カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 このところの寒波襲来(今週26日の火曜日には、松本で今冬最低の氷点下12℃を記録。諏訪は同13℃で諏訪湖の全面結氷を3年振りに観測とか。このまま続けば御神渡も・・・!?)までは暖冬気味でしたが、暖冬とは言っても、一旦薪ストーブに火を点けると火を絶やさぬように燃やし続けるので、結局今年も例年通り“順調に(快調に?)”薪を消化しています(炎の視覚的な暖かさもありますが、遠赤外線効果もあると云われる薪ストーブの暖かさは、やはり何物にも替え難い気がします。そして何より、奥さま週イチ?の“焼きイモ”作りにも欠かせません)。

 昨シーズン(或いは二年前?)からだったか、リンゴの剪定で出る太目の枝だけではなく、細い小枝(ぼや:注記)もストーブの焚き付け用に使うようにしています。
昔は、どのリンゴ農家でも厳冬期に剪定した枝を拾い集めて(ぼや拾い)、一抱え程の大きさの束に“丸けて”(「丸くする」の方言?)、春先に「消し炭」を作り、翌年の掘り炬燵に使っていました(水を掛け易いので、地区の溜池の縁に共同の“焼き場”が掘ってありました。子供の頃、親父の手伝いで毎年行っていたような・・・)が、掘り炬燵が田舎の農家からも(一時の豆炭からその後の電気ゴタツへと置き換わって)姿を消して炭の需要も無くなってしまいました。でもリンゴ園にそのまま放置する訳にもいかないので、どの農家も昔同様に剪定した枝を集めて(自分の田んぼなどで)春先に燃やしています(木灰にはカリウムが含まれるので、畑に撒けば肥料になります)。早春の(作業期間が指定される、田の畔などの)野焼き同様に、早朝の田畑の中でから煙が立ち上ると、剪定で出た「ぼや」を燃やしている煙です(これも春の風物詩でしょうか)。

 我が家では、燃やさずにリンゴ園の隅に積み重ねておいたのですが、何年分か溜まって来ると邪魔になるで、乾燥した太目の枝だけではなく、細い小枝も適当な長さに折って薪ストーブの焚き付け用に使うようにしました。
特に、一年前に新ワイ化の苗木に全部植え替えたので、大量に発生しました(新ワイ化のリンゴの木は、基本的に剪定不要なので、いずれ「ぼや」は発生しなくなります)。小枝から抜根した根も含めて、全てはストーブの貴重な薪になります。
毎週末(しか今は時間が取れないので)、良く乾燥したリンゴの枝を、手で折ったり電動の丸鋸で切ったりしてダンボール箱一杯に用意して、運んだ薪と一緒に雨の掛からない屋根下のベランダに置いてあります。
昔、茅葺農家には必ずあった囲炉裏や、また一般家庭にもあった竃(かまど)では、例えば炊飯だったら“始めチョロチョロ、中パッパ・・・”という、その「チョロチョロ」用の焚き付けにこうした里山の小枝(或いは杉の枯れ枝や大豆の豆殻なども)を使っていたものです。果樹農家だった我が家では、リンゴやブドウの剪定で大量に出る枝を、囲炉裏や竃だけではなく風呂焚きにもきっと使っていたことでしょう。
 我が家の薪ストーブに実際に薪に点火する時は、以前はショップで購入した着火剤(キャンプ時など、野外での火起こしでお馴染み)をずっと使っていました(幾つか試しましたが、「ドラゴン着火剤」が15分位燃えて一番火持ちが良かったので、我が家はこれ一辺倒)。毎日1個ずつ使いますが、薪ストーブは11月下旬から3月下旬(寒い時は4月上旬)くらいまで使っていますので、その数100個程(一箱600円前後で24個入りなので4箱分)にもなります。
それまでの端材の替わりに、より点火し易いぼや(小枝)を使うようになってからは、着火剤の代わりに新聞紙を丸めて使うようにしました。紙パルプも元々は木材ですので、意外と(多分想像以上の)火力があります。1回に、普通の新聞紙見開きで2枚を半分(ブランケット判で4枚)に切って丸めて、4個で十分。太いナラ材を枕にして、丸めた新聞紙を太目の枝と小枝を覆うように並べて着火。燃え上がった所で、割ったリンゴの薪、次に太いナラ材という順番で燃やしていきます。しっかり薪を乾燥させてあれば、これでOK。
我が家では、新聞を3紙(全国紙2紙とタブロイド判のタウンペーパー1紙)購読しているので、捨てるほど(実際は資源ゴミ)ありますから、着火剤を買うこと(市中に在った代理店が取次中止したため、その後はネット購入へ)を思えば(情報の価値としてではなく、着火剤の代替用途としての新聞紙は、当然ですが)“タダ”同然。重宝しています。
【注記】
「火」の話題ですが、「ぼや」と言っても「小火」のことではなく、小枝のこと。地元の方言だと思いますが、何故小枝のことを「ぼや」と呼ぶのかは不明。松本地方だけではなく、北信(長野県北部)でも剪定した枝を集めることを「ぼや拾い」或いは「ぼや集め」と言うようです。
私メの小学校の低学年の頃は石炭ストーブ(だるまストーブ)でしたので、最初の頃(着火剤に代わるまで)は、焚き付け用の松葉拾いに友達と行ったものです(枯れた杉の小枝でも良いのでしょうが、周辺に赤松林が多いので)が、リンゴ農家の我が家では専ら乾燥させた「ぼや」が主でした。
念のためネット検索をすると、長野県内だけではなく、群馬や埼玉(秩父地方)在住の方の記事にも小枝(拾い/集め)を指して「ぼや」という言い方がされていました。このエリアに、どういう繋がりがあるのでしょうか?

 雪害等による生育の関係から予定から一年遅れて、この3月末に新ワイ化のふじのリンゴ苗木(3年前に植えてあるシナノスイートは長野県限定品種なので県内業者ですが、ふじは青森県の種苗会社が育苗した苗木です)160本がJAから届きました。併せて、移植に必要な資材も事前に届いています。技術指導員の方からは、遅くとも4月10日までに移植終了との指示。
そこで、週末を使って、4月上旬までに一日50本近ずつ、3日間で予備用も含め全部で160本移植作業を行いました。

 トレリスは、年末に全部抜根した上で、設置工事をしていただいてあります。また植える部分は、穴が掘り易いように抜根後にトラクターで掘り起こしてあります。
ネズミやモグラに根を食べられないよう、ガードネットを必要な大きさに切り、留め具で直径20㎝の筒状に作り、深さ20㎝の穴を掘って、このネットを埋め、土を被せ、苗木を埋けて土を被せます。苗木が風などで倒れぬよう、トレリスに固定したポールに苗木を括り付けます。これを160本繰り返すことになります。
3日間掛けて全部植え終わったところで、今度は徒長しないように長めの枝を下向きに誘引し、最後に土と馴染む様に水を掛けて全ての作業が終了。
納期が決まっていますが、週末しか作業が出来ないので、雨模様の日も含めて結局3週間掛かって漸く全部植えることが出来ました。
その間、手に豆をつくりましたが中断する訳にもいかず、結局皮も剥けて痛いのナンの・・・と孤軍奮闘。ヤレヤレ。
 先に植えたシナノスイートは4月末に開花。フジもここで一ヶ月近くたって葉も開き、花も咲きました。一年目の今年は木に負担を掛けぬように全部摘んでしまいますが、順調に育っているようです。
【追記】
連休中は好天に恵まれ、絶好の行楽日和でした。逆に雨が降らず、二度ほど苗木に灌水をしました。雨も予想された4日も、ぱらついた程度。農家的にはトホホでしたが、その代わり、夕刻見事な虹が掛かりました。

 21日の日曜日。未明から雨予報でしたが、早朝起きても雨音が聞こえません。外へ出て見るとと、ナント一面の銀世界。しかも本格的に降り続いています。

 結局、昼前には霙から雨に変わりましたが、我が家周辺で5cm程の積雪でした。
 既に、桃の花も咲き、リンゴも開花間近。こんな時期の降雪は、いくら信州とはいえ平地では異例です。一日寒くて、3月上旬並みの陽気だったとか。果樹や野菜などの農作物への被害も心配されます。
 写真は。近所の山側のリンゴ園とベランダの積雪の様子。そして、雪を被ったクリスマスローズ。そして、種類は分かりませんが、蟻ケ崎の住宅街で未だ咲いていた桜と、我が家の果樹園のリンゴ。

 今年も11月の三連休を中心に、20日過ぎから開始したサンふじリンゴの収穫作業。
大まかな選別後、色、傷などを見ながら、大きさ別に贈答用、自家用、加工用などに更に細かく選別していきます。それと並行して、ご注文いただいた皆さまへの荷造りと発送作業。
一日も早くお届けしたい、また到着日指定ということもあり、週末だけではなく、平日も帰宅後に始めて深夜までの作業が連日続きました。

 その間、作業場の中は山積みになったリンゴ箱だらけ。
後の作業がし易いように、選別した大きさ別にリンゴ箱を並べていくのですが、スペース確保のために20kg前後のリンゴ箱を5段に積み上げていきます。

 その作業環境も今年はちょっぴり改善。深夜は余りに寒いので、足元だけを暖めるように、昔懐かしいタイプの石油ストーブを新たに購入。しかし、改善でファンヒーターと同じように、大昔の給油式から灯油タンク式になっていたのにはちょっとビックリ。また点火も乾電池で自動着火。便利です。

 そして、作業のお供はFM放送と、CD。
家内からは“アナログ人間!”とバカにされながら、昔娘に買った古いCDラジカセを愛用(低音用スピーカーもあり、結構良い音がします)。何と言われようが、イヤホンで大音量で聴き続けるのは好きではなく、耳にも決して良くないですから(と思います)。ただ最近調子が思わしくなく、家内からはiPodと専用スピーカーにすればと薦められていますが、どうもなぁ・・・。
 さて今年の深夜作業のお供は、市の中央図書館から借りて来て(家内が)ダウンロードした、バーンスタイン指揮VPOのマーラーの5番(5楽章構成ですので、有名なアダージェットは第4楽章でした)と、グールドの「リトル・バッハ・ブック」。そして、「巨人」はSKOのライブ盤。何より録音が素晴らしい。特に打楽器など、音が浮き出ている感じがします。最後に熱狂的なブラボーの声や満場の拍手も収録されていますが、納得の快演です。
・・・と、グールドでリフレッシュして、マーラーに元気をもらって、先週末でほぼ終了することが出来ました。ヤレヤレ、あぁ、しんど・・・。

 11月下旬の三連休は、今年も恒例のリンゴ採り。
我が家周辺では、どこのリンゴ園でも家族総出の作業風景が見られました。

 今年は、毎年来てくれる妹夫婦に加えて、長女夫婦も東京から手伝いに来てくれました。しかもリンゴ採りと並行して、収穫したリンゴの選別作業と、お待ちいただいているお客様への出荷作業が夜まで続き、例年猫の手も借りたい(我が家の愛犬、チロルとナナの手は役立たず・・・)くらいに忙しいので大変助かります(今年は、せっかくの三連休の初日が生憎の雨で収穫作業が出来ず、余計に短期集中となりました)。

 さて作業中、娘が、「ねぇちょっと、これ見てみてぇ~!」との声。
何事かと皆で見てみると、彼女の掌に乗った、小さな雪だるまのようなリンゴ。「珍しいよネー!」
確かに、子供の頃から50年近くリンゴを見ていますが、こんな“変な”リンゴは見たことはありません。

恐らく、リンゴの蔕(ヘタ)の部分がくっ付いていて、小さなリンゴが大きなリンゴの上に逆さまにチョコンと乗ったようになっているのでしょう。
要するに、ちゃんと一輪摘花をせず、その後の仕上げ摘果でも見落としてしまったようです。脚立に上らない彼女が採ったということは、手が届かぬような樹上の高い所ではなく、地上から楽々手が届く下の部分。農家としては、作業の甘さを証明される以外の何物でもありません。「はぁ~・・・」とため息です。
「でも、スノーマンみたいで可愛いからイイじゃん!」
「捨てちゃうのも可哀想だから、お正月の鏡餅の代わりに飾っておこう!」
・・・ということで、こちらの作業の甘さを指摘されるように、そのままダイニングテーブル横に鎮座しています。ヤレヤレ・・・。
(大きさを比較し易いように、特大、中玉のリンゴと並べてみました)