カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 一年振りだった、今回の京都旅行の最終日。
この日は、次女たちからお宮参りのお祝いの返礼にいただいたカタログギフトの中で、断捨離で出来るだけ物を増やさない様にしている中高年夫婦としてはもう特に欲しいモノも無かったので、それではと選んだのが、グルメギフトの中にあった、今回の旅行先である京都の割烹の懐石コース(お祝い金からの一般的返礼として推測するに、多分一人1万5千円以下~1万円強。そして、もし運営元が20%手数料を取ると仮定すれば12000円~9000円位でしょうか)にしました。
電話で予約の際に伺うと、昼夜同じコース内容とのことだったので、どうせならと今回はお酒も飲める夜にした次第。結果としてこれが、今回の京都行でのちょっぴり豪華な、唯一夜の外食となりました。

 その店は四条烏丸からすぐ、四条通からだと高倉通か堺町通りを下がった、仏光寺通りに在る「割烹〇〇〇」という割烹です。
何でも祇園のミシュランの有名割烹で長年修業して、独立した店主のお店だとか。京都の割烹らしく店名を書いた小さな表札だけで、注意して良く見ないと気付かずに通り過ぎてしまいそうです。
京町屋を改装した店で、坪庭を眺められる店内は板の間には新春らしい松と南天、白梅の投げ入れが。暫くすると、梅を桜に変えるのだそうです。大将によると、町屋でもこの家は間口が通常より広く、1.5倍あって使い勝手が良いのだとか。奥の坪庭と入口の小上がりの板の間も風情があります。客席は敢えてカウンターの8席のみ。この日は平日だったこともあってか、夜私たちが食べている間、結局我々一組だけでした。
 この日の夜の懐石コースは、先付・吸物・造り・小鉢・焼物・焚合わせ・和え物・御飯・水物といった感じでしょうか。八寸はありませんでした。
先ずは、雲子のかぶら蒸しから。雲子とは真鱈の白子のことで、主に京都などで用いられている呼称だそうです。続いて北海道産の牡蠣のソテー。椀物の赤いのは海老餅とかで、京都の和食らしい優しいお出汁。
お造りは熟成させた(「まだ熟成が少し甘いけど・・・」とのこと)ホンマグロとヒラメ。
そして、琵琶湖産の本もろこに、滋賀名物の赤コンニャクにカズノコを添えて。
焼き物の車エビは皮を剝いたところですが、何も調理せずにただ炙っただけとのことでしたが、プリプリで甘味があって、この夜のコースの中では一番美味しかった気がしました。
続いて煮たフグ。トラフグではなく確かマフグだったような・・・。小ぶりですが、身にフグらしい弾力がありました。
次に、叩いたマグロ赤身の春巻き。調理前に「春巻きにするから」スとタッフに指示していたので、もしかするとその場で内容を変えたのかもしれませんが、余りに生臭くて正直がっかりでした。
続いて炊き合わせだったかと、最後の〆の炊き込みご飯。
1万数千円(の筈)のコースにしては、高級食材は使われておらず(最後の魚はグジだったかもしれませんが)、車エビに代表される様に出来るだけ素材の良さを活かす料理です。
コースの途中まではそれなりに良かったのですが、もしかすると残ったマグロの赤身を使ったのかと勘ぐる程、生臭かった春巻きからちょっとがっかりして気も削がれてしまいました。
何だか“田舎者”の足元を見られたような気がして(≒そんな気持ちにさせられて)、正直がっかりした京都最後の夜でした。
 それに、大将が話好きなのは良いとしても、店内はカウンター席だけで、調理場の様子はそこから丸見え、丸聞こえなので、客に聞こえぬ様に見えない裏側でならまだ良いのですが、さすがに目の前の調理場の中で下拵えなどを手伝う女性スタッフに結構キツめに命令するのが、何だかまるでジキルとハイドの二面性を見ている様で、その裏表の顔に酒も不味くなり、客としては些か興醒めしてしまいます。

 所詮我々庶民の数少ない経験からの比較でしかありませんが、4年前でしたが、伊豆高原の城ヶ崎海岸から続く段丘の別荘地の中に在る「坐漁荘」の和食処「さくら」(第1503話)の絶品だった懐石や、昔地元の方に連れて行ってもらってファンになり、それからは京都に来る度に長女が毎回必ず伺うという割烹で、どの料理も味とその手間に唸らされる東山の和食処「〇〇」のお任せコースに比べたら正直雲泥の差でした。
我々は所詮一見さんですので構いませんが、例え毎年京都に来ても、こちらに伺うことはもう二度と無いと思います。