カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 今回の京都滞在で、個人的に印象に残った“京都グルメ”・・・、それは喫茶店のモーニングサービスでした。
「ヒミツのケンミンショー」的に言えば、京都のコーヒーとパンの消費量は全国一位。その背景には、京都が古くから喫茶店に馴染んできたという“喫茶文化”の存在が大きいのではないかといます。

 京都では、大正時代の「カフェ」人気を経て、昭和初期に数々の喫茶店が営業を開始。その中には、今も変わらず京都の人々に愛されている「イノダコーヒー」を初めとする老舗の喫茶店も多く残っています。そんな京都の“喫茶文化”を支えてきたのは、商家の旦那衆や伝統文化の職人さん、画家や作家と云った文化人や大学教授らのインテリ層、更に“大学の街”の学生たち・・・でした。
その京都の喫茶店ではモーニングやランチが充実していて、地元の“旦那衆”が朝からカフェでモーニングサービスを食べ、新聞を読みながらコーヒーを飲む・・・以前、イノダコーヒーに行った時に感じたそんな風景が京都では極々“普通”であり、今でもこの街では日常的な光景の様な気がします。
自分は“貧乏学生”でしたので、残念ながらモーニングサービスには学生時代は全く縁が無く、他の店より安かった「出町輸入食品」で豆を買って自分で豆を挽き、ドリップでコーヒーを淹れ、時々は出町柳の名曲喫茶で数時間クラシックを聴くのが、京都での学生時代に“喫茶店”に係わる唯一の贅沢でした。
(50代になるまでJazzを聴かなかったので、今は無き伝説の「シアンクレール」に一度も行かなかったのが心残りではあるのですが)
ですので、イノダコーヒーの本店には学生時代にコーヒーを飲みに行ったことはありましたが、京都でモーニングサービスを食べたのは学生時代ではなく、3年前に「イノダコーヒ本店」(正式社名は“コーヒ”と記載されています)で食べたのが初めて(第1405話)でした。

 今回の滞在中に、奥さまのリクエストでモーニングサービスを食べに向かったのは、「進々堂」の三条河原町店。
岡崎から朝のウォーキングがてら、店まで歩いて朝8時過ぎには着いたのですが、既に満席で順番待ち。私たちの後ろのドイツ人と思しきカップルもですし、店内の半分以上のお客様が外国からの観光客の方々。場所柄ということもあるのでしょうが、外国からの観光客の方々の人気店の様でした。
この「進々堂」は京都で一番古いパン屋さんで、1913年の創業とか。H/Pに拠ると、
『進々堂は、大正2年(1913年)京都に創業したベーカリーショップです。創業者の続木斉は学生時代、内村鑑三の門下生として聖書と近代思想を学んだクリスチャンで、「パン造りを通して神と人とに奉仕する」と言って進々堂を開業いたしました。フランス語やフランス文学にも造詣の深かった斉は、本場のフランスパンに憧れ、日本人としてはじめてパリへパン留学したことでも知られています。パリから帰った斉は、ドイツの窯を輸入してフランスパン製造販売を開始、西欧文化の香りを求める当時の京都の人々から絶大な支持を得て、京都を代表するベーカリーショップとしての基盤を築きました。』とのこと。
余談ですが、松本のベーカリーカフェ「開運スヰト」は、地元の老舗和菓子店「開運堂」(1884年、明治17年創業)の創始者の次男である宗七郎氏が、明治39年(1906年)に渡米し、修行の後1913年に現地シアトルで創業。1923年に帰国して地元松本で県内初のベーカリーとなる「開運スヰト」を縄手の地に開店したのだとか(従って企業情報上ではsince 1913と表示しています:第1092話を参照ください)。ですので、言ってみれば一地方都市である松本の「開運スヰト」も大したものだと感心した次第。

 さて、席についてオーダーしたのは、私が先ずは基本のモーニングプレートの中からスクランブルエッグセット(900円)で、奥さまはフレンチトーストヨーグルト添えセット(900円)とスモールサラダ(400円)をチョイス。いずれもドリンク付きのセットで、奥さまはラテが最初から砂糖入りと聞き、二人共コーヒーをチョイスしました。
すると、最初にコーヒーがサーブされました。
 「コーヒーは後でイイのに・・・。先に飲んじゃったら、食後のコーヒーが無くなっちゃう・・・。」
 「大丈夫。ここはコーヒー、お代わり自由だよ!」
 「えっ、ウソ!?・・・・」
確かにそうだったのです。大変失礼しました(結果的に、私メは3杯いただきました)。
自宅でも、食パンが固くなる最後の方では自分でフレンチトーストにする時があり、良く家内に(信州弁で言うところの“ずく”があると)呆れられるので、家内に、
 「フレンチトーストならわざわざここで頼まなくても、自宅で作ってあげるのに・・・」
しかし、これまた大変失礼しました。運ばれて来たフレンチトーストのパンは、厚切りしたフランスパンのバゲットでした。これは自分では無理!さすがです。
モーニングプレートには、ワンポーションのバター、イチゴジャム、そしてスクランブルエッグ用にトマトケチャップのミニパックが小皿に載って付いてきて、どれもたっぷりの量です。
ゆっくりとモーニングサービスを楽しみ、その間、スタッフの方がコーヒーポットを持って定期的に店内を回り、カップの残量を確認しながら追加の確認をしてくれます。結局3杯コーヒーを頂きました。その後も、空になった私メのカップを見て、
 「コーヒーのお代わり如何ですが?」
 「イヤ、3杯も頂きましたのでもう結構です。ごちそうさまでした!」
コスパの良さも勿論ですが、それ以上にスタッフの皆さんの接客態度に、元“人事屋”としてはお店の従業員教育に大いに感心した次第です。

 翌日、永観堂から東山を「哲学の道」を歩き、下賀茂神社にお参りする前に少し遅めの朝食をと、今度は出町柳の喫茶店「COFFEE HOUSE maki」(コーヒーハウス マキ)でモーニングを食べました。
こちらの喫茶店も、事前に家内がネットなどで調べて見つけた店。珈琲専門店とのことですがモーニングも人気で、有難いことに12時までモーニングが食べられるのだそうですが、但し数量限定とか。
既に11時を過ぎていたので(家内は)心配したのですが、この日が平日だったせいか幸いまだ大丈夫とのことで、家内曰く“名物”というモーニングセット(700円)を二人共チョイスしました。
お店は両側から入れるようになっていて、私たちは河原町通りの正面ではなく(裏側の)鴨川側から入ったのですが、入り口付近のテーブルに座ったら、
 「あっ、そこは寒いので、中も空いてますからこちらにどうぞ!」
と、奥のテーブルを勧めてくださいました。
二階もありますが、どうやら二階にはマシンがあって自家焙煎をされている様子。「珈琲専門店」という看板通り、自家焙煎した色んな豆も販売されています。
「COFFEE HOUSE maki」のモーニングセットは、中をくり抜いた食パンの四角い耳を器にしてあって、その中に飾り切りのゆで卵、ハム、レタスやポテサラのアイランド系のドレッシングがたっぷりと掛けられたサラダセットが敷き詰められたユニークなスタイル。厚いトーストはしっかりと焼かれていてバターもたっぷり。
パンも厚みがあるだけでなく、サラダもたっぷり入っているので、かなり食べ応えがあります。しかもお箸なので食べ易くてイイ。最後、しっかりと耳も残さずに全部戴きました。ブレンドコーヒーはコロンビア豆かマイルドな味で、個人的にはもう少し酸味があった方が好み・・・かな。
それにしても、このボリュームで700円とは正直信じられませんでした。
ですので、遅めのモーニングというよりもどちらかと云うとブランチで、このボリュームだったらこの日はお昼を抜いても構わない程に、二人共お腹が一杯になりました。
ごちそうさまでした。いやぁ、それにしても京都の“モーニング”はスゴ過ぎる!