カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 知り合いから筍(タケノコ)を頂きました。この時期信州で直売所などに並ぶ淡竹(ハチク)の筍です。淡竹というのは、孟宗竹よりも細いせいぜい直径5㎝程度の細めの竹(太い物でも10㎝)で、孟宗竹よりも耐寒性があるため日本海側に多く、5月下旬から6月中旬くらいがタケノコのシーズンだそうです。

信州でも店頭に並ぶ地物のタケノコはこの淡竹。因みに、雪深い北信濃が本場の根曲がり竹は、竹ではなくチシマザサ(千島笹)のタケノコ。海の恵みの豊かな庄内地方は、山国の信州とは違いタラの芽などの山菜には見向きもしないのに、地元で“赤いダイヤ”とも称されるこの根曲がり竹(月山竹)だけは毎年遭難者も出るほどに血眼になるのだそうです。シンプルに、ただ焼いて味噌を付けて食べる根曲がり竹は確かに最高です。そして、この根曲がり竹は食べるだけでなく、昔から民芸品でもある竹細工にも使われています。
一方の淡竹。奥山に行かないと採れない根曲がり竹よりは、里の竹林に生える分、昔から筍としては一般的。因みに、「ハチクの勢い」という時のハチクは、この「淡竹」ではなく「破竹」で、竹は一筋割れ目が入るとさっと割れることから名付けられたという、「三国志」からの慣用句なのだとか。
 さて、タケノコ料理と云えば、何と云っても信州だとタケノコ汁でしょうか。しかしタケノコ汁と云っても、有名なのは基本的には先述の根曲がり竹を使った味噌汁。しかも、北信(長野県北部)では必ず水煮の鯖缶が使われます。
昔、長女の高校時代に評議員で学校に行った際、長野市出身の校長先生が教員住宅に生えていたタケノコでのタケノコ汁を振舞ってくれたのですが、初めて食べる鯖缶が入った味噌汁で、これが北信の定番と教えていただき随分驚いたことがありました。
個人的には、素材の味を生かす(何も混ぜない)方が良いように思いますし、今でも根曲がり竹のシーズンになると、東信が本拠のスーパーであるツルヤでも鯖缶が山積みされているのですが、子供の頃の我が家の五目御飯やカレーにまで、時として(肉の代わりに)鯖缶が使われていたせいで、何となくですが、鯖缶だけで(醤油と大根おろしで)食べるのは好きですが、最近どんなに人気になっても、鯖缶を入れたカレーや五目ご飯などは個人的に子供の頃の貧しさの象徴の様な気がしてしまいどうしても好きになれません(結婚して家に入った家内曰く、決して農家は貧しいのではなく生活が質素だからだと云いますが、それでも子供時代の“貧しい”という印象は変わりません)。
 従って、今回の淡竹でのタケノコ料理も、味噌汁には鯖缶は使いません。
先ずは、家内の指示に従い、米のとぎ汁で茹でて灰汁抜きをします。淡竹は灰汁が少ないので茹でるだけで良いというレシピもありましたが、とぎ汁で茹でると結構な灰汁が出ました。
タケノコは頂いた三本の淡竹だけでも結構な量がありましたし、他にいただいた蕗もあったので、先ずは蕗の味を殺さぬ様に筍と一緒に薄味であっさりと煮物にしました。なお、柔らかい薄皮は「姫皮」と言って食べられるので、キレイに全て剥いてしまう必要はないのだそうです。
 続いてタケノコだけの煮物にします。こちらは多少日持ちがする様に少々濃い目の味付けです。
そして最後残ったタケノコはシンプルにタケノコ汁に。但し、北信ではないので、鯖缶は使わずに素材そのものの味が際立つ様、煮干しで出汁を採っただけで、具材はシンプルにタケノコのみ・・・です。
因みに、個人的にはタケノコの煮物が一番美味しかった様に思います。更に、煮汁が余ったので、煮たタケノコも少し使って筍ご飯も作りました。あっさりとした味に仕上がり、こちらも何とも乙な炊き込みご飯になりました。

 いただいた太くて長い三本の淡竹。結構色んなバリエーションで、竹冠に旬と書く、まさに旬の筍を存分に頂くことが出来ました。これで一週間くらいは寿命が延びたのでしょうか・・・。
 「大変ごちそう様でした!」

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