カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 オリンピックに続いて行われた、パラリンピックTOKYO2020。
障害の程度によりクラス分けが異なる様ですが、彼等も確かに“正真正銘”のアスリートだと思いました。
日本チーム金メダル第1号は男子100メートル自由形S4クラスの鈴木孝幸選手でしたが、彼は生まれた時から両足と右手がなく左手の指にも障害があるのですが、その左手一本で肘から先の無い右手を使い、クロールを見事なバランスで泳ぎ切ったのです。その様子を見ながら、彼の必死の頑張りに涙が溢れてたまりませんでした。他にも、殺人球技と呼ばれる車椅子ラグビーでは、試合中に腕がツル選手もいるのだとか。足は兎も角、腕がツルという経験は健常者では普通はあり得ない世界だと思うのです。健常者の様に足が使えないからこそ、唯一使える体の部位である腕をそこまで酷使しているという事実。例えば、両手が無く、口でラケットを加えて強烈なスマッシュを打つ卓球選手、そしてミリ単位での密着度を競うボッチャで、日本勢初の金メダリストとなった杉村選手の相手のボールに乗り上げるという神業・・・etc。
彼等に限らず、出場する選手の皆さんはそれぞれが持つハンディを、最終的には「ハンディではなく個性」と言い切れる程に血が滲む様な努力と鍛錬で克服し、各国内の競争を勝ち抜いて得たパラリンピック出場の晴れ舞台でありましょう。

 以下、批判を承知で敢えて問います。
しかし、それをオリンピックのメダルと同じ様に、例えば「世界記録」というようにマスコミが扱うのは少しおかしいのではないか、との思いを禁じ得ません。というのも、例えば、
『男子走り幅跳びの世界記録は、1991年にアメリカのマイク・パウエルが世界選手権でマークした8m95。以来破られていない記録は、9月1日(水)に行われる東京パラリンピックで更新されるかもしれない。
マルクス・レーム(ドイツ)は、パラ陸上競技で活躍する義足のジャンパーだ。2012年ロンドンパラリンピックに初出場して金メダルを獲得、2016年リオ大会でも2連覇を達成している。パラリンピックでの金メダル数以上に、レームを世界的なトップアスリートとして有名にしているのが、その記録だ。
2021年6月1日、レームは8m62の世界新をマークした。ポーランドで行われたパラ陸上のヨーロッパ選手権での記録だ。2018年8月に同じくヨーロッパ選手権で自身がマークした8m48を14cm更新する、大ジャンプだった。
5年前、リオオリンピックの男子走幅跳で優勝したジェフ・ヘンダーソン(アメリカ)の記録は、8m38。もし、現在のレームがリオオリンピックに出場していれば、金メダルを獲得していたかもしれない。レームの記録は、オリンピックのメダル級なのである』(結果として、9月1日に行われた今回の彼の優勝記録は、幸いそうした議論を巻き起こすことの無い8m18㎝でした)。
この選手は、パラリンピックだけではなくオリンピックへの出場も訴えて認められなかったのですが、それは違うと思うのです。
今回のオリンピックでLGBTの選手が女子重量挙げに(本人と自国のオリンピック委員会は当然その正統性を主張した上で)出場したことが賛否両論として議論を浴びました(結果として試技に失敗して記録無しに終わり、議論はそこで収束した)が、その延長線上で、もしAIが発達した近未来、人造人間が人間と同じ“心”を持ち、「私は人間だ」と訴えれば人間と同じ土俵に上れるのでしょうか。
ドイツオリンピック委員会からの彼の東京オリンピックの出場申し出に対し、IOCは『カーボン製競技用義足の優位性がないことを証明しなければ、オリンピック出場は認められない』として今回の出場を認めなかったそうですが、仮に優位性が無いとしても、やはり健常者と同じ土俵で扱うべきではないと思います。
というのは、補助装置の技術的革新、進歩はやがて人間の肉体を超えてしまうのではないか、その進歩に人間の肉体は果たして追いつけるのか?・・・という疑問。

 従って、批判を承知で敢えて問います。
その記録や努力は、別の土俵で大いに評価し、称賛すれば良い。しかし、土俵が違う以上、数値上の絶対値でその記録を比較し評価すべきではないのではないか!?・・・。