カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 那須旅行で買って来た、栃木県の(株)フクダが50年振りに復活させたという、天然藁納豆「吟醸納豆 那須の郷」。

 現地から、次女の所には贈答用のセットをお土産として送ったのですが、“話のネタ”として、モノは試しに自分でも食べてみることにして一本購入して来ました。
元々藁には天然の納豆菌が棲んでいて、古来その納豆菌を使って納豆が作られていたのが、昭和20年代にサルモネラ菌による中毒事故が発生したため、長年製造が禁止されていたのだそうです。従って、藁で包んで売られている納豆も、納豆菌は藁に棲む納豆菌ではなく、純粋培養された納豆菌を使って造られた納豆なのだとか。その天然の納豆菌を使って「わら納豆」を50年ぶりに復活させたのが、このフクダの「天然わら納豆」なのだそうです。
確かに今となっては大変貴重な天然の藁納豆ですが、通常3個1パック(対外40g×3個)で売られている納豆がスーパーでは100円程度。この「天然わら納豆」は300gで1200円ですので、価格にしてほぼ4倍です。
確かに、一切農薬を使わずに栽培した大豆と稲藁を使い、その藁に棲む天然の納豆菌を衛生管理上問題なく使って製造するということがどれ程大変かということで、その貴重さを頭では大いに理解しても、如何に高価かが分かります。因みに、私メの朝食時の定番である「くめ納豆」は40g×3個で100円。松本の地場のスーパーで現在購入可能な「くめ納豆」は、この「秘伝金印」と4カップの「プチ納豆」の2種類のみですが、どちらも遺伝子組み換えではない米国/加国産の大豆を使用しています。勿論、「くめ納豆」にも国産大豆を使用する商品も幾つかあるのですが、いつも行くスーパーには残念ながら並んでいません。

 買って来たフクダの「天然わら納豆」は、藁に包まれたままにしておくと、天然の納豆菌が藁に又戻ってしまうので、少なくとも買って三日以内にタッパー等に移して冷蔵庫で保管すれば、熟成がだんだん進んでいくのだそうです。曰く、
『わらには「天然の納豆菌」が何億も棲んでおります。美味しく煮た大豆を与えると、一斉に飛びついて、大豆の蛋白質を旨味成分のアミノ酸に変えていきます。これを発酵と言います。発酵が済んだわら苞は、今度は納豆の旨味をどんどん低下させてしまいます。お早めにふた付容器に移し、冷蔵庫から小出しにしてお召し上がりください。更に熟成され美味しさが増して参ります。』
フクダの天然藁納豆「吟醸納豆 那須の郷」-実際に食べてみると、普通の納豆に比べて味が濃い気がします。そして、何より大豆が驚くほど香ばしくて、「旨っ!」。曰く、
『納豆には美味しさを求めると、食感が得られず、食感を求めると、旨味が得られないと言う発酵食の宿命があります。「食感があり、しかも美味しい」そんな理想の納豆が造れないだろうか?その両立を求め、弊社独自の手造りならではの製法を確立致しまして、このたび「美味しさ」と「食感」を兼ね備えた念願の納豆「那須の郷」が生まれました。』
確かに濃厚で、美味しいとは思いました。しかしながら、いつも食べている「くめ納豆」も個人的には美味しいと思っていますが、原材料の差(国産か米国産か)による安心感は別として(奥さまはいつも信州産の大粒大豆を使う「川中島納豆」です)、比較してみて、果たして4倍の価格差を感ずるかというと、私メがそれ程敏感な舌を持っている訳でもないので、正直「分からない」と言うしかありません。
たまたま、帰国中の週末に、ナナに会うために滞在中の東京から帰って来た長女も(どちらかというと彼女も川中島納豆派)、朝食に“卵掛けご飯”で食べて、「うん、美味しいね!」とは言ったものの、反応はイマイチでした。
        (二つを食べ比べ。右側のパック入りが「くめ納豆」) 
 もし“天然わら納豆”をお取り寄せにしても毎日食べるとなると・・・。
一本の値段+送料もかかりますので、いくらその美味しさや安全性を理解出来たとしても、我々庶民には“高根の花”と言わざるを得ません。
高校の大先輩、太田和彦センセの名著「居酒屋放浪記(疾風編)」での「水戸の土産は納豆、でしょうが!」の中で紹介されて以来、(その後残念ながら倒産し、ミツカン酢に商標と営業権を買収譲渡されましたが)「納豆はくめに限る!」で、その後も一切浮気はせずに個人的にはずーっと満足しています。