カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 今回の箱根行の目的の一つが、金時山登山です。
奥さまが昨年参加されたツアー会社主催の女性だけ(お見受けするに、失礼ながら“山ガール”と云うよりも、どちらかというと我が奥さま含めて“山姥集団”)の登山教室(座学に始まり、初心者向けの日帰り登山から次第に何度を上げて、最後は山小屋泊で仙丈や立山へ)で、最初の頃に登った初心者向けの箱根外輪山の最高峰が金時山。その時は生憎の天気で、富士山は時折頂上が雲の中から顔を覗かせた程度だったので、せっかく箱根に行くのなら再度挑戦したいとの仰せ。しかも奥さまは四日目の箱根最終日に、先述の登山教室の二期目開始のツアーで明神から明星の外輪山縦走コースにも参加される予定(逆にそれに合わせた箱根旅行の日程)です。そこで連日の登山はきついので、金時山は二日目実施が必須。
ただ、一か月前から長期予報を気にしていたのですが、直前まで予報は曇り気味。一時は雨予報の時もあって諦めかけたのですが、何とか持ち直したので、二日目に決行することにしました。
 今回の宿泊先のホテルは、国道138号線沿いの仙石原の「箱根ガラスの森美術館」近く。駅伝コースからは外れるのですが、逆に金時山の登山口は仙石原の国道沿いにあります。
当日の朝起きて見ると、誰の行いが良かったのか、当初の予報からは想像出来なかった晴れ。仙石原からは矢倉沢を経由するルートが近いのですが、行き帰り別ルートとして、その先の公時神社の登山口から登り矢倉沢から仙石原へ下るルートにしました。
地元に居るので早めにと、朝7時前の箱根登山鉄道のバス一本で公時神社へ。その名の通り、金太郎伝説の坂田公時を祀る神社で、その社殿横に登山口があります。

 7時10分に登山開始。途中までは鬱蒼とした杉林の樹林帯の中を登って行きます。矢倉沢ルートも公時ルートも途中で合流して金時山頂へ登るのですが、どちらも登山口からの標高差549mとの表示。金時山は箱根外輪山の中では一番高い1212mとのことですが、登山では山頂の標高より登山口からの標高差が重要。549mという標高差は、三城からの美ヶ原登山に匹敵します。
美ヶ原の様な石の登山道では無く、土の道ですが、前日まで雨が多かったのか、結構湿っていて気をつけないと滑りそうです。しかし、登山道の急坂は石段や板の階段でしっかりと整備されていますし、また登山道に張り出した杉の根が良い手すりになっていて、たくさんの人が掴まったためすべすべしています。
登山道は杉の樹林帯を登って行くので景観は望めませんが、途中、金太郎が遊んだという手毬石や、また雨宿りをしたという宿り石など金太郎伝説ゆかりの史跡もあり、結構楽しい登山道でした。
やがて杉の樹林帯を抜けて色付き始めた広葉樹が目立つようになって、少し視界が開けて来ました。時折、眼下に仙石原が拡がっています。
事前にネットでルート確認をした時の、ほぼ標準タイムの70分で分岐点へ到着。少し休憩し、山頂へ。ここからは結構な急登が続きます。
これまで、登山道からは一度も富士山の姿は見えず、もしかすると雲の中なのか?、せっかくなのに富士は望めないのか?・・・と些か疑心暗鬼になりそうです。
分岐から30分程で目の前がポッカリと開け、先行した家内からワァーっという歓声が。登ると急に視界が開け、そこが金時山1212mの山頂でした。
そして目の前には、それこそ“ナンということでしょう!”の如く、雲一つ無い青空を背景に雪を頂いた富士山がくっきりと聳えているではありませんか!
 「おぉ、凄~い!」
 7時10分から登り始め、8時50分に山頂に到着。
山頂には金時茶屋もありますが、昼にはまだ早いですし、水や行動食は持参して来たので暫し休憩し、その後絶景の富士山と山頂に4匹居た猫の写真も撮って、下山開始。
朝早く登り始めたので登りでは殆ど人に会いませんでしたが、下りでは我々の様な中高年のご夫婦や山ガールのグループなどたくさんの登山者の方々が登って来られて、道を譲ったりお互い挨拶を交わしたり。
下りは分岐点から仙石原へ下ります。途中、最終日奥さまが縦走される明神ヶ岳に至る矢倉沢を経由して、仙石原に下山。下りは1時間10分程だったでしょうか。それなりの急登もあって登山気分が味わえ、最後に富士の絶景が待っている金時山。時間を考えないと半日で終わってしまい、頂上でのお昼休憩もままなりませんが、さすがに都心から近い人気の山でした。季節の進みは信州よりは1ヶ月遅れか、今回はまだリンドウや野菊、そして何と下りではマツムシソウまで登山道脇には結構色々な花も咲いて、金時山は四季の花を愛でながら登山も楽しめそうです。
今回の金時山登山で一つ気になったこと。それは、登山道はしっかりと整備されていてとても歩き易かったのですが、案内標識の時間表記です。
例えば分岐点から金時山山頂へは20分と書かれていますが、普通の登山者は20分では無理。優に30分は掛かります。余程の健脚者向けなのか、どの表示も少し短すぎる様に思いました。因みに、事前にネット検索して調べたルート案内の所要時間は、今回のコースタイムとほぼピッタリでした。
 下り終えた仙石原の登山口の下には長安寺というお寺があり、箱根での紅葉のスポットとして有名とことで、寄って行くことにしました。
龍虎山長安寺。1655年開山という曹洞宗のお寺さんです。紅葉で名高い京都のお寺には敵いませんが、色付き始めた紅葉だけでなく、昭和60年から建立を始めたという五百羅漢さんも山のあちこちに佇んでおられ、とても雰囲気のある素敵な寺院です。結構観光で来られている参拝の方々も多いのですが、驚いたことに長安寺は拝観料無し。お寺の奥には大きな墓地もありましたので、檀家の数も多いのかもしれませんが、お寺や庭の維持管理にもお金が掛かるでしょうから、多少でも拝観料を取れば良いのにと要らぬお節介。そこで拝観料の代わりに、本堂と境内にあった子守り地蔵さんにもお賽銭を入れさせていただいてお参りし、子供たちの安寧も併せてお願いさせていただきました。
 曹洞宗龍虎山長安寺。秋の箱根で見つけた、紅葉と五百羅漢さんの素敵なお寺さんでした。