カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 9月末の週末に、一泊だけでしたが娘たちが揃って帰省して来てくれました。成田からの次女が乗換え不要で便利なので、朝早く起きて千葉発のあずさに乗り、長女が新宿駅で合流。秋の行楽シーズンで、指定も自由席も満席だったとか。

 本当に久し振りの全員集合でしたので、先に父の所に見舞いに行ってからの昼食は、我が家の定番「そば処 井川城」へ。すると、早くも「新そば」の貼紙が出ていました。先ずは北海道産の玄蕎麦だそうで、こちらの主力の木曽開田産の「新そば」は10月中旬頃(地元での「新そば祭り」が終わってからの出荷開始)とのこと。皆は真っ白な更科系の「大名そば」も入る三種盛で、私メはいつもの十割と二八(最近自家製粉に変えられてからは、従来の二八ではなく、メニューでは「粗挽き」と呼ばれています。写真は粗挽き二枚分が盛られた一人前)。なお、この日の付け合せの小鉢は、良く塩抜きされた塩イカとキュウリの粕揉みで、昔懐かしい田舎の味です。酒粕が苦手なご一行からは、小鉢が全て私の手許へ。うーん、お酒が欲しくなりますなぁ。お礼に、最後のサービスのそば大福を(結局いつも通りに)奥さまへ。この日の餡は、枝豆だったようです。       
昼食後、家内と次女は“蔵の街”中町へ。馴染みの呉服屋さんが「蔵シック館」で展示会をされているので、義理でも顔を出さないといけないのだとか。一方長女は、お友達がお城(中央公園)で開催中のクラフトフェアに出品しているので応援に行きたいとのことで、一旦双方の中間位置の大名町に駐車して、二手に分かれて、(着物を見てもしょうがない)私も松本城へ。
お城周辺の駐車場も県外車で混んでいましたが、菩提樹の仲間のシナノキ(科の木。信濃の古名は科野で、その昔この木がたくさん自生していたことに由来)が両側に街路樹として植えられて風情のある大名町も、お城までの人の波。アジアを含めて、外国の方も結構観光に来られていました。有難いことです。我が松本の「おもてなし」レベルは果たして如何に?
 その後、お城から中町へ。「蔵シック館」へ長女を案内し、私はすることも無いので、独り中町を蔵造りの建物探訪です。
市の公共施設でイベントホールを兼ねる「蔵シック館」は、隣町の元造り酒屋だった母屋や土蔵(喫茶室に利用)などを街並み整備に併せて移築したものとかで、シンボルの杉玉が今も飾られています。
前広場の隅には井戸があり、次々と近くの喫茶店やレストランの方が、ポット片手に水を汲みに来ておられました。湧水で入れたコーヒー、さぞかし美味しいのでしょうね。
 周囲を山に囲まれた複合扇状地の松本には、歴代藩主が保護し、江戸時代の「善光寺道名所図会」に“当国随一の名水”と謳われたという「源智の井戸」を筆頭に、「まつもと城下町湧水群」として環境省「平成の水百選」にも選ばれている30近い湧水や井戸が市内中心部に点在しており、最近は市内散策ルートでも推奨されています。この「蔵シック館」の井戸もその一つ。
この中町は、なまこ壁の続く“蔵の街”として最近市内観光でも街歩きで人気の通りですが、元々は明治21年の「松本大火」で焼け残った蔵(土蔵)に着目し、火事に強い蔵造りの建物が次々と建てられたのがきっかけ。
 戦時中も空襲の無かった松本で、幸か不幸か戦後の近代化に取り残された街並みが近年逆に注目されて、新しい建物もなまこ壁の蔵造りで景観を揃え、電線も地中化するなどの整備がされました。今でも当時からの古い建物が漆器店や民芸店、老舗のカレー屋さんなどとして残っていて、白黒のモノトーンを基調にした街並みは懐かしさと落ち着きを感じさせてくれます。ただ、東西の幹線道路を繋ぐ一方通行の中町通りは、一方通行がやたら多い城下町を走る車利用者には便利なので止むを得ませんが、惜しむらくは歩行者専用ではないのが観光的には“玉に瑕”でしょうか。
 用事が終わられて出てきた皆さまの「お茶でもして、ちょっと休みたい」との仰せに、幸いスタバも離れた中町でしたので、喫茶「珈琲まるも」へご案内。この日も観光客の方々中心に混んでいました。女性陣の会話に加われぬ私メは、独り言で「秋には、やっぱりブラームスでしょ!」と、好きな曲があればリクエストしようかと思い店内のCDを探しましたが、残念ながらお目当ての室内楽曲は見当たらず(その昔、今は亡きマスターが集められた膨大なLPはどうされたのでしょうか?)。
 
一時間ほどして、今度は対岸の縄手通りをぶらぶら歩いてから車で移動し、ちょっと早めの夕食は「食蔵バサラ」へ。
「しゃぶしゃぶでも、焼肉でも、お寿司でも、何にする?」
という奥さまからの問い掛けに、次女が、
「お寿司だけは、絶対にイヤ!」
「そうだよね。成田のお寿司に比べちゃあねぇ・・・。」
と、彼らは久し振りのバサラをご希望でしたので、事前に予約してありました。この日はアラカルトから。年を取ると、コースはもたれて全部食べられないので、好きなメニューを何品かオーダーした方が我々中高年には向いています(しかも人数の多い方が品数も多めで楽しめます)。それに、実は私メは前日にも会社のリタイアされた先輩や昔の同僚との定例会(3ヶ月毎にバサラで開催。その日は、若いお客さまには恐縮ながら、我々中高年向けに、毎回コースを「量より質で、和テイスト中心」の創作料理にしていただいています)で食べたばかり。二夜連続でしたが、後半は酔っていて、幸か不幸か料理の記憶も余り無く、どれも大変美味しくいただくことが出来ました。中でも、連夜の「タコと北あかりのブルーチーズ和え」(シェフの奥さま曰く、ブルーチーズは日本酒とも相性抜群とのこと)と、この日選んだバルサミコ・ソースが絶品の「キノコと炙り牛肉炒め」(以上料理名は不確かです)がとりわけ美味でした。

 新そばを食べ、松本城に行って、中町を散策してから、喫茶まるもへ(夕食は郷土料理ではありませんが、松本らしい蔵造りのバサラへ)。ある意味、定番の松本市内半日観光でした。