カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 サンノゼのホテルに荷物を預け、パロアルトへ向かいます。
先ずはスタンフォード大学へ。杉並区に匹敵する33.3km²という全米でも屈指と云われる広大な敷地を持つ私立大学です。パロアルト(El Palo Alto)はスペイン語で「背の高い木」という意味で、この地の目印だった大きなアメリカ杉(Red wood)を指すのだそうです。大学のロゴも赤いSの字をバックに緑のRed woodが描かれています。

 大陸横断鉄道の一部でもあるセントラル・パシフィック鉄道の創立者で、当時カリフォルニア州知事だったL Stanfordが15歳で急逝した一人息子を悼み、その記念に「カリフォルニアの子供は皆我が子」として夫妻で1891年に設立した私立大学。そのため正式名称は“Leland Stanford Junior University”なのだそうです。この地で誕生したHPやサンマイクロ(のSUNは Stanford Univ. Networkの略とか)を始め、地理的にも歴史的にも、名実ともにシリコンバレーの中心となる大学です。広大な敷地の殆どは、当時夫妻の持っていた馬を育てる牧場だったのだそうです。
校訓は「Die Luft der Freiheit weht(独語で自由の風が吹く)」(英語で、The wind of freedom blows)だそうですが、なかなかイイですね。
 先ずは娘の寮へ。スタンフォードのビジネススクールであるGSB(Graduates School of Business 経営大学院)は、2年制のMBAと実務経験の長い人向けの集中制フルタイムでの1年制MSXの2コースがあり、娘はMSXに属していて、それぞれコース毎に寮が完備され、遠隔地からの学生は基本的に寮生活。中には子供連れの学生もいることから、家族向けの寮もあるのだとか。4階建ての寮の娘の部屋はシャワールームと洗面所が独立したワンルームで、キッチンは隣室の寮生と共同。それだけの学費を払っていると言えばそれまでですが、寮内にはジムも完備されていて、寮生はいつでも無料で使うことが出来るのだそうです(廊下に置かれたコーヒーサーバーも無料でした)。寮からGSBへは道を一本挟んですぐ。GSB内にはカフェ(ビールやワインも飲めるそうです。奥さまのイチオシはポピーシ-ドケーキとか)や学食も整備されています。
 広大なキャンバスは自然が活かされ、まるで公園の様です。自然林の様な林も残されていて、野生のリスやピーターラビットに似たウサギも生息しているのだとか。実際、リスは至る所で見掛けましたが、今回はウサギには会えませんでした。
パロアルトの駅からは大学まで歩いて25分程度。平日は、構内は元より、駅からも大学構内へ大学のバス(Free Shuttle)が頻繁に運行されていて、大学構内だけではなく、スーパーやレストランなどの在るショッピングモールへもアクセスしていて、誰でも無料で乗車することが出来るのでとても便利です。
大学にはビジターセンターもあり、無料のキャンパスツァーも行われていますが、3度目の奥さまに付いて見どころを回ります(ツアーで英語で説明されても所詮分かりませんし・・・)。
 構内は南欧の様な赤いレンガのイメージで統一されたコロニアル風の建物が続きます。周囲を取り囲む木々や芝生の緑と、建物の赤の対比が鮮やかです。そして、空は正に“カリフォルニアの青い空”(Albert Hammondでしたっけ、古いな・・・)。
先ずは大学の美術館(Cantor Arts Center)へ。ロダンの「考える人」を始めとする彫刻群や絵画などを多数収蔵していて、入場無料でしかも撮影可(フラッシュ不可)。
次に、広大な芝生の前庭(The Oval)を抜けてMain Quodと呼ばれる中庭を通り、教会(Memorial Church)へ。こちらは創立者であるLelandが亡くなった時に、妻Janeが寄進した教会だそうです。色鮮やかなステンドグラスを通して差し込む光だけの静謐な世界に、荘厳な雰囲気が漂います。背後には立派なパイプオルガンも設置されていました。
大学のランドマークは高さ87mのフーバータワー(Hoover Tower)。卒業生である第31代フーバー大統領を称え、創立50周年記念として1941年に建設されたそうです。娘の大学のIDがあれば無料でしたが、既に失効していた卒業後に行ったため入場料は$4でした。14階の展望台からは絶景の360度。眼下の大学全景のみならず、シリコンバレーや遠くサンフランシスコ湾までが遠望出来ます。
30数年前の出張時に、パロアルトの赴任者が車での通り掛かりに「ここがシリコンバレーで有名なスタンフォード大学だよ」と教えてくれた時の記憶は、ヤシの並木道からのフーバータワーを望む景色だったか・・・。それがパロアルト駅から続くその名もPalm Street。当時は想像だにしませんでしたが、まさか今そこに(娘のお陰で)自分が立っているとは・・・。
 娘に頼まれて、全員が卒業式にレンタルで着用した黒いガウンを返却するためにブックストアへ。角帽は記念で、返却不要とのこと。ついでにブックストアへ。出版物もありますが、文房具やPCは元よりスタンフォードのマークやロゴが入ったありとあらゆるグッズ(帽子、Tシャツ、スタジャン、マグカップなどなど・・・しかも、キッズ用から親用まで・・・)が並んでいました。ブランド戦略、恐るべし・・・。
 米国の有力大学はどこもスポーツにも力を入れていますが、スタンフォードも同様。構内には、立派なフットボールスタジアムや陸上競技場、テニスコートなどは元よりゴルフ場まで完備されていて、トム・ワトソンは卒業生。タイ・ガーウッズもここで腕を磨き、中退してプロになったのだとか。
 サンノゼやサンフランシスコではホームレスの人たちをたくさん見掛けますが、ここパロアルトでは一切見掛けませんでした。一方、パロアルトは全米一物価も高いのだとか。要するに金持ちしか住めず、結果として治安も良いのか、大学の敷地内では朝など普通にジョギングをしている人たちがたくさんいて、何だか別世界の様でした。