カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 “日本一ドッグフレンドリーなリゾート”というキャッチコピーに惹かれて、ナナと一緒に初めて訪れた那須。今回滞在した那須ハイランドパーク近くのドッグヴィラは深い森の中にあり、案内された部屋は素敵なメゾネットタイプで、テラス越しにはナラなどの木々が生い茂る緑が窓一杯に拡がっていて、軽井沢の様な高原リゾートらしい雰囲気に包まれていました。
滞在中は夜半に霧雨か小雨が降ったのか朝起きてみると必ず濡れていて、一帯もしっとり煙る朝霧に包まれています。そして高原の林からは、この時期ウグイスやコゲラ、キビタキでしょうか、野鳥のさえずりだけが林の中に染み渡るように響いていて、ベランダの椅子に座って濡れた林をながめていると、(イメージとしては、仕事に追われる都会人であればその乾いた心までもが)しっとりと潤ってくるような気がしました。

 観光としての那須では、先ず自然では那須岳を中心とする那須高原が中心ですが、他はレジャー施設のハイランドパークやサファリパーク、動物王国に牧場。そして、藤城清治美術館、テディベア・ミュージアム、クラシックカー博物館など、どちらかというと自然や歴史よりも人工物が中心の様に感じます。
日本百名山の那須岳登山は確かにお薦め。しかし、ロープウェイでのハイキングというのはやや疑問。ちゃんとしたトレッキングの装備をして登った方が無難ですし、遥かに感動も大きいと思います。因みに、那須岳からの帰路、途中に在った「殺生石」という名所にも立ち寄ってみました。お地蔵さんたちは微笑ましかったのですが、うーん?・・・。
従って、どちらかと言うと、観光地としての那須は「小さなお子様連れのファミリー向け」ではないでしょうか。もし、孫がいれば、子供が一緒だったら行くだろうという場所が多く、我々の様な年寄二人では然程観光としての食指は動きませんでした。
 また、ナナもあまり疲れさせて体に負担を掛けたくなかったこともあって、今回の滞在中にナナと一緒に訪れたのは、唯一南ヶ丘牧場でした。牧場では乗馬体験やウサギとの散歩、釣り堀などの施設があり、小さな子供や孫でもいればですが、ナナと一緒ではここでも食指も動かず、牧場内をナナと散策し(奥さまが)売店を見て早々に退散。
確かに那須はペットOKの場所も多く、例えば那須ロープウェイも体が全部隠れるキャリーバッグでならペットとの同乗も可能(しかも貸し出しもあり)。因みに、蓼科の北八ヶ岳ロープウェイはペット不可(預り所はあり)なので、ペットOKというロープウェイは確かに珍しい(信州でも富士見高原の入笠山のゴンドラはリードだけでペットの乗車OK!ですので、大型犬も乗車可能。白馬方面では岩岳だけはOKらしい)のですが、心臓を患っているナナには空気の薄い高地はご法度ですし、キャリーバッグを担いでの登山なども聞いたことがありません。せいぜいドッグバギーでの散策程度でしょうか。元々歩くのが然程好きではないナナですので、ドッグバギーは持って来たのですが、この滞在中は全く使いませんでした。
またせっかくの犬連れOKのレストランも、この梅雨の時期はそのテラス席が濡れていて使用出来ないという日も多く、二度ほどランチにナナと一緒に出掛けたのですがどこも断られてしまいました。諦めて駐車場に戻ると、中年のご夫婦が「テラスOKの筈だから聞いて来る!」とご主人が店に入って行かれましたので、やはり同じように犬連れで来られたのでしょうか・・・。我々同様、“日本一ドッグフレンドリーなリゾート那須”というキャッチフレーズに惹かれて来られる、そうしたお客さんは多分多いのだろうと思います。
 今回滞在しての印象ですが、那須は観光地ではなく、軽井沢同様の別荘地として、(特に家族連れでない中高年夫婦は)都会の喧騒を離れ、緑豊かな自然の中で(ペットと一緒に)ゆったり過ごす場所ではないか・・。
しかも、出来れば本当に別荘に滞在している様に(コテージや貸別荘もたくさんありそうなので)、地元の新鮮野菜や食材(信州同様海無し県故海鮮は期待薄ですが、栃木牛や乳製品、そしてベーカリーが多いので自分好みのパン)を買って来て自分でスローフード風に調理して自然を愛でながらゆったりと楽しむ。そして自分の好みのレストランを見つけて偶には外で食事を楽しむ・・・。那須はそんな滞在型の場所ではないか、と感じた次第です。
しかも、那須は旧軽の軽井沢銀座のような密集した商店街は無く、林の中に店が点在しているので、何となくミーハー的な軽井沢とは違ってもう少し落ち着いた雰囲気です。散策するというよりは、車で移動する点在型のリゾートなので車は必須です。
 晴れた日も良いのでしょうが、梅雨空の那須高原で、朝など霧に包まれた幻想的な雰囲気の林の中を車で走りながら、特に緑にトンネルの様な所々に白と青のアジサイの点在する那須街道は走っているだけで本当に感激します。
ガソリンスタンドで聞くと、夏の週末などは車が渋滞して動かないほど混むのだそうですが、梅雨のこの時期の平日はそうした混雑も無く、アジサイの咲いているこの季節ならではの那須の美しさなのかもしれません。振り返ってみると、今回の那須で一番感動したのは、このアジサイの咲いていた幻想的な那須街道だった様な気がします。
 那須では、林の中のコテージに滞在して、何もしないでのんびりと木々を眺め野鳥のさえずりを聴きながら、自分でドリップしたコクのあるコーヒーを飲む。そして少し遅めの朝食は、朝一番で買って来た、ペニーレイン(今回はそこしか行きませんでしたので)のパンと「友愛の森」の産直の新鮮野菜(朝採れで本当に安くて新鮮でした!)のサラダ・・・。やっぱり那須にはそんな光景が一番似合っているかもしれないな?・・・。
三泊四日の短い滞在ですが、そんな風に感じた那須高原の旅でした。

 ナナも相変わらず食欲は少ない(療養食のため?)のですが、特段の問題も無く無事帰って来られました。
 「ナナ、またどこか近くでもイイから、一緒に旅行へ行こうヨね!!」