カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

  一昨年から気になっていた、通勤路の道路脇にある一本の「木」
それは、松本から平井寺トンネルを抜けて、少し下った道路脇の花木で、5月中旬になると真っ白な花がまるで雪のように木を覆っています。生えている場所からして、野生(自生)ではなく、人工的に植えられたものだと思います。
調べてみましたが、ピンと来るような写真が無く、最初は小梨かと思いましたが、時期的にずれています。気になって、車を停めて見てみると、花弁が5枚ではなく、見たことも無いような細長い十字花でしたので、リンゴやナシなどのバラ科でもなく、季節柄の“卯の花”等のウツギ系でもないようです、結局、その時は名前を特定出来ませんでした。

 昨年も気になっていたのですが、6月に入るとさすがに花も黄ばんでしまって時期を逸してしまいましたので、一年後の今回、今年も見事な花を咲かせましたのでここで掲載することにしました。
 結論として、色々ネットで花の写真を調べた結果、これは「ナンジャモンジャの木」と断定しました。
名前からして“人を食った”様な名称ですが、正式名称はモクセイ科ヒトツバタゴ(一葉たご)という落葉高木。「たご」というのはトネリコの一種で、トネリコが複葉なのに対し、単葉なことから名付けられたそうです。中国福建省原産で、朝鮮半島の一部、国内では対馬や木曽川流域(特に東濃地方)のみに自生(対馬の群生は天然記念物指定)している絶滅危惧種(Ⅱ類)で、岐阜県の土岐市では「市の花」に制定し、街路樹として植えられている「なんじゃもんじゃ街道」があるとか。植栽としても、神宮外苑や深大寺などに植えられた木の写真がありましたが、全国的にも珍しい木のようです。
大きなものは20mにも達するそうですが、平井寺にあるものは5m程度でしょうか。しかし、満開の時には見事な花を咲かせています。しかも、英語ではその名も“Snow Flower/Snow Blossom”だそうで、正に“雪の花”。
これまで身近で見たことはありませんでしたが、多分長野県内では珍しい木なのだろうと思います。
上田市の天然記念物指定という「なんじゃもんじゃの木」が、何と虚空蔵山頂にある(県内でしかも1000mを超える山頂での自生は珍しいとのこと)との記事を見つけましたが、この木は「ヤマエンジュ(フジキ)」というマメ科の木で、その名の通り藤に似た白い花を咲かせるそうです(白い花からは、どちらかと言うとニセアカシアを連想させますが、そう言えばニセアカシアはハリエンジュが正しい名前です)ので、(葉の形容も)別種。どうやら、昔、氏素性がハッキリしなかった珍しい木々が「なんじゃもんじゃの木」と呼ばれていたことがあったようで、他にも幾つか通称でそう呼ばれる木があるようですが、一般的には、このヒトツバタゴがナンジャモンジャノキとして呼ばれている代表種だそうです。
その後、近くにある前山寺の境内(鐘楼のすぐ脇)にも「ヒトツバタゴ」があることが分りました。

 この「ナンジャモンジャの木」。
例え氏素性が明らかになっても、そう呼びたいほどに、何とも云えぬ、神秘的で不思議な魅力を備えた木だと思います。
新緑の眩しい5月。通勤路(個人的に、勝手に上田側を“花街道”と呼んでいます)に咲く「花」の楽しみが、また一つ増えました。