カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 7月8日、全8回を以って終了したNHK総合で放送された「みをつくし料理帖」。
以前のTV朝日系列に比べ、主役の黒木華嬢を始めとする配役と、番組の最後の「献立帖」として劇中の澪が近代的なキッチンで毎回レシピ紹介をするのも含めて、高田郁の原作に忠実で原作の雰囲気を実に良く醸し出していたと思います。澪やご寮さんの大阪弁も心地良く響きます。だからこそ、であれば余計、最後に“雲外蒼天”を果たす全12巻を、1話45分足らずの僅か8回に収めるというのは土台無理。愛読者にとっては、尻切れトンボの消化不良で、如何にも中途半端。却って欲求不満が鬱積するばかり・・・でありました。
“下がり眉”の黒木華は、実に良く主人公「澪」の雰囲気を出していたし、当初どうかな?と思った「小松原」も悪くは無かったし、水害の中で屋台の親父から排除される澪を助ける時、そして澪のレシピを盗んだ登龍楼の料理人を叱り飛ばす時・・・「これが、あんさんの料理人としての器量かっ!?」という、ご寮さん「芳」の啖呵も良かった。そして、一途に太夫を支えようとする又治も良く雰囲気が出ていたし、つる家が閉まった後に来る「小松原」に付ける燗酒用の銅製のチロリ(銚釐)も風情があって良かった・・・。
でも、やっぱり欲求不満・・・。一柳も登場しなかったし、「鼈甲珠」も登場しない・・・。一方で、これも鍵となるご禁制の「酪」をオリジナルとは異なるエピソードで登場させていた・・・(繋げることは可能ですが)。
 最終回の最後に、芳と澪が街中で行方知れずの「佐兵衛」を偶然見掛けて追い掛けようとしたのが「文化12年」と表記されていましたが、澪が雲外蒼天を果たして、“三人”で大阪に戻るのが文政元年とすれば、文化から文政に年号が変わるまでに後2年。この残る2年の“間”が、一体何を意味するのか・・・?。
そして、澪が佐兵衛を追い掛けて「ご寮さんと二人、元飯田町のつる家に居ますから!」としっかり伝わったのが、次に続く(何かが起こる)ことを期待させてくれるような、最終回らしからぬ終わり方では・・・?。

 いずれにしても、この中途半端な終わり方は、何としても続編を放送してクリアしてもらわんとなりますまい・・・と、称賛と不満とが“ない交ぜ”の全8回。でも続編を期待したくなる程に、原作の雰囲気を実に良く描写していたドラマ化でした。