カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 4月10日に放送された、NHK総合「プロフェッショナル-仕事の流儀」。放送開始から変わらないスガシカオのテーマソングが実に印象的です。
そして今回登場したのは、(ナント?)落語家の春風亭一之輔。師匠自ら「オレを取り上げるなんて、NHKもネタ切れかよ!?」と、いつもの毒舌ぶり。
以前放送されていたテレ東系(BSジャパン)『酒とつまみと男と女』での進行役を懐かしく思い出しました(但し、今回はシラフです)。
 春風亭一之輔師匠は、当代きっての売れっ子噺家で、2012年に人間国宝柳家小三治師匠の推薦により、21人抜きで真打昇進をしたという逸材。
番組の中で、高座風に師匠自ら生い立ちを語ったところによると、高校でラグビー部に入部したものの、自分のミスでチームメンバーに迷惑を掛けるのに(仲間に申し訳なくて=「だって、せっかくトライ寸前まで行っても、もしボールを取られたら皆でまた元に戻らないといけないんですよ!」)耐え切れずに1年で退部。ご両親曰く、翻意を促しに家に来る仲間にも会えずに、親に代わりに断ってもらう程の気弱な“小心者”だったとか。
その後何の目標も無く、ぶらぶらしてたまたま入った浅草の寄席で聞いたのが五代目春風亭柳朝師匠の落語。誰にも迷惑掛けずに、一人で世界を作るのに感動し弟子入りを志願。大学卒業を待って、柳朝の総領弟子だった一朝師匠に弟子入り。師匠も感心するほどの稽古熱心で、200近い古典落語のネタを持つとか・・・。高座に上がって、客席の雰囲気を見てその場でネタを変えてしまうこともあるのだとか・・・。
即完売の独演会(時に彼らしく“毒炎会”と銘打って)は勿論、30人足らずの地方の落語会など年間の高座900席とか。尋常な数ではありません。席への移動中、録音した噺をイヤフォンで聞き、ブツブツと呟きながらの練習に予断がありません。とにかく目の前のお客さんを如何に笑わせて楽しんでもらうか。一途に、一心に、ただそれだけ・・・。

 これは放送ではなく、以前ご紹介した落語についての雑誌記事(第1186話)で、読売新聞企画委員の長井好弘氏が噺家の師弟関係を紹介した文章の中で、
『(前略)一之輔が21人抜きで昇進した披露興行では、師弟のバトルが繰り広げられた。 
 鈴本演芸場の披露目で、一之輔は毎日ネタを変えた。それに気付いた一朝も「それなら俺も」と十日間、違うネタを演じた。もともと楽屋では口数の少ない師弟だが、バトルについてはひとことも触れない。舞台が新宿末広亭に移っても、一之輔は同じネタを演じない。「面白えじゃねェか」と、一朝も連日ネタを変え続けた。そして、新宿の四日目、ついに一之輔が頭を下げた。「師匠、もう勘弁してください」。14日目の休戦。よきライバルというべきか、おとなげないとあきれるべきか。(後略)』

 放送が終わり、再開されたEテレ『落語ザMOVIE・E』にチャンネルを変えると、ナント偶然にも(もしや意図的?)春風亭一朝師匠が「目黒のさんま」を演じておられました。
 この週末、5月27日に開催される「第18回まつぶん新人寄席」(真打昇進披露興行)に、何と“前座”で春風亭一之輔師匠が来られるとのこと(第1177話参照)。今から大いに楽しみです。

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