カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 コロナ禍故に遠出も出来ず、結果選んだ県内への小旅行。従って、密な人込みを避けるべく、人出の多そうな場所へはわざわざ行く必要も無いのですが、それにしても、前話で「どこも行く所が無い」と書いた冬の軽井沢。
滞在中は、ワンコと一緒に結局ワンパターンでアウトレットへ行ったのと、朝のワンコとの散歩は別として、ドッグヴィラ周辺のウォーキング。
そして、唯一の観光は千住博美術館でした。結論的には、これが予想以上?(期待値以上?)に良かったのです。

 千住博。滝の絵で知られる日本画家で、京都大徳寺の襖絵などを描かれています。そして作曲家の千住明は弟君、バイオリニストの千住真理子は妹君という芸術一家でも知られています。千住真理子嬢のストラディバリ購入では、兄弟で8億円の購入費用を捻出したと聞いたことがあります。
その千住博氏の作品を展示する個人美術館がこの軽井沢に2011年にオープンしています。建物も近代建築として話題になりました。
観光案内のパンフレット的に紹介すると、
『ヴェネツィア・ビエンナーレ絵画部門で、東洋人として初の名誉賞を受賞した日本を代表する美術作家、千住博(1958年、東京生まれ)の新旧の主要作品を展示する美術館。軽井沢の自然に溶け込む美しい建築は、西沢立衛氏の設計によるもので、元の地形を活かして床を緩やかに傾斜させるなど、森の中を散策しているかのような感覚で千住作品を鑑賞できる。四季折々の彩りが楽しめるカラーリーフガーデンや、軽井沢の老舗「ブランジェ浅野屋」によるベーカリー・カフェ、各種企画展を開催するギャラリーなど、併設施設も充実。』とのこと。

 千住博美術館は中軽井沢の南、国道18号線の軽井沢バイパス沿いにあり、壁が総ガラス張りの曲面で構成されているのが特徴の非常に印象的な建物です。パンフレットに依れば、千住博氏本人が「明るく開放的な、今までに無かった様な美術館を」と設計者に依頼したのだそうですが、まさにその希望を具現化したような建物になっています。しかも驚くのは、敷地の勾配をそのまま活かしていて、美術館内部が入り口から奥に向かって緩やかに傾斜して坂を下っていく構図になっていること。ただ、車椅子やベビーカーには些か不向きだろうとは思いますが・・・。
因みに、この美術館を設計した西沢立衛氏は金沢21世紀美術館の共同設計者とか。開館10周年を迎え、今月から『10年の軌跡展 日本の四季彩』がちょうど開催されていました(~12月25日)。
 軽井沢らしく、色々な樹木に囲まれた開放的な美術館。総ガラス張りの壁に囲まれた館内は採光も十分で明るく、しかも形の異なる“ガラスの柱”が4本程あって、そこにも木々が植えられていて、まるで光溢れる林の中を散策しながら壁に掛けられた作品を見て行くという感じ。時期は早春の林ですが、夏は夏の、冬は冬の、いつ来ても四季折々の林を楽しみながら鑑賞できることでしょう。
しかも、UVカットのガラスウォールで紫外線が遮られているからと、作品は一切ガラスなどで遮られておらず、また自由に観賞するためと順路も決められていません。しかし、傾斜に沿って下って行くと、最後に代表作の「ウォーターフォール」を収めた部屋に自然に行き着く趣向でしょうか。
印象的だったのは、いくらUVカットのガラスウォールとはいえ、恐らくその日の天候と時間と共に移動する太陽に合わせて、係員の人が都度々々遮光カーテンを開け閉めして、展示されているそれぞれの作品への日光の照射量を調整(確認した訳ではありませんが、多分)していることでした。展示されている絵画は当然ですが、この建物そのものもこの美術館の展示作品です。
観賞中、コロナ禍でしかも平日故か、せいぜい我々も含め4組ほどしかおらず、皆静かに思い思いに思索しながらゆっくりと観賞していました。静かで落ち着いた、実に贅沢な時間でした。その意味で、個人美術館での入館料1500円/人は少々お高い気もしましたが、どの季節に来ても十分にそれに見合った価値ある時間が過ごせると思います。
 鑑賞を終わって感じたこと。
ここ軽井沢千住博美術館は、訪れた季節の光と風、そして空気の色と匂いを体一杯に五感で感じる美術館・・・ということでした。
今回はこの千住博美術館だけでしたが、軽井沢に来て良かったと十分満足出来ました。

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