カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 東京滞在中のランチで、奥さまは近所に幾つか美味しいベーカリーがあるからと、有難いことに買って来たパンで済ませることが時々あり、そんな時に私メは(まさにシメシメと)独りでしか食べられないラーメンを食べに行くのです。
(前話の通りインド料理はまた一緒に食べられる様になったのですが、ラーメンだけは、上諏訪の「ハルピンラーメン」の松本店が昔松本駅の北隣にあって結婚前に一度食べに行ったのですが、油まみれのお世辞にもキレイとは言い難い狭いカウンターだけの店で、以降ラーメンデートは断固拒否!・・・ナンでかなぁ?美味しいのに・・・。
因みに、この「ハルピンラーメン」は当時上諏訪駅の近くの並木通りに在って、諏訪勤務時代に飲んだ後の〆の定番でした。しかし、その後経営者が替わり、郊外に移転してしまいました。その「ハルピンラーメン」松本店も、暖簾分けか姉妹店だったのか分かりませんが、すぐに閉店。そして10年程前に、実に30年ぶりに松本市並柳に松本店が復活しました。)

 ラーメンでのこの界隈での選択肢としては、10分ちょっと歩けば前回行った「新福菜館」が麻布十番に在るのですが、せっかくなので今回は神谷町界隈で別の店を探してみることにしました。
地下鉄神谷町駅のすぐ近くには、以前娘が「安くて美味しいヨ!」と教えてくれた「天雷軒」というラーメン屋さんが在って、ランチタイムは常に10人以上が行列している人気店です。こちらのラーメンは、どちらかというと女性が好みそうな今風でオシャレなラーメン(因みに、某有名ミュージシャンがプロデュースのラーメン屋さんらしい)で実際に女性客も多いので、娘と一緒ならともかくオッサン独りで並ぶ勇気がなく諦め。

 虎ノ門から神谷町界隈はオフィス街なので、平日の昼食時は所謂“サラメシ”を求める人たちでどこも混雑していて(そのため企業に合わせて土日休みの飲食店が多く、長女曰く、住んでいる人は逆に土日は“ランチ難民”となるので、場所を探すのに苦労するのだそうです)、このラーメン店だけでなく人気店はどこも行列で、しかも麻布台ヒルズの建設に従事しているたくさんの作業員の人たちも交代で昼食に出られるので、コスパの良い定食屋さんやラーメン店などは更に混雑に拍車をかけています。しかし都会で羨ましい(=有難い)のは、所謂“ピンキリ”で、高級ランチから立ち食いソバや牛丼チェーンまで実に選択肢が豊富なところではないでしょうか。

 そんな神谷町界隈でネット検索して見つけたのが、飯倉交差点からすぐの「めん蔵」と云うラーメン屋さん。「めんぞう」ではなく「めんくら」だそうで、暖簾には店名の他に「西山ラーメン」と染め抜かられ、店の前には「西山製麺」の幟もありましたので、どうやら札幌ラーメンの店の様です。
初めて伺った時が1時半頃で昼時間を過ぎていたせいか、お客さんが一人だけ。店内は狭いコの字型のカウンターのみで10席程でしょうか。失礼ながら、些か古びていて、しかもカウンターには灰皿が置かれていて、今どき珍しく店内喫煙OKなので、入り辛いのか女性客はいません(多分・・・)。
基本のメニューは、味噌、塩、醤油に、鉄火と田舎というのもありました。札幌ラーメンなら基本は味噌かもしれませんが、自身の嗜好が醤油一択なので、ここは醤油ラーメン(700円)をオーダー。
「ハイヨ~、醤油ね~♪」という、何とも言えぬ飄々とした独特な雰囲気のマスターです。客が少ないこともあってか、調理が終わって暇な時間は厨房内で座って文庫本を読んでいました。何だか、ラーメン屋のオヤジさんには見えません(これでもし哲学書でも読んでいたら昔の“山男風”でむしろピッタリなのですが、そうでは無さそうでした)。
 カウンター越しに出された醤油ラーメンは、新福菜館の様な真っ黒なスープ。二枚の豚バラチャーシュー、半分の固ゆで卵、メンマに刻みネギ。
西山製麺の中太の縮れ麺に真っ黒なスープが良く絡みます。そのスープは豚バラを煮込んだタレに魚介ベースの様ですが、意外とアッサリでしょっぱくありません。ただ新福菜館のスープの方が旨味はあったように思います。何となく、長野市の“屋台ラーメン”「ふくや」のスープに似ている気がしました。というのも、最初の一口はイマイチに感じるのですが、飲むうちに段々美味しくなってクセになるような・・・、そんなスープなのです。
トッピングされた豚バラのチャーシューは「チャーシュー麺で食べたい!」と思わせる程に、ホロホロで絶品!タレが染みていて実に美味。
あっという間にスープも飲み干して、完食!何だか麺が少なく感じられる程で、これなら大盛りでも良かったかも・・・・。

 そこで東京最後の日。この日も奥さまは朝食を食べに行った欅坂のベーカリーカフェで昼食用に買ったパンがあるとのことで、私メは有難く独りで再度「めん蔵」へ行かせていただくことにしました。
今回はせっかくなので、醤油ラーメン(700円)を大盛りにして、更にチャーシューを追加でトッピング。
この「めん蔵」は、ナント大盛りが+100円、チャーシュー追加もたったの+100円。何だか申し訳ないくらいです。
そして、ランチタイムでしたが、東京の思い出に(理由は何でもイイのですが)生ビールも追加しちゃいました。グラスよりも大きめで、「中」よりは小さめのジョッキの生ビールで、こちらもナント200円!という安さ。
ただ大盛りにした麺の量も美味しさ故か、それ程とは感じません。この「めん蔵」の醤油ラーメン、その独特のスープもですが、何と言ってもホロホロのチャーシューが美味!イチオシです。しかも、それがたったの100円で追加出来るなんて、イヤ、もう拍手しかありません。
この日は既に1時を過ぎていたのですが、作業員の方々の交替でのランチか食べている間ずっと満席で、しかも次から次へと代わる代わる入店する混雑ぶり(失礼ながら、珍しく?女性のお客さんもお一人来られました)で、前回はマスター一人だけだったのが、今回マスターは調理に集中し、もう一人のスタッフが配膳から片付け、レジ対応を手伝っていました。
完食し、スープもほぼ飲み尽くして、満足満足でお腹も満腹!新しいお客さんがちょうど来られたので、すぐに立って席を空けました。
 「どうも、ごちそうさまでした!」

 麻布台界隈のラーメン。今度また来る機会があったら、一度は神谷町で人気の「天雷軒」を試してみたいと思いますが、今では行く機会の無くなった長野市の「ふくや」を彷彿させてくれる、この「めん蔵」も捨てがたい。でも、やっぱり今度は麻布十番の「新福菜館」の半チャンラーメンかなぁ・・・。うーん、(今度がいつになるか分かりませんので、暫くは考えるだけの)嬉しい悩みです。