして完食。しかも、最後のサツマイモのプリンと果物の別腹のデザートは、いつも通りに私メの分もしっかりとお食べになって、満足、満腹のご様子。
途中、ビールの外に、静岡県下の銘醸蔵の冷酒三種の飲み比べセットを注文。それぞれ焼津「磯自慢」純米吟醸、掛川「開運」純米大吟醸、そして由比「正雪」特別本醸造。それぞれ日本酒度が5、4、5度という辛口の味わいは勿論なのですが、注がれた切子細工のガラスのお猪口が何とも涼やかで、外国のお客さんはさぞ喜ぶだろうと思いました。
同様に、料理は勿論なのですが、盛られている器もまた素晴らしく、また器の盛り付けでも、料理ごとに伊豆らしい椿の花や蕾のついた枝、そしてモミジ、稲穂など、行く秋や、春の訪れが早い伊豆を連想する季節のあしらいもあって、より一層料理を引き立てています。
大袈裟ですが、これまで色々食べてきた中で過去最高の会席料理だったと思います。
 コースの途中で、この日感動したお椀物の美味しさを我々が仲居さんに伝えたからでしょうか、おそらく「我が意を得たり」だったのではないでしょうか。コースの終わりに、席まで総料理長さんがわざわざ挨拶に来られ、その日のコース内容や調理の特徴、例えば伊豆のワサビと信州安曇野のワサビの違いなどを説明してくれました。
地元の食材を積極的に使う“ふじのくに食の都づくり仕事人”として県から表彰されているという料理長さんらしく、この日の昆布〆にした「富士山サーモン」など地場静岡の食材に関しても色々教えてくださいました。
食事中対応してくれた仲居さん始め、スタッフの方々の応対も押しつけがましさも無くて皆さん感じが良く、滞在中実に気持ち良く過ごすことが出来ました。
帰りにロビーで採算をする際も、到着時のロビーのお客さん方の騒々しさをさりげなく詫びる言葉があった由。
確かに値段は高かったけれど、掛かったコスト以上の満足感を十二分に味わうことが出来、その意味では応分のコスパの良さを感じた次第です。

 フム、結婚記念日には二日早かったのですが、偶には(当然ながら偶にしか無理ですが)イイかも・・・。

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