カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 埼玉から帰った翌日夕刻、待っていた連絡が保護団体の方からありました。
幸いにも簡単な手術で終わり、明日にも退院出来るとのこと。保護団体の方の活動スケジュールとの兼ね合いもあり、夕刻4時に狭山の病院での待ち合わせとなりました。前回は道中ずっと不安だった道程を、今回はホッと安心して一刻も早くコユキに会いたい気持ちを何とか抑えつつ、安全運転で狭山に向かいます。
施術していただいた院長先生のお話によると、やはり「声帯除去の影響で咽頭に膜が出来て気道が狭くなっていたのと、軟口蓋過長が合わさり、呼吸がしづらくなっていた」とのこと。そのため、今回その膜を手術で切り取ったので、術前の様に過呼吸気味になることは無いとのこと。
迎えに行った保護団体の方と我々との再会で、嬉しそうにしっぽを振って興奮するコユキ。保護団体の方も家内も、それを見てお互いに涙、涙でありました・・・。

病院の方々、そして保護団体の方にもお礼を言って、いよいよ正式に我が家のワンコとなるべく松本の自宅に向かいます。家ではナナも待っているので、今回も帰路はノンストップで圏央道から中央道に合流して無事帰宅。
名前は、如何にも雪の様に真っ白なマルチーズらしいので、ブリーダーでの識別記号としてではなく、きっと生まれて初めて愛情を以って保護団体の方から付けてもらったであろう仮の名前「こゆき」のままにしました。
 翌朝から、ナナとコユキ、二匹で一緒に散歩です。
コユキはすっかり家内になついて、朝彼女が二階から降りてくると大興奮。また過呼吸にならないかと心配する程です(先に起きる私メの時は、「ナンダ、お前かよ」とでも言いたげに、一応お義理でしっぽを振る程度・・・ま、逃げてクレートに入られるよりはマシかな?)。声帯が無いのでゼーゼーという息は相変わらずなのですが、手術のお陰で幸い過呼吸気味になることはありません。考えてみれば、生まれてから8年近くもの間、ずっとケージに閉じ込められていて散歩をさせてもらうことも無かったのでしょう。嬉しいのも、楽しいのも、生まれてこのかた初めてなのですから、或る意味、はしゃぐのも当然なのかもしれません。また食糞癖があるとのことでしたが、ブリーダーの所では十分なエサをもらえなかったのでしょうか。また糞をすぐに片付けなかったりとか、衛生状態も良くなかったりしたのかもしれません。幸い我が家ではそうした兆候は全く見られません。
きっと、不要になれば捨てればイイと、単なる子供を産ませて金を儲けるだけの“道具”として決して可愛がられることも無かったのでしょう。もしかすると、彼女にとっての今までの8年間は、人間とは決して可愛がってくれる存在ではなく、むしろただ怒られるだけの怖い存在だけだったのかもしれません。
つくづく、コユキの今までの失われた8年間分の愛情をこれからは注いであげたいと思いました。
特段の術後の問題も無く、保護団体の方にもその後の様子を報告する中で二週間のトライアルが終了した結果、保護団体から正式譲渡の許可もいただき、家内が市役所に飼犬登録。
登録上の誕生日は8年前の4月12日。コユキが保護された日の8年前としました。ナナが4月16日ですので、偶然ですが二匹は4日違いで覚え易い誕生日になりました。
 お盆前の猛暑の続く中、家の中でコユキは薪ストーブ周りの大理石がヒンヤリ冷たくて気持ちが良いのが分かったらしく、その上で寝ています。すると、ナナも今までは大理石の上には行ったことが無かったのに、興味を感じたのか、ナナも行ってお腹を付けて一緒に寝そべるようになりました。
ナナやチロルは夏の雷や花火の音が怖くて大嫌いで、大きな音がすると擦り寄って来ては終わるまで離れなかったのですが、コユキはそうした“音”の恐怖経験が無いのか、不思議なほど我関せず。雷が鳴ろうが、花火の音がしようが、全く怖がることがありません。育った環境とはいえ、不思議だなぁ・・・。
ただずっとケージに入れられていたせいでしょう。足腰が弱く、お座りの姿勢が長続きせず、すぐにべちゃっとうつ伏せに寝てしまいますし、(戸外に出ることが?)大好きな散歩も、少し歩くと疲れるのかすぐに(家内に)甘えてダッコをせがみます。
また、やはり見知らぬ人が怖いらしく、娘や妹が来ても、さっとクレートの中に入って出てこようとしません。一日一緒に居ると、どうやらこの人は大丈夫そうだと漸く思えるのか、近寄っても逃げなくなります。
暫くすると、ナナは宮廷犬のシーズー(中国語で獅子狗、シーズークワ)らしく、割と“孤高の人(犬)”で我関せず・・・なのですが、一方のマルチーズは、その名の通り地中海のマルタ島原産で紀元前からフェニキア人が飼っていたという世界最古の愛玩犬なので、人なつっこくて外交的。そのため、そこは犬同士で、夜は一人(一匹)で寝ているナナの所にコユキが近寄って行っては、二人(二匹)で仲良く並んで寝ています。コユキのお陰で、ナナも刺激を受けて相乗効果で元気になってくれればと思います。
因みに、コユキが来てから、お互いの食事やおやつが気になるのかナナの食欲が戻って来ました。以前は薬を除けて食べず、その結果(ドッグフードに薬の匂いが付くのか)全体の食欲も低下するという悪循環だったのですが、食欲が出て来ると、一緒に薬を混ぜても(ただ単純に“混ぜる”のではなく、錠剤は細かく切って、ササミジャーキーの中に、爪楊枝でねじ込んで見えぬ様にしています。但し粉薬はどうしようもないので、炙ったササミを包丁で叩いて粉状にして一緒に混ぜています)食べてくれるようになりました。これも、コユキが来てくれたお陰で、お互いを意識しての相乗効果かもしれません。
 コユキの足腰の弱さと人間に対する臆病さは、生まれてからの8年という長い間ケージに入れっ放しにされた影響ですから、室内を自由に歩き回れることによってこれから少しずつ足腰が丈夫になって行けば良いし、また世の中怖い人ばかりではないと分かるように、ナナを見ながら変わって行けば良い。
そんな風に少しずつ変わっていけるように、気長に付き合ってあげようと思います。
 「コユキ、もう人間を怖がらずに人に甘えてイイんだからね!!」