カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 最近報道された考古学のニュースの中で、個人的にとても興味深い話題が幾つかありました。その何れもが最近の発掘成果ではなく、これまでの発掘品のDNA鑑定や放射性炭素での年代測定によるもの。謂わば、これまでの発掘成果が、最新テクノロジーを以って改めて科学的に裏付けされたことになります。

 先ず、日本人の血液をDNA鑑定し分析した結果、北海道のアイヌ人と沖縄の琉球人が近縁で、本土の日本人に一番近いのは韓国人であるという記事。
元々、日本列島には黒潮に乗って渡ってきた南方系の人々と、朝鮮半島などから渡ってきた北方系の人種の血が混じり合っているとか、遺跡から見つかる人骨の研究で、縄文人と弥生人の特徴が大きく異なることから、先住の狩猟民族であった縄文人(最近の発掘調査で縄文時代に既に農耕を営んでいた痕跡も見つかっていますが)を農耕民族の弥生人が定住し征服したとか、その後朝鮮半島経由で騎馬民族や鉄器など技術を持つ人々が渡来して古代国家を建設したとかいう学説が、これまでも唱えられて来ましたが、それを最新のDNA鑑定が裏付けたことになります(と簡単には断定は出来ないかもしれませんが)。
      
 古代ヤマト王朝の東征では、先住民を熊襲や蝦夷と呼んで、蔑視した“野蛮人”を制圧していく様が描かれていますし、地元安曇にも坂上田村麻呂が「(魏石鬼)八面大王」などの“鬼”を退治する英雄伝説が残されていますが、先住の縄文系の人たちを、次第に果てに追い遣り制圧していく、どれも勝者の書き残した支配者の歴史です。
実際に鑑定結果で、お互いが日本列島で一番離れた北海道と沖縄に似たDNAを持つ人々が残ったというのがそれを裏付けています。ただ、当然ですが、色んなルートから人が日本列島に渡って来て、違う人種を滅ぼしたというよりも、混血を繰り返していったという鑑定結果が、大陸の最果てにあるこの島国の位置付けを物語っていて、些かほっとしました。
因みに、私メは、シンガポール赴任中に韓国の人から韓国語で話しかけられたほどの、残念ながら弥生系。羨ましいですね、DNAには逆ら得ぬとはいえ、二重瞼で目がパッチリとした彫の深い人が・・・。沖縄からタレントやモデルが輩出されるのも道理ですね。

 続いて、愛媛県の縄文遺跡(上黒岩岩陰遺跡)から半世紀前に発掘された犬2頭の全身骨格を放射性炭素14による年代測定をした結果、縄文早期末から前期、7300~7200年前の骨と判断され、埋葬された犬としては国内最古の発掘例という報道がありました(発掘そのものは50年以上前で、最近某大学の資料室で半世紀振りに再発見されて年代測定したのだとか)。
古代から犬は人間と生活を共にしてきたと云われていますが、縄文初期の時代に、古代の人々も、一緒に狩をして生きるために戦ったであろう犬たちを大切に埋葬していたという事実に、ペット虐待の現代人が恥ずかしくなるような、そんな暖かな気持ちにさせられた、心和みつつ反省もさせられたニュースでした。

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