カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 私たちの住む渚地区のマンションの周囲には、市街地でありながら松本地方の伝統的な古民家である本棟造りの家がまだ数件残っていて、そうした家を囲む屋敷林の様なエリアもあって結構なたくさんの木々が残っています。。
今年になって、春先以降、そんなエリアを回る朝のワンコの散歩の時や、昼間マンションの部屋からも近くに屋敷林の周辺に見慣れぬ鳥を見掛ける様になりました。
少なくともマンションに引っ越してからの昨年までの3年間には見たことも無い鳥で、というよりも、個人的には里山の岡田や沢村地区に棲んでいた時も、そして学生時代の京都や新婚時代の諏訪でも(赴任した、気候帯の異なる熱帯のシンガポールでは当然ですが)見た記憶の無い、自分の記憶の中では生まれて初めて見る鳥でした。

 その鳥は、ムクドリくらいの大きさですが、ムクドリよりも遥かにスマートで、頭が黒く、体が灰色がかった青っぽく、何より更に濃い青味がかった尾が長いのが特徴です。とりわけ頭の色が黒いのが、何だか帽子を被っている様にも見え、オシャレでエレガントな感じです。全体から受けるイメージはスマートなツバメにも似ています。
でも、鳴き声は容姿からするとキレイな鳴き声ではなく、些かしゃがれ気味のだみ声のギェーギェーという様な鳴き声で、姿から連想してキレイな鳴き声を期待していると少々がっかりしてしまいますが・・・。
そこで、気になって特徴を入力して調べてみました。すると、該当し掲載されていた写真からも「この鳥で間違い無い!」と確信出来たのが、オナガでした。
     (以下掲載した2枚の写真は、ネット記事からお借りしました)
 Wikipediaに依ると、
『オナガ(尾長、Cyanopica cyanus)は、スズメ目カラス科オナガ属。
ユーラシア大陸の東西両端の2つの離れた地域に分かれて分布する留鳥である。分布の一方はロシア東部、中国東部、日本など東アジアで、もう一方はイベリア半島の一部である。
なお、日本では分布を狭めており、1970年代までは本州全土および九州の一部で観察されたが、1980年代以降西日本で繁殖は確認されておらず、留鳥として姿を見ることはなくなった。現在は本州の福井県以東、神奈川県以北で観察されるのみとなっている。わずか10年足らずで西日本の個体群が姿を消した原因はまったくわかっていない。ただし、九州の個体群については近年になって分布を拡大し続けているカササギとの競争に敗れたという説がある。このように分布域を狭めてはいるが、東日本に残された群の個体数は減少どころか増加の傾向にある。
全長は 34-39cm で、キジバトより一回り大きい程度。ただし尾羽が 20-23cm と長く、頭と体の大きさはムクドリ大。 名前の由来は、尾羽が長いことによる。なお、黒色に見える頭部の羽毛は濃紺。』
とのこと。
また違う鳥類図鑑の記述の中に、
『オナガは中部地方より北の、本州だけにいます。従って、関西のバード・ウォッチャーにとっては、是非お目にかかりたい鳥の1つです。尾が長いのでオナガと呼ばれています。良くテレビドラマで京都の話題の背景にオナガが鳴いている場面がありますが、自然ではありえない状況です。』
という記載もありました。
因みに、文中に在る「留鳥」(りゅうちょう、英語では: resident bird )とは、年間を通して同じ場所に生息し、季節による移動をしない鳥の総称。移動をする「渡り鳥」とは異なり、繁殖も越冬も同じ地域で行い、日本列島に生息する留鳥の身近な代表例としては、スズメ、カラス、そしてキジなどが挙げられます。
 我が家周辺で見掛けるオナガは群れを成した集団ではなく、どうやらつがいの様です。仲良く電線に止まっていることもあります。もし巣があるならヒナが生まれてやがて家族が増えるかもしれません。
ただ警戒心は強い様で、ベランダに出て写真を撮ろうとするとサッと飛び立ってしまうことも良くあり、なかなか上手く撮影出来ません(今回掲載した写真は、ネット記事からお借りした2枚と、ぼやけていますがスマホと、そしてまだ使っているSonyの“レンズスタイルカメラ”QX-10でも、それぞれズームを最大にして撮影した写真です)。
また縄張り意識が強いのか、或いは巣を守るためだったのか、ある時はオナガがカラスを攻撃しながらしつこく追いかけまわしていて、カラスは“ほうほうのてい”で逃げて行きました。もしかすると家族を守るためだったのかもしれませんが、姿に似合わず意外と気が強い面もあるのかもしれません。

 冬の間は一度も見掛けたことが無かったので、多分この春以降だと思いますが、“留鳥”の名の通り頑張ってこの辺りに留まって元気に生息し、そして家族を増やして我々の目を楽しませてくれたら・・・と願っています。

 奥さまが毎月10日間から2週間程度、定例で横浜の次女の所に“家政婦”に行かれて不在。
独り身だと何を食べようか迷い、時には「作るのが面倒臭い!」というような日もあります。そんな時に個人的に重宝しているのが、外食だと近くのテンホウや持ち帰り弁当のHotto Mottoです(但し、テンホウはメニューが少なく、個人的にテイクアウトで選べるのは皿うどんとソースカツ丼の二択しかありませんので、Hotto Mottoはメニューが豊富で助かります)。
我が家周辺にはあまり飲食店が無く、そうは言っても周辺に飲食店が集まる松本駅だって徒歩で8分程度なのですが、一人だと何だか億劫で、良く井之頭五郎さんは(仕事帰りとはいえ)独りで食べに行けるものだと感心してしまいます。それに一人だと徒歩範囲でなければ車で行くとは飲めないので、(下戸の五郎さんはともかくとして)飲兵衛の人間は余計億劫になってしまうのかもしれません。そこで、
 「だったら、買って来て家で飲んだ方がイイヤ・・・」
と勢いテイクアウトになってしまうのが必定(ワンコがいるので、ノンビリ留守には出来ないということもありますが)。

 前置きが長くなりました。
そんな状況の中で久し振りに選んだのが、松本B級グルメの代表格、松本市民のソウルフードと言っても過言では無い(と言っているのは私だけかもしれませんが、自分自身はそう信じて疑わない)焼きそばの「たけしや」です。但し“松本B級グルメ”と言っても、他の“町おこし”的にその地域で幾つもの店が共同で手掛けるその土地独特のメニューや料理、例えば松本だと“山賊焼き”とか上田の“美味だれ焼き鳥”などでしょうが、この焼きそばは「たけしや」でしか食べられない独特の焼きそばなので、本来の“B級グルメ”とは少し違うのかもしれません。
昭和30年(1955年)創業という「たけしや」。生まれたのは私メの一年先輩ということになりますが、70年近くもこの「焼きそば」一本で勝負して来た「たけしや」です。
今町から西堀への一方通行の道路沿いにある店舗は、今でこそ西堀の区画整理に伴い改築されて随分明るく清潔になりましたが、嘗ては(今は介護付きマンションになってしまった映画館「東宝セントラル」横の長屋の一軒だったと思いますが)お世辞にもキレイとは言えぬ店内だったことも手伝って、スパゲッティーの「ヤマナミ」(第547話参照)と共に、半世紀前の運動部系の部活男子高生御用達の店だった「たけしや」です。
その後、寿にも「たけしや南店」が出来、産直野菜などの「あるぷす市場」とかにも持ち帰りで出品されているので何回か買ったことがあるのですが、何となく西堀の本店の味とはちょっと違う気がします。
 昔懐かしい「たけしや」の、その独特の焼きそば。自家製という極太角麺で、太さはうどん、色は田舎蕎麦で、ぱっと見はむしろ焼うどんでしょうか。そして、結構ブチブチ切れていたりします。またソースも甘味と酸味がある独特の味付けでクセになります。店で食べると(お好み焼きとご飯の“お好み焼き定食”があるという粉物の本場、大阪同様に、たけし屋には焼きそばとご飯とお味噌汁の定食があります)、各テーブルに置いてある紅生姜、カツオの粉のふりかけ、ソース、七味、コショウ、そして店イチオシというニンニクが漬けられているオリジナルのにんにく酢などの調味料での味変が可能です。
持ち帰りでは、女将さんが七味を振り掛けるかどうか聞いてくれますし、紅ショウガはお弁当用の紙製パックに入れてくれてあります。
「たけしや」の焼きそばは、基本はキャベツのみで他の具材は入っておらず、他に豚肉やイカ、野菜もモヤシやニラ入りの焼きそばがあり、目玉焼きやオムライスの様な薄焼きたまごを別にトッピングすることも出来ます。また持ち帰りでは、並(500g)、小(400g)、大(650g)、特(1000g)と麺の量が分かれています。
今回オーダーしたのは、シンプルに「たけしや」の焼きそばの麺そのものを楽しみたかったので、基本のキャベツで大の650g。そして七味のふりかけもお願いしました。容器代を含めた「大」の値段は、麺の量と同じ650円!(これって、昔と殆ど値段が変わっていないのではないでしょうか!?)
ま、いくら久し振りで「たけしや」好きとはいえ、さすがに特大の1㎏はバレー部だった高校時代ならいざ知らず、70近いオッサンには食べ切れる自信がありません。
 夕方の開店時刻5時ちょうどに伺って注文し、数分待って持ち帰り。その間に地元の主婦の方も来られて、やはり持ち帰りでご家族分をオーダーされていました。
出来上がり、家まで車で5分足らずとはいえ、まだ熱々です。食べる前に先ずはワンコたちの夕飯を作って食べさせてから今度は自分の番ですが、それでもまだ十分熱くて、レンジで温める必要はありませんでした。
極太の麺はコシが無くヤワヤワですが、これが「たけしや」らしくてイイんです!そしてソースも油ギトギトではなく、酸味も効いていてむしろアッサリしています。ビールと一緒にあっという間に完食。久しぶりの「たけしや」の焼きそばに満足、満足!
 「ウーン、これなら1㎏いけたかなぁ・・・?」
いや、さすがに1㎏は多分無理なので、出来れば800gとかも作ってくれないかなぁ・・・。
いずれにしてもゴチソウサマでした!久し振りで美味しかったです!!

 毎朝のワンコの散歩コースの途中に在るお宅。そのお宅の生垣の道端に毎年5月に咲く白い花。それは今まで一度も見たことが無かった花でした。
たまたま昨年の春、タブロイド判の地元の“日刊地域紙”の最終頁にある「四季の花」というコラムに掲載されていて知ったのですが、それは「ホワイトレースフラワー」という名前の花だったのです。それにしても“言いえて妙”で、本当に白いレース編みのコースターや花瓶敷を思わせる様な、そんな花だったのです。

 花の咲く時期は5月。毎朝ワンコと散歩しながら、今年も春になって先にニンジンの様な葉が茂って来たので、その白い花が咲くのを今か今かと楽しみにしていました。たまたまそのお宅にもワンちゃんが居て、それがシーズーの梅ちゃんです。そのお宅の奥様か、いつも10時くらいに同じコースを散歩されているのですが、こちらはコユキが声帯を切られた影響で暑いとすぐにハァハァするので、暑くなる前に散歩に行くようにしているため冬だとお会いすることがあり、クルミが我が家に来てからは同じシーズーということもあって、お会いした時にはお話をするようになりました(4月2日に掲載した下の写真が、ちょうどそのお宅の横を歩くクルミでした)。
 我が家の奥さまが次女の所に月例で家事手伝いに行っている時は、二匹一緒に散歩は出来ないため、先住犬優先でコユキと最初に散歩して、次にクルミと散歩に行きます。
5月21日には松本が全国4位となる34℃を記録するなど暑くなってきたので、まだ5月ですが早々と“サマー・タイム”にして朝6時半から、また多少涼しい日は7時くらいから散歩する様にしました。
先日もコユキの散歩を済ませ、7時半頃からクルミの散歩に出掛けました。マンションの敷地内は犬は抱かないといけないルールなので、いつも近くの渚の公民館のところまでは抱いて行ってから散歩をスタートします。
この日、朝の出払いか、近所のご婦人方が集まって早朝から何かお仕事をされていたらしく、ちょうど終わって皆さんが帰るとことでした。
するとシーズーの梅ちゃんの奥様もおられ、
 「あらっ、クルミちゃん!久し振りね、元気だった?」
そして、奥様はご一緒されていたおばぁちゃまに、
 「ほら、ウチの梅と同じシーズーのクルミちゃん!保護犬なんですって・・・」
どうやらご一緒におられたのはお母様の様です。クルミは臆病で寄って来る他の犬は怖がるのですが、反面人は大好きで、お二人が帰る後を追いかける様に一緒に歩いて行きます。
ホワイトレースフラワーの咲いているお宅まで来て、何となく私の口から自然に出たのが、
 「ホワイトレースフラワー、本当にキレイですね。実際に生えているのを見たのはコチラが初めてで、園芸店でも今まで見たことがありませんでした。」
園芸好きのおばぁちゃまの仰るには、以前オープンガーデンを見に行った時に、そのお庭に群生しているのを見て気に入ったのだそうです。そして、そこから暫しおばぁちゃまと花談議になりました。以前戸建てに棲んでいた時に、ゼロから自分で作庭したこと。そして色んなハーブを育てたこと。でも花壇だけは毎年二回、家内がナカツタヤに植生を任せて植えて貰っていたことなどなど・・・。すると、
 「もし宜しかったら、切り花でお持ち帰りになりませんか?」
 「いえ、道を通る人に見て貰った方が花も喜ぶでしょうから、切ったら勿体無いです。」
でもたくさん咲いているし、零れ種でどんどん増えるんですと仰るので、
 「じゃぁ、一輪挿しに飾りますので、一輪だけいただけますか?」
すると、おばぁちゃまはハサミと新聞紙を家から持って来られ、一輪どころか大きな花束になるくらいに50本以上も切って下さって、新聞紙に包んで渡してくださいました。
 「水切りすると結構長くもちますからね。必ず水切りしてくださいね!」
 お礼を申し上げて家に戻り、教えて頂いた通りに水切りをして、玄関に置く一輪挿しと、残りの花は花瓶に挿しましたが、本当にたくさん。でも、家内も横浜に行っていて居ないので、私一人で他に愛でる人も居なくてはせっかくの花も可哀想です。
そこで同じマンションで、以前母の葬儀の時に、コロナ禍では弔問だけで皆さん帰られてしまうので葬儀出席は親戚のみになるため、たくさん上がった生花は花束にして親戚に出来るだけたくさん持ち帰ってもらったのですが、それでもたくさん余ってしまい、たまたまマンションの駐車場で居合わせた小さな姉妹が花が大好きというマンションの同じフロアの方に経緯を説明し、「母の葬儀で使った花なのですが、もし宜しければ・・・」と持ち帰った花束を貰って戴いたのが縁で(他にもお二人に貰っていただきました)、その後独りの時に親戚の法事等で花を持ち帰らざるを得ない時などは、その花好きの小さな姉妹に花をあげて家で飾ってもらっていました。そこで、今回も半分をお裾分けして喜んでいただきました。
 その後暇に任せてネットで調べてみると、意外なことが分かりました。というのは、いただいた花はホワイトレースフラワーでは無かったのです。ネットの写真も掲載されていた園芸図鑑などの記事に依ると、
『 【ホワイトレースフラワーのデータ】
花色:白 学名:Ammi majus 別名:ドクセリモドキ 科名:セリ科 分類:秋まき一年草~二年草 原産地:地中海沿岸 大きさ:背丈80~150cm、横幅30~60cm 主な見所:花(5~7月)
【ホワイトレースフラワーの特徴】
カーテンのレースのような繊細な姿から切花としてよく使われています。小さな白い花が集まって花序になり、それが花茎の先に10数個つけるのでよく目立ちます。葉は複葉で、株はロゼット状になり花どきにとても長い花茎を伸ばします。場合によっては背丈を超えるほど大きくなることもありますが、水や肥料を控えめにしてセーブしつつ締まった株に育てます。
レースフラワーと呼ばれるものには他にブルーレースフラワーがありますが属が違う別種になります。またホワイトレースと呼ばれるオルレア・グランディフローラとも属が違う別種です。』
そこで、
『 【オルレア ホワイトレースのデータ】
花色:白 学名:Orlaya grandiflora 別名:オルレア・グランディフローラ、オルラヤ 科名:セリ科 分類:多年草(常緑)、秋まき一年草扱い 原産地:ヨーロッパ 大きさ:背丈10~60cm、横幅15~50cm 主な見所:花(4~7月)
【オルレア ホワイトレースの特徴】
白い花が集まってレースのような花序になります。株の大きさにしては花が大きくよく目立ちますが全体的には自然な印象です。葉は切れ込みの多い緑、冬はロゼット状ですが春になると長い花茎を伸ばします。茎は比較的硬めで切花にも使えます。タネからでも比較的楽に育てられます。また、暑さに弱く暖地での夏越しは難しいですが、こぼれダネでよく増えます。郡植させると見事です。』   (左がオルレア・ホワイトレース、右がホワイトレースフラワーです)
 どうして間違ってしまったのでしょうか・・・?
それは『日本ではオルレアとして主に流通している園芸品種の“ホワイトレース”のほうが学名より先に有名になったため、ホワイトレースと呼ばれることもあります。 しかし、別の草花であるホワイトレースフラワーと名前も草姿も似ているため混同されることが多く、近年ではオルレアと呼ばれるようになっています。』ということなのでした。
ですので、昨年の地元紙に「ホワイトレースフラワー」として掲載されていた写真も散歩コースで見掛ける花と全く同じでしたので、ローカルとはいえ正確な情報を報道すべき新聞社もオルレアとホワイトレースフラワーを混同して間違っていたことになります。
そこで、おばぁちゃまにもネットの園芸図鑑の記載とそれぞれの写真をダウンロードして印刷し、花を頂いた少しばかりのお礼を兼ねてお渡ししました。
でも「オルレア・グランディフローラ」とは言いにくいですし、ホワイトレースの方が言葉としては語感がキレイなのですが、だとすれば混同を避けるためには、せめて「オルレア・ホワイトレース」と呼んだ方が良いのでしょう。
 頂いたオルレア・ホワイトレースはアドバイス頂いた通りに水切りしたのでずっと元気で、毎日水替えもした結果次々に花を咲かせてニ週間近く持ちましたし、散歩コースのオルレア・ホワイトレースも6月中旬になっても未だ見事な群生を見せてくれて、私の様な道行く人の目を大いに楽しませてくれています。

  信州の春の野山は山菜シーズンです。
フキノトウに始まり、“山菜の王様”タラの芽、コゴミ、ワラビ、ゼンマイ、コシアブラ、そしてネマガリダケ・・・。
野生という意味では、セリや山ミツバ、野蒜なども山菜に入るかもしれません。
特にこの時期になると、黒姫や妙高、志賀高原など、雪深い山で採れるネマガリダケ(「根曲がり竹」。正式にはチシマザサという笹の一種)が人気ですが、ネマガリダケに限らず山菜採りでは山での遭難や近年ではクマ被害なども毎年ニュースになるので、山に入る際は気を付けないといけません。

山菜を採る楽しみを別とすれば、もし食べるだけだったら地場のスーパーにもタラの芽などハウス栽培された山菜なども並ぶのですが、やはり野生のモノと比べると苦みが無いので美味しく感じられません。
“野趣を味わう”という意味では、苦みだけではなくえぐみ(蘞味)でさえ、時としてその野趣を感じさせてくれるので、山菜はハウス栽培ではなく、やはり野生のモノに軍配が挙がる気がします。
(上の写真は、昔母屋の中庭に父が植えたタラの木と以前頂いたコゴミです)

 そう言いながら、この時期の個人的な“食”の楽しみは、その山菜ではなく野蒜でした。


信州では野蒜とは言わず、方言で「ネンボロ」と呼んでいました。春になるとリンゴ園や田んぼの畦道などに良く生えていたので、母や祖母がぬたにしてくれたり、刻んで醤油をかけて鰹節を散らしてご飯に載せて食べたりしていました。また小さなタマネギの様な球根状の部分(鱗茎)は一緒に刻んでも良いですが、その部分だけを切ってエシャレットの様に味噌を付けて食べると、それだけでも乙な酒の肴にもなります。
個人的には、非常に単純で素朴な刻んだ野蒜のこの“ぶっかけ飯”が大好きで、これだけでご飯が何杯も食べられる気がします。
昔リンゴ園から摘んで来て、キレイに洗ってから刻んで醤油をかけて“ぶっかけ飯”にすると、奥さまや娘たちは「えっ!そんなモノ食べるの?」と少々呆れ顔で、誰一人として食指が動きませんでしたが、個人的にはフキノトウと共に春を感じさせてくれる“旬”の山野草でした。その意味では、もしかすると味と云うよりも“春”そのものを頂いていたのかもしれません。
 そして、この“ネンボロ”の時期が終わると、信州の里山は新緑の初夏を迎えます。

 ワンコとの散歩で松本城から向かったのが、昨年オープンした築120年の古民家を改装したという「町家カフェ 茶noma」(ちゃのま)です。
ネットで縁側の席はワンコOKという記事を見つけ、日本で一番“Dog Friendly”だと個人的に感じる軽井沢と違って、残念ながら我が松本ではなかなかペットOKという店が少ないことから、初めて行ってみることにしました。当初奥さまは「小昼堂」のテラス席を希望されたのですが、今回は新しいペットOKの店を開拓してみることにしました。
余談ながら、インバウンドを別とすれば、少子高齢化社会の我が国で、これからの観光産業における国内需要を喚起する要諦は、“ペットと老人”を如何に遇するかだと思っています(ですので、是非ワンコOKの店を増やしてください!)。

 さて、この町家カフェ「茶noma」は、その名の通り築120年以上の歴史ある町屋で、1時間1人500円(ワンドリンク付き)で利用できるカフェスペースとして昨年4月にオープン。
明治26年築の建物内には、職人技の建具や明治、大正、昭和の貴重な調度品や昔の家具調ステレオといったレトロな家電などが幾つも置かれていて、また京都の庭匠が造ったという手入れの行き届いた奥庭、それに面した縁側や茶の間で、毎日ご主人が汲んで来られる「鯛萬の井戸」の湧水で淹れたコーヒーや抹茶などを飲みながら休憩することが出来ます。
東京でTV番組制作会社を独立後経営していたという松本出身の70歳のご主人が、それまでこの家で一緒に暮らしていた弟さんが亡くなられ、御年92歳のお母上が一人きりになられたことからご実家に戻られて、“城下町のお休み処”としてこの古民家を活かそうとされたのだとか。ご主人に「宜しければ」と誘われて、家の中を案内頂きました。
女鳥羽川の南、江戸時代の商人街に在る“蔵の街”中町同様に、三の丸に当たる武家屋敷だったこの辺り(大名町~小柳町)も明治期に大火で焼け、そのためこの家も耐火用に土壁が分厚い蔵の構造を町家に取り入れた“蔵町家”という建築様式が用いられている由。「壊すのは簡単でも、建てるのはもう無理」と大工さんに言われ、何とか建物をそのまま活かすことを考えた結果の“町家カフェ”なのだそうです。
GW中のこの日は、東京で息子さんと暮らされているという、如何にも“都会風”(≒ナント形容すれば良いのか分かりませんが、どう見ても田舎の方には見えなかった)で“松本らしからぬ”奥さまもおられ、連休中は旦那さま独りでのワンオペは大変なので手伝いに来られたのだとか。
麻布台のマンションに居た長女が昨年二月に渡米するまでは、毎月上京しては“ニセ港区女子”を気取っていた家内と、東京暮らしと松本暮らしの話で盛り上がっておられました。
因みにペットは奥庭の縁側ではなく、玄関脇の縁側でのみ同伴が可能とのことで、少々狭くてペットとノンビリとはいきませんでしたので、我々はドッグカートのキャビンを外して前庭の平らな縁石の上に載せて対面する形でドリンクを戴きました。
改装に手伝いに来られた方がワンコ連れで、その時にいつもここで休憩して貰っていたので、そのままオープン後もここがワンコ連れの定席になったのだとか。ネット記事で見た時は、てっきり奥庭に面した縁側席がワンコOKで、そこでならゆったりくつろげそうだと思ったので、チョッピリ残念でした。でも、奥さまやご主人と、東京や松本のことなど、昔話も含めて話が弾んで、昔、祖母が家に来た人を誰でも家に上げてお茶と漬物でもてなしていた様に、何だかご近所のお宅に伺って「お茶でも飲んで行きましょっ!」的にまったり過ごすことが出来ました。
惜しむらくは、ご主人一人では今は止むを得ませんが、市販の茶菓子ではなく、出来ればいつか奥さまの手作りのスイーツが食べられる様になるともっと良いだろうと思います。
 さて、GW中の別の日ですが、また城山へのウォーキングへ前日行ったことから、今回のこの日はワンコと一緒にドッグカートで深志神社と四柱神社にお参りして子供や孫たちのことをお願いしてから、松本城公園で少しワンコを散歩をさせることにしました。元気なワンコなら家から松本城公園まで散歩で歩いていけるのですが、コユキもクルミも小型犬で、保護される前の繁殖犬時代の悪徳ブリーダーのせいで体に障害を抱えており、長い距離を歩かせるのは心配なので、ドッグカートで乗って目的地まで向かいます。
そう云えば、昔会社員時代に電車で諏訪に通っていた時に、休日前急に飲みに行った時は、月決めで借りていた駅裏の駐車場に車を停めたままだったので、翌日の土曜日早朝にチロルとナナと一緒に、お散歩がてら自宅の沢村から松本駅まで3㎞しっかり歩いて、帰路は車でワンコも一緒に帰ってきたのですが、ワンコたちはいつもの散歩コースとは異なる駅までの道を嬉々として歩いてくれたのを懐かしく思い出します。
閑話休題。この日の天神さまの深志神社は混んではいなかったのですが、中町から縄手通りに向かうと、通り一杯の人の波で、老舗のタイ焼き屋さんやベーカリーのスヰトにも順番待ちの行列。しかも、お目当ての四柱神社も初詣の時以来の参拝客のお詣りの列が出来ていて、ワンコも一緒なので並んでのお詣りは諦めて、今回は遠くからお参りをしてお城へ向かいました。
しかしこちらも凄い人出で、天守閣への入場は3時間待ちとのこと・・・。
(現在松本城では電子チケットが導入されていて、それだと希望する日時で入場可能ですので、GWなど混雑する時は事前にそちらを購入するのがおススメです。しかも松本城も入場料が値上げされたのですが、電子チケットには旧開智学校との国宝二つの共通入場券もあって、そちらだと値上げ前と値段が然程変わらないのでお得です)
やはりGW中は松本市内もどこへ行っても混んでいるので、「小昼堂」のワンコOKのテラスでの休憩も断念して家に戻ることにしました。

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