カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 坂城町特産の「ねずみ大根」を、和田や上田で入手して食べた「おしぼり蕎麦」でその美味しさを知り、以来ねずみ大根(所謂「辛味大根」)に魅せられています。

 江戸時代にも、松尾芭蕉の『更級紀行』に、
 『 身にしみて 大根辛し 秋の風 』 芭蕉
という句が詠まれていて、伊那谷南端に近い下條村(因みに、数少ない長野県出身のタレント峰竜太氏の出身地)の特産「親田(おやだ)辛味大根」も昔から有名なことから、山を隔てた木曽谷(芭蕉は、元禄元年1688年に岐阜から木曽を経て更科へ行った)で詠まれたのでは、というのが江戸時代からの俳諧研究での通説だそうですが、芭蕉は「田毎の月」で知られる姨捨などの「更級の郷」にも滞在して句を詠んでいるので、むしろ現在の坂城町で「おしぼりうどん」を食したのではないか、との説もあり、個人的にはそちらに賛成です。

 『 おもかげや 姨ひとりなく 月の友 』芭蕉
 『 いざよいも まだ更科の 郡かな 』 芭蕉
また、同行した門人の越人(えつじん)も、
 『 更科や みよさの月見 雲もなし 』 越人
と詠んでいることから、中秋の名月を過ぎて、少なくとも三夜は更科の郷に滞在し(雲も無く)月見が出来たことが伺えます。

 この辛味大根。坂城町の特産は「ねずみ大根」で、スーパーで売られている一般的な大根である「青首大根」に比べ、辛味成分だけではなく、ビタミンCも3倍近いのだとか。また栄養素は皮と身の間に多く含まれるので、良く洗って皮のまま卸した方が良いのだとそうです(ナルホド)。
坂城町は千曲市(旧更埴市と旧戸倉上山田町が合併)と上田市の間にある千曲川流域。東日本最大級の前方後円墳である「森将軍塚古墳」」があり、古代信濃でも早くから開けた土地。雨の少ない上田地方では、水利が無く米作が出来ない地域は昔から小麦の栽培が盛んだったことから、信州の粉文化の中でも、坂城町は蕎麦ではなく「おしぼりうどん」が今でも名物だそうです。

 松本では店頭で見掛けることは殆どありませんが、上田などの東信地方ではポピュラーな大根のようですので、帰路塩田にある小さな地場のスーパーに立ち寄ってみると、ありました。
「ねずみ大根」と表示されて、20本ほどが1本ずつ袋に入って売られていました(同様に「上田みどり大根」も隣に並んでしまた)。道の駅や直売所で買ったものより、やや大振りで一本98円。きっと並ぶのは秋から長くてもせいぜい年明けくらいまでだとは思いますが、欲しい時は上田でいつでも入手できそうです。