カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 諏訪への電車での外出の際、松本で昼食を取ってから移動しました。
当初、駅前通りに進出した最近評判のラーメン屋さんで(勿論醤油系ラーメンを)食べて行こうと思っていたのですが、行って見ると、その店は夜間営業のみ。諦めて、さてどうしようか?・・・。簡単に駅そばでもイイか・・・(それぞれ経営主体は異なるようですが、松本駅の1番線と6番線ホームの駅そばも結構美味しく、また村井駅等で駅そば店も経営しているイイダヤ軒は駅前に座って食べられる店舗も出していますし、駅ビル内にも手打ち蕎麦屋さんが2軒あります)。暫し思案の結果、そう言えば“ワンコイン”で食べられる蕎麦屋さんが駅前にも最近出来たことから、試しに食べてみることにしました。

 松本駅(お城口)を出て右手にある長屋風の建物(ヴェルデ)。その一角にある「小木曽製粉所松本駅前店」。寿司を中心とした王滝グループが展開するセルフ蕎麦の店。豊科の安曇野IC付近に製粉工場を併設する1号店を出してから、あっという間に松本市内にも4店舗ほどオープン。以前、日経長野版にもフランチャイズ化の記事が掲載されていました。ここの売りは、何と言っても自社の製粉工場を持つメリットを活かし、ワンコインで食べられる県内産に拘ったという蕎麦。実際は、税抜きワンコインなので、税込では540円ですが、超有名店には、普通のザル(盛り)で1000円を超える店もある中で、特に平日の“サラメシ”(勤め人向けランチ)としては有難い店です。

 ここの建物は駅ビルに隣接していて、元々長屋風で狭いだけに、他店舗は分りませんが、この駅前店はコの字型で10席ほどのスペースしかなく、所謂立ち食い蕎麦。以前は別の店(蕎麦?)があった場所です。
メニューは「ざる、大ざる(大盛り)、かけ、冷かけ」の4種で、いずれも500円(税抜)の同一価格。おろし、トロロ、かき揚げ、ちくわ天、山賊焼きなど、トッピング類がセルフうどん方式で用意されていて、タッパーに入っている薬味用の刻みネギや、そばつゆもポットから自分で入れます(厨房は、お手伝いの女性を含めて2名で切り盛りされていました)。
大ざるとトッピングに大根おろし(税抜100円)を取って、〆て648円。
蕎麦は注文を受けてからちゃんと茹でています。希望する蕎麦のプレート(種類毎に色違いのプラスチック。因みに大ざるは赤)をトレーに載せてカウンターに並んで待つ(らしい)のですが、途中で提げていたカバンが邪魔なので後ろのテーブルに置こうとしたら、「並んで待っていないと順番飛ばすヨ!」と怒鳴られてしまいました。

 蕎麦は二八の細打ち。この価格ですから機械切りでしょう。しかし、ちゃんと蕎麦の香りがします。この価格で、この味なら十分に満足です。しかし、そばつゆが甘過ぎて、じゃぶじゃぶと浸さないと味がしません。そばちょこに多目につゆを入れたつもりが、トッピングの大根おろし(かなりの量です)を入れたこともありますが、途中で足りなくなってつゆを追加。
昼時で次から次へとサラリーマン風のお客さんが来られますし、怒鳴られたこともあり、そば湯(ポットに入っています)も飲まずに退散。
税抜とは言え、ワンコインで(しかも大盛りも同じ値段で)食べられますので、コスパ的には非常にリーズナブルです。肝心の味も、所謂駅そばや立ち食い蕎麦を遥かに超えた、ちゃんとした蕎麦。電車待ちや、時間が無いランチ時には良いかもしれませんが、落ち着いてじっくり味わって食べるのとは程遠い雰囲気。また、店舗にも依るとは思いますが、この店の雰囲気では(昼時で忙しくて余裕も無かったと思いますが)個人的には遠慮しておきます(ま、二度目からは勝手が分り、怒鳴られることも無いのでしょうが・・・)。
しかし、ワンコインで食べられる蕎麦屋が他店の刺激になるのは大いに良いことだと思います。本来、蕎麦(そば切り)も握り寿司も、江戸時代にせっかちな江戸っ子のために生まれたファーストフードだったのですから。
そして、他店は、もし高くてもその値段の差が(サービスや雰囲気も含めて)お客さんにちゃんと納得してもらえれば良いのですから・・・。
【追記】
後日の週末。用事で家内と半日市内を回った時に、庄内にも来たことから、「小木曽製粉所」の筑摩店があることを思い出して、昼食に寄ってみました(家内は当初庄内のマクドをご希望でしたが)。
こちらは、以前同じ王滝グループの回転寿司(「あっちゃん」)だった店舗を蕎麦屋に衣替えしたとのこと。品揃えやセルフ型式は駅前店と同じですが、トッピングは少し種類と値段が違うようです(例えば、チョイスにご飯があり、セルフでの天丼も可能とか)。立ち食いの駅前店と違い、元は回転寿司でスペースも十分あることから、店内は全て椅子席でのカウンターやテーブル席。
家族連れなど結構列になっていて、座るまでに10分くらい掛かりました。二人とも、大ざると一人ずつ大根おろしをチョイス(80円でしたが、量は100円だった駅前の半分。二人で〆て税込1253円也)。またタッパーに入った薬味のネギ用の取り皿もありました。一番の違いは、そばつゆ。濃さは同じくらいでしたが、砂糖甘くなく、こちらの方が好み(セントラルキッチンではないのでしょうか?)。因みに、この日は立科町産の玄蕎麦とのこと(食べるまでは半信半疑だった家内も、蕎麦の味には感心した様子)。席数も多く、座って食べられるので、こちらの店舗の方が多少はゆっくりと(急かされずに)食事することが出来ます。
江戸時代のファーストフードだったことをふまえると、予約が無いと入れないような格式張った店もあるやに聞きますが、「うーん、蕎麦ってこれで十分じゃないか・・・」とも思えてきます。
ただ、店内に流れる空気は、故杉浦日向子さんの言われたような、蕎麦屋の持つ凛とした静謐さではありませんので、念のため。