カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 このところ続いた映画鑑賞での最後は、トム・クルーズ「トップガン・マーヴェリック」。いわずと知れた、1986年公開の「トップガン」の続編です。
前作から36年を経て、続編制作権そのものを持つトム・クルーズ自身が主演として納得し、漸く制作された映画。しかも、コロナ禍で3年近く前に完成しながら、ネット配信などの誘いには一切見向きもせず、頑なに(コロナ禍明けの)大画面での劇場公開に拘ったという作品。
公開後、次々の記録を塗り替える世界中での大ヒットで、色々な論評や解説は既にたくさんありますので、ド素人の私メが解説する必要など全く無く、飽くまで前話との比較で、なぜ中高年のオッサンをここまで興奮させたかを、完全に且つ飽くまで私的に述べさせていただきます。

          (前作のサウンドトラックCDから)
この続編は、前作を出来る限り踏襲したストーリーで、完全に前作へのオマージュと云えます。エンドロールの最後の最後に、“In memory of”として、ずっと続編制作を希望しながら果たせず、2年前に亡くなったという前監督「トニー・スコット監督へ献ぐ」としたことからも、続編は完全に前作へのオマージュであると思います。
それは、冒頭テーマ曲である“ Top Gun Anthem”のあの鐘の音が鳴り響き、やがてオレンジ色に染まる夕日をバックに航空母艦から次々と飛び立っていく戦闘機が唯一前作のF-14トムキャットではなく、36年後のF-18スーパーホーネットとまるでと重なる場面からスタートします。そして、今回の舞台となるトップガンが所属するファロン基地(前作のミラマー基地から移転)へ向かうマーヴェリックことピート・ミッチェルが、埃を被っていた(様に思わせられる)カバーを取り去って、前作同様に今回もカワサキのバイク(詳しくない故モデル名は不明ですが)を駆って、夕闇迫る基地の滑走路を離陸していくF-18と並走する場面などなど・・・(因みに、前作の劇中で使われていたことで爆発的にヒットしたという、カワサキのバイクとレイバンのサングラス)。
もう、最初の鐘の音が響いた途端、涙が溢れ出て来るのを止めることが出来ませんでした。
任務達成後(ここは任務よりミッションと云いたい程に、何となくミッション・インポッシブルと似ている様な展開で危機一髪的に窮地を脱して)最後に36年前の主力F-14 が登場するのですが、劇中で敵国の特定はされていませんが、既にアメリカ本国は勿論日本を含め世界中で退役してしまったF-14 を唯一今でも現役として保持しているのがイランであることも、そして自分たちで事前に敵機が飛べぬ様にミサイル攻撃して穴だらけの敵国内の滑走路から、空港の格納庫に収納されていた現役のF-14 を盗み、最後にその可変翼だからこそ短距離での離陸を可能としていたF-14 で脱出する辺りは、ナルホド良く練られていると感心すること仕切り。
更に続編制作でトム・クルーズが拘ったという、咽頭癌を患って声を失ったヴァル・キルマーのアイスマン役での出演。また前回のビーチバレーに対するビーチでのアメフト、バーで父親グース同様に弾き語りで同じ曲をピアノを演奏するルースター・・・。
もうダメでした。惜しむらくは、教官チャーリーやグースの奥さんキャロルも登場しなかったことでしょうか(引退したというケリー・マクギリスはともかく、メグ・ライアンは出ようと思えば出られたでしょうに・・・。ただ、キャロルは既に死亡し、亡くなる際に父親代わりのマーヴェリックにグースの忘れ形見の息子は絶対にパイロットにしない様に頼んだという設定故)。
今回のヒロインを演じたジェニファー・コネリー演ずるペニーが元カノであるという設定は、前作でメーヴェリックが何度もちょっかいを出した司令官の娘として名前だけは劇中でも出ていたそうですが、全く聞き取れても(読み取れても)いませんでした。

 公開後僅か1ヶ月にして100億稼いだという作品だけに(ヒットにより海軍士官学校への志願者が5倍になったという前作同様に、今回も米国海軍の全面的協力を得たとしても)前話での日本作品とは製作費の桁が二桁も三桁も違うのでしょうが、それにしても、そもそも脚本の練度が違い過ぎる!

 全編が前作へのオマージュだった今回の続編。ダイナミックな音響と、米国海軍全面協力に依る実写中心の実物の戦闘機での空中戦の大迫力・・・。淀川さんではありませんが、本当に映画館の大画面で見る映画ってイイなぁ!これぞシネマ!とつくづく感じられた作品でした。
(もうイイという奥様は同時刻に放映される別の作品を見る前提で、私メはもう一度「トップガン・マーヴェリック」を見て、しっかりと余韻に浸りながら、更にじっくりと振り返りたいと思います)