カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 ここ10年位前から(という意味では50代になってからでしょうか)、昔は全く手にすることもなかった時代小説を時々読むようになりました。活劇的なモノよりは、好みは「人間としての来し方」を描いた作品の方が好きです。従って、池波正太郎ではなく藤沢修平贔屓。他には、「みをつくし料理帖」や「軍鶏侍」も。人間、年を取ると時代小説好みになるのでしょうか?
余談ながら、ここで漸く高田郁さんの新シリーズが同じ「ハルキ文庫」から発刊。今度は、大阪の商家を舞台に“商道”を描くという「あきない世傳(せいでん)」の由。第一巻「金と銀(源流篇)」を書店で偶然見つけ、早速購入してしまいました(未だ読み始めていません。「みをつくし」の二番煎じにならぬか心配ですが、「銀二貫」も良かったし、心配無用でしょう、きっと・・!)

 そう言えば、子供の頃は全く興味が無かったのですが、我が家の年寄も「水戸黄門」などの時代劇を毎週欠かさずに視ていましたっけ。
最近では、セット製作や衣装など製作費が掛かり過ぎるせいか、映画は勿論ですがTVからも時代劇が姿を消してしまいました。唯一頑張っているのがNHK(と年末恒例のTV東京?)。公共放送故に、視聴率を民放ほど気にしなくて良いためかかもしれません。地上波の大河ドラマ(地元の上田は大いに盛り上がっています!)は別として、NHK-BS放送でBS時代劇として意外と定期的に制作・放送されています。
今はBSプレミアムで毎週金曜日に放送されている、東山紀之主演での「大岡越前3」。このドラマの良いところは、昔TBSで放送されていた長寿番組「大岡越前」の全くのリメイク版であること。例えば、演奏は異なりますが(NHKでは由紀さおりのスキャット)、主題歌も全く同じものが使われています。経緯は分りませんが、両局の英断であることは間違いありません(因みに、制作会社は同じ様ですし、映画村を持つ東映なども協力していることでしょう)。
何となく、組織の垣根を越えて、何とか時代劇を守り残そうという、関係者の使命感と意地が垣間見える気がします。
それにしても主演の東山紀之さんは、少年隊の“アイドル”イメージを払拭した演技で話題にもなったと記憶していますが、(TBSだったか?)主演したスペシャル時代劇での義経役が今でも印象に残っており、本当に時代劇が似合います。起用した当時のプロデューサー氏の卓見でしょう。

 第5話では、古典落語の代表的人情噺「芝浜」をストーリーに盛り込んだ大岡裁きでした。芝の浜で魚勝が拾った財布が、実は強盗殺人の下手人が取り方に追われ、証拠を消すために川に投げ入れたモノという独自の設定。
落語の様に、酒を断って真面目に働いた魚勝が何年後かに店を構えた大晦日の夜・・・という訳にはいかない(越前の名裁きで、下手人がすぐに捕まらないと筋にならない)ので、落語同様に女房から夢だと信じ込まされた魚勝が真面目に商売に精を出していると、お白州に夫婦揃って呼び出されます。下手人が「恐れ入りました!」となった上で、店子の魚勝の女房からの相談を受けた大家を通じて拾った50両も盗まれた元の持ち主に戻されており、その善行に感心した越前が3両の褒美を取らせ大団円。最後に、越前の屋敷に魚勝が刺し身を届け、居合わせたお忍びの吉宗が茶化してのサゲとなりました。見終わっての感想、
「“芝浜”はやっぱり落語の方がイイけど、その芝浜を“大岡越前”のネタに使うなんざ、(脚本家は)ちょっと憎いネ!」