カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 お城の外堀、片端沿いにある「かき船」。
私が子供の頃から(・・・どころか、創業は昭和7年だそうですので、今年で83年の歴史)ある割烹料理屋で、その名の通りお堀に浮かんだ「牡蠣船」の形をしています。これは、山国信州には珍しい“屋形船”で、実際に広島の船大工に作らせたものだとか。春など、松本で一番早い片端の桜が咲いてお堀に浮かぶ様子は、大変風情があります。
これまで一度も行ったことが無かった(個人的にも、宴会でも。何となく見た雰囲気が料亭風で、若者向けのお店ではないこともありますが、自分も中高年になりました)ので、奥さま(以前勤めていた時に、海外からのお客さまのもてなしで一度来たことがあるとか)を誘って一度行って見ることにしました。実は、奥さまが次女との秋の旅行で行った宮島で食べた焼きガキのことを土産話に聞き、自分も何となく食べたくなって、スーパーの鮮魚売り場に珍しく並んでいた殻付牡蠣を初めて買って来て家で試したのですが、殻を開ける時に割れた破片が中に落ちたりして上手くいかず(元々小粒だった身も、焼き過ぎか味は良かったものの更に縮んでしまい)、やはり素人では無理だと悟った次第。
こちらはトンカツなどの揚げ物も評判のようですが、やはり店名からして、牡蠣が旬の冬がお薦めでしょうか?
「かき船」はランチも営業されていますが、ここは名物?のカキ鍋も(お酒と一緒に)食べたかったので、夜にお邪魔をすることにしました。

 店の入り口は軽自動車2台ほどしか駐車スペースがありませんが、道路の反対側の廃業したGSに5台ほどの駐車場が確保されていました。
まだ6時過ぎでしたが、店の奥の座敷スペースは宴会予約があるそうで、5卓ほどあるテーブル席(厨房側にカウンター席もあり)は、時間中に我々も含め結局3つは埋まったので、牡蠣の旬の時期ということもあるかもしれませんが結構混んでいます。

 メニューには牡蠣鍋やカキフライの入ったコース料理(一人前3500円)もありましたが、酢の物やお刺し身は特に要らないので、オール牡蠣の一品を選択し、佃煮(後で出てきたお通しも佃煮でしたが、辛口の日本酒に良く合います)、照り焼き、カキフライ、牡蠣鍋(一人前)をオーダー(フライ系には千切りキャベツが付け合せで出るものの、一品メニューの中にサラダが無かったのが、奥さま的にはマイナス評価でした)。
一番楽しみにしていた(家では難しかった)焼きガキは、残念ながら殻付がこの日は終わってしまったそうで、照り焼きに変更。また、牡蠣鍋は定食にしていただきました(小鉢と、お新香、おじや用のご飯が付きます)。
やはり牡蠣専門店なので、どれも大粒の牡蠣がふっくらとしていて、熱で縮んでいません。また、大振りのカキフライ用の特製ソースは、ウスターソースとオイスターソースを和えたのだそうで、ウスター(或いはトンカツ)ソースだけに比べ、香辛料が抑えられ、牡蠣の香りや旨味がより引き立つようで目からウロコ。また、牡蠣と松本一本ネギに豆腐とシラタキの具材を信州味噌で仕立てた牡蠣鍋は、最後に卵を加えておじやにしてもらいました。奥さま的には、やや味付けが濃い目とのことでしたが、おじやにするとちょうどの塩梅。
個人的には、焼きガキが無かったのが残念でしたが、照り焼きもプリプリで美味(掲載した写真は、奥さまが一つ食べた後)。また、牡蠣の出汁でも使っているのか、この日の定食に付いた小鉢のおからが何とも優しい味付けでした。料理だけですと、二人で6000円ちょっとだったでしょうか。
生ビールと冷酒もいただいて、「うん、やっぱり牡蠣は冬だなぁ・・・」(夏の岩ガキも美味ですが)と満足の夜。ごちそうさまでした。
【追記】
帰りにお聞きしたら、焼きガキ(殻付を使う蒸しガキも同様)は、予約の際にお願いすれば確保しておいていただけるとのこと。次回はそうさせていただきます。