カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 前話の時計博物館の帰りに、せっかく(一人)なので久し振りに昼食にラーメンを食べることにしました。我が家の奥さまはラーメンを余りお好みではなく、以前京都に行った時も、老舗の京都ラーメンを食べに行く私と別れ、彼女は京都駅近くでスイーツを食べに行きました。従って、一人の時でないとなかなかラーメンは食べられません。
会社勤めの最後に上田の子会社に出向していた時は、本社などへ会議で外出する時などに途中外食する機会も多かったので、そんな時は地元での有名店でラーメンを食べることが多かったのですが、定年後はその機会も殆ど無くなりました。子供たちは、長女は有名ラーメン店に行くこともたまにあるそうですので、どちらかというと私メのDNAかもしれません。

 さて、この日選んだ先は、松本駅前通りを本町交差点から駅寄りに少し行ったところにある「マルキ商店」。ここは中信エリアで『きまぐれ八兵衛』や『きまはち商店』などを運営する『きまはちグループ』の系列店だそうで、こちらの店は、流行りの家系や二郎系などの豚骨系ではなく、醤油ベースがメインの中華そばと、“富山ブラック”ならぬ“松本ブラック”が売りというラーメン屋さんです。
昔の開店当時は、夕方開店して朝5時まで営業という、どちらかというと飲兵衛の“〆のラーメン”向けの店(早朝の“朝ラー”は可能)で、仕事で松本に外出して来ても昼の営業は無かったので食べられなかった店でした。その後昼も営業するようになり、そこで何年越しかで念願の店の看板メニュー“松本ブラック”なるラーメンを試してみることにした次第です。

 平日の午後1時過ぎ故か、はたまたコロナ禍か、店にはお客さんは3人だけ。一人客はカウンターへ案内されます。水は(おしぼりも)セルフサービス。迷うことなく、「松本ブラックラーメン 750円」をオーダーして、待つこと暫し。
運ばれてきたラーメンは、普通の(家庭用と同じ)サイズのラーメン丼。ラーメン店としてはやや小さめの丼でした。鶏油なのか上に油膜が張った真っ黒なスープに刻んだ青ネギが小山に盛られていて、丼の周りを埋めるように花びら的にチャーシューが5枚並んでいます。
早速、先ずはレンゲで焦がし醤油というスープを一口。鶏と豚から摂ったガラスープをベースに、焦がし醤油の真っ黒な色程に濃くは無く、勿論十分に塩気はありますが、むしろ塩味よりは甘味を感じます。青ネギの下に隠れた麺は細めのストレート麺。箸で持ち上げると醤油が良く絡んで、普通のラーメンと比べると麺もビジュアル的にかなり黒めに感じます。
スープはブラックペッパーがしっかり効いていて、その味は甘さと多少の酸味を感じます。トッピングのネギはメニューに依れば、京野菜の九条ネギとのことですが、そのせいもあるのか、どちらかというとこの“松本ブラック”ラーメンは“富山ブラック”(と言っても“ご当地麺”のカップ麺で食べたことがあるだけなのですが)ではなく、京都駅に近い“京都ラーメン”発祥の店である『新福菜館』(第1407話)のラーメンにむしろ似ている気がしました。
ただ、九条ネギってこんなに“こわ”かったっけ?もっと柔らかじゃなかったっけ?何だか薹が立った古いネギの様な気が・・・?それに、チャーシューが、モモ肉故の歯応えと旨味はあるのですが、ちょっと薄過ぎ・・・。やはり醤油ラーメン向けのチャーシューは、ホロホロととろけるようなバラ肉のチャーシューの方が個人的には好みです。
 私メが今まで食べた県内の醤油ラーメンで云えば、長野市の“夜泣きそば”「ふくや」の黒い醤油スープを思い出しますが、「新福菜館」も「ふくや」もこの松本ブラックよりは(記憶と思い出は、より過去を賛美しがちになるとはいえ)旨味は遥かに上だった気がします。またスープや麺だけではなく、チャーシューも「新福菜館」や「ふくや」の方が美味しかった様な・・・。
(但し、ふくやは最初は違和感があるのですが、何度目かでクセになる味ですので、一度で判断しない方が良いと思います。と言いながら・・・、)
残念ながら“松本ブラック”はもうイイかな・・・。今度来たら、メニューに“定番”と書かれていた「中華そば」を試してみようと思います。