カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 リンゴ園脇に父が植えた二本のひらたね(平核)という渋柿があって、秋になると祖母や母がコタツで柿の皮を剥いて、風通しが良くて雨が当たらぬ母屋の車庫の軒先にたくさんの柿を干していました。

               (母屋の車庫の軒先で)
そしてやがて柿に白い粉が吹いてくると、コタツに座って夜なべ作業で柿を一つずつ何度も何度も揉んでは柔らかくしていたものでした。
祖母や母が作れなくなった後も、毎年結婚以来ずっと一緒に手伝って来た家内が、戸建てに居た頃はベランダの物干しに吊るして、毎年100個近くの干し柿を作っていました。
10月末から11月に掛けて、我が家だけではなく、特に農家ではこうしたたくさんの吊るされた“柿すだれ”が見られるのが、この晩秋の時期の“里”の風物詩でもありました。
柿の木が二本もあると、“なり年”に依る多少の差はあっても、毎年たくさん柿が採れたので、横浜に暮らす母方の叔母に送ったり、希望されるご近所さんにあげたりもして、それでもまだたくさん木に残ったまま完熟した柿は、今度は冬の間の鳥たちの大事なエサになっていました。
              (戸建ての時のベランダで)
 終活のため戸建てや母屋も畑も処分して、マンションに移って四年。当然柿の木はもうありませんし、またマンションでは干す場所も無いことから、我が家では秋の“柿すだれ”は無くなくなっていました。またマンション周辺のエリアを見ても、ワンコの散歩中にこの渚地区でも本棟造りの旧家などでは時折見掛けることはあっても、以前の農村エリアとは異なり、街中で“柿すだれ”を見掛けることも殆どありません。柿すだれはやはり“里の秋”の風物詩なのでしょうか。
 先日、松本一本ネギが欲しくなって、秋が収穫時期ですので、地物野菜の産直マーケットにネギを買いに行ってみました。すると、奥さまは何を思ったか、お目当てのネギだけではなく、収穫したばかりで鮮度の良い大きな地物の白菜を三つ、そして10個以上袋に詰められていた渋柿の大振りのひらたね(平核)を二袋購入。柿は勿論干し柿に、そして白菜も天日で干して、貯蔵して冬の間に鍋物等に使うのだとか。更に立派な大根も二本買って、こちらはスライサーを使って、きしめんの様に薄くスライスして、干し網に敷いて自家製の切り干し大根にするとのこと。
干し網は、戸建てに居た頃は薪ストーブの燃えた後の灰で作った焼き芋を切って自家製の干し芋を作っていましたし、マンションに移ってからは時々生のキクラゲをたくさん買っては天日干しにして、体に良い栄養素が多く含まれるという乾燥キクラゲを作って、次女の所にも持って行って料理に使っています。
干し柿は、南側のベランダの洗濯物の物干しでは一日中日当たりが良過ぎるので、日差しを避けるべく別の西側のベランダに布団干しを持って行って、物干し竿を通してそこに吊るすのだとか。
そう云えば、切り干し大根や干したかんぴょうは、毎年祖父母が夜なべで大根とユウガオを薄く剥いては、何日も天日で干して作っていました。昔の農家では出来るだけ自給自足で、特に何も採れない冬場の間の食材作りを自家製で作るのが当たり前でした。
子供の頃の一大イベントだった小学校の運動会や地区対抗の区民運動会では、お昼休みのお弁当にはかんぴょうの太巻きのお寿司がお稲荷さんと一緒に必ず入っていたものです。
祖父母が亡くなってからは、かんぴょうも切り干し大根も作ることはなくなっていましたので、自家製の切り干し大根は、我が家にとってはそれこそ半世紀ぶりでの復活なのかもしれません。
 もしかしたら、年寄りの暇に任せて・・・なのかもしれませんが、久し振りの“秋の風物詩”である柿すだれも、そして切り干し大根も、もしもそのおかげで復活出来たのであれば、それはそれで“年寄りの暇”も田舎の伝統を守るには良いことなのかもしれません。
その結果、初めて挑戦したマンションのベランでの干し柿や干した保存用の白菜作りも何とか上手くいきそうですので、気を良くした奥さまはもう一度産直に買い出しに行って、白菜を合わせて6玉、干し柿を全部で60個、切り干し大根はナント5本で作ることになりました。

 奥さまが何を思ったか、急にミシュランシェフ監修という冷凍の宅配弁当を申し込んだとのこと。それは14食セットで通常一食当たり760円位なのが、TVショッピング等でも良く見る様な、初回限定特典で一食ワンコインの500円とのこと(次回の注文からは、注文するセット数に依り一食650円~850円の由)。
横浜の次女の家に孫の世話と家事手伝いで、恒例の“家政婦”に行っている間に決めたらしいのですが、もしかするとその一因は、“鬼の居ぬ間”を謳歌しつつも、10日も過ぎると食事を作るのが段々億劫になって来て、LINEのメールやビデオ通話が来た時に、
  「今日はもう面倒臭いから、HottoMottoの弁当にした!」
とか、時々愚痴っていたのが少々マズかったのかもしれません。

 一年前から、NZの鳥インフルの影響で原材料が輸入禁止となり、それまで定期的に購入していたドッグフードが販売停止になってしまい、それに代わるウェットフードに選んだのが、犬・猫向けの生肉専門店の生肉ミンチのドッグフードで、ご先祖様が本来肉食動物だった犬の食性に合わせて作られたという「HUGBOXブレンド」のホースとチキンで、これが毎回4㎏ずつ冷凍で届くのです。従って、氷をノコギリで切るのと同じ様に、カチカチだったのが半解凍手前の少し柔らかくなった段階で、包丁で切り易い位の凍っている状態のまま、一袋1㎏を一食分の50gずつ包丁で切って小分けして、ケースに入れ替えて冷凍庫にまた戻して、食べるまで保管しています。
ことほど左様に、人間のみならずワンコたち用にも冷凍食品が増えている昨今、大型冷蔵庫の大小二つの冷凍室は常に満杯。
  「○日に冷凍でお弁当が14食届くから、冷凍室を空けなくっちゃ!」
と、横浜から戻り、それまで“たまの贅沢用”にと大事に冷凍保存してあった、娘夫婦が送ってくれた治作の水炊きセットやしゃぶしゃぶ用の高級和牛とか、他にもキノコや野菜の冷凍保存してある食材を消費すること暫し・・・。しかし、14食分の冷凍宅配弁当を収めるスペースは確保出来なかった模様・・・。
  「ヨシ!冷凍庫を買おう ! !」
些か短絡的の様な気もしないでもありませんが、冷蔵庫を補完するために小型のセカンド冷凍庫を購入するとのこと。
 因みに我が家の冷蔵庫は、娘たちが大学進学で巣立った後で、家を建てた時から使っていた大型冷蔵庫の寿命が来た時に、それまでより小さめの480ℓにダウンサイズしたのですが、これが失敗でした。というのも、例え年寄り家族3人だけであっても、食料品を週一で買い溜めするのであれば、それなりの容量は必要という当時の反省を踏まえ、終活でのマンションへの引っ越しを機に、今度は年寄り夫婦二人だけなので他の大型家電や家具類をダウンサイズして買い替えた中で、冷蔵庫だけは550ℓへと逆にむしろサイズアップしました。
出来れば、キッチンのその冷蔵庫スペースの脇の隙間に二台目の冷凍庫が入れば万々歳なのですが、残念ながらそこは25㎝しかスペースが無く、見た中ではスリムサイズでも最低35㎝はあるので無理。そうなるとキッチンには置けるスペースが無く、リビングダイニング横の長女の部屋か、私メの“男の隠れ家”兼物置部屋しかありません。
長女はせいぜい年に一回しか帰国しませんが、そうかといって彼女の部屋を勝手に使うのも申し訳ないので、結局物置部屋に置くことにして、探した場所は北側の通路よりの畳半畳分程の少し引っ込んだスペースで、和箪笥の前。箪笥の引き出しを開けるスペースを確保するには側面の壁まで最低40cmは必要なので、そうすると残りのスペースは壁まで38㎝。ですので、幅が35~36㎝のスリム型であれば設置可能。通路側の窓は床面からの高さが70㎝。ですので、余り背の高いタイプですと窓を塞いでしまい、タダでさえ北側で暗く、更に既に窓の1/3は和箪笥で塞いでいるので、余計室内に光が入らなくなってしまいます。
そこで、思い立ったその日に“善は急げ!”とばかり(或いは気が変わらぬ内に?)、市内の家電量販店2店舗と量販には置いていないニトリの計3店舗を回って見てみることにしました。ヤマダ、Ks‘、ニトリと一度に三軒回った中で、一番品揃えが多かったのがケーズデンキでした。
冷凍庫といっても種類も結構豊富で、家庭用の前面開閉の扉タイプ(上開きタイプもあり)で、一番容量が小さなモノは60ℓから大きなモノでは200ℓ位まで。価格も店頭で2万円~8万円と結構幅がありました。
メーカーもパナソニック、三菱といった大手家電メーカーから、他の国内メーカーではアイリスオーヤマ、そして日本メーカーの白物家電部門を買収したアクアやハイアールといった中国メーカー。他には、店頭にはありませんでしたが(ニトリでは冷凍庫は店頭には置いておらず、カタログさえもありませんでした。聞くと「1モデルしかないので、ネットで確認してください」とのこと)、通販で購入可能な、国内の第二勢力ともいえる山善やニトリといったファブレスメーカーや、聞いたことも無い中国ブランドなどなど。

今回はセカンド冷凍庫なので、そう大きなサイズは必要ありませんし、何しろ設置スペースが限られていて、候補になるのは幅35㎝位のスリムタイプしかありません。そこで調べてみた結果、アイリスオーヤマの80ℓ、山善の70ℓのスリムタイプで35.6㎝。ニトリは1モデルのみの60ℓですが、残念ながら幅が48㎝。価格はアイリスオーヤマが店頭で税別5万円弱(消費税10%ですが、あんしんパスポートで5%値引きあり)、山善が通販で4万円強、ニトリも同2万5千円弱。
意外だったのは、アイリスオーヤマは大手家電をリタイアした技術者を採用し、機能を絞った製品展開で低価格をウリにしているという印象でしたが、店頭で見るそれは、パナや三菱と比べても同価格で決して安くありません。容量は候補モデルの中では80ℓと一番大きかったのですが、高さが997mmなので、窓が30㎝潰れてしまいます。
山善は同じ幅で高さは867mmと、容量も70ℓと10ℓ少なくはなりますが、その分高さも13㎝低くなります。
ニトリは容量も60ℓと一番小さいのに、幅は48㎝と広過ぎますし、何よりも自動霜取り機能が付いておらず、大昔の冷蔵庫の霜取りの大変さを考えると、価格は安いのですが主婦目線からは論外とのこと。
因みにスリムタイプの冷凍庫ですが、実際設置する際には、山善は横2㎝で背後5㎝、アイリスオーヤマは横3㎝で背後5㎝のスペースを確保する必要があります。従って幅35.6㎝ではあっても、実際の設置には山善が幅40㎝、アイリスオーヤマは幅42㎝のスペースが最低必要ということになります。
そこで奥さまの結論は、山善の小型スリム冷凍庫の中の70ℓの自動霜取り機能付きの、YF-SFU70というモデルのブラックタイプでした。ケーズデンキでも店頭には無かったので、ネット通販サイトから購入。但し宅配は玄関先までなので、設置は自分自身で行う必要があります。
 冷凍の宅配弁当14食セットが届く同じ日、午前中指定で冷凍庫を届けて貰って、荷解きをしてトリセツに従って設置し稼働させ、その後届いた冷凍弁当を無事収納することが出来ました。
それにしても、いくらコストが安いにしても、どうしてこういう家電製品は緩衝材に発泡スチロールを未だに使い続けているのだろうと毎回思います。他の、或いは小型家電などの様に、段ボールや紙素材でのモールド成型材を使えないのだろうかといつも感じてしまいます。この発泡スチロールをプラごみとして廃棄するのには、そのままでは大き過ぎて廃棄出来ないので、プラごみ用の袋に入る位に(或いは指定する長さの範囲内に)切断する必要があるのですが、その際に細かく割れた発泡スチロールの粒が静電気で手から離れなくて、捨てるのに本当に難儀します。これがもし道端や街角に捨てられて、戸外で粒状にまで細かく分解してしまうと、それこそ最終的に海洋汚染にまで繋がるのではないかと心配になります。何年か前のバカな環境大臣がレジ袋を有料化しましたが、分解しにくいポリ袋よりも、むしろ発泡スチロールを各業界で使用禁止にした方が、個人の環境意識向上(も確かに大事なので、その啓発活動自体は否定しませんが)に訴えるポリ袋よりも余程環境保護には効果があるのではないか!?・・・と思います。是非環境問題として、家電メーカーや事務機器など発泡スチロールを梱包用に使用している業界は真剣に向き合って貰いたい!・・・と心底感じています。
 閑話休題・・・。
さて、購入して初めて分かったのですが、この山善のモデルの残念だった点は、冷蔵庫などと違って、冷凍庫のドアを開けても庫内に明かりが点かないこと。従って、夜は室内の明かりを点けないと中が見えず、中の冷凍食品を探して取り出すことが出来ません。省エネのためかどうか分かりませんが、扉を開けた時くらい点灯させても良いのに・・・と感じた次第(但し大型冷蔵庫も、野菜室や冷凍室は、引き出しても個々に明かりは点きませんが)。
早速奥さまは冷蔵庫の冷凍室からも移した冷凍食品でセカンド冷凍庫を一杯にして、冷蔵庫の冷凍室に余裕を持たせ、これからは例えば冷凍保存がおススメのキノコ類や可能な野菜類、そして何より孫たちの大好きなブルーベリーやトウモロコシなどを来年の旬の時期などに買って、孫たちのために冷凍保存しておくのだそうです。
  「フーン、ナルホド。宅配弁当のためじゃなかったんだ・・・」

 お盆の帰省に合わせた、次女一家の2週間近い松本滞在。
横浜に帰るのにあずさよりも新幹線の方が早くて楽なことから、最後に二泊三日で、いつもの軽井沢のドッグビラに行くことにしました。
勿論事前に予約をしてあり、結果的に婿殿は直接横浜から新幹線で軽井沢合流となったのですが、皆で松本から車一台で移動出来る様にと、事前に松本のトヨタレンタカーで8人乗りの新型アルファードを3日間予約してありました。

 当日の朝、トヨタレンタカーの松本駅前店に行って手続きをして、乗る前にシートアレンジの遣り方を教えて貰ってから、マンションへ一旦乗って帰ります。アルファードは意外とショートノーズで、何よりもドライビングポジションがSUV並みに高いので見晴らしが良く、思った以上に運転がし易く感じます。ただ如何せん長い・・・。それもその筈で、アルファードは全長が4995mm(5メートル!)、全幅は1850mmで、コンパクトで運転がし易いからと家内が気に入った我が家のQ2の4200×1795に比べて、特に全長が80㎝も長い・・・。そこで慎重に慣らし運転を兼ねてマンションに戻ります。
その上でチャイルドシート2席、ベビーカー、ドッグカート各一台と、軽井沢から次女の家に宅配で送る段ボール箱とスーツケースなどの大量の荷物、更に大人三人とワンコ二匹・・・。どうやれば全部積めて人間が座れるのか???
あぁでもない、こうでもない・・・と色々シートアレンジを試しながら、何とか荷物を全部積み終わり、人間もしっかり座って、助手席の足元に敷いたペット用クーリングベットにワンコも載せて、いざ出発です。

 トヨタのナビには慣れていないので、行先案内もACCも未設定。乗ってから、ナビ担当の奥さまが助手席で使い方をネット検索しましたが、スマホと連動させているQ2のナビとは異なり、結果的に運転中は(停止中でないと)設定不能でした。
しかし目的地には何度も行っているので、道路案内が無くとも全く問題はありませんし、まだ近間の軽井沢だからイイのですが、オートクルーズが使えないのは些か足が疲れました。この日はカーブの続く三才山峠経由ではなく、高速道路の長野道から上信越道経由で軽井沢ICを目指します。
慣れない車なので安全運転に徹し、軽井沢ICを降りてからもいつものカーブの多い脇道は使わずに走りましたが、予定通りの1時間半で目的地のアウトレット(軽井沢プリンスショッピングプラザ)へ到着しました。お盆開けの平日とはいえ夏休み中ですし、更にインバウンドでかなり混んでいます。
我々はこうした混む時の軽井沢は避けて、これまでこの時期には来たことがありませんでしたが、孫たちの幼稚園の夏休みに合わせての今回の帰省ですので致し方ありません。

 P1~P6 まであるアウトレットの駐車場で、唯一まだ空いていたP3に駐車。そして、孫たちを二人乗りのベビーカーへ、ワンコたちをドッグカートに二匹載せて、先ずはランチを食べるために、次女一人で子供たちを見るのは大変ですし、私一人でワンコたちを見るのも無理なので、皆でフードコート外のテラスのビーチパラソルで日影が出来ている席で食べることにしました。テラス席も犬連れの皆さんで混んではいますが、ここは30卓近く100席程はあるので、何とか座ることが出来、先ずはワンコたちに給水とオヤツをあげて休憩です。
その間に、子供と女性陣がフードコートからランチを買って来て、最後に私がフードコートに買いに行きました。ここでは“美味しさ”を余り求めてはいけません。しかもこの猛暑の日本列島で、本来エアコンの無くとも凌げる筈の涼しい軽井沢も今年は連日30℃超えで、この日の最高気温は33℃予想とか・・・。別荘族の皆さんも呆れる程で、これではもはや避暑に来たとは言えせん(ただ、軽井沢はさすがに朝晩は20℃以下になりますので涼しく感じますし、都会から来ると信州は湿度が低く、カラッとしていると感じるそうです)。
それから我々がワンコと子供たちを見ている間に娘は行きたいお店を回りましたが、結局まだ決められないとのことで、そのため我々が孫たちとワンコを連れて先にドッグビラに行って先にチェックインをして、娘がアウトレットでの自身の買い物と、この日の夕飯は移動で疲れたので外食ではなくテイクアウトして部屋食で済ませることにして、我々は明治亭のお弁当を娘にリクエストして、私がその頃またアウトレットまで車で娘を迎えに来ることにしましたが、そのお陰で娘も自分たちの欲しいモノが買えた様でした。 
 翌朝9時、朝早く新幹線で横浜から東京経由でやってきた婿殿を軽井沢駅で出迎え、そのまま彼等の希望で北軽井沢(群馬県の嬬恋です)の「軽井沢おもちゃ王国」へ送ります。片道30分ちょっと、浅間山々麓を走ってのドライブです。途中は、昔家内と一度来たことがある「鬼押し出し園」の横を通る有料道路の「鬼押しハイウェイ」を走ります。ジジババは「おもちゃ王国」へ行ってもしょうがないので、我々はホテルに戻ってノンビリと休養です。
そして指定された午後3時半に迎えに行くと、昨秋に行った「白樺湖ファミリーランド」では怖がって、公園内を走る機関車トレイン以外何もアトラクションには乗らなかった上の子が、今度はしっかりとメリーゴーランドや観覧車など色んなアトラクションを楽しんで利用出来たのだとか。最低5つ以上乗らないと3300円(大人、2歳以上の子供は3100円)のフリーパスの元が取れないのだそうですが、今回は十分に元が取れたと娘たちは喜んでいました。そんな僅か半年での孫たちの成長ぶりに驚きます。帰りは浅間山がくっきりと全容を現し、その雄大さが感じながらまた「鬼押しハイウェイ」を走ります。
それにしても、途中浅間山の噴火に依って誕生した鬼押し出しという景勝地があるとはいえ、軽井沢から30分も離れ、途中有料道路(片道計650円!)に入るまでは九十九折の山道をずっと走らされて、軽井沢とは名ばかりの“北軽井沢”という山の中にあるというのに、ここだけは家族連れで結構な人気ぶり。
因みに「鬼押し出し園」も“北軽井沢”の開発やこの「おもちゃ王国」も、軽井沢の不動産開発も手掛けた嘗ての子会社「国土計画」に依る西武グループの運営であり、いくらその投下資本に依る設備の充実ぶりが違うとはいえ、「チロルの森」とのこの格差が一体どこから来るのか考えさせられた次第です。
 「おもちゃ王国」からの帰路、 「軽井沢の別荘地を見てみたい」という婿殿のリクエストにお応えして、長野県内に入った所の「峰の茶屋」から旧軽方面へ下る有料道路「白糸ハイランドウェイ」へ。
途中、その名の「白糸の滝」付近へ下って来ると、少し離れた駐車場にはまだ空きがあったので、娘夫婦はまだ見たことが無いということからそこに駐車。昔見たことがある我々がぐっすり寝ている子供たちと車で待っている間に、娘夫婦は歩いて「白糸の滝」を見に出掛けました。
有名な静岡の「白糸の滝」に比べれば半分ほどのスケールですが、幅70m、落差3mの軽井沢の「白糸の滝」はマイナスイオン一杯で涼しくて、“避暑地”軽井沢を実感出来たようです。
「白糸の滝」も軽井沢の観光スポットではあるのですが、下の駐車場は満車で人も一杯。夏の軽井沢はどこへ行っても混んでいます(写真は15年前に「白糸の滝」に初めて来た時と、同じく10年前に来た時のモノを使用しました)。
更に下って、次に重要文化財「旧三笠ホテル」横に停車。今秋の再オープンに向けて現在は改装工事で閉館中のため、外観だけを見学。確かに以前見学した時よりも塗り直されて外観がキレイになっていました。
10年前に「旧三笠ホテル」を見学した時は、念願だった信濃追分の「堀辰雄文学記念館」を見学した際に、記念館のスタッフの方から軽井沢のおススメ観光ルートとその際の有料駐車場ではない別の無料駐車場の案内と共に、町営施設の共通入場券を「二ヶ所見れば元が取れますから」と勧められ、アドバイス通りに無料駐車場に停めて雲場池を散策した後、この「旧三笠ホテル」にも二度目の訪問をしていました。
この「旧三笠ホテル」から旧軽のロータリーまで約2km続く道が「三笠通り」で、新日本街路樹百景にも選ばれたという、均等に並ぶカラマツの美しい並木道。しかもその両脇だけではなく、中央分離帯の様なセンターラインにもカラマツが立っていて、まさに避暑地軽井沢を象徴する風景です。高く伸びたカラマツがこの夏の強い日差しを遮り、真夏でも避暑地ならではの涼しさを感じさせてくれますし、落葉松と書けばイメージ通りに秋の黄金色に輝く様な黄葉もきっと見事なことでしょう。この辺りは、まさに明治時代からの“避暑地”軽井沢を代表する別荘エリアであり、婿殿も“本当の軽井沢”を目の当たりにして、この地の理解に繋がった様でした。
その後旧軽銀座を通り、この日の夕食を予約してある中軽の星野リゾートが運営する「ハルニレテラス」へ向かいました。
 期間中、レンタルしたアルファードのお陰で、軽井沢での移動も何とかなりました。因みに軽井沢滞在中、上の孫はアルファードのことを“タクシー”と呼んでいました。さしずめ、私メはタクシーの運転手さんでしょうか・・・。
最終日、旧軽のロータリー近くのレストランで如何にも軽井沢らしいランチを済ませてから、横浜に戻る次女夫婦一家を軽井沢駅に送ります。
当日、町内は交通規制されているとの道路案内が出ていましたが、軽井沢駅には私服含めた警察官や報道関係者などたくさんの方々がおられ、この日、軽井沢縁の上皇陛下ご夫妻が電車で恒例の軽井沢への静養に来られるとのこと。
改札前がお出迎えの一般の方々も含めて混雑する中、孫たちは何度も振り返っては手を振りながらホームへと消えて行きました。
 「ありがとネ!またおいでヨネ!!」

 その一時間後、きっと「お帰りなさい!」という、軽井沢の地元の皆さんから上皇ご夫妻への歓迎の声が駅舎の中に響いているであろう頃、そう言えば15年前、お二人の出会いの場となったテニスコート近くの喫茶店で、マスターの奥さま曰く、
 「お二人のテニスは、美智子さまの方がとっても攻撃的なのヨネ!」
と仰られていたのを懐かしく思い出しながら、我々は一足先に駅舎を離れてアルファードで松本へ向かいました。
途中上信越道の工事渋滞もあり、予定時刻をオーバーしてしまいましたが、最後の最後まで安全運転で無事松本へ到着し、最後に車を返却して、漸く今回の軽井沢行が終了しました。
因みに、新型アルファード8人乗りのレンタル料は、ガソリン代を除き3日間で8万6千円でした。そのコストが高いか安いかは別として、慣れない、しかも“借り物”という緊張感は常にありましたが、ワンコも含め家族全員が一台で移動出来ましたので、何ともゆったり感じられた軽井沢滞在でした。
 無事に我が家に戻って、緊張からの解放感と、ニ週間近く居てくれた孫たちが帰ってしまった虚脱感と、そして何よりも、ジジババにとってはニ週間に及んだ“夏の陣”の疲労感とがないまぜになって、家内と二人で、
 「フゥ~・・・、疲れたネ。」
 「ウン、・・・帰っちゃったネ。」

 それにしても、孫のためとはいえ随分と出費の嵩んだ、ジジババにとってのニ週間に及んだ“夏の陣”でした。
当面は、年寄り二人での耐乏生活が続きそうですが、今度また孫たちが来てくれる時までに、例え粗食に耐えてでも何とかまた予算を確保しておかねば・・。

 何日も実家に居ると、松本での孫たちの“遊び”の材料が次第に“枯渇”して来ます。
都会であれば、動物園や水族館、キッズランドなど、そうした小さな子供たちが喜ぶ施設が幾つも有るのでしょうけれど、田舎ではなかなかそうはいきません。

以前松本に来た時に、娘がアルプス公園を始めとし、芳川公園や庄内公園など、松本市の公共公園は子供向けの遊具が充実していることに感心していましたが、雨の日や前日夕立ちがあった日などは、遊具が濡れていて使えないし、逆に昨今の様な猛暑の日は、遊具が火傷をする位に熱過ぎて使えないので、残念ながらそうした公園にも行くことが出来ません。
 そんなの時にお助けになるのが、先ずはショッピングモールです。
孫たちの一番人気は、イオンモール松本のキャラクターカートで、特に二人共アンパンマンが大好きで乗りたがりますが、週末などは子供たちのためにパパママたちが競って“早い者勝ち”での奪い合いになります。娘に依ると、
  「無料で乗れるなんて信じられない!有料にして貰ってもイイくらい・・・」
とのこと。
滞在中、私は用事があって行けなかったのですが、幼児連れのママさんに優しい「和み」でのランチを今回も個室で予約して、その前後にイオンモールの「キッズリパブリック」で買い物をするために、終末よりも混まない平日に家内と出掛けて行き、しっかりとアンパンマンのカートを確保して二人共乗れた様です。
 また、食料品買い出しはスーパーマーケット「ツルヤ」の中南信地区進出1号店でもある「渚ライフサイト」内の「ツルヤなぎさ店」が、ナント1年4ヶ月も掛けて7月から改装休業中(歳を取っても歩いて行けるからと今のマンションに決めたのに、まだ運転が出来る我々は良いとして、そうした事情を抱えたお年寄りは「その間は他店へどうぞ」と云われても、では実際にどうすれば良いのか、余りに“ユーザー・アンフレンドリー”な対応と云わざるを得ません)のため、結果代わりに選んだのが、松本市内の本店を閉めた井上百貨店が運営する、松本市郊外山形村のショッピングモール「アイシティー21」です。今までは殆ど利用したことは無かったのですが、市街から郊外へ向かう道路は混んでいないので、渚からは15分足らずで行くことが出来ます。そして、こちらにも「ツルヤ」が敷地内に別棟で入っています。
たまたま行った日は夏休みということもあって、アイシティーの一階モールの中央ステージで日替わりのイベントがされていて、この日は子供向けの音楽ステージが無料で40分間実施されていました。
ステージ前には椅子席も用意されていて、今回は昼前後の2公演でしたが、出演は大阪市東淀川区に拠点を置く「スキップ楽団」とのこと。
こちらの楽団は1977年に結成された、幼稚園や保育所の遊戯室、高齢者施設のロビーや食堂等、小規模スペースを会場とする公演など幅広い活動をしている音楽集団とのことで、この日はメインボーカル兼アイリッシュハープの女性、3代目リーダーというヴァイオリン、他にキーボード、ドラムスの各々ボーカルも兼ねる男性3人の計4人編成。
ステージは、アイルランド民謡の「ダニーボーイ」や童謡「雨降りお月さん」、そしてジブリのトトロから「さんぽ」などなど。
皆さん音楽の専門教育を受けられたプロミュージシャンの様で、わざとふざけては子供たちを沸かせながらも演奏はしっかりしていますし、女性ボーカルも澄んだソプラノで上手でした。子供たちも手拍子をしながら喜んでステージも大いに盛り上がっていました。
今や音楽大学を出ても、演奏人口の多いピアノやヴァイオリンなどは、著名な国際コンクール優勝の肩書か、或いは技量は“そこそこ”でも余程の美形でなければプロ演奏家として売れることはありますまい。ですので、こうした形で毎日音楽を生業に出来るのは、例え王道ではないとしても、音楽家人生としては或る意味幸せではないだろうかと、へそ曲がりの斜視的な見方かもしれませんが、手拍子をしながらそう感じて私も聴き入っていました。
最後は、音階毎に並べられた大小のフライパンを希望して前に出て来た子供たちに叩かせながら、一緒に「さんぽ」を合同演奏。いつもは次女に似て引っ込み思案の上の孫も、この日は自分から「行きたい!」と云ったそうで、下の孫も一緒に娘がサポートしながらしっかりとパーカーッションに参加していました。
 さて、また別の日のこと。
上の子が電車好きということもあって、“時間潰し”のイベント代わりに二度、マンションからすぐのアルピコ交通(旧松本電鉄)の上高地線の渚駅から二駅の松本駅まで電車で往復しました。
松本と上高地への入り口となる新島々までの上高地線は現在二両連結で、京王電鉄の3000系車両が引退し、現在は東武鉄道20000系車両3編成で運行されています(内1編成が、アルピコ社内の女性社員が描いた上高地線のキャラクター「渕東(えんどう)なぎさ」がCFなどに依って描かれた、2代目なぎさトレインです。因みに渕東も渚も上高地線の駅名)。

 大人の我々からするとたった二駅、僅か片道4分の乗車時間なのですが、彼等幼い孫たちからすると立派な“大冒険”なのでしょう。
踏切がカンカン鳴って電車が近付いて来る時から嬉しそうにはしゃいでいて、ドアが開いて乗車し、たった4分間の沿線の様子を窓越しに靴を脱いで座席に正座して眺めながら、終点の松本駅では八王子から乗って来た特急あずさが多い時は4編成も停車していたりと、乗り物好きな子供たちは電車での行き帰りをとても喜んで乗っていました。
 以上、ひと時の田舎暮らしの中で孫たちが見つけた、身近なエンターテイメントと小さな大冒険でした。

 8月お盆前。予定通り、次女が孫たちを連れて松本へ帰省して来ました。
会社の先輩女性曰く、学生時代の仲間内では、このお盆の孫たちの帰省を“夏の陣”と呼んでいるのだとか。なかなか言い得て妙!我が家の“夏の陣”も、この老体に鞭打って、いざ“戦闘開始”・・・です。
 病院勤めで松本へは来られない婿殿が休みの週末に八王子まで送って来て、八王子まで迎えに行った奥さまとそこで交代し、松本まで今度は家内が一緒にあずさでやって来ました。
会社によっては、今年最長10日間の長期お盆休暇のスタートとなる土曜日とあって、30分無料の駅駐車場は出迎えと観光の県外車で満車。早めに行って並んだこともあり、ギリギリで西口の「アルプス口」駐車場に停めることが出来ました。

 今回はホームまで迎えに行かなくても大丈夫とのことで改札口で待っていると、二人乗りのベビーカーと一緒に孫たちがしっかりと歩いてやって来ました。
二人共口々に「ジィジ!ジィジ!」とニコニコ叫びながらやって来ます。
そして、毎月の“家政婦”業の甲斐あって、いつもは“バァバっ子”の下の孫も含め、二人共「ジィジと!」と言って私と手を繋いで車の所まで私と一緒に歩いて行きます。これには家内も娘もビックリです。

 マンションに着き、家に入って暫しワンコたちを追い掛け回してから、早速松本用に置いてある二人のオモチャで孫たちは遊び開始です。
ずっと家の中に居て、オモチャとそれに飽きてのYouTube Kidsばかり視ていてもいけないので、夕刻涼しくなってから、マンション近くの公民館の広場にある滑り台とブランコの遊具で気分転換へ。
その時も、二人共「ジィジと行く!」と言って、家のドアからエレベーターに乗ってマンションを出て公民館まで歩いて行く間、二人共ずっと私と手を繋いで歩いて行きました。娘が「貴重な証拠写真だから!」と言って、それを後ろから何枚か写真に撮ってくれました。家内も、「良かったネ!!」。

 5月に横浜へ行った時には、室内用の小さな滑り台でさえも怖がっていた下の子が、公民館に在る滑り台を上からスーッと滑り降りて来たのには娘も家内もビックリの様子。そして、その“成功体験”が嬉しかったのか、何度も何度も喜んで滑っています。
特に3ヶ月ぶりに孫たちに会った私からすると、二人のたった数ヶ月の間の成長ぶりにビックリです。上の子は、単語だけだった会話が長い文章の様になりました。4月から幼稚園に行ってお友達が出来て、一緒に遊んだりしているからかもしれません。


 暫く遊んで、すぐ近くにアルピコ交通上高地線の渚駅が在って、一時間に上り下り一本ずつの電車が近づくと踏切がカンカン鳴るので、二両連結のその電車を楽しそうに見送ってから、次にお風呂に入るために家に戻りましたが、この時もしっかり私と手を繋いでくれました。
 「ジィジ冥利に尽きるでしょ!?」
 「えっ、イヤ別に・・・」

 因みに、翌日になると、孫たちは私ではなく、上の子は娘と。そして下の子はいつものバァバとしっかりと手をつなぎ、それから滞在中に二人共ジィジと手を繋ぐことはありませんでした。

 結局、そんなジィジ冥利に尽きた、たった一日だけの貴重な“ジィジの日”だったのでした・・・。

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