カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 10月21日の日曜日。前日まで雨や曇りの日が続いていたのですが、この日の天気予報は“全国、全47都道府県晴れ”。年にそう何度も無いのだそうです。そこで登山のトレーニングも兼ねて、また三城から美ヶ原へ登ってみることにしました。

 この日は、松本・諏訪地方で云う“出払い”(地区の共同作業。但し松本は諏訪の様な“出不足金”徴収はありません)での大門沢川清掃が早朝6時半からあって、6時前はまだ薄暗いため、ナナの散歩は“出払い”から戻ってから。母の昼食も準備した上で、遅めの9時頃の出発になりました。
“紅葉情報”に依ると、「美ヶ原は見頃」とのこと。そのためか、市内の山辺から登山口の三城いこいの広場までの道は、ビーナスラインで美ヶ原や霧ケ峰へ向かうであろう県外車で結構な交通量。自宅からはほぼ30分で9時半に到着。

 美ヶ原の登山口のある三城いこいの広場の無料駐車場は、既に上段は25台程が駐車していて満車でしたので、下段へ駐車。前回、8月下旬の美ヶ原への三城からの初登山(第1357&1358話)の時は“夏山シーズン”だったのにも拘わらずガラガラでしたのに、今回はどうしたことでしょうか。三城のオートキャンプ場は既に閉鎖されていてシーズンオフですので、県外車も多かったこの車の方々は、皆さんここから美ヶ原へ登って行った筈。
前回は朝曇っていて気が付きませんでしたが、快晴のこの日の駐車場からは王ヶ頭(おうがとう)のテレビ塔がクッキリと望めました。標高1450mという三城いこいの広場から王ヶ頭の2034mまで標高差約600mを登ります。登山靴に履き替え、リュックを背負い、9時40分にいざ出発。
管理棟横の登山口から、この日も“百曲りコース”へ。直行はしませんが、「塩くれば」まで3.5㎞との表示。先ずは森の中を歩きキャンプ場内を通って、広小場への登山道へ入ります。前回の帰路、キャンプ場からいこいの広場への登山道が見つけられずにキャンプ場の中を下ったので、今回は見失わぬようオートキャンプのNo.50~51サイトの間を下ることを確認。良く見れば舗装道路の反対側に案内板もありました。既にキャンプ場の洗い場は片付けられ閉鎖されていました。
 広小場までは鬱蒼とした森の中を、沢沿いに森林浴をしながら進みます。標準時間40分のところ、35分で到着。広小場が標高1580mとのことですから、100m程登るなだらかな登山道でしたが、小休止の後、ここから百曲りの本格的な登山道へ。百曲り園地へは標準時間90分の登山コースです。林の中を進む、板状節理で剥がれた鉄平石が敷かれた登山道。48回というジグザグを経て周囲が開ければ、もう百曲り園地の真下です。前回は全く登山客に会わなかった百曲りでしたが、この日は広小場から茶臼山に向かう家族連れや、前日泊まられて下山するカップルなど、何組かの登山グループに会いました。
途中休憩せず60分で到着した百曲り園地で給水し、そのまま絶景のアルプス展望コースを歩いて目的地の2008m王ヶ鼻(おうがはな)を目指します。
 標高2000mの高原はもう晩秋に風情で、さすがにもう花はありません。標高600mの松本もこの日最低気温が4℃だったので、ここ美ヶ原はおそらく氷点下だったのでしょう。コースの日陰には霜柱が立っていました。
園地から見えた南アルプスから中央アルプス、そして御嶽から乗鞍、穂高連峰。アルプス展望コースの名の通り、次第に穂高から槍、常念、燕と北アルプスの眺望が拡がって行きます。雲一つ無い快晴に、展望コースには何組もの登山やトレッキングを楽しむグループやカップルの方々が。王ヶ頭の下を通過し、展望コースの終点で合流する車道をそのまま歩いて王ヶ鼻へ12時半前に到着。園地からは案内通り60分でした。
岩場の上では20名程の皆さんが休息されていて、我々も岩に腰掛けて昼休憩です。それにしても、少し霞んではいましたが今回は快晴で、1400mの標高差で眼下に拡がる松本平を囲む様に日本の名だたる名峰が聳えていて、思わず「凄い!」と歓声が上がります。
南は八ヶ岳から、甲斐駒、北岳、仙丈の南アルプス、木曽駒の中央アルプス。そして山頂登山が解禁された噴煙上げる御嶽山になだらかな山容を見せる乗鞍と、北アルプスの独立峰。続いて、のこぎりの様な穂高連峰から始まり、いつもは松本平から仰ぎ見る屏風の様な北アの峰々が、ここでは目の高さにその雄姿を拡げています。五竜から、夏に登った唐松岳と続き、白馬の後立山連峰からその先は雲が掛かっていました。
そして良く見ると、雄大に裾野を広げた八ヶ岳の右肩越しに富士山の姿も認識できました。既に真っ白な雪を被ったその姿は、やはり他の山とは違い、居住いを正して立っている様な孤高の趣があります。この松本からもこれ程大きく富士山が見えたとは・・・。正直、ビックリしました。
一つ所からでは無いでしょうけれど、高原の美ヶ原からは、百名山の実に41座を眺めることが出来るのだとか(美ヶ原自体が百名山ですので、41/99ということになります)。
次々と王ヶ鼻にも美ヶ原観光の団体さんが来られるので、昼食を終えて、王ヶ鼻から王ヶ頭へ向かいます。途中、残念ながら浅間山には雲が掛かっていて、山容は望めませんでした。9月で牛の放牧は終了していますので、高原にはもう夏の間ノンビリと草を食んでいた牛たちの姿はありません。そのため、真っ青な空の下に拡がる広い高原が余計広く感じられました。
ホテルの有料トイレで用を済ませ、「塩くれ場」から百曲り園地を経由して、今回も百曲りコースを下って三城いこいの広場の駐車場へ戻ります。広小場まで下り40分(下りは標準60分)。今回は朝確認した通りにオートキャンプ場からもしっかりと登山道を下って、園地からトータル70分で駐車場へ到着しました。
 美ヶ原は、百曲りの登山道を含めて、秋の紅葉を楽しむスポットではありませんでしたが、何といっても眺望が抜群です。
夏であっても、牛たちを見ながら高原をノンビリ散策するよりも、アルプス展望コースのトレッキングコースが断然お薦め。そして頂上となる王ヶ頭よりも、王ヶ鼻からの絶景がイチオシです。雄大な峰々に、日頃のストレスなど「ちいせぇ、小せぇ!」と吹っ飛んで大らかな気分なります。
そんな気分を存分に楽しむには、やはり車で行くよりも、1時間半で登れる三城からの登山がお薦めです。
 快晴の中、今回は雄大な山並みを眺められた、“日本百名山”美ヶ原への秋の山旅でした。