カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 9月22日にキッセイ文化ホール(県文松本)の国際会議室で行われた、恒例の「第21回まつぶん新人寄席」。前回6月の第20回は都合が付かず聞けませんでしたので、久し振りの生落語です。今回の二ツ目さんは、入船亭小辰さんと金原亭馬久さんです。
 入船亭小辰さんは、第17回に柳亭市弥さんと一緒に出演されていて、今回が二度目の出演。この日も紹介されていましたが、東京のご出身ですが、お姉さまが松本の島内に嫁がれているのだとか(ちゃんと客席にも来られていたようです)。前回も書いたのですが、『個人的に感心したのは、入船亭小辰さん。声に張りがあり、トーンも高めでイイ声です。ですので、女性を演じても艶っぽさが声に感じられます』。今回も同じ印象。
 この日の演目は、先ず小辰さんが「替わり目」、馬久さんが「真田小僧」。仲入り後に馬久さんが「金明竹」、トリに小辰さんが「井戸の茶碗」という構成でした。
最初の「替わり目」は、酔っぱらって帰って来た主人が家の前に停まっていた車夫や家に入ってから奥さんに絡む噺。時間の関係で小辰さんは途中で端折って下げていました。
続いての馬久さんの「真田小僧」。子供の亀坊が父親から悪知恵を働かせて小遣いをせしめる噺。講談の「真田三代記」がモチーフにとして登場することから、信州での寄席に掛かることが多い噺だとか。以前NHKの新人落語大賞の中で柳亭小痴楽さんが(制限時間の関係で前半だけを)演じていましたっけ。
 仲入りの後は、馬久さんが「金明竹」。「どうらく息子」の中で確かさわりだけ登場したと思いますが、聞くのは初めてでした。
「牛ほめ」や「かぼちゃ屋」などと同じく、落語の“愚か者”の代表である与太郎噺の一つです。以前ご紹介した中央図書館で借りた新しく所蔵されていた落語CD「特選落語会」のライブ録音の中で、桂文治師匠が「牛ほめ」同様に前座噺の一つでもある「平林」を演じていて、その中で、“バカ”の与太郎が忘れてしまった「平林」の読み方を道行く人に教えられた通りにしっかりと覚えて繰り返していくのは絶対矛盾していると嘆く件(くだり)があって客席を沸かせていましたが、この「金明竹」も同様。骨董屋さんを営む親戚の叔父さんの所に預けられた与太郎が、傘や猫、最後はご主人を借りに来る客にご主人が教えた通りに、猫には傘という様に、その前の借り物の断り方で与太郎が断るのですが、「良くしっかりと覚えてるジャン!」と思ってしまいます。むしろ真田小僧の亀坊同様に「お主、知恵者ヨのぉ~」
この「金明竹」の聞かせ所は同業の使いの「道具類」の関西弁での“言い立て”(注記:「寿限無寿限無五劫のすりきれ・・・」の様な、決まった長セリフ)ですが、与太郎も最後は手に負えないと女将さんを呼んで来て都合4度。馬久さんも早口で演じていました。お見事!
 トリは小辰さんの人情噺の名作「井戸の茶碗」。
先述のCD「特選落語会」の中でも柳家権太楼師匠が演じておられました。登場人物のクズ屋の“正直”清兵衛、長屋に住む貧乏浪人千代田卜斎、細川家家臣の高木佐久左衛門を、小辰さんの明るくメリハリの効いた良く通る声が実にイイ。聴き易く演じておられました。

 入船亭小辰さんは2012年に二ツ目昇進だそうですから、次は是非真打ちとして、お姉さんの住むここ松本に凱旋してください。
 “お待ちしてま~す!”

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