カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 昨年末に発表された、3月16日実施の「JR春のダイヤ改正」。
先にスーパーあずさがE351系から新型のE353系に置き換えられたのに続いて、すべての車両に新型のE353系が使われることになり、結果スーパーの名称も廃止されて、「あずさ」と「かいじ」に統一。そして、全ての車両が新型車両に統一されることに伴い、これまで“普通”のあずさとかいじに使用されていたE257系も廃止。
更に、初めて上諏訪駅に停車しない列車が設定され、停車駅が(松本からだと)茅野、甲府、八王子のみでの最速2時間23分と6分短縮。また、上下線で多い方を記すと、長野県内では、塩尻と岡谷が△3本(17→14)、下諏訪は△7本(9→2)、上諏訪△1本(18→17)、富士見△4本(6→2)とそれぞれ停車する本数が減便となります。因みに、茅野は減便無しで全て停車。
これに噛みついたのは、諏訪市を始めとする、塩尻、岡谷などや、塩尻通過に依る接続への影響を危ぶむ中央西線の木曽地方の各自治体です。停車せずに通過する特急が増える各自治体の首長たちは、2月1日に長野県知事(インフル禍で副知事が代行)と一緒にJR東日本本社を訪れて改善を要請しました。

 今回の改正で個人的に一番驚いたのは、たとえ上下各1本とはいえ、あずさが初めて上諏訪駅に停車しない、しかも茅野駅には停車するのに・・・ということ。なぜなら、嘗て、始発の松本から終新宿までの間で(時間短縮のために)、途中、上諏訪、甲府、八王子にしか停まらない最速のあずさがありましたが、少なくとも茅野は通過しても上諏訪には停車していたのに・・・なのです(各自治体唯一の駅とはいえ、岡谷、下諏訪、上諏訪、茅野間は他に駅は無く、もし特急が全てに停車すれば、岡谷~茅野間は各駅停車です)。
10年程前に茅野の人口が初めて諏訪を逆転したことが、諏訪地方でニュースとなりました。恐らく、諏訪大社をいただく太古の昔より、諏訪藩、片倉財閥、東洋のスイスと、どの時代においても地域の盟主として自負して来たのが諏訪であった筈。しかし、それに安住して或る意味何もしてこなかった、否、他責のまま(企業からの税収任せで)自治体としては何もしなくても良かった・・・。
だから、古ぼけた駅舎のままの上諏訪駅ですが、その駅前も地場のデパートが倒産した後も何もせずにゴーストタウンと化し、蓼科高原や八ヶ岳の観光地を抱え別荘地も開拓してきた茅野市に駅の乗降客も抜かれ、人口も逆転され・・・。中央線も諏訪市内だけが単線化のまま。しかも国道20号には踏み切りが2ヶ所も残されています(自虐的な観光スポット化)。
また諏訪のみならず、どの諏訪地域の自治体も“俺が俺が主義”で、結局(合併の是非は別として)県内で諏訪6市町村だけが一つも平成の合併協議がまとまらずに今に至っています。
 以前、地元出身のある財界人の方に聞いた話なのですが、旧国鉄時代に、地元富士見町選出で国務大臣などを歴任した小川平二衆議院議員(父平吉氏も鉄道大臣などを歴任した政治家)が、諏訪の中央線の単線区間の複線化工事について、予算取りを含め政界や官庁、国鉄など全て根回しをしたのに、当時の某I諏訪市長が地元を説得出来ないと断ったのだとか。そのため、メンツを潰された中央の関係者や関係省庁は、「今後、例え地元から複線化工事の要請があっても、こんりんざい(金輪際)認めない(協力しない)」とへそを曲げてしまったのだそうです。その方曰く、あの時に地元を説得して実現していれば、もっと中央線はスピードアップも含めて便利になっていた筈とのことでした。
実際、以前松本からあずさに乗って、停車駅では無い下諏訪駅で単線区間でのすれ違いのために、貨物列車を特急が待ち合わせたのには唖然としたものです。
但し、実際に中央線の松本新宿間を2時間切りにスピードアップをするためには、混雑する首都圏内の複々線化とカーブの多い山梨県内の直線化が推進されないと大幅な改善は無理とのことではありますが・・・。国営時代であればともかく、民営化された現在、巨額投資をするJR東海のリニアが甲府付近に新駅設置を予定している中で、JR東日本が在来の中央線にそうした投資することは期待出来ません。
 オーストラリアや中国など、今や海外からのスキー客が大量に押し掛ける白馬方面。殆どの観光客は北陸新幹線を使って長野で下車し、オリンピック道路経由の直通バスで白馬入りをしています。中央線から大糸線に入るあずさもあるのですが、利用者数は新幹線に敵いません。今回のダイヤ改正で、停車駅を減らすことでの短縮化は最大でもたったの6分。しかし、如何に公共性を指摘したとしても、民営化企業である以上、全便新型車両に変更し、例え僅か数分でもスピードアップさせて更に効率性と利便性を高めて中央線特急の利用者を増やす。高速バスに客を奪われつつある現在、鉄道会社のそうした施策を否定することは無理でしょう。
文句を言うなら、どうしてこれまで利便性や快適性を向上させて地元への乗降客を増やす努力を各自治体がして来なかったのか?「何を今更!」・・・。
七年に一度のお祭りと、夏だけの花火と、そして温暖化進展の中で自然任せの御神渡だけに頼っていてイイのか!?

  「だって、人が来なくてどうしようもないヨ!」
上諏訪駅近くの馴染みの割烹料理屋が、以前定休日でもないのに店を閉じていたので心配し、改めて日を変えて飲みに行った時。店主の、自嘲気味で諦めにも似た苦笑いが忘れられません。

 今回のJR東日本の春のダイヤ改正の対する諏訪を中心とする首長たちの抗議に、諏訪にはこれまでお世話になっただけに、或る意味“可笑しくて、やがて悲しき”・・・情けなくて、何だか涙が出そうです。

コメント

4年に一度のお祭りって何ですか?
大変失礼しました。7年に一度(寅と申)の間違いでした。ご指摘ありがとうございました。。。深謝
私はJRのやり方は問題ないと思います。むしろ、下りのあずさに乗って、茅野駅で降りたのち、普通列車にすぐに乗り換えができるのであれば、上諏訪駅〜岡谷駅間は問題なく乗車できます。むしろ茅野駅が停車駅の方が都合が良いです。上りのあずさにしても、普通列車を茅野駅まであずさより先行して運転するダイヤにすれば、茅野駅で乗り換えができます。あずさは全席指定席になったので、指定席券さえあれば「座席に座れない」という状況は基本的に起こり得ません。

塩尻駅から名古屋方面に乗り換える場合ですが、実は塩尻駅〜松本駅間は「分岐駅を通過する列車に乗車する場合の特例」が適用されるので、中央西線方面に行く場合、松本駅まであずさに乗車して、松本駅でしなのに乗り換えて名古屋駅に行くことはできます。

首都圏の複々線化や上諏訪駅〜岡谷駅の複線化は実現することはかなり難しいです。それに比べて、停車駅を見直したり、停車駅から目的駅まで乗車できる列車の本数を増やすなどは、コスト的にはそんなに掛からないので、合理的と言えます。県や地元の方々は、ただ単に頭ごなしに批判するのではなく、正しく理解してから批判をした方がいいですね。
 ご意見ありがとうございました。
茅野・上諏訪・下諏訪・岡谷間はすべて隣接しており(しかも複線化されていない単線区間)、もしすべての駅に特急を止めれば各駅停車になってしまいます。
地元からすれば特急が停まれば確かに便利かもしれませんが、ご指摘いただいた様に、特急から普通列車への接続がすぐにあれば実際には然程問題は無いと思います。

 しかし、地元自治体からすると、駅舎の老朽化による現状同様での改築以上の、例えば橋上化や自由通路設置などは、国の補助以外は地元負担で自治体の持ち出しになるそうです(例えば篠ノ井線の平田駅は、地元ニーズであるため、全額松本市負担で新設されました)。
従って、自治体からすると、国鉄時代も含めてこれまでJRには地元としても協力してきたという感情論もあるのではないかと感じています。

 それにしても、老朽化した上諏訪駅は、むしろ諏訪湖側を正面にして、東西に改札を設けるか、茅野駅や松本駅の様に自由通路を設けて、東西に往来可能にした方が観光面では遥かに効果的だと思いますが、これも複線化問題と同じなのでしょうか・・・?

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