カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 個人的には、美ヶ原は松本の山だと思うのです。ですので、例え松本市民の“市民エゴ”だと言われようとも、尾崎喜八の頃の様に松本が「美ヶ原への玄関口」であるべきです。    (松本からの美ヶ原遠景)

最近は松本市に限らずですが、“山岳県”である長野県内の学校登山の実施校が減って来ています(登山経験の無い教員が増えていることも背景にはあると思いますが)。松本市内でいえば、小学校での美ヶ原登山、中学での燕岳登山が定番だったのが、今や燕岳への登山は数える程。代わりに標高2,702mの畳平までバスで行って、最高峰の剣ヶ峰(3,026m)を目指す乗鞍岳への日帰り登山という学校が増えているそうですが、登るだけまだ良い方で、中には学校登山そのものを廃止した学校さえ出て来ています。その意味で、旧安曇村の安曇・大野川両中学校が合同での学校登山として、幾ら地元の山とはいえ、力を合わせて今でも北アルプス最高峰3190mの奥穂に登っているのは、本当に大したものだと感嘆するばかりです。
市内の小学校の美ヶ原登山は、三城にある市の美ケ原少年自然の家に宿泊し、そこから美ヶ原を目指すか、登りはバスで上って歩いて降りて来るかは別として、昨年からの市内での熊出没騒ぎで美ヶ原登山を中止したのは止むを得ませんが、平成合併後は東の美ヶ原から西の槍穂高までが松本市になり、今や市内に百名山が6座もある“岳都”であるだけに、せめて美ヶ原くらいは登らなくては勿体無い!・・・と松本市民の一人としては強く思うのです。
きっと多感で純粋な子供の頃に山に触れることで、山の素晴らしさ、自然の豊かさ、山から流れ下る水の有難さを学び、恵まれたこの環境を大事にする気持ちが自然と子供心に刻み込まれる筈だと思うのです。

 そうした前提に立っての、美ヶ原の活かし方。
美ヶ原の環境保護団体では、今では次第に生育範囲を広げて一面に広がるシナノザサが日光を遮ったり、地下茎で他の植物の生育を妨げたりするのを防ぎ、これまで同様にレンゲツツジや高山植物などの美ヶ原の多様な草花を保護するために、ボランティアを募って年2回笹刈り活動を実施しています。しかし、皮肉なことにその活動に参加するために美ヶ原の台上に皆さん車で集合しています。
 では、再度問います。
ビーナスライン建設開始から半世紀以上が経過した今、その後の建設工法の技術革新等をふまえ、現在通じていないビーナスラインを再度慎重に研究検討して、松本側から王ヶ頭を経由してアクセス出来るようにビーナスラインを全線繋げれば良いのでしょうか?
それは「否」でしょう。
霧ヶ峰の様に、道路によって、そしてそこを走る車によって、前話で指摘された「生態系と景観の分断」や「裸地化」等の問題が、今度は美ヶ原でも引き起こされるのは必定だと思います。更には、道路を使えば今以上に広範囲に車の通らぬ夜間に移動し易くなることで、今以上に鹿による食害が助長されるのも目に見えています。
むしろ、道路建設と比べ、ロープウェイの方が鉄塔を建てる以外の自然環境破壊は起こらず、建設で破壊する道路の面積と比較すれば鉄塔建設の方が圧倒的に少なくて済む筈です。また車の排気ガス等の問題もロープウェイなら生じません。
 但し松本市の示した王ヶ頭や王ヶ鼻へのロープウェイの2つのルート案(上記マップの黒い実線)は、個人的にはそのどちらも反対です。
本来北アルプスだと2500m以上の高山帯にならないと見られない筈の高山植物が、王ヶ頭直下には2000m級の山では非常に珍しい高山植物のお花畑がありますので、その貴重な植生は守らなくてはいけません。また、王ヶ頭が終着駅になると、国定公園に指定される遥か昔の戦前に建てられた山小屋からの既得権益として、唯一山頂に立つ宿泊施設と売店の民間のホテルが、ロープウェイ建設で得られる権益(観光客増に伴う食堂や売店の売り上げも含め)をさらに独占享受するのをただ助けるだけだになり、美ヶ原の観光業全体への波及効果が薄まってしまいます。そして何よりも、少なくとも百名山の山頂に人工物はあるべきではない!他の山と違って、ホテルの裏側に、まるで邪魔者の様にひっそりと「美ケ原頂上王ヶ頭2034m」の石碑が建っている様な今のままでは、「百名山に登頂した!」という登頂の感激は得られますまい!?

一方の王ヶ鼻は“アルプスの展望台”とも言える、後立山連峰の北アルプスから御嶽、そして木曽駒などの中央、甲斐駒や仙丈といった南アルプス、更には八ヶ岳と、その間に遠く聳える富士山まで拡がっている270度の絶景の眺望に支障が出る可能性があります。この王ヶ鼻からの絶景は何としても守りたい。この素晴らしい景観の中に無粋な人工物など必要ありません。

 だとすると、ロープウェイの“山頂駅”はどこに設置すれば良いのか?
個人的には、登山道の百曲がりコースの終点である「百曲がり園地」から茶臼山に掛けての辺りの、建設し易い場所に設置すれば良いと思います。建設資材を運ぶ道路は、現状の林道よもぎこば線からビーナスラインを経由して、建設工事中の工事車両のみ特別に百曲がり園地まで通行を許可すれば、木々を伐採し谷あいを埋めるなどして新たな道路を建設しなくても良いのではないでしょうか。

 そして、この「百曲がり園地」から始まり、松本市側の美ヶ原の台上の西側に沿って王ヶ頭の先まで続く約2.5㎞の「アルプス展望コース」は、絶景のトレッキング(ハイキング)コースであり、大してアップダウンも無いことから、ここは南の八ヶ岳に始まる南アルプスから中央、北へと続くアルプスの展望をずっと楽しみながら、美ヶ原に来たら絶対に歩くべきコースです。(先述の市の2つの黒の実線のルート案に、赤い点線で加筆したのが百曲がり園地へのルートです。この百曲がり園地は松本市内ですが、そこから少し離れた「塩くれば」は長和町のエリア内となります)

百曲がりの登山道は無理でも、このコースなら小さな子供たちでもハイキング感覚で歩けます(但し王ヶ鼻までは3㎞ちょっとあります)。
歩くことが大変なお年寄りは、ここから王ヶ頭、王ヶ鼻や美しの塔を経由して、現在自家用車で来られるビーナスライン終点の山本小屋の駐車場までと、更に反対側の松本市の自然保護センターの自家用車駐車場までの道路(アルプス展望ルートとは別の、今既にある放牧地内を通る既存の砂利道)を巡回する、環境に優しい排ガスの出ない電気バスを定期運航させて乗ってもらったり、或いは電動カートを自家用車で来た終点の駐車場でレンタルしてもらったりして、広大な美ヶ原台上を景観を楽しみながらゆっくり自由に楽しんで移動して貰えば良いと思うのです。
その上で、既にそれぞれ国立、国定公園内にある中央アルプス駒ヶ岳、新穂高、北八ヶ岳の各ロープウェイ同様に、或いは上高地や乗鞍岳の様に、自家用車の通行禁止エリアの拡大や指定通路以外の歩行禁止等、自然環境保護との両立を検討して行けば良いのではないのでしょうか。
“岳都”松本の市民の一人として、“環境保護”の名の下に何でもかんでも反対ではなく、環境保護と山を楽しむことをどう両立させれば良いか?をふまえて、美ヶ原ロープウェイ構想の実現に向けて、是非前向きに検討して欲しいと願っています。

 小さい頃から毎日眺めて暮らしてきた、筑摩山地の美ヶ原。日本百名山の一つでもあります。しかし、個人的には(松本市民としては?)深田久弥よりも、信州ゆかりの“山の詩人”尾崎喜八の方にむしろ馴染があります。
先ずは、以前もご紹介した、その尾崎喜八作『高原詩抄』に収められた「松本の春の朝」第6編(昭和17年刊行)です。(松本からの美ヶ原遠景)

 『  車庫の前にずらりならんだ朝のバス    
   だが入山辺行きの一番はまだ出ない。    
   若い女車掌が車内を掃いたり、
   そうかと思えば運転手が、
   広場で新聞を立読みしながら、
   体操のような事をやってみたり。

   夜明けに一雨あったらしく、
   空気は気持ちよく湿っている。
   山にかこまれた静かな町と清らかな田園、
   岩燕が囀(さえず)り、れんげそうの咲く朝を
   そこらじゅうから春まだ寒い雪の尖峰が顔を出す。
   日本のグリンデンヴァルト、信州松本。

   凛とした美しい女車掌が運転台の錫(すず)の筒へ、
   紫と珊瑚いろ、 
   きりたてのヒヤシンスを活けて去る。      』
 美ヶ原への登山口のある、入山辺の「三城」へのバスを待つ松本駅前(上の写真は、昭和50年代前半と思われる旧松本駅舎。左隅に懐かしい旧松本電鉄カラーのバスが写っています)。松本駅からバスで三城まで行って、そこから春の美ヶ原へ登ったであろう日の、松本の早朝の情景を詠んだ詩です。
北アルプスは日帰り登山はキツイのいで、ワンコもいて山小屋泊の難しい我々は、毎年の様に、しかも多い時は年2回美ヶ原へ登って来ました。
美ヶ原へは、毎回入山辺地区の三城にある「三城いこいの広場」の無料駐車場に車を停め、尾崎喜八も登った百曲りコースから美ヶ原を目指します。
美ヶ原へは登山ルートは松本からが一般的であり、その意味で尾崎喜八が詠んだ様に、昔から松本が美ヶ原への玄関口だったのです。
その美ヶ原へは、松本市の観光統計で昨年1年間に訪れた人はおよそ40万人とか。しかし、もし登山ではなく車で美ヶ原へ行く観光客が大半だとすると、美ヶ原へ行く殆どの観光客は茅野から白樺湖や蓼科からのビーナスラインか、上田(旧武石村)からの和田峠方面へのルートでのアクセスとなります。しかし、ビーナスラインや上田からのルートでは長和村の美ヶ原高原美術館と山本小屋までで、松本から美須々湖経由での美ヶ原自然保護センターまでの道路とは繋がっていません。また松本市街から扉峠までの林道よもぎこば線でも扉峠からはビーナスライン経由で美ヶ原方面へ行けますが、急坂で九十九折が連続するため、ビーナスラインの様な快適なドライブを楽しめる道路ではありません。
従って2034mの美ヶ原山頂の王ヶ頭に建っている人気のホテルへは、自家用車でのアクセスが出来ず、自然保護センターの駐車場に車を置いて歩いて行くか迎えに来て貰うしかありません。ただホテルの建物や各TV局の電波塔が林立している王ヶ頭よりも、むしろ松本側の2008mの王ヶ鼻の方が遥かに展望は優れます。
また冬期間はビーナスラインと美鈴湖から自然保護センター間の林道は、冬季通行止めになるため、美ヶ原への車のアクセスは制限されてしまいます。
 そんな状況もあって、松本市では美ヶ原へのロープウェイ建設が関係者の間で検討されています。それを伝える昨年度のマスコミの報道から引用します(因みに、マスコミでは報道上「ロープウェー」と表記するのが原則とのこと)。
『さらなる誘客へ、課題として指摘されてきたのが特に冬季通行止めとなる期間の「アクセス性」です。そこで今回、可能性が検討されることになったのが「観光ロープウェーの建設」です。
市は新年度の当初予算案に、ロープウェー建設の可能性を研究するため専門業者への調査委託費としておよそ1700万円を計上。現地調査や課題の整理、地元へのヒアリングなどのほか、事業化する場合のルートの候補やおおよその事業費の算定などを行ってもらうとしています。
県自然保護連盟会長は「ロープウェー建設はその貴重な自然と景観を著しく破壊するものであり許されません。強く計画の撤回を求めます」としていて、建設に反対している市民団体は10日会見を開き、美ヶ原高原は、自然公園法で開発が厳しく制限される「第1種特別地域」であり、最も景観が美しい場所の一つだと指摘しました。』
そして、ここで市はロープウェイ建設に関して、広く市民等(市民以外でも回答可能)からWebアンケートを募ることになったとのこと。 
     (美ヶ原 王ヶ頭直下の花畑のハクサンフウロとマツムシソウ)

 自然保護、環境破壊反対を旗頭に自然保護団体はロープウェイ建設に反対していますが、特に王ヶ頭周辺には、2000m級の山では極めて珍しい高山植物が生えているのが確認されているのだそうです。
茅野市から蓼科を経由して霧ヶ峰を通り、上田市側の美ヶ原までを結ぶビーナスラインは、1960年代前半から工事が開始され、当初の計画では王ヶ頭を経由して松本市まで結ぶ計画でした。
しかし、霧ヶ峰線・八島線開通後の大量の観光客や車の入り込み、当時の建設工法や投棄ごみの増大により、予想以上に環境破壊が進んでいるとして、1970年に着工し始めた美ヶ原線への反対運動が起こり、当時の環境庁長官が1971年に現地を視察して、「この地域(美ヶ原高原)一帯は、1950年から60年に入植されて生まれた人工林地帯ないしは牧草地であり、車道計画そのものを中止する必要はなく、一部地域にある原始林ないし天然林を保護しうるような計画に変更しさえすれば良いのではないか」という結論を出したため、長野県はこれをふまえて再検討した結果、「扉峠~美ヶ原台上の一部ルート変更」と「美ヶ原台地上の美ヶ原(高原美術館)~王ヶ頭の車道計画の中止」と計画を変更した上で開通したのでした。
 しかし、その結果どうなったのか?長野県の『霧ヶ峰における自然環境の保全と再生に関する調査(2006~2007年度)』)に依ると、
『生態系と景観の分断:
・八ヶ岳中信高原国定公園の霧ヶ峰や美ヶ原高原の広大な草原・湿原をビーナスラインが切り裂く形となり、野生動物の生息域や植物群落が直接的に分断された
2002年(平成14年)に全線無料化されたことで通行量が急増:
• 観光客が指定された遊歩道や木道から外れて草原に立ち入ることで、植生が踏み荒らされ、地面が露出する「裸地化(らちか)」が各所で発生した
• 外来種の侵入・拡大: 車のタイヤや観光客の靴底に付着して、本来の生態系に存在しない外来植物の種子が標高の高い高原へと持ち込まれ、固有の植物群落を脅かしている
• 騒音と大気汚染: 自動車や二輪車(バイク)の集中による排気ガス、および夜間・早朝の走行騒音により、「本来の山の静寂が破壊されている」との指摘がある
周辺環境の変化と二次的被害:
• 気候変動の影響に加え、観光開発による排水環境の変化などが重なり、霧ヶ峰周辺では「湿地の乾燥化」や「草地の森林化」といった、もともとの景観(維持されてきた草原生態系)が失われる現象が進んでいます。

• 近年、ビーナスライン沿線全域でシカによる植物の食害(ニッコウキスゲなどの高山植物の食い荒らし)が深刻な課題となっており、道路がシカの移動経路や侵入を容易にしている側面も指摘されている     』
との指摘もされています。
   (松本方面から袴腰経由、終点の美ヶ原自然保護センターへの道路)
 では、その後の建設工法の技術革新等をふまえ、現在通じていないビーナスラインを再度慎重に研究検討して、松本側から王ヶ頭を経由してアクセス出来るようにビーナスラインを全線繋げれば良いのでしょうか?

 清掃ボランティア「源智の井戸を守り隊」の発足当時からのメンバーで、地元の地区にお住いの市会議員の方のお口添えもあり、小池町の「徳武の井戸」でも知られる「徳武竹材店」さんから、青竹で編まれた高級竹スダレを二面寄贈いただきました。

今の光合成抑制目的で掛けている竹ひごのスダレとは比べ物にはならないくらい、青竹の1㎝幅の割竹で編まれ、所々に切り抜いて矢羽根模様が施された、見るからに高級な竹製のスダレです。しかも節の部分を或る程度の長さずつに揃えて、敢えて模様として“景色”を創ってあります。見事です。
 大正時代の創業という「徳武竹材店」さんは、これまで社長をされていたお父様が90歳を超えるご高齢となられたため、今年を以て竹材店は廃業されて、大きな倉庫の跡地はコインパーキングにされたのだとか。ただ竹製品の在庫がまだ残っており、その中から「源智の井戸は歴史と由緒のある井戸だから、それに相応しいスダレを掛けてください」と、大変ありがたいことにスダレ二面を寄贈してくださったのです。
本当にビックリする程見た目も立派で、大変高価なスダレであることが素人でも一目で分かります。
ただしっかり編み込まれているためかなり重量もあり、その重みにちゃんと耐えられる様に工夫して井戸の東屋に掛けたいと思いますし、屋外で使うので防カビと防腐対策を施した上で、更にそんな高級スダレであれば念のための盗難対策もした方が良いとも思います。
 なお「徳武竹材店」さんに伺ったのには、今回もう一つ目的がありました。
それは250cmの黒竹を探すためでした。というのも、八角形の玄智の井戸の8ヶ所ある水口の中で、水路のために敷石が切ってある所に在る水口が大きなペットボトル用には一番汲み易いのですが、日差しが差し込まぬ様に掛けてある東側のスダレが、少し巻き上げてはあるものの、その頭上にスダレがあるために邪魔になるのか、乱暴に扱われて何度か巻き上げ機が壊れたり外れたりして、その都度直しているのです。
そのために8つもある他の水口を有効的に使えるよう、柄杓で水を汲む時に便利なジョウゴを3つ補助金で購入して東屋の柱に掛けてあるのですが、中には使うのが面倒臭く感じる利用者の方もおられるようです。
そこで、前回の清掃時にメンバーのお一人から、井桁の真上にスダレが来れば水汲みの邪魔にはならないので、もう少し内側にスダレを移したらどうかとのアドバイスがあり、「ナルホド、それはGood Idea!」と納得。そこで計測してみると梁と梁の間が255㎝あるので、その間に角材か棒を渡してそこにスダレを吊るすことにしました。
東屋が黒塗りなので、ホームセンターで黒竹を探したのですが、1.8m(6尺)のものしかなく(因みに今掛けているスダレも176cmとのことなので、昔からの日本の道具は尺貫法ベースのモノが今でも使われている様です)、それ以上の長さの竹は、普通の青竹(乾燥して黄色になったモノ)しかありませんでした。プラスチック製の240㎝のイボ竹はあったのですが、文化財の井戸に使うにはそれだと余りに安っぽくて風情がありません。
そこで、今回専門店の「徳武竹材店」さんに伺う機会を頂けたので、竹材を扱っておられる専門店なら長い黒竹があるのではと考えた次第です。
しかし廃業されたとのことで、「昔は色々あったんですが・・・」と見せて頂いた残った在庫の中にあったのは200cmの黒竹でした。
 「同じ黒竹が松本城でも使われているので、品質はとても良いモノです。」
そこで思案の結果、先端の細い方を根元の方に太い部分にちょうど差し込むことが出来る黒竹を探して、その2本を補助金で購入させていただきました。
その上で差し込んで結合し、240cmの長さで切断。
東屋の屋根は垂木で汲んであるので、ちょうど井桁の端の真上の位置の梁の部分で、東屋の屋根裏の垂木と垂木の間の5cmちょっとの巾の間にナントか黒竹を渡して、S字フックでスダレを掛け替えて、ちょうど上手く井桁の端に来る様にしました。そうすれば確かに縦に176㎝まで一杯下げても水汲みの邪魔にはならないですし、光合成の抑制効果も上がるのでまさに一石二鳥でした。当座はこれで対応したいと思います。

 今回「徳武竹材店」さんから寄贈頂いた、高級竹スダレ。
ご厚意を決して無にすることの無いよう、また利用者や地元の方々にも500年の歴史のある“地元の宝”である「源智の井戸」の“風情”として親しんで頂けるよう、重さで落ちたりせぬ様に耐荷重などの安全面や防カビ防腐対策、そして念のため万が一の盗難対策もしっかりとふまえながら、一番良い方法をメンバー皆でこれから考えたいと思います。

 今年のOMF、セイジ・オザワ松本フェスティバル。
知り合いから、「オーケストラコンサートのチケットがダブってしまったので、聴きに行かないか」と誘っていただきました。
そのコンサートはオーケストラコンサートのBプロで、客演のフランソワ=グザヴィエ・ロトの指揮するブルックナーの交響曲第8番ハ短調WAB 108(ハース版)。80分以上にも及ぶある意味“超”大作で、ブルックナーの交響曲の中での最高傑作と評されています。演奏は勿論サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)です。
しかし、個人的にはブルックナーは苦手。例えば交響曲のジャンルで言えば、子供の頃に先ずは俗に三大交響曲と云われる“運命”、“未完成”、“新世界”に始まり、大好きなブラームスやシベリウス、そしてチャイコフスキーやシューマン、シューベルト、やがてマーラー・・・と次第にその範囲を拡げて聴いて来ても、ブルックナーには殆ど手を(耳を)出しませんでした。せいぜい、手持ちのLPやCDの中にも“ロマンチック”と7番がある程度。ましてや、これまで生演奏でブルックナーは一度も聴いたことはありませんし、今までは正直聴こうとも思いませんでした。
ただ、宗教曲の傑作テ・デウムだけは何度かCD等で聴いています。大地から湧きあがる様な荘厳な合唱の響き。特に終曲のフーガはベートーヴェンの“第九”の第4楽章のそれを彷彿とさせます。
ですので、ウィーンの教会オルガニストだったという彼の経歴もあって、個人的にはブルックナーの音楽はキリスト教と切っても切れない関係があり、だからクリスチャンでない自分には(何となくその表題だけで世俗的に感じられる4番以外は)彼の交響曲の根底にあるであろう、その精神性をどうしても理解出来ないのだと勝手に思っていました。

 そんな中で頂いた、ブルックナーの8番のコンサートチケットでした。
80分を超える大作ですが4楽章形式ですので休憩は無く、全曲通して演奏されます。そして、この日のプログラムはこの1曲のみ。指揮者のロトはフランス人の指揮者でドイツの楽団で研鑽を積み、問題行動で解任騒ぎも過去にはあった様ですが、カリスマ性を備えた指揮者だという評価。
演奏が始まっての感想。それはSKOの巧さとパワーでしょうか。16型の対抗配置で並んだ弦楽器群の奏でる、これが日本のオケかと思える様な(しかも結構女性奏者もいるのに)パワーに満ち溢れた圧倒的な迫力。今年もいつもの様にコンマスの席には豊島さんが、そしてその隣には矢部さんが座っていましたが、既に結成以来代替わりもしていて、若いメンバーも結構加わっているので、嘗ての様な斎藤英雄氏の指導で阿吽の呼吸で併せられるという、“弦の桐朋”出身のメンバーばかりでは無い筈です。そして、嘗てはマエストロ“世界のオザワ”の呼び掛けで集まった、手兵のBSOメンバー中心に世界中の腕利きばかりだった管楽器群も、夏のオフシーズンとはいえメンバーも変わっている筈です。
そして8本という指定のホルンは勿論ですが、金管楽器群の煌びやかさと門管楽器群のベルベットの様な柔らかさに、「本当に巧いなぁ・・・」と溜息しか出ませんでした。
 ただ、個人的に勝手なイメージとしてのブルックナーのシンフォニー。
教会のオルガニストらしい、神への信仰の元に何重にも重ね合わされたパイプオルガンの様な重厚なハーモニー・・・。それは、多分にブルックナーの指揮者と言えば、浮かんで来るのはギュンター・ヴァントやチェリビダッケ、そして日本ではマタチッチと朝比奈隆といったマエストロ達から受ける印象も重なっての、ある意味先入観も多分にあるのかもしれませんが・・・。
しかし、この日のロトの指揮から紡ぎ出される音楽は、宗教感や精神性ではなく、むしろフランス音楽的なミュンシュ、マルティノンに代表される様な鮮やかな色彩感・・・でした。しかもテンポも速い。それが上述のマエストロたちのブルックナーの様な重厚感を感じさせない理由だったのかもしれません。
確かにオケも巧い、演奏は鮮やかというか煌びやかで華やか・・・・。
初めて生で聴くブルックナーではあったのですが、「ウーン、そうか、これがブルックナーの8番なのか・・・?」。
唯一、指揮者の意思、意図が感じられたのは、最後終わった後に30秒近くタクトをそのままで降ろさなかったこと。我々聴衆も誰一人“フライング・ブラヴォー”を叫ぶ輩も無く、その指揮者のタクトが降ろされるのを、ホールの全員が息を潜めてじっと待っていた、まるで息苦しくさえ感じられた“永遠”の30秒間だったでしょうか。
やがてタクトが静かに下ろされると、客席からはブラヴォーの嵐! 
 「フーン、そうなんだ。これが心酔する“ブルックナー・マニア”が評価する“ブル8”なのか?・・・」
 余談ですが、最近では(多分コロナ禍以降?)サントリーホールなどでの海外からの有名オケや松本でのN響のコンサートでも、ちゃんと事前アナウンスも含め認められていたカーテンコール中の写真撮影。どうしてOMFではOKにしないのだろう。
しかも、マエストロ・オザワ亡き後、止むを得ないとも思いますし、チケットが海外の有名オケ並みにまで高騰してしまったことも影響しているのかもしれませんが、嘗てテント村が出現するのが恒例だったメインのオーケストラコンサートですが、今やチケットが売れ残っているという現実も含め、例年通りの最後に県花リンドウをオケメンバーがステージ前のお客さんに渡すだけでなく、もっと聴衆フレンドリーであっても良いのに・・・。そんな疑問を感じて、多少モヤモヤしながら会場の県文(キッセイ文化ホール)を後にしました。
蛇足ではありますが、チケットを譲って頂いた方にそれ相応のお礼をさせてお頂いたのは勿論言うまでもありません。

 2週間以上、17日間に及んだ今回の孫たちの松本滞在。
最初の「滞在記(1)」で書いた通りに、“孫は来て良し帰って良し”は迎える田舎のジジババの気力体力の限界を述べた言葉だと、個人的には自分自身の実感をふまえて勝手にそう理解しているのですが、それはともかく、今回の滞在で孫たちが一番喜んで気に入ってくれたのは、「チロルの森」でも旧パルコ(現松本シェーナ)にオープンしたキッズパーク「The Kids」でもなく、無料の「アルプス公園」でした。(今回は動画撮影が多かったので、以前アルプス公園で撮影した写真も掲載しており、季節感が異なりますがご了承ください)

私の生まれ育った下岡田(神沢)からは裏山で、子供の頃の県の「種畜場」時代から昆虫採集などで慣れ親しんだ“遊び場”でしたので、松本市の都市公園になった今でも親近感がある自分としては嬉しい限り。
そんな経緯のある私はともかく、市街地から3㎞足らずの車ですぐの所に、信州の高原気分が味わえる81haという広大な都市公園があることは、松本市民としても大いに自慢して良いと思っています。事実、松本市民だけではなく、週末などは松本の近隣市町村や県外の観光客、更に最近では中にはハイキング気分で街中から歩いて来られるインバウンドの観光客の方もおられます。
 この雄大な都市公園には、丘陵地帯を利用しての滑り台を始めとする色んな遊具、広い芝生広場や猿山などの小動物や小鳥の小屋もあり、また昔の子どもの様に野山を駆け回ることも出来ます。公園の中で、唯一有料なのが全長630mにも及ぶドリームコースターで、1回410円(小中学生200円)。週末には行列で30分待ちになるくらい、人気のアトラクションです。
また耐震不足で撤去された「展望広場」は囲われていて、何やら工事中でしたし、「子供冒険広場」には新調された遊具もあり、同じく見易く改修されたという「小鳥の小動物の森」(ワンコ連れは入れません)含め、安曇野越しに一番北アルプスの展望が良い「ピクニック広場」には遊歩道やベンチなどが新たに設けられるなど、昨年辺りから広大なアルプス公園も少しずつ改修工事がされて園内の施設が次第に充実してきているのが実感出来ます。
 今回も、子供たちは早速「子供冒険広場」の遊具で楽しそうに遊んでいました。他のお友達がいると順番で待ったり、独占せずに他のお友達に譲り譲られたりしながら、そうして子供なりに社会勉強をしているのでしょう。
そして最後にドリームコースター。前回も乗って勝手も分かっているので、それぞれパパママと一緒に乗って、コース途中で動画撮影をしているこちらのジジに向かって手を振って歓声を上げながら、楽しんで630mのコースを一周して来ました。

それから、皆で車に乗って近くのレストランへ行ってランチです。その後、頼まれた足りない食材をスーパーで購入してからババの待つマンションに帰る予定が、孫たちは「またアルプス公園で遊びたい!」と頑として譲りません。
そこで止む無く、またアルプス公園に送り届け、私が一人で買い物をしてから再度アルプス公園へ。
すると、彼らは二度目のドリームコースターの順番待ち。今回もパパママのパートナーを交替しながら、孫たちは二度目のドリームコースターを楽しんで満足したらしく、漸く家に戻ることになりました。
  「あぁ、楽しかった!また、今度もアルプス公園に来たい!」
そこまで孫たちが楽しんで貰えてジジババとしても嬉しい限りでした(次回は、ドリームコースターの回数券を買わねばなりますまい!)。

 こうして、17日間に亘るジジババの“気力体力の限界への挑戦”と、クルミのチビッ子怪獣から逃亡しての“すみっこぐらし”が無事終了しました。
その後、漸く怪獣が居なくなって静かになった室内で、相変わらずの我関せずで寝ているコユキと我が物顔に自由に動き回るクルミを尻目に、片や翌々日どころか一週間近くも疲労感が残り、今までがウソの様に静まり返った我が家で何もする気にならなかったジジババなのでした。

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