カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 松本市音楽文化ホール(ザ・ハーモニーホール。通称“音文”)大ホールの、地震損傷の改修工事が漸く終了し、4月にリニューアルオープンしました。
定評あった残響(2.0秒!)維持と、座席数を減らし、ゆとりを持たせた客席での私メにとっての最初のコンサートは、5月26日マチネーでの『アンサンブルof トウキョウ』の松本公演でした。
このコンサートは、地震のあった2011年度に企画され中止になったもの。
今回プログラムもその時と同じで、“リニューアル記念特別演奏会”と銘打って行われました。
我が国を代表するフルーティストでもある金昌国さん率いるアンサンブルof トウキョウは、他のオケや大学で教えるトップ奏者等が集まっていて、コンマス(コンサートミストレス。以下コンマスでご容赦を)は地元松本出身の大林修子さん。現在はN響の第二バイオリンの次席(フォアシュピーラーと最近は呼ぶのだとか)で、N響定期では、指揮者越しに映る清楚で知的な演奏振りがとても印象的です。他にも読響ソロホルン奏者の山岸さんが上田出身、同じく読響バイオリン主席のお一人である大町出身の平林瑞枝さんなど県内出身の方もおられ、またN響オーボエ主席の青山さん、ファゴット主席の水谷さんなど、TVでもお馴染みの国内のトップ奏者が集まる実力派の室内オケです。

 プログラムは、中止となった前回と同じで、ハイドン、モーツアルトの協奏交響曲と、お馴染みの40番ト短調の組み合わせ。
モーツアルトは、青山さん、山岸さん、水谷さん、クラリネットの山本さん、ハイドンは大林さん、チェロの河野さん、青山さん、山本さんがそれぞれ独奏を務められましたが、それぞれ見事な演奏でした。
ただ、気になったことが一つ。それは、最初のモーツアルトの第一楽章が終了した後、指揮者の金昌国さんが、振り向いて、ずっと客席の後ろを見て何か確認しようとされていたこと。
ステージ上からの響き具合か、それともステージライトの当て方なのか、前方の客席からでは分かりませんでした。そう言えば、演奏自体はモーツアルトらしくとても柔らかでしたが、良く響いてはいたものの、響き方が以前よりも少し固いような感じがしました(思わず天井を見上げましたが、どこが変わったのか、素人目には良く分かりませんでした)。しかし、ホールの響きはどんどん変わっていくもの。やがて、熟成されていくのだろうと思います。

 休憩を挟んで、大林さんがコンマスの定位置に着かれての40番。そして、金昌国さんが鳴り止まぬ拍手を遮られてのご挨拶。オープニングに来られ、今回のリニューアルと、音文への来演は二度目とのこと。松本での演奏会ということで、大林さんと平林さん(松本出身と紹介されていましたが、実際は大町のご出身で、松本のスズキメソッドで学ばれています)がソロを務められての、モーツアルトの「二つのバイオリンのための協奏曲」から第一楽章。
アンコールでは、青山さんや山岸さんもオケに加わってのオールキャスト。
何度もカーテンコールに応えられ、最後鳴り止まぬ拍手の中、楽団員の皆さんが一礼されて舞台袖に下がって行かれましたが、その間中もずっと拍手が続いていました。

 ハーモニーメイトにとっては、2年間我慢したメインホールでの演奏会。聴衆の皆さんも、この日を待ちかねたように開演前から嬉しそうで、演奏自体も、何とも和やかな、優雅な、そして幸せな雰囲気でのコンサートでした。
2000名の大ホールでのフルオケも良いですが、僅か700席のホールで今回は30人足らずの編成でも、ほぼ客席中間の中央部で聴いたので、十分な音量とモーツアルトの優しい響きに包まれて、改めて「やっぱり良いホールだなぁ・・・」と感じました。

 終了後にはロビーでのCD販売もあり、大林さんのサインを是非戴きたかったのですが、「食料品の買出しに回らないと!」いう奥様に急かされ、泣く泣く会場を後にしました。それが唯一の心残り。でも、間近で生の大林さん(黒とブルーのロングドレスが素敵でした)の演奏姿を見ることができ、幸せなオープニングコンサートでした。