カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 LS-202は25cmウーファーのフロア型3 wayバスレフですが、方やスワン(初代D-101)は、スピーカー自作派の“神様”故長岡鉄男氏が設計した点音源の傑作と云われるバックロードホーンスピーカーで、ユニットはフォステクス往年の銘機FE106∑を用いた僅か10cmのフルレンジ1発。面で鳴るか点で鳴っているかの違いと、スワンは点音源ですので、出来るだけ耳の高さに合わせた二等辺三角形の頂点で聴くのがベストなスピーカーです。
1987年の赴任直後の慣れないシンガポールで、引越し荷物と一緒に送って、家族が来るまでの3ヶ月間、休日や夜などやる事が無い時に、一人黙々と組立作業をし、サンドペーパーでしっかり磨いて、探し当てたDIYショップで購入したラッカーを三度塗りして仕上げた思い出のスピーカー。
その後、次女がヨチヨチ歩きの頃、音の出る所が不思議だったらしく、スプーンで叩いてコーンを凹ませてしまい、出張帰国の際に秋葉原で交換用にユニットを購入し、併せて保護用にガードグリルも購入して取り付けてあります。

 久し振りに聴くと、オリジナルのままでツイーターを追加していないので、高音域はさすがに見劣りしますが、下の箱部分が背面開口式で複雑に折り曲げられているホーン効果で、10cmのフルレンジとは思えない低音が出て来ます。ウッドベースの低音は、LS-202の25cmウーファーと比べるとやや細いものの決して負けていません。しかも、低音が遅れてくる感じもせずスピード感もあり、バスドラもボケてはいませんでしたし、シンバルのエッジも鮮やかに立っています。なお、配置的に右スピーカーの前には自作チェスト(薪入れ兼用)があり、LS-202のような3 wayだとウーファーの音を遮断することになりますが、スワンはフルレンジスピーカーで、しかもその音の出口のバッフル部分(スワンの頭)はチェストの遥か上に出ていますし、またホーン効果による低音は箱の背面から出るので、(インピーダンス特性を計測すれば分かりませんが)聴感上は問題ありません。
 LS-202は出力音圧レベルが90dB(当時としては普通)で、今様のスピーカーに比べると遥かに高能率ですが、スワンは長岡先生の当時のレビューでもその能率の高さにご自身驚かれ、「公称96 dBで通るだろう」という超高能率スピーカー。同じボリュームレベルだと音量が倍近く?大きく感じますので、怒られぬようにボリュームを絞って小音量での試聴です。
その後、JazzボーカルやBoyzⅡMen、カラヤン&BPOのワーグナー序曲集やパイヤールのバロック音楽、そして図書館から借りたゲルギエフ指揮ランランのラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」(2002年というだけに優秀録音)などのクラシック音楽も聴いてみましたが、ジャンルに関係なく、やっぱりスワンもLS-202に負けず劣らず良い音がしました。さすがです。あとは聴き手の好みでしょうか。
 久し振りに鳴らしたので、暫くはエージングを兼ねてスワンを聴こうと思います。そこで奥様へ、
「ほら、やっぱりイイ音してるだろっ!」
「あ~ら、そーぉ?」(まさか、今度はLS-202が邪魔だとか・・・?)。
仲良く?並んだ我が家のメインスピーカー、D-101スワンとTRIO LS-202。どちらも四半世紀以上も前のモデルですが、そこはスピーカーというアナログ機器の良さで、いまだ良い音で鳴っています。
(写真は、スワンのバッフル部分と、下の箱の折り曲げホーン部分、裏側のホーン開口部。そして、今でも大事にとってある故長岡先生の「FMファン」掲載の初代スワン製作発表記事のコピー。懐かしいですね)

 前回ご紹介した通り、2階のファミリーコーナーでも音楽を聴けるようになったので、朝の支度時や夜のPCでのこの原稿書きの時などはBGM(正対して聴かない時は、クラシックではなくジャズのピアノトリオが殆どです)を流していますが、あまり浮気していてもいけないと、見たいTV番組も無い夜は、リビングのメインシステムも聴くことにしました(些かオーディオの話題が最近多いような気もしますが、他の話題があまり無いこともあり、一過性の“流行り病”みたいなものですのでご容赦ください)。
 16年前の我が家の新築の際に、そっくり入れ替えたリビングルームのオーディオ機器(当時はまだAVのVは無し)と配線が隠れるようにと、オーディオは柱を利用した飾り棚(シンガポール赴任中に奥様が収集した、食器やスワロスキーなど)の下にオーディオ用収納スペースを作ってもらい、そこから床下を這わせて壁際からスピーカーケーブルを出しています。プロ向けのマイクロフォン用高級ケーブルを使っていただいたのは良いのですが、片側1本だけなので、プリメインアンプはスピーカーをAB切り替え出来るのですが、宝の持ち腐れで、都度自分でケーブルを付け替える必要があります。
以来、その時購入したKEF Coda9も結局脇に追いやって、1987年のシンガポール赴任時に自作したスワンがずっとメインスピーカーでしたが、3年前に、社会人になって購入し母屋の屋根裏で眠っていたトリオLS-202を四半世紀振りに引っ張り出してきてからは、改めてその音の良さを再認識し(グレードアッしたアンプの影響も大きいと思いますが)、その後はどちらかというとLS-202をメインで鳴らしてきました。

 雨で外での作業が出来なかった、とある週末。
午前中に奥様から命じられた作業を全て済ませた後、マイクロフォンケーブルとスピーカーケーブルの結線部分が多分緩んでの接続不良で、最近右スピーカーの音が飛んだり割れたりし出したので、ここで結線をやり直すことにしました。すると奥様が、「あんなに“惚れ込んで”いたのに、最近全然スワン聴かないのね。だったら邪魔だから捨てたら?」と、神様(故長岡先生)が聞かれたら怒りそうなことを仰る(価値の分からぬ人は怖い)ので、久し振りにLS-202からまたスワンにメインスピーカーを変更することにしました。
先ず、結線部分のテープを剥ぎ、むき出しの銅線部分をサンドペーパーでキレイに磨いてから繋げ、絶縁のために再度テープで+-を巻き直し、結線部分全体を更にテープで巻いて動かぬように固定。ついでにスワンを動かして、後ろのゴミ(殆どはチロルの抜けた毛)や綿埃の掃除をして床も拭いて作業終了。キレイになりました。
 さて、先ずはLS-202で確認。音源はいつもの「Jazzベスト100」のピアノトリオから、ザ・グレート・ジャズ・トリオの演奏するマイルス・デービスの名曲“Milestones”。これは録音も良く、それぞれの名人芸のソロもあり、スピード感に溢れた演奏の素晴らしさは勿論ですが、中央にハンク・ジョーンズのピアノ、ロン・カーターのベースが左、トニー・ウィリアムスのドラムスは右側からと、各楽器の定位もハッキリしているので、左右のスピーカーの音の確認も含めた試聴音源としても最適です。
左右とも音飛びも音割れも無くキチンと出ていて、ケーブル側には問題無し。そこで、1年振り?にスワンに切り替えての音出しです。(些か長くなりましたので、2回に分けて掲載します)

 前回(第732話-顛末記45参照)ご紹介した、自然に生えてきたハーブガーデンのルッコラ(ロケットサラダ)が、随分大きくなりました。

 去年買ったポット苗がヒョロヒョロで、その後も葉が収穫出来ずに諦めて、花芽が出ても摘まずにそのままにしていたのが、零れ種で、今年の春先に自然に生えてきたもの。最初は単なる雑草だと思ったのですが、草取りの時間も無く、そのまま放っておいたのが怪我の功名でした。

自然の力か見事に大きな株で、 初夏を待たず、この五月連休の客呼びの際にサラダ用として早くも収穫が出来ました。例年だと、遅霜被害を避けて今頃苗を買って漸く植える時期です(ルッコラは結構寒さにも強いのですが、同時に植えるバジルは弱くて、一度の霜で真っ黒く変色し枯れてしまいます)ので、この違い。味も買った苗よりもゴマの味が濃く、何となく辛味も強いような気がします。葉も、中にはシャモジ程もある大きさで、しかも肉厚です。イヤ、驚きました。もしかしたら、昨年生育が悪かったので、秋に野菜用の肥料を撒いてハーブガーデン全体の土を起こしておいたのも良かったかもしれません。但し、そのため耕されて土中深くに埋まってしまった種は恐らく発芽せず、浅かったガーデン縁付近に零れていた種だけが発芽したものと思われます。もし、ポット苗よりも戸外で種から発芽させた方が丈夫な株に育つのなら、今度は秋口になったら幾つか花を残して結実させ、種が採取できたら、春先にそれを撒けば良いかもしれません。また、ポット苗で購入する際は、本数が多くて細いものよりも、出来るだけ茎の太い丈夫そうな苗を選んだ方が大きな株に育つと思われます。
 これまでも、多少アブラムシが付こうが、青虫に穴を開けられようが、委細気にせず消毒もせず(その代わり、虫嫌いな奥様ゆえ、水洗いは私メの担当です)、毎年水遣りだけで自然のままで栽培しています(と言うにはおこがましいほど何しません)。唯一、葉を食用で出来るだけ長期間楽しむには、花芽(ダイコンに良く似た、白い小さな十字花が咲きます)を咲く前に小まめに摘み取ることくらい。花が咲くと、結実させるために、植物は“とうが立って”葉がこわく(硬く)なりますが、摘むとまた花芽を付けようと、その後もたくさん新しい葉が出て、霜が何回か降りるまで成長を続けてくれます。
園芸店に並ぶポット苗は、ハウスで育苗されたものだと思いますが、冬の寒さを土中で耐えた自然の苗は、その分強いのでしょう。見事な株です。
これぞ、正しく“ヒョウタンから駒”ならぬ“ルッコラから零れ種”でしょうか。もう既に5回ほど収穫(しかもサラダだと、どっさり盛り付けても、一度の収穫で優に2回分あります)しましたが、昨年の分も補って、今年は十二分にルッコラをサラダで楽しめそうです。
 忙しかったであろう五月連休も終って二日休みが取れたからと、久し振りに帰省してきた次女も、袋一杯のルッコラを持って成田に戻って行きました。
また、日帰りで上京した奥様も、会えるからと長女に渡すべく袋一杯に詰めて持って行きました。
(掲載の写真は、前回の4月8日との比較で5月15日のルッコラの株と花。そして、ハーブガーデンの2年目のパセリと最初に植えたままのチャイブ・・・ちょうど開花時期を迎えています。セイヨウアサツキという日本名の通り、比べるとやや香りは薄いですが、刻んでアサツキの代用になります。またネギ坊主も、ピンクのボンボンのようで可愛らしいので観賞用にも使われます)

 5月中旬。仕事で長野市に行く用事があり、3時からの予定でしたが、少し早めに行って、久し振りに「ふくや」県町店でラーメンを食べることにしました。
 昔は、県庁や経済団体での会議等で年に何度も行く機会がありましたが、今回は本当に久し振りです。2年近く前でしょうか、春草展を見に来た時に家内を(半ば強引に)案内して来ましたが、家内の評価は同じ醤油系でもアッサリ系の上諏訪「麺屋さくら」の屋台ラーメンの方が好きとのこと。因みに、我々の好みは、流行のトンコツこってり系や味噌でも塩でもなく、あくまで基本の醤油です(ま、何でも食べますけど・・・)。確かに好みにもよりますが、私メはやっぱり「ふくや」かな。想えば20年前に近くに会議に来て、偶然入った店でした(その前に、当時地元誌やローカルTVなどでも取り上げられて評判だった、長野駅前の行列店でも食べたのですが、感心せずにその時一度限り)。
ただ、ここのラーメン(中華そば)は、“富山ブラック”と見紛うような真っ黒で独特のスープに、最初は「えっ?」と思うのですが、媚薬が入っている訳でもないでしょうに、その後何となくまた食べたくなり、やがて病み付きになる不思議なラーメンです(・・・だと思います)ので、第一印象、また1回食べただけではその良さ(旨さ)は理解されないかもしれません(勿論、味覚との相性次第ですが)。
 さて、上田から昼食を食べずに出発し、一般道をゆっくり走って2時前に無事到着。店に入ると、ほぼ満席の盛況で何よりです。麺の量はともかく、スープをしっかりと舌に覚えさせたいので、いつもの「中華そば 大盛り」(850円)を券売機でオーダー。待つこと暫し、全てセルフサービスです。

 うん、いつものこの味、旨いなぁ!どちらかと言えば、昔懐かしい“支那そば”系ですが、見た目ほどは濃くも無く、どことも違うスープに何とも形容し難い旨味があります。チャーシューメンは別にあるのですが、じっくり煮込んで味の染みたトロトロのチャーシューが、他店のチャーシューメン並みに何枚も載っています。
県町店は、おばさん一人で切り盛りしているので、人手が無いのか、トッピング用の卵(煮卵)は無く、自分で(待っている間に)剥かないといけない殻付きの普通のゆで卵(別売り50円)や生卵入りの中華そばがあるのみで、それに板海苔よりも刻みネギをもうちょっと多く載せてもいいかもとか、コショウは粉より粗挽きの方が合うのに・・・等々、言い出せば(個人的には)注文も無い訳ではありませんが、この独特のスープが、「そんなこと、どうでもイイかぁ」と思えるほどに満足感を与えてくれます。
麺もスープも一種類しかありませんが、それが却って、世の中の流行り廃れには見向きもせず、親から子、子から孫へと、綿々と(正に“麺々”と)受け継いで来たであろうある種の潔さを感じます。またお客さん側も、セルフで、黙って食べて食器を下げて出て行く常連さんたちが、これまた親子何代にも亘ってしっかりと支えてきた店なのだろうと感じられて、何だか自然と背筋を伸ばして頂きました。(こんな爽やかな感覚は、その昔おばあちゃんが一人で切り盛りしていた頃の・・超有名店となった今の店とは全く異なる・・故杉浦日向子女史も昔書かれていた通りの、静謐で凛とした松本中町の蕎麦「野麦」以来でしょうか)
“夜泣きそば”というだけに、冬の寒い夜にも食べてみたい逸品です。今度いつまた食べに来られるのか分からないので、殆どスープも飲み干して、「ごちそうさまでしたっ!」
あぁ、美味しかった!・・・と(なかなか松本では味わえない)久し振りのラーメン一杯の幸せ・・・でした。

 KEFのCoda‐9にスピーカーを変更し、レシーバー(アンプ側)にスピーカー端子が一つしか無いので、使い道の無くなったケンウッドK‐521の付属スピーカー(第736話参照)。
そのまま遊ばせておいても良いのですが、勿体ないし(第一邪魔ですし)、そうかと言ってそのために新たなレシーバーを(中古にせよ)買うのは本末転倒もイイところ。

 「さて、どうすべぇか・・・・?」と思案する内に、「♪!」と閃きました。
リビングのTVには、ちゃんとYAMAHAの(配線が見えるのがイヤなので)擬似5.1chサラウンドのホームシアター用スピーカー(第556話参照)を購入してHDMI接続で繋げてあるのですが、寝室のTV用にはお許しが出ず、聞いたことも無いブランド(ドウシシャ“RAPHAIE”)でしたが、自分のポケットマネーで安物の2.1ch(多分、本来はPCかTVゲーム用:注記)スピーカーセットを購入し(確か4000円弱?)、値段からして当然ですがデジタル接続は無いので、アナログ出力でTVの内部音声と併用しています(第244話参照)。

しかし、その価格からは想像できないほど結構しっかりと作られているアンプ内蔵のサブウーファーと手のひらサイズのミニスピーカーなのですが、見てみると、ちゃんと赤黒(+-)のスピーカー端子が付いています(部品コストが増えるのに、エライ!)。これなら、代わりに別のスピーカーでも接続可能です(但し、アンプ側のサブウーファーからの出力はピンジャック)。
「ムフフ・・・」と、オーディオ好きの血が騒ぎ、早速スピーカーを寝室に持ち込んで接続し、アンプの電源を入れてちょうど放送されていた音楽番組(「題名の無い音楽会」)を視聴してみると、ミニコンポとはいえ、やっぱりオーディオ専用スピーカーはさすがに音が違います。「ヨーシ、これ使おう!」
ところが、問題はこのスピーカーをどこに置くか、これまでより大きいので設置場所がありません(サブウーファー側がピンジャックなので、他のスピーカーケーブルも使えず、隅の机の上まで届きません)。

 このK-521の付属スピーカーは、おそらく2 wayの小型スピーカーに低音再生用のバスレフダクトを確保するためなのでしょう。W140×D236 ×H237と、奥行きが巾の倍近くある細長い変則的なサイズなので、買い物のついでにホームセンターを覗いてみましたが、どれも大きくて適当なサイズのカラーボックスやCD収納ケースもありません。家でネット検索しても見つかりません。「どうすんべぇ・・・?」
     
 4月末の氷点下の低温被害で、実になってからの見極めでの摘果をするために、例年の一輪摘花作業が出来ないので、時間の取れたこの5月連休を使って、簡単な設計図面を描いてホームセンターでパイン集成材を指定の大きさにカッティングしてもらって、DIYで自作しようかと思いましたが(合板よりも集成材の方が値段は高くなりますが、塗装した時に表面だけではなく切断面も木目が鮮やかです)、ホームセンターで見てみると900×1800程の大きさ(サブロク板)で一枚3500円(しかも1枚に収まらず)。カット代を入れると5千円程度にはなりそうです。ポケットマネーとはいえ「う~ん、ちょっと高いなぁ・・・」と断念。
後日、外出ついでに郊外の別のホームセンターを覗いてみると、木目調で小型の2段のカラーボックスが900円弱!でありましたので、このサイズでも少々大きいのですが、値段的には2つで1800円と、自作するよりも遥かに安上がり。早速二つ買って帰って組み立てて(最近は殆ど中国製なので、結構木ネジ穴の位置や板材のサイズが微妙にずれている部分もありましたが、この値段からすると止むを得ません。そこで、床ズレ防止用のフェルトを底面の四隅に貼ってガタツキを無くし)、安定性確保でスピーカーを横に倒して載せました。
 TV音声は、通常のトーク番組やバラエティー番組などでは音質の差は殆ど感じられません(見ないので分かりませんが、多分)が、音楽番組や映画など(番組欄にその旨或いはSSとの表示があれば5.1ch放送です)、例え2.1chであっても、サブウーファーからの重低音も加わって、さすがにサラウンドとまではいきませんが、結構サウンド効果が実感出来ます(普通のTV内蔵スピーカーでは殆ど実感出来ませんが、デジタル化や5.1ch放送など高音質で放送されているので、それ程高価でなくとも、ちゃんとしたスピーカーで聴くと結構満足できます。またBSの旅番組なども、意外とBGMで良質のサウンドが使われていたりもします)。
使われずにいたK‐521の付属スピーカーですが、いくらミニとはいえ、やはり手のひらサイズと比べると、そこはさすがにケンウッドのKシリーズ。全く違った良い音です。これなら十分に楽しめそうです(その結果、TV音声をこれまでよりも絞らないと、ウルサイとのお叱りをいただくようになりました・・・)。
「ヤレヤレ、落ち着き先が見つかって良かったなぁ・・・」
(一方、今度は余った手のひらサイズのミニスピーカー。PC用に使えれば良いのですが、アンプ内蔵でないと・・・。何だか、無限ループに陥りそうなので、忘れることにします)。
【注記】
ホームセンターで購入しましたが、この類は、家電量販店では、TVやオーディオコーナーではなく、PCの付属品コーナーに並んでいます。

 居酒屋に関する我がバイブルとも言える、『ニッポン居酒屋放浪記』(第505話参照)。著者は、松本市出身の本業グラフィックデザイナーの太田和彦氏。高校の大先輩でもあります。CATVでは太田さんが出演するTV番組があるらしいのですが、残念ながらこちらでは放送も無く、代わって楽しんでいるのが、BS-TBSで放送されている吉田類氏の『酒場放浪記』。どちらかと言えば、太田さんの方が“その道”の先達でしょうか。

 ところが、今年の1月からBS日テレで太田さんの「日本百名居酒屋」と、更にこの4月からBS11で、「ふらり旅~いい酒、いい肴~」という番組が相次いで放送されています(放送では、いつから定着したのか、「居酒屋探訪家」と紹介されていました)。BSでの初回が尾道、2回目が倉敷と、瀬戸内地方から始まりましたが、いつか故郷松本にも来てくれないかなぁ・・・?でも塩イカじゃなぁ・・・などと思いつつ、観光案内を兼ねて楽しみに見ています。

 どちらも、言ってみれば“単なる飲兵衛”のお二人が、地元で愛される各地の居酒屋を巡って紹介するという番組。しかし、酒好きにとってみれば、飲兵衛垂涎とも云える羨ましさと、ナビゲートするお二人には些か呆れつつも尊敬の念を抱き、また「飲むのが仕事」に対する羨望の眼差し(昔入社した頃、会社にも“酒の量は仕事の量”と言われた尊敬する上司がいましたが・・・付け加えて曰く「タバコの煙は哲学の煙」)で、溜息をつきつつ見る番組でもあります。
しかも、「酒場放浪記」が、BSでは毎週月曜日(過去放送したものの再放送含め4本まとめて放送)で、「ふらり旅」が毎週火曜日(「百名居酒屋」は日曜深夜)。
勝手な個人的都合ながら、月曜と火曜日は強制適用休肝日ゆえ、この番組を飲まずに見るのは体には良くとも精神的にはかなりの悪影響(チト辛くて、高ストレス)なんですね、これが。そう分かっていても、飲兵衛としては憧れを持って見てしまいます(休肝日は当然ながら飲まないので、すぐには眠くならずに見れますが、日曜深夜は酔いも手伝い、白河夜船で殆ど起きていられず、いまだ見たこと無し)。

 お二人とも、昔から地元で愛された居酒屋が中心で、内容は似たような番組。しかも、太田さんの本業はグラフィックデザイナーで吉田さんが画家と、お二人とも芸術家。
しかし、太田さんは上述の通り松本出身の信州人で、吉田さんは土佐っぽ。どちらかと言えば、店主と会話しつつも、太田さんが一人静かに雰囲気と酒と肴を楽しむイメージなのに対して、吉田さんは先ず居合わせた常連さんと乾杯して交わりつつ、時には(放送では殆ど毎回)常連さんのオーダーした定番メニューをずうずうしくも味見。この開けっ広げの大らかさが吉田さんの魅力でしょうか。
ただ、紀行文としての文章は、個人的には大田さんの「いい酒、いい人、いい肴」の、むっつりながら暖かな目線の方に(同じ理屈っぽい信州人としては?)共感を持っています。

 ゴールデンウィークは地域の氏神様のお祭りがあり、それに合わせて毎年恒例の客呼びがあるので、5日までは(奥様が)準備で大わらわ。
親戚も代替わりなどで、最近では呼ぶのは妹一家だけ。今年は娘たちも仕事で帰省できず、チョッピリ寂しいお休みでした。こちらも、地区での注連縄張りと翌日その片付けがあり、五月連休はお祭りが終わるまではどこへも出掛けられません。

 お祭りも終わって、一息ついた連休最終日の6日。
良い天気でしたので、どこかに出掛けようかと思いましたが、3日の子供祭りで混んでいたであろう広大なアルプス公園(その昔は、県の種畜場で松本市へ移管。数年前に拡張されて70hとか。街中から10分ほどの高台に高原風の公園がある松本は恵まれています)も、北アルプスが臨め、広い草原があったりと、犬たちを連れて行くには(家族連れにも)もってこいなのですが、些か我が家からは近過ぎます(徒歩範囲ですが、急坂で、車で5分)。
家の片付けや掃除などで結局出られたのが11時過ぎ。これでは遠出は無理と、ナナを連れてドライブがてら豊科(安曇野市)へ。行き先は、ネットで探して見つけたドッグカフェ。我が家からは(脇道を利用して)ゆっくり走っても40分足らず。

 これまでも、事前にネットで調べて行っても、記事が古いのかクローズしていたことが多かった(松本空港周辺、白馬みそら野、蓼科も然り)ので、もしダメだったら第2候補の穂高の奥(有明)まで足を伸ばすつもりで、半信半疑で安曇野へ。
すると、(ちゃんと)ありました!場所は、安曇野市役所(旧豊科町役場)の近く。国道147号線を西へ入った所。その名は、“ Dog Café WITH ”。

 松本周辺でも、ペット可の喫茶店やレストランなど、ネット検索すると街中を含めて結構出てくるのですが、その殆どはテラス席のみ可という店が多い中で、こちらは正真正銘のドッグカフェでワンちゃんも店内入店可。これまで唯一は、同じ国道147号線沿いの白馬森上のレストラン(料理は普通の洋食屋さん)が店内もOKでした。信州では、犬連れの別荘族の多い軽井沢まで行かないと無理なのかなぁ・・・と半ば諦めていたのですが、松本近郊にもちゃんとありました(松本IC近くにもあるようです)。
喫茶メニューは普通ですが(日替わりランチもあり)、ちゃんと犬用の水も持って来てくれて、ワンコメニューもあって、店内には大人しい看板犬(この日は、黒のラブのアールと、雑種のデールの二匹)が居ます。
放浪していて保護されたのを里親になったというデール(推定5才とか)が、ボーダーコリーの血を引いているのか、大型犬ですが本当に大人しくて感心しました。
ナナは、チロルよりも大きな犬は怖いのか、ビビって私の後ろに隠れる始末。他の犬への関心よりも、犬用クッキーをもらってご満悦のナナでした。吠えなければチロルも連れてきてあげられるのですが・・・。
 ここからは安曇野の田園風景越しに、残雪を頂く常念岳が眼前に聳え、本当にキレイです。また、庭には小さいながらもドッグランもあります。松本からも近いので、ナナを連れて来るにはイイかも。

 我が家のフラワーガーデンが、今見ごろを迎えています。

 雑木林風ガーデンの樹下の、家内が年中丹精を込めて世話をしている40株ほどのクリスマスローズ。植えたのは20株ほどでしたが、零れ種で毎年増えています。
早春の花の時期(第729話-顛末記44参照)は過ぎましたが、白や黄色、ピンクや赤だった花が緑色に変わり、全く別の花のようになって、また違った趣があります。そのクリスマスローズの周りには、グランドカバーのポテンチュラが、小さな黄色の花を一杯に咲かせています。
 そして、隣家との壁際を利用した階段状のフラワーガーデン。広いところでも巾1m程の狭い花壇ですが、階段やスペース毎に、家内が白、黄色、ピンク、青系と花の色をまとめており、ちょうどこの時期は、ビオラやチューリップが色とりどりの花を咲かせていて、一段と賑やかです。
 芝生も芽吹いてきました。その中に植えてある紅白のハナミズキも満開です。まさに百花繚乱の春。

 風薫る五月に入り、信州では落葉松(カラマツ。当て字ですが、この漢字が一番雰囲気があって好きなので、以下これで通します)の芽吹きが鮮やかです。
黄金色の雨が降るような秋の落葉松も見事ですが、これからの信州の新緑の中で何とも緑が柔らかく感じられる芽吹きも、この時期ならではの趣があります。

 昔見た、穂高の残雪をバックにした上高地の落葉松の芽吹きも見事でしたが、戦後の人工林で植えられた落葉松が信州には至る所にありますので、この時期信州を走るとあちこちで芽吹きを見掛けられるかと思います。

 落葉松は日本固有の落葉針葉樹で、成長が早いので、戦後大規模に植林され、特に長野県では大量に植えられたのだとか。ただ、カラマツ材はヤニがあり、また乾燥させると割れや狂いを生じやすいために、建築材としては敬遠されてきたため、以前長野県では信州産のカラマツを道路のガードレールに使おうとした某知事もいました(却って割高で、知事交代で敢え無く取り止め)。
最近は、木材加工技術の進歩でそうした欠点も克服され、例えば「松本やまびこドーム」はカラマツ材が使われていますし、住宅建築材としても奨励されています。

 軽井沢滞在中(星野旅館)に、「からまつは さびしかりけり」と詠んだ白秋ですが、この時期の芽吹きの落葉松はむしろ信州らしい爽やかさを感じさせてくれると思います。
 写真は、5月1日、三才山峠を上田側に下った所(内村ダム湖上方面。標高800mくらいでしょうか)で、白い山桜と一緒に撮影した落葉松の芽吹き。2000m級の信州の高原の芽吹きは、まだまだこれからだと思います。

 社会人になってですので、おそらく35年近く(シンガポール赴任中も紀伊国屋書店で購入し)毎号欠かさずに愛読してきた小学館のコミック誌『ビッグ・コミック・オリジナル』。ここで、いくつか残念な変化がありました。
 パテシエを目指して洋菓子学校を卒業し、ひょんなことから浅草の老舗「満月堂」で和菓子職人を目指す安藤奈津の成長を描く「あんどーなつ」(TVドラマ化もされましたが、嘗ての「夏子の酒」同様に作りが薄く、また原作のイメージと配役も違い、結局は見ませんでした。因みに最近のドラマ化で原作のイメージに近かったのは、コミックではありませんが「とんび」くらいでしょうか)。
今年の2月頃から、何の予告も無く突然掲載されずにいましたが、前号で原作者の西ゆうじさんが病気療養中のところ急逝されたとの告知があり、2005年から連載されてきましたが、ここで未完のまま終了するとのこと。
また、映画のベースにもなった『三丁目の夕日』も、西岸良平さんが高齢化で体力が持たず、これまでの連載からここで月一度の掲載に変更するとのこと。

 そして、昨年末には、小さなコラムでの告知でしたが、グルメ記事「こだわりの店」を3年前に突然終了してしまっていたライーターの伊丹由宇さんが、やはり昨年9月に急逝されたとの記事が載りました。その後、別の食のコラムが連載されましたが、文章に“こだわり”と“愛情”というスパイスが効いておらず、一味も二味も落ちて敢え無く消えてしまいました。
 復活した「MASTERキートン」を始め、その後新しく連載されている「どうらく息子」、「真夜中のこじか」、そして「ひよっこ料理人」や「深夜食堂」など、ホロリと泣かせたり、ホンワカしたり、考えさせられたりする作品が新たに登場してくるのは愛読者としては嬉しい限りなのですが、一方でずっと連載されてきた、例えば「三丁目の夕日」は40年近く(少なくとも、私が読み始めた時には既に連載されていました)、「こだわりの店」も確か20年間、月2回の発行とはいえ毎号連載されてきたビッコミの顔であり名物コラムだっただけに、時代は変わるとはいえ、残念と言うより本当に寂しい気がしました。

 (地方在住で、実際にお会いしたこともないただの読者からすれば、療養されていたなどとはつゆ知らず)突然亡くなられてしまった、西さんと伊丹さんには、謹んで哀悼の意を表します。
今まで楽しませていただき、本当にありがとうございました。どうぞ安らかにお眠りください ―合掌