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さて、今日は”犬の譲渡契約書”について少しお話したいと思います。

昔は、「近所の知人のところで生まれたワンちゃん貰ってきた。」という話を良く耳にしました。
もちろん、そんな時に双方で”譲渡契約書”を交わすなんてこともほとんど無かったと思います。

しかし、現在では様々な理由で”契約書”までいかなくても何かしらの”書面”を取り交わすようになってきました。

そこで、”譲渡契約書”の作成に当たる注意点を。
先述した「譲渡契約書まではいかないけど作成する書面」の多くは、どうやら”念書”とか”覚書”の類のようです。
そしてその書面にて交わされる約束は、「元親は二度とその犬に会わない。」「里親は絶対にその犬を手放さない。」というものです。
この約束自体は大変意義深いものであることは間違いないですね。人間の都合によって犬の住処や親が替わるわけですから、最大限犬の将来を考えるべきですから。
当然ですね。

しかし、問題はこの手の”念書”や”覚書”に記されている文言がこれだけだということです。
「元親は二度とその犬に会わない」という約束を破って元親さんが会いに来れば「約束と違うから止めてくれ!」となるでしょう。口で言って聞き入れてもらえなければ、”念書”や”覚書”に基づいて”行為差止請求”をすればいい。つまり、「二度と会わない」という判決を得ればいい。もちろん、そんな手続を踏むのは面倒なことですが、何とかならないわけじゃないし、里親さんさえしっかりしていれば犬の将来に関する不安もないと言えますから。

問題は、「里親は絶対手放さない。」という約束を里親さんが破った場合。
個人間で行われる”譲渡”の多くは、元親さんが飼えなくなって手放すというものが多いので、里親さんが手放してしまっても元親さんが怒ることがほとんどない。約束違反しているのだから本来であれば、譲渡自体を無効にして元親さんの手元に犬を戻すことができるのに・・・。(もちろん、元親さんのところへ戻ることが犬にとって幸せか?という問題は残るけど・・・)
しかも、「絶対に手放さない」という一文だけで、その約束を破った場合の罰則などが盛り込まれてないから、「約束と違う!」と言ったところで、「だから?」となってしまう。
ですから、「絶対に手放さない」という一文は、無いよりマシというだけのもので注意喚起的な役割しか果さないとお考え下さい。

本当に犬のことを最優先に考えるのであれば、しっかりとした法的見地からも有効な”譲渡契約書”を作成する必要があるのです。

人間の勝手な都合で住処や親が替わってしまうだけでも犬にとっては大きな迷惑なのに、その際に交わす”契約書”の内容があまりにも稚拙でいい加減なものであったら?
結局、最後に泣くのは犬自身になってしまうのです。

しっかりとした契約書を交わすことこそが彼らの命を守り、里親さんにも飼主としての責務の重さを認識してもらうことになるのです。